COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
小売店の店長や担当者にとって悩みの種なのが、商品を過不足なく店頭に並べること、つまり「在庫管理」ではないでしょうか。顧客の必要なタイミングで、不足のないように商品を提供する――。商店の基本的な行動であるとはいえ難しいのが、こうした在庫管理の適正化です。ここでは、小売業に焦点を当てた在庫管理システムの活用法と、売上をアップさせるためのポイントについて、解説します。
小売業において在庫管理は、店舗の在庫を適切な数量に調整することが最大の使命です。倉庫などに予備として保管する商品在庫数のカウントをはじめ、発注から入荷、検品といった全工程を管理するとともに、店頭の状況に応じて柔軟かつ迅速に対応しなければなりません。
こうした在庫管理の業務を進める上で、避けなければならないのが、必要以上に多くの在庫を抱えること、つまり「過剰在庫」です。過剰在庫は、在庫管理を適切に行うことで削減ができます。
そして、過剰在庫の削減は、コストの削減に直結します。適正な在庫量を保つことで、過剰在庫の廃棄コストや管理にかかる人件費・光熱費を削減できるからです。こうしたコストを減らすことにより、店舗における「お金の流れ」、つまりキャッシュフローの改善効果も期待できるのです。
それでは、在庫が足りない場合はどうでしょう。来店客に必要な数の商品を提供することができなくなります。その結果、本来であれば売上高として計上できたはずの収入を失うことになってしまいます。
こうした「販売機会のロス」は、小売業にとっては非常に大きな痛手となります。一度購入機会を逸してしまった来店客が、同じ店舗を再訪する可能性は、あまり高くないと考えられるからです。一度失った「信用」を取り戻すのは、非常に困難を強いられるのです。
反対に、いつも品ぞろえが豊富で、社会のトレンドにもあった店舗づくりがなされていると、リピート率が安定し、顧客の評価も高まります。店舗の持続的な運営には、適正な在庫は不可欠なのです。
小売業では、複数の店舗を展開してより広範囲なエリアの顧客を獲得するため、全国規模の大手チェーンから、地域密着型の店舗網を展開する事業者まで、様々な形態が存在します。
こうした複数店舗を展開する事業者の場合は、単一店舗とは異なる在庫管理が必要です。店舗によって、顧客の層や売れ筋商品に違いがあることが多いため、各店舗に最も相応しい形で在庫を管理していく必要があるのです。
近年は、こうした顧客の購入様式や履歴を、数値データで確認できるシステムもあります。在庫管理は顧客動向を反映したものである、との発想から、在庫を丁寧にチェックしていく取り組みが求められているのです。
小売業の在庫管理について考えるにあたって、複数の店舗間で発生しがちな課題が、在庫データの不一致です。データ上ではA店にあるはずの在庫がない、B店にはないと思っていた在庫があった、など、各店舗の在庫データに不一致が発生すると、確認の業務に時間を取られてしまいます。相互に連携が取れていない場合は言うまでもなく、そうでなくても在庫管理業務の効率を下げる要因となるのは間違いありません。
在庫管理は、丁寧かつ効率的な運用が求められます。迅速に対応するためには、正確なデータ管理が不可欠です。これらの課題を解決するためには、在庫管理システムの導入が重要です。
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小売業における在庫管理について、様々な課題をここまで説明してきました。それでは、こうした課題を解決に導く方法はあるのでしょうか。ここからは、在庫管理をシステムで最適化する取り組みについて、紹介します。
ここで、いわゆる「在庫管理システム」の概要について触れておきます。在庫管理システムの定義は、「在庫情報や棚卸しなど、在庫管理にかかるデータを管理するシステム」です。
入出荷データや在庫数などの在庫情報をデータで一元管理することで、在庫の余剰・不足や人為的ミスを防ぐ効果が期待できます。それにより、作業効率化やコスト削減を実現できます。まさに、小売業が抱えるさまざまな課題を解決し、業務の効率化や正確性の向上に大きく寄与するシステムである、と言えるでしょう。
小売業は、これまでにない業態の変化に直面しています。消費者の購買スタイルが、店舗からネットショッピングへとシフトする中で、在庫管理の実態も変化してきています。EC(電子商取引)による購買層の拡大は、小売業界に在庫管理のさらなる細分化・複雑化を迫ることとなり、その影響は既存の店舗にも及んでいます。
こうした状況下で、もはや「熟練担当者による勘と経験」に依存した在庫管理では対応できないところまで来ているのです。そこに少子高齢化による人材不足という局面が加わることで、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務革新は必然と言えるでしょう。
在庫管理システムの導入効果として、まず挙げられるのが、作業の効率化と、それによるコスト削減です。在庫管理は、商品の数や種類を細かくチェックするなどの作業が続く、地道な業務であり、人手も必要とするものです。こうした業務をシステムの力で効率化できれば、人的リソースを大幅に削減することができます。より繁忙な部門への人員再配置など、より最適な店舗運営が可能になります。
