通販事業 ロジザードZERO

ヒューマンエラーが8割減!個体管理が必須のレンタル事業で在庫管理の標準化、多店舗展開を実現

イオンリテール株式会社
衣料本部 ルルティ事業部
事業部長 小林 様
衣料本部 ルルティ事業部 村井 様

関東・甲信越

イオンリテール株式会社インタビュー動画


今回は、「イオン」「イオンスタイル」など、私たちに身近なスーパーを展開されるイオンリテール株式会社様を訪ね、同社が運営するレンタルドレス事業「LULUTI(ルルティ)」についてお話を伺いました。イオンリテール様では、LULUTI事業の多店舗展開を前提に、「ロジザードZERO」の導入でレンタル品の個体管理業務の標準化に成功。その目的や背景、システム導入後の効果についてお聞きしました。

レンタル事業のプラットフォーマーを視野に、レンタルドレス事業「LULUTI」をスタート

― LULUTI事業について簡単にご紹介ください。

小林様
LULUTIは、ドレス・フォーマルウエアのレンタルサービスです。一部イオン内にあるリアル店舗およびWebサイトを通じて、ドレスやフォーマルウエアを簡単にレンタルすることができます。幅広いアイテムを提供し、店舗での試着や申し込み、受取、返却、宅配便での配送などフレキシブルな対応で、結婚式や成人式、同窓会、子どもの発表会など様々なシーンでご利用いただいています。

https://luluti.jp/

― ロジザードとは、いつ頃どのような接点があったのでしょうか?

小林様
LULUTI事業の立ち上げ準備を進めていた、2017年ころです。イオンが新事業を立ち上げる際は、バックオフィスのシステムも含めて内製化し、10年後にはその領域のプラットフォーマーになることを目指しています。LULUTI事業も同様で、「貸出と返却」があるレンタルシステムのプラットフォーマーとなり得るシステムを構築し、新たなビジネスモデルを作ることを目的にスタートしました。レンタルドレス事業を行うリテール企業はほかにもありますが、看板企業はフロント業務だけを担い、バックオフィス業務は外注するケースがほとんどです。内製化、多店舗展開が前提のシステム構築に、WMSは必須と考えていました。

村井様
ロジザードZEROは、展示会などを通じ、「導入コストを抑えられる優秀なWMS」という認識がありました。ただ、レンタルドレスの場合は個体管理がマストなので、ロジザードZEROは個体管理ができるかどうかを問い合わせたのが始まりです。営業さんに来社いただき、「個体管理の事例は少ないが検討しましょう」と、導入に向けて検討しようとした矢先に、コロナ禍で物事が停滞してしまいました。

ECシステムとアナログ運用で見えた、個体管理(在庫管理)の限界と現実的な課題

― 実際に導入されたのは2023年9月ですが、それまではどのような運用でしたか?ロジザードに改めて相談された理由や導入背景を教えてください。

村井様
当初の運用は、EC用のシステムを利用していました。しかし、個体管理機能はありませんから、その部分はマンパワーで対応するしかありません。2,000点を超えるアイテムを覚えて、目で追って...という力業です。実質アナログですから、複数のリアル店舗とEC(倉庫)の在庫管理、クリーニング工場でのステータスなどが一元管理できません。ヒューマンエラーも多く、多店舗展開となればこのやり方は非現実的でした。

小林様
ただ、私たちとすれば数年間アナログで運用したことで、机上では想定できない様々なケース、アクシデントを、自分たちの目で発見、確認することができました。イオンの看板を背負っている以上、本来ミスは許されません。事業を多店舗化するにあたり、運用上欠かすことのできないチェックポイントが明確になりました。バックオフィスの課題を洗い出すよい期間だったと思っています。

村井様
運用システムを標準化すること、すべての個体のステータスを一元管理すること、人為的なミスをなくすことが、WMS導入の目的でした。社会が落ち着きを取り戻した2022年に、改めてロジザードに連絡して相談に乗ってもらいました。

ロジックツリーで運用フローと在庫管理業務を整理し、標準機能で対応

― ロジザードからの提案は、課題解決に期待が持てましたか?採用の決め手は何でしょうか?

