製造の現場を管理する生産管理システム。比較的進出の早い製造業の現場では、日本の生産管理のノウハウの詰まった生産管理システムの導入を支援する日系システム会社も数多く存在します。BOMや工程の管理、購買の管理など、製造業の現場で必要な機能をオールインワンで提供するシステムは、機能的にも非常に優れたものが提供されています。
しかし、各社ごとに全く異なる生産工程を管理するため、多くの場合は各社ごとにカスタマイズをして導入することがほとんどで、高額なシステムが更に高額に、複雑な機能が更に複雑になってしまう傾向があります。
製造現場には、生産工程に入る前の【部材の在庫管理】と、生産工程から出てきた【製品の在庫管理】の2種類の在庫管理があります。もちろん、生産管理システムの中にも"在庫管理"の機能は存在します。しかし、工程管理をするための補助機能として存在していたり、より複雑になった機能のために使われていなかったりと、実際にキチンと在庫管理できているかについては課題が残ります。生産管理システムは導入したが、在庫管理はエクセルでやっている。そんな企業も珍しくありません。
タイ・ベトナム・フィリピンなど東南アジアに進出している日系の物流企業の多くは、日本において高い物流品質を実現している企業。ただし、その高い物流品質は、長年のノウハウが詰まった物流システムと、日本人スタッフが当たり前に行う高い作業品質によって実現されています。しかし、東南アジアにおける物流現場において、日本同様の物流品質を実現することは、それほど簡単なことではありません。
東南アジアにおける現場労働者の方は、一般的にマルチタスクが得意ではないと言われています。日本人作業者のように、複数の作業を前後作業のバランスを見ながら適切にこなすというよりは、自身の役割を明確に決め、その範囲内の作業のみをこなすという傾向があるようです。このように日本人の資質の上に成り立った日本のやり方をそのまま持ち込んでも、なかなか作業精度を上げていくことはできません。
日本には、自社で開発したすぐれた物流システムがあります。しかし、それを東南アジア各国で利用するのにもまた大きな障害があります。多くの物流システムの場合、オンプレミス型(サーバを事務所や倉庫に設置し、システム運用をする方式)であり、導入の手間や導入後の保守メンテナスの手間が非常にかかります。また日本に設置してあるサーバを利用する場合でも、VPNなど専用のインターネット回線を経由する必要があるため、高額な通信費用が必要になることもあります。結果的に、システム導入は見送られ、エクセルやアクセスをフル活用した、属人的な業務管理を行っている物流会社が多く存在します。
数年前まで、日系の物流会社の担当者様にお話を聞いていると、「クライアントである日系企業の担当者様も、東南アジアの事情を分かってくれているので、そこまで高い品質を求められない」という声も聞かれました。しかし、現在ではクライアント側でも本社側からグローバルでのサプライチェーンの管理が強く求められるようになり、今まで以上に物流会社にも高い品質での管理が求められるようになったそうです。
日系の物流会社でも、さすがにシステム無し・日本人作業者無しでは、打つ手がありません。キチンとWMS(倉庫管理システム)を導入し、更に現地スタッフを適切に教育していくことで初めて、【日系物流企業】としてのメリットが生まれてきます。
難しさ01
タイ・ベトナム・フィリピンなどの東南アジアにおいて、日系企業がシステム導入を行う場合、最も大きな課題になるのは、IT人材の不足です。
日本から派遣される駐在員の多くは、経営のプロであり、製造のプロであり、物流業務のプロです。現地拠点で働くことが出来る日本人の数に制限がある中で、彼らを優先的に派遣するのは当然のことです。しかし、彼らのような実務のプロが必ずしもITに精通しているとは限りません。むしろ、ITと実務の両方に精通した人材の方が珍しいように思います。
慣れない環境、言葉の通じないスタッフ、背負う大きな責任。そんな日々の業務に忙殺される中、日本の本社からシステム化を含めた現場改善を求められた時、どうなるのか。そこに大きな課題があるように思います。
難しさ02
