COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/04/24 EC・通販事業者専門用語運輸業・倉庫業(3PL事業者)

OMSとは?WMSとの違いと連携させるメリットについて解説【2024年最新版】

OMSとは?WMSとの違いと連携させるメリットについて解説

EC担当者様は、売上を伸ばそうと販売サイトを増やすほど、受注処理や商品ページ登録、在庫調整に時間をとられて、他の業務に手が回らないといったご経験はないでしょうか?人手による処理では、販売サイトと受注数が増えるにつれて管理が大変になり、売上を上げる業務にだんだんと時間が割けなくなります。そんな時にEC周りの業務をサポートし、売上拡大に貢献してくれるシステムが、OMS(受注管理システム)やWMS(倉庫管理システム)です。本コラムでは、OMSの特長やWMSとの違い、OMSとWMSを連携させて活用するメリットについてご紹介します。是非参考にしてください。

OMSとは?

OMSとは、Order Management Systemの頭文字からとった用語で「受注管理システム」を指します。商品の受注・在庫・商品ページなどを一元管理・処理することができるシステムです。例えば、ECモールやECサイトを構築するカートシステムから受注情報を取り込んで一元管理し、サンクスメール配信まで自動処理が行える点が大きな特長で、「ECサイト一元管理システム」とも呼ばれています。システムによっては、領収書発行機能、分析機能や発注機能が付いたOMSもあります。
小売事業者様は販路拡大のため、自社サイトだけでなく、Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングなど複数のECモールやSNS・TV・ラジオ・カタログ通販など複数チャネルで販売しているケースが増えています。ECをひとつとっても、サイト・モールと種類があるため、少ないうちは人手で十分な対応ができても、販売サイトが増えるにつれて管理工数が膨らみ、複雑化するため人手を増やす必要がでてきます。人を介すだけミスが生じる確率も高まり、クレームの増加やブランドイメージの低下に繋がりかねません。こうした課題をサポートしてくれるのがOMSです。

― OMSの基本機能

  • 受注管理機能
    注文情報の確認や受注内容の変更、キャンセル手続きなどを管理する機能です。複数サイト、複数チャネルで受けた注文情報を自動または手動で取り込んで一元管理することができます。
    メール管理については、一括送信機能があり、受注確認・発送予定・発送連絡などを送信することができます。設定によっては、ステータスが切り替わるタイミングで自動送信ができるようになっており、送り忘れを防止することができます。システムによっては、購入数日後にフォローメールを送信する、ステップメール機能があるOMSもあります。
    また、受注ステータスは出荷管理にも繋がっており、作業に合わせてステータスの追加設定ができるようになっています。
    出荷管理の機能では、納品書の作成や出荷指示、手配、取り消しなどが行えます。
  • 商品ページ管理機能
    商品マスタの登録や編集、削除を行う機能です。一度OMSに登録すれば、紐づいたECサイトにも反映されるため、大幅に工数を削減することができます。例えば、セット商品やまとめ買いの割引登録もできます。
  • 在庫管理機能
    ECサイト上の在庫数を一元管理できる機能です。販売可能な在庫数が自動的に調整されるため、販売機会の損失を防ぐことができます。ECサイトごとに、在庫連携をする/しないの設定や、店舗ごとに割り振る個数を変えることもできます。


OMSを導入するメリットは?

OMSを導入することで、大きく3つのメリットがあります。

  1. 業務効率が改善できる。
    複数サイト、複数モールで商品を販売している場合、OMSを導入していなければ、受注処理や新商品の登録、在庫調整を1サイトずつログインして対応しなければいけません。しかしOMSを導入することでOMSに紐づいた複数サイトの一括処理、一括反映が可能なため業務効率の改善に繋がります。
  2. 人的ミスを防ぐことができる。
    受注処理や在庫管理などの作業は、人が判断する必要があるものと、そうではないものに分かれます。大量の注文を全て人手で処理するのは大変で、ミスをする危険性も高まります。一方、OMSを導入することで人の判断が不要なものは、自動的に処理が進むため、人が判断するべきポイントを絞りこむことができ、ミス防止に繋がります。
  3. コア業務に集中することができる。
    業務効率が改善することで、本来時間をかけるべき、「売上を上げる業務」に集中することができます。

このように、OMSは忙しいEC担当者様をサポートしてくれるシステムです。


WMSとは?

