COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2025/06/02 EC・通販事業者システム在庫管理運輸業・倉庫業(3PL事業者)

WMSとは?物流を支える倉庫管理システムの導入効果と今求められる理由

WMSとは?物流を支える倉庫管理システムの導入効果と今求められる理由

人手不足や働き方改革、そして「2024年問題」など、物流業界を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした課題に対応し、現場の効率化と安定運用を支える仕組みとして注目されているのが、WMS(倉庫管理システム)です。

本コラムでは、WMSの基本機能や導入メリットをはじめ、実際の企業での導入効果や、WMSが今必要とされる背景まで、具体的な事例や数値とともにわかりやすく解説します。

WMSとは

WMS(Warehouse Management System)とは、倉庫管理システムです。倉庫内の業務を効率化・最適化し、業務精度や生産性を向上させるためのソフトウェアを指します。

主に、入出庫管理、在庫管理、ロケーション管理、検品、ピッキング、梱包など、倉庫業務の一連の流れをシステム上で可視化・管理することにより、作業の効率化・標準化・自動化を実現します。

近年では、単なる業務改善ツールという枠を超え、働き方改革や人手不足への対応など、時代の変化に応じた戦略的な取り組みとして、特にクラウド型のWMSが強く注目されています。


WMSの主な目的と機能

入出庫管理

入荷時の検品・ロケーション登録を行います。入荷予定データの活用、ハンディターミナルによる検品など入荷管理をしっかり行うことで、出荷時の商品ピック・準備を正確かつスピーディに処理することにつながります。人手による記録から脱却し、システムでの在庫情報管理を実現します。

在庫管理

在庫の数量・場所をリアルタイムに把握可能です。在庫数の確認がスムーズにできるため、社内外問わずシステム導入のメリットを感じることができます。適正在庫を維持することで、欠品や過剰在庫を防ぎます。

ロケーション管理

商品の保管場所を体系的に管理することで、効率的な入出庫動線を実現。固定ロケーション、フリーロケーション、ダブルトランザクションなど、自社に合う保管管理方法を実行することで保管スペースの最適化や業務の効率化にもつながります。

検品

入出庫時の検品作業をハンディターミナルやスマートフォンなどの端末を用いてシステムで支援します。誤出荷・誤納品や数量違いといったミスを事前に防止します。

ピッキング

出荷指示に応じたピッキングリストを生成し、作業ミスの削減とスピードアップを両立します。シングルピッキングやトータルピッキングの中から自社に合うピッキング方法を選ぶことで業務効率化につながります。近年、コスト削減や環境配慮によりペーパーレスピッキングも注目されています。

梱包

出荷品の検品・梱包内容を記録し、出荷漏れ・誤配送のリスクを低減します。梱包時に中身をラベル化、貼付するといった対応も可能です。

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WMSを導入するメリット

業務効率化

従来、紙の帳票や口頭指示などで行っていた作業をWMSでデジタル化することで、業務の流れが標準化され、属人化を解消できます。
たとえば、入出庫や棚卸作業にハンディターミナルやタブレットを使うことで、現場オペレーターが迷わず作業できるようになります。それにより、ベテランに依存しないオペレーション体制が整い、教育期間の短縮にもつながります。

作業精度向上

リアルタイムで在庫や作業進捗を把握できるため、「どこに何があるか」が常に正確に管理されます。
その結果、検品ミス・出荷ミス・誤ピッキングなどのヒューマンエラーが大幅に減少。実際の導入現場では、クレーム対応や再配送にかかるコスト・手間の削減にも直結します。

生産性向上

WMSによって作業の手順が可視化・最適化されるため、同じ人数でも処理件数を増やせる環境が整います。
たとえば、出荷指示の自動割り振り、ピッキング順路の最適化、波動対応のアラート機能などにより、繁忙期でもボトルネックを最小化。実際に現場オペレーションの標準化により「1日の出荷件数が3倍に増加した」企業も存在します。

コスト削減

WMS導入により、作業の無駄やミスが減ることで、直接的な人件費や誤出荷による損失、余剰在庫による保管コストなどの"見えないコスト"まで削減が可能になります。
また、データに基づいた在庫適正化や業務分析を行うことができるため、長期的な物流コスト最適化にもつながります。


WMSの導入事例

数字で見るWMSの導入事例・導入効果

WMS導入で作業時間が1/5に!店舗とEC、倉庫の連携でオムニチャネルを実現する京都のアパレル企業
株式会社ウッディーハウス様
https://www.logizard-zero.com/cases/woody-h.html

ヒューマンエラーが8割減!個体管理が必須のレンタル事業で在庫管理の標準化、多店舗展開を実現
イオンリテール株式会社様
https://www.logizard-zero.com/cases/aeonretail.html