村井様
LULUTIは、複数の拠点からの貸出、返却、クリーニングも経由する複雑なレンタルスタイルで、対応にはカスタマイズが必須と考えていました。リアル店舗とEC、クリーニング工場における、個別のステータス管理に耐え得るシステムを想定していましたから、連携させる上位システムは、フルスクラッチレベルのカスタマイズを要しました。それが、ロジザードZEROは標準機能で何とかなりそうだと提案いただき、驚きました。標準機能で運用できるならコスト的にも拡張性においてもメリットは大きい。これしかない!と思いました。

小林様
ロジザードZEROは単なるパッケージではなく、現場の膨大なノウハウを吸収して、自らがどんどん機能強化、進化するWMSです。カスタマイズではなく、我々のオペレーションをロジザードZEROに合わせる方が合理的だと、納得しました。

― ロジザードにとっても今までにない新しいビジネス領域での挑戦です。実際の現場での運用も見学しながら、要件定義を行いました。

小林様
担当SEの方が、当社で作成した膨大なマニュアルを読み込み、現場で実際のオペレーションを見て、ロジックツリーを作ってくれました。これが素晴らしかった!マンパワーによりなんとなく流れていた複雑なオペレーションを、「ここで分岐」、「次はこの指示」と整理して、我々のビジネスをロジカルに可視化してくれたのです。店舗では試着も受注も行うため、会計処理も複雑になりがちですが、ブラックボックスになりそうな運用も可視化され、フロントの接客オペレーションも含めて、OMOのビジネスモデルをスッキリと整理できました。圧倒的なプラットフォームを作るという我々の目標に、「一歩近づいた!」と思いました。


RFIDタグとロット管理機能で個体管理(在庫管理)を実現

― リアル店舗とECが連動するドレスレンタルの仕組みと、個体管理の方法を教えてください。

村井様
ドレスレンタルの基本的な流れは、「貸出(店舗・EC倉庫)⇒返却(店舗・EC倉庫)⇒クリーニング工場⇒貸出のための棚入れ(店舗・EC倉庫)」というサイクルです。商品はイオン内の店舗かEC倉庫、そしてクリーニング工場の3拠点いずれかにあり、個体別にステータスを管理するために一つ一つのアイテムにRFIDタグを取り付けています。RFIDタグは、2種類使用しています。クリーニングするドレス、ブラウス、ジャケット等には耐洗(たいせん)RFIDタグを、アクセサリーや靴などクリーニングしないものにはラベルシールタイプのRFIDタグを付けています。

― レンタルの貸出・返却では、「ロジザードZERO」の機能をどのように運用していますか?

村井様
店舗・EC倉庫では、注文時に該当商品のRFIDタグをスキャンして出荷し、返却時はRFIDスキャンで返却処理、そこからドレス類はクリーニング工場に送られ、戻ってきた商品のRFIDスキャンおよび検品して棚入れ(レンタルスタンバイ)という流れです。個体別のステータス管理は、ロジザードZEROの「ロット管理機能」で、個体番号を持たせることで対応しています。個体管理をするため、各商品の在庫数が1か0かで管理されるのが大きな特徴です。入・出荷管理はもちろん、その後の返却→クリーニング出荷→クリーニング返却まで、どの個体番号で行われたかという情報を、ロジザードZEROと連携する上位システム(80&Companyの「EC SubSCRM」)で管理、コントロールします。戻ってきたドレスの出荷指示は、同じ商品ばかりが出荷されないよう、回転率が均等になるようにEC SubSCRM側で振り分けて、ロジザードZERO側に指示を出しています。


在庫管理にまつわる1,000以上の課題を3社分業で克服!

― 「EC SubSCRM」との連携で苦労したことはありましたか?