WMS(Warehouse Management System)は、「倉庫管理システム」と呼ばれており、倉庫やバックヤードで行われる入荷、保管、出荷、棚卸などの物流業務を支援することを目的としたシステムです。システムで倉庫内のどこに、何が、何個、どのような状態で保管されているかを管理するため、現物在庫を管理するのに適しています。また在庫を管理するだけでなく、物流現場の業務品質と効率を向上させる機能も付いています。例えばECの出荷でよくあるトラブルのひとつに、誤った物を出荷してしまう、もしくは誤った送り先に出荷してしまう「誤出荷」があります。目視による検品は、こうしたトラブルを引き起こす原因となります。どれだけ注意深く検品を行なっても、ヒューマンエラーをゼロにすることは難しく、正確さを求めればスピードが落ち、スピードを求めれば正確さが失われてしまいます。こうした矛盾を解決しサポートしてくれるのがWMSです。

― WMSの基本機能

  • 入荷管理
    商品を入荷する際に、ハンディターミナルやスマートフォンなどのデバイス(以下、ハンディターミナル)を用いてバーコード・QRなどの識別コード(以下、バーコード)検品を行なうことで誤入荷を防ぐことができます。また、販売在庫として計上するか不良在庫として計上するかなどの品質区分の選択や、返品商品に対する入荷処理も管理することができます。
  • 出荷管理
    出荷時も入荷時と同様、ハンディターミナルを用いて検品することで、誤出荷を防ぐことができます。また効率的にピッキングを行なえるように、引き当ての段階で、任意の条件をもとにバッチ処理を行なうことで、トータルピッキングリストや種まきリストを出力することができたり、一筆書きでピッキングができるよう調整されたピッキングリストを出力したりすることができます。
  • 保管(ロケーション管理)
    ロケーション管理はWMSに備わっている機能の中でも、重要な機能の一つです。大きくはフリーロケーションと固定ロケーションに分かれており、システムによって採用しているロケーション方式が異なります。とりわけ通販案件を扱っている場合は、季節や時期によって売れ筋商品が変化したり、大小さまざまな商品を扱ったりするため、保管効率を最大限高めることができるフリーロケーションの方が適しているといわれています。

ロケーション管理については、こちらのコラムがおすすめです。

物流倉庫における、ロケーション管理の種類と特徴
https://www.logizard-zero.com/columns/warehouse02.html

棚の在庫管理を上手く行いたい!具体的な対策方法とは?
https://www.logizard-zero.com/columns/warehouse03.html

  • 棚卸管理
    年に数回、棚卸を実施する企業様が多いと思います。WMSで棚卸を実施する場合、ハンディターミナルを用いて商品を読み取っていくだけで棚卸を完了させることができます。また、基本的に棚卸中は出荷業務を止める必要がありますが、システムによっては、出荷業務を止めずに、特定のブロックやロケーションに絞って部分的に棚卸ができるWMSもあります。

WMSを導入するメリットは?