前例のないCtoC物流にも、開発なしで即稼働。ロジザードZEROの導入で出荷件数が3倍に
株式会社SODA様
https://www.logizard-zero.com/cases/soda.html


WMSの選び方

WMSのタイプ

WMSにはさまざまな種類があります。代表的なタイプは以下のとおりです。

オーダーメード型WMS

自社専用にシステムを一から開発・構築するタイプ。
業務フローが特殊で、市販のシステムでは対応が難しい企業に適しています。高い柔軟性がある一方で、導入コストと開発期間が大きくなる傾向があります。

パッケージ型WMS

一般的な倉庫業務に対応する機能があらかじめ用意されているタイプ。
短期間かつ比較的低コストで導入でき、ECや小売物流など標準業務に合致する企業に向いています。最近では、ある程度のカスタマイズが可能なハイブリッド型も登場しています。

WMSの選定ポイント

また、WMS選定時に重視すべきポイントとして、以下が挙げられます。自社の業務内容や将来の拡張性を考慮しながら選定することが重要です。

自社業務にフィットするか(機能・操作性/UI)

棚卸方法、検品フロー、ロケーション運用など、現場の運用に合致するかを事前に確認しましょう。画面操作が複雑すぎると現場に定着しないため、直感的なUIであるかどうかも重要です。

導入・運用のしやすさ(サポート体制)

システム導入後の教育サポートやマニュアルの充実、トラブル対応のスピード感は運用フェーズで大きな差になります。クラウド型の場合はベンダーとの連携力が安定稼働の鍵です。

拡張性・他システムとの連携(TMS、OMSなど)

WMS単体で完結せず、受注管理(OMS)・輸送管理(TMS)・基幹システム(ERP)などとのスムーズな連携が可能であることは、中長期的な業務効率に直結します。API連携の柔軟性や実績も確認しましょう。

多拠点・多言語・クラウド対応の有無

今後、拠点数の増加や海外展開を視野に入れる場合は、拠点単位での権限管理、クラウドによるデータ一元管理、外国語対応の有無なども選定の重要な基準となります。


WMSと関連するシステム

WMSは、周辺の業務管理システムと連携することで、物流全体の最適化を図ることができます。連携するシステムは、主に下記が挙げられます。

  • ERP(基幹業務システム):
    在庫や販売、財務などの基幹情報を一元管理し、企業全体の業務を統合的に最適化
  • TMS(輸送管理システム):
    輸配送ルートや運行スケジュールを最適化し、配送業務の効率化とコスト削減を支援
  • OMS(受注管理システム):
    複数の販売チャネルからの受注情報を集約し、出荷や在庫との連携を円滑に管理
  • WCS(倉庫制御システム):
    マテハン機器や自動搬送装置を制御し、倉庫内設備を効率的に稼働
  • WES(倉庫実行システム):
    作業リソースや機器の動作順序を最適化し、倉庫内オペレーション全体を制御
  • LMS(ロジスティクスマネジメントシステム):
    調達から配送までの物流プロセスを統合的に管理し、全体最適と可視

WMS導入が注目される背景

物流の2024年問題

2024年4月以降、ドライバーの時間外労働規制が強化されたことで、運べる荷物の量が減少しています。そのため、「いかに早く・正確に出荷できるか」が物流現場の競争力に直結するようになりました。

WMSによる作業時間短縮・出荷リードタイムの短縮は、この問題への直接的な解決策のひとつです。

物流関連2法の施行

改正物流総合効率化法および貨物自動車運送事業法により、荷主と運送業者の連携の義務化、荷待ち時間削減の努力義務化が進められています。

WMSは、出荷状況の可視化・計画的な業務配分・ドライバーとのリアルタイム連携を支えるシステムとして、法対応のベースになります。

慢性的な人手不足

少子高齢化・採用難により、倉庫内作業を担う人材が確保できない企業が増加傾向にあります。WMSによって作業の属人化を排除し、「誰でもできる現場づくり」が可能になります。


まとめ

WMSとは、単なる業務効率化ツールではなく、物流の未来に対応する戦略的システムです。2024年問題や法制度、社会的課題に直面する物流現場において、WMSは今こそ導入すべきインフラの一つといえるでしょう。

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ロジザードコラム編集チーム

クラウド在庫管理システムを中心に、小売業や流通業の物流・在庫管理に関する情報をわかりやすくお届けする編集チームです。導入事例、コラム、ホワイトペーパーなどのコンテンツを通じて、物流現場の課題解決や業務改善のヒントを発信しています。現場視点を大切に、皆さまのお役に立てる記事づくりを心がけています。