東南アジアに拠点を持つ多くの企業の日本本社では、多くの場合、システムを担当する部署が存在します。現地でのシステム化がなかなか進まないなか、おそらく本社のシステム部門に協力の依頼が来ることでしょう。しかし、すべてのシステム部メンバーが積極的に協力してくれるわけではありません。
それは、決して業務怠慢や好き嫌いからくるものではありません。純粋に「不安」から来るものだと思います。日本国内であれば、目の届くところにシステムがあり、困ったことがあれば現場に赴き、直接コミュニケーションをとって解決することができます。
しかし、遠く離れた国にシステムがあり、現地スタッフと言葉の問題で円滑なコミュニケーションが取れない中、システムを導入・維持管理することに、とてつもない不安を抱えるのです。
日本本社のシステム部門にすべてを負わせるのではなく、システム・業務両面を理解したアドバイザーとして現地の駐在員を支援し、現地のパートナーと連携してプロジェクトを進めることが、スムーズなシステム導入及び現場改善につながります。
難しさ03
東南アジアの各拠点で、個別にシステムを導入する場合、一つ目の課題は、現地のIT企業と日系のIT企業のどちらにするかです。
●現地のIT企業
・価格は安い
・製品及び保守の品質に問題がある
・業務ノウハウがない
●日系のIT企業
・価格は割高
・製品及び保守の品質は良い
・日本側の支援があれば業務ノウハウはある
日本から見ていると、「現地のIT企業に開発してもらった安く済むだろう」と安易に考えがちです。確かに、日系IT企業と比べるとはるかに安い。しかし、現地のIT企業に依頼する際の問題は、「安く開発する」ことはできても、「業務改善につながるシステムを設計する」ことができない点です。
仮に、システムにも業務にも精通したスタッフが、日本での経験を活かして、最適なシステムを設計することが出来るのであれば、それを実現するために現地のIT企業に"開発のみ"を依頼するという選択肢はあると思います。
しかし、IT人材が不足している現状では、それを現地拠点の日本人スタッフで行うことは至難の業。ましてや、日々、経営や現場業務に忙殺されている駐在員が、追加業務で行うとするのであれば尚更です。
難しさ04
以前は、業務システムと言えば、オンプレミス(クラサバ)型(サーバを事務所や倉庫に設置し、システム運用をする方式)が一般的でした。日本で、徐々にクラウドサービスの有用性が認められ導入が進んでいく中でも、インターネット回線などのインフラに対する不安で、なかなか活用は進んでいませんでした。
しかし、ここ数年のスマートフォンの普及で、東南アジア各国での通信インフラは劇的に改善されています。
(タイ・ベトナム・フィリピンなどでは、日本よりもスマートフォン普及率が高い!)
弊社サービス「ロジザードZERO」のユーザも含め、東南アジアにおいてクラウドサービスを活用する企業は確実に増えて来ています。
タイ・ベトナム・フィリピンなど東南アジアにおいて、インフラ環境の改善により、今まで不安視されてきた安定稼働という側面よりも、むしろそのメリットが注目されつつあります。
メリット01
●サーバは日本のデータセンターで厳重に管理されており、利用する現場はインターネット環境やパソコン、プリンタなどを準備するだけでOK。
●自社独自のシステムでは高額な費用が必要なセキュリティ確保やデータバックアップなども、クラウドサービスを活用すれば安価に実現できます。
メリット02
●ロジザードZEROは、日本で1500を超える導入実績を数えるNo.1サービス。様々な規模及び業種・業態でご利用いただけます。
●バーコードを活用したシンプルで柔軟なシステムは業務の標準化に適しており、複雑な業務が困難な現地作業者でも簡単に使うことができます。
メリット03
●インターネット環境さえあれば、在庫情報はもちろん、入荷や出荷の作業状況まで、すべての情報がリアルタイムで共有されます。東南アジア全体に広がるグローバルなサプライチェーンを構築する上で、"現場を把握する"ための重要なツールになります。
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