WMSを導入することで、大きく3つのメリットがあります。

  1. 高い物流品質を維持しつつ、業務効率の改善ができる。
    ハンディターミナルとバーコードを用いた検品により、目視よりも正確かつ素早く処理できるため、品質とスピードの両方を高い状態に保つことができます。またロケーションを考慮したピッキングリストを出力することができるため、ピッキングにかかる歩行距離を最小限に抑えることができ、効率的にピッキングすることができます。
  2. リアルタイムに在庫状況を確認できる。
    クラウド型のWMSの場合、インターネットに接続できれば、場所を問わずに最新の在庫情報を確認することができます。また、倉庫内でも無線のハンディターミナルを活用することで、作業実績をリアルタイムにWMSに反映させることができます。これによりEC担当者様は、倉庫内の在庫状況について、物流担当者に尋ねる必要がなくなります。物流担当者も確認のために業務を止める必要がなくなるため、互いの生産性を落とすことがありません。※オンプレ型のWMSをご利用の場合は、この限りではありません。
  3. 他システムとの連携により可能性が広がる。
    WMSは、倉庫内の在庫を管理するだけではなく、さまざまな周辺システムと繋がることで可能性を広げることができます。例えば、OMSやERPと連携することで、売上・販売管理や受注管理、会計管理をすることができ、スムーズな経営管理が可能となります。また物流ロボットやマテハンと連携することによって、自動化・省人化を実現することができたり、分析ツールと連携することで物流コストと業務生産性の最適化を目指せたりします。

OMSとWMSの違い

OMSとWMSには、どちらも「在庫管理」と呼ばれる機能が付いているため、しばしば混同されることがあります。なぜ、どちらも「在庫管理」が付いているのでしょうか。OMSの在庫管理とWMSの在庫管理の違いについて説明します。

― 管理対象の在庫の違い

在庫データは、理論在庫と実在庫に分けることができます。
理論在庫は、仕入れ伝票や受注情報などの記録をもとにした帳簿上、データ上の在庫のことを指します。一方、実在庫は、商品を数えて、実際に存在していることが確認できている在庫のことを指します。例えば、今日100個の商品が入荷したのであれば、データ上は販売可能在庫が100個増えます。しかし、実在庫を確認してみると破損や汚れにより、100個のうち1個が不良品だったとします。この場合、販売可能在庫として計上されるのは99個であり、理論在庫との間に差異が生じます。

OMSは、複数サイトの在庫情報を一元管理するという役割から、理論在庫を管理対象としています。OMSが担う在庫管理とは、いずれかのサイトで商品が1つ売れたら、OMSに紐づく全てのサイトの在庫数を1つ減算するなど自動的に在庫調整を行なうことを指します。
一方でWMSは、倉庫やバックヤード内の実在庫を管理対象としています。WMSが担う在庫管理とは、上記で説明した通り商品の品質やロケーション管理、誤入荷、誤出荷を防ぐことを指します。システムによっては、販売品でない同梱物を管理することもできます。
機能名は同じく「在庫管理」でも、管理対象としている在庫の種類や管理内容が異なるため、目的にあわせてシステムを選ぶ必要があります。


OMSとWMSを連携させるメリット

OMSとWMSを連携させることで、4つのメリットがあります。

  1. 理論在庫と実在庫に在庫差異が生じない。
    もし理論在庫と実在庫で差異がある場合、在庫切れにも関わらず受注してしまったというトラブルが生じる危険性があります。WMSの実在庫数を正として、OMS側に在庫連携をさせることにより、販売可能数に差異がなくなります。また普段から在庫差異がないことで、棚卸もスムーズに行うことができます。
  2. 業務の効率化に繋がる。
    OMSとWMSを自動連携させることで、受注処理から出荷業務まで正確かつスムーズに進めることができます。人が介在する必要がない注文については、自動で出荷指示までかかるため、EC担当者様の手間をとらせてしまうことがありません。
  3. 本業へ集中することができる。
    受注から出荷指示まで、EC担当者様の手間をとらせることがほとんどなくなるため、本業である売上を上げる業務に集中することができます。今まで使えなかった時間でCRM(Customer Relationship management、顧客関係管理)施策を実施することで、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)の向上や顧客満足度の向上に繋げることが可能です。
  4. 事業が拡大した際にも対応できる。
    ECを始めて間もない頃と事業が成長していく過程では、システムに求める機能や連携させるシステムの種類、扱うデータ量などさまざまな面に変化があるものです。そのためシステムは、ある程度の柔軟性やキャパシティがある方が安心して使い続けることができます。OMS、WMS別々のシステムで管理するメリットは、それぞれの業務に特化しているため、利用する現場に最適化されたつくりになっていることや、BtoB、BtoCどちらにも対応できる柔軟性があること。バージョンアップにより、時代にあわせて機能や連携先のシステムが増えていくことが挙げられます。