小林様
当社も80&Companyもロジザードも、3社とも初めての取り組みですから、最初は課題を整理するだけでも一苦労。洗い出したら1,000以上の課題が出てきて、気が遠くなりそうでした(笑)。引き当て処理や在庫管理の部分はロジザード、フロントの部分は80&Company、オペレーションの調整はイオンリテールの3社がそれぞれの分野を受け持ち、分業で頑張りました。優先順位をつけて一つ一つ解決するのですが、毎週のミーティングのたびにクリティカルな課題が生まれて、非常にチャレンジングな進行でした。

村井様
連携部分は、EC SubSCRM側をロジザードZEROのAPIにあわせて作りました。大きなバグはなかったはずですが、運用を始めると、複数拠点の在庫データの連携で、EC SubSCRM上ではあるはずの在庫がロジザードZEROではないというケースが発生しました。レンタル出荷前のデータを事前に確認するフローを組み込むなどして対処し、今はうまく連携されています。


ヒューマンエラーが8割減!在庫管理業務の標準化で多店舗化の成功を確信

― ロジザードZEROの導入効果についてお聞かせください。課題は解決できましたか?

小林様
アナログ運用で問題だった、発送間違いなどのヒューマンエラーが1/5まで減少しました。そして、個体管理の実現で、目視による確認や拠点の在庫・ステータスの確認作業が大幅に削減され、一連の作業に要する時間が10%短縮されました。特筆すべき効果は、仕組みを標準化できたことです。今は、大学生アルバイトやパートの方、新人の方でも手順をすぐに習得できて即戦力として動けます。最近オープンした2店舗は、最初からロジザードのシステムでスタートしましたが、フロントもバックオフィスもミスはゼロ。プロトタイプとして合格です。多店舗化の成功を確信しました。


Z世代が望むライフスタイルに合わせた市場を攻略

― 今後の展望について、改めてお聞かせください。

小林様
今後は、全国で300以上を数えるイオンの店舗で、リアル店舗の出店を加速していきます。2024年10月現在、店舗とEC倉庫で12拠点、1カ月に1拠点のペースで増やしているところです。店舗の拡充は、確実に利便性の向上につながります。例えば、家の近くのイオンA店で試着、気に入ったのでその場で借りてパーティー会場まで。パーティー終了後は、会場近隣にあるイオンB店で返却して帰宅する、といった自由度の高いレンタルライフも体験していただけます。 アパレル物販の市場は、現在約9兆円規模といわれています。一方シェアリングエコノミー事業の市場は、今後14~15兆円まで拡大するという予測もあります。この市場の中心となるのは、まさにZ世代。当社は彼らのライフスタイルを先取りし、戦略的にインフラを整備しています。このレンタルプラットフォームに今後何をのせていくか?イオンが扱う製品なら何でものせられます。今はアパレルですが、次のステップとして、美容に関する商品やベビー用品なども検討中です。


「理想に一歩近づいた!」圧倒的なプラットフォーマーを目指し、協業体制を強化

― 最後にロジザードへひとことお願いいたします。

村井様
尽力いただき、本当に感謝しています。今は、RFIDを個体管理業務の正確性の担保として利用していますが、省力化の面でも活用していきたいので、これからもご指導ください。機能強化も、期待しています!

小林様
私もロジザードには感謝しかありません。ロジックツリーで業務の流れが可視化され、運用システムを標準化できたことで、圧倒的なプラットフォームを作るという当社の目標に一歩近づけました。LULUTIの成功はポテンシャルがあると、社内的にも認識され、ロジザードとの協業を含むこの成果を、イオングループが取り組むDX例として発信していきます。次のステージに向けて、サブスクも商品のバリエーションも検討中で、ビジネスはどんどん拡大していきます。圧倒的なプラットフォーマーになるという目標に向けてやり抜く所存ですので、ぜひ末永いお付き合いをお願いいたします。

取材日:2024年9月25日


イオンリテール株式会社様 会社概要

もっとも「お客さま第一」に徹する真の総合小売業へ。イオンリテール株式会社は、イオングループの中核企業で、総合スーパー「イオン」「イオンスタイル」など、お客さまの衣食住をサポートする総合スーパーを本州(東北を除く)・四国で展開しています。専門性の高い品揃えとサービスと、地域社会やお客さまの声に耳を傾けた"地域密着型"の店づくりに取り組んでいます。

社名 イオンリテール株式会社
代表 代表取締役社長 井出 武美
本社所在地 〒261-8539 千葉県千葉市美浜区中瀬一丁目5番地1
発足 2008年8月21日発足
事業内容 総合小売業
HP コーポレートサイト https://www.aeonretail.jp/
レンタルドレス LULUTI(ルルティ)https://luluti.jp/