OMSとWMSの一体型については、こちらのコラムがおすすめです。

OMSとWMSの一体型メリット・デメリット
https://www.logizard-zero.com/columns/basic09.html


お悩み別、おすすめシステムのご紹介

ここまで、OMSとWMSの違いや連携させるメリットをご紹介してきました。最後によくあるお悩みを例に、どちらのシステムを選択すればよいかをご紹介いたします。

ケース1:誤出荷に悩んでいる。

物流担当者様によくあるお悩みです。出荷量や扱う商品数の増加に伴い発生します。出荷検品の際に目視に頼ると誤出荷に繋がります。この場合、WMSを導入してシステムによる検品に切り替えることで解決することができます。システムというと難しそうに感じるかもしれませんが、基本的な操作を覚えてしまえば、現場の方もすぐに運用に慣れることがほとんどです。

ケース2:EC担当から物流担当までの出荷指示を自動化させたい。

EC担当者様と物流担当者様によくあるお悩みです。EC担当者様は、他の業務が忙しく出荷指示をかける余裕がない時もあるかと思います。しかし、物流現場は出荷指示が来ないと作業を開始することができない上に、指示が遅れる分しわ寄せを被ることになります。お互いにとってデメリットしかないこのような状況を、自動連携に対応しているOMSとWMSの導入、もしくはOMSとWMSが一体型になったシステムを導入することで解決できます。OMSとWMSを自動連携させ、自動処理ができるように受注条件を設定することで、受注が入り次第、自動的に出荷指示を出すことができます。

ケース3:ピッキングに時間がかかる。

物流担当者様によくあるお悩みです。出荷時にOMSから出力できるピッキングリストを利用している場合などに発生します。この場合WMSを導入することで解決することができます。WMSではロケーション管理ができる上に、ロケーションを考慮したピッキングリストを出力することができるため、より効率的にピッキングすることができます。また、WMSを介してDPS(Digital Picking System)や物流ロボットと連携することで、ピッキングにかかる生産性を飛躍的に向上させることも可能です。

ケース4:ECサイト上の在庫数や商品ページの更新に手間がかかる

EC担当者様によくあるお悩みです。扱う商品数や販売しているECサイトが少ない時や商品のアイテム数が少ない時は、人手で十分に対応できるため問題になりませんが、これが増えてくると対応が難しくなります。この場合、OMSを導入することで解決することができます。OMSは複数ECサイトと連携して、受注情報の一元管理だけでなく、商品ページや在庫数の登録・更新も一括で行なうことができます。


まとめ

いかがでしたか。OMSとWMSの特長や違い、連携させるメリットについてご理解いただけたでしょうか。OMSとWMSはECの拡大において欠かせないものになってきているといっても過言ではありません。もしどちらのシステムも導入されていないようであれば、まずはOMSから導入することをおすすめします。商流側のシステムから導入することで、物流側のシステム連携もスムーズに行うことができます。
現在では、さまざまな会社からOMS、WMSが提供されています。また、OMSとWMSが一体型となったシステムも出てきており、システムの選択肢が複雑化してきていると感じています。それぞれにメリット・デメリットがありますので、お悩みにあわせて気になるシステム会社にお問い合わせされてみてはいかがでしょうか。

もし、どのシステムがあっているのか分からない、システム導入について興味はあるけど、誰に相談したら良いか分からない!という方は、『在庫管理ミライ相談所』へお問い合わせください。

在庫管理ミライ相談所
https://www.logizard-zero.com/matching/advice.html
在庫管理ミライ相談所』は、業界No.1のクラウドWMS『ロジザードZERO』を提供するロジザード株式会社が運営する無料相談窓口です。お客様が抱えているお悩みをお伺いし、適したシステムのご紹介やシステム連携図を見える化した在庫管理ミライ図の作成などを無料で提供しています。

『ロジザードZERO』のお問い合わせはこちら
https://www.logizard-zero.com/contact/

OMS・WMSに関するおすすめコンテンツ