在庫管理の最適化は、経営数値にもプラス効果を発揮します。先述のとおり、過不足ない在庫は、商品廃棄などによるコスト増や販売機会の損失による売上減を食い止めることができるためです。キャッシュフローの改善にも寄与するなど、財務面でのインパクトは、決して小さくありません。
特に店舗での商品販売は、適切な在庫状況が整って初めて、安定すると考えられます。市場動向に即して、消費者の嗜好も考慮しながら、きめ細かく在庫調整を図ることで、より充実した売り場を実現できるのです。
上記の項目とも重なりますが、顧客のニーズを反映した商品の提供は、在庫の最適化によって実現できる取り組みです。
購入したい商品が店頭に並んでいる状態を維持するためには、単純にそれを倉庫に積み上げておけばよいかもしれません。ところがもし、こうした商品のブームが思いのほか早く去ってしまったとしたら、どうなるでしょう。過剰在庫となった商品は、もう店頭で日の目を見ることがないまま、廃棄されてしまうのです。
仕入れコストを回収できないまま、廃棄コストまで負担する羽目になってしまう、というわけです。過不足ない在庫管理こそが、店頭で売れ筋商品を生み出すのです。
在庫管理システムの強みは、関係する様々なデータを適時(リアルタイム)に把握できることです。また、他のシステムとの連携による機能強化をすることもできます。例えば、POS(販売時点情報管理)システムやハンディターミナル、スマートホンなどの機器と連携することで、瞬時に場所を選ばず在庫状況を把握することが可能になります。
こうした取り組みにより、商品の過不足や不良在庫、売れ残り商品を早期に発見して、適切な対応を取ることができます。在庫回転率の分析による「売れ筋商品」と「死に筋商品」を明確化することが可能となるほか、ABC分析を活用による、商品の重要度に応じた効率的な在庫管理も実現できるでしょう。
在庫管理システムに蓄積されたデータは、過去の販売データや季節的な需要変動、市場トレンドの分析に使うことができます。高精度で需要を予測できることから、過剰在庫や欠品を防ぎ、効率的な仕入れ計画を実現します。
小売店は一般的に利益率が低いため、過剰在庫によるコスト増加や欠品による機会損失を防ぐことが重要です。先にも述べましたが、過不足ない在庫管理を効率的に進めることが、店舗の持続的な成長につながるのです。
さらに、在庫管理の正確性を高めるには、実在庫(実際の在庫数)と理論在庫(システム上の在庫数)を一致させておく必要があります。実在庫と理論在庫が一致しないのは、記録ミスや返品処理の遅れ、試供品の未記録などが要因です。他システムとの連携も含めて、データ精度の向上と業務効率化を実現することで、過剰在庫や欠品を防ぐことができるのです。
在庫管理システムには、棚卸し業務を効率化する機能を備えたものもあります。在庫データの確認や更新を迅速かつ正確に進められるため、従来の手作業による棚卸と比べて、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、入力ミスやデータ不整合のリスクを軽減することができます。
さらに、ハンディターミナルやスマートホンとの併用により、商品バーコードをスキャンするだけで在庫数を自動的にシステムに反映することができます。作業者による手動入力の負担を軽減するほか、棚卸作業中のリアルタイムでの在庫情報の更新も可能になるほか、店舗や倉庫の在庫状況を即座に把握することもできます。
複数の店舗における在庫管理の適正化は、小売業にとって悩ましい課題であることは、先述のとおりです。在庫管理システムを活用すれば、それを改善する効果も期待できます。
複数の店舗や倉庫における様々なデータを、在庫管理システムで一元的に管理できるのがポイントです。在庫データの不整合などの事態を防げるとともに、正確でスピーディーにデータを分析して様々な行動に反映することができます。
適正在庫を保つことは、商品を顧客に購入してもらえる比率を高めることにつながります。過剰在庫による廃棄などのロスを防げるからです。こうした商品ロスの機会を減らせるのも、在庫管理システムの機能なのです。
収益に対するインパクトの高さはもちろんですが、在庫管理システムの活用によるデータ分析の最適化は、収益体質の改善をはじめとする事業者の経営基盤の強化を促すだけでなく、様々な社会課題への対応にも効果を創出できる取り組みなのです。
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在庫回転率とは?最適化するメリットを解説:
https://www.logizard-zero.com/columns/basic33.htmlABC分析とは?在庫管理を効率化!物流・小売業のための戦略をご紹介:
https://www.logizard-zero.com/columns/basic29.html
ここでは、在庫管理システムの導入による効果を発揮した事例を紹介します。
西日本を中心に約30店舗を展開する、ある小売チェーン。課題は、店舗間における収益力の差でした。店舗間で売れ筋商品に違いがあるにもかかわらず、それを認識できなかったのです。
この小売りチェーンは長年にわたって、エクセルを活用して、過去の実績を踏まえた在庫調整を進めてきました。従来の在庫管理の問題点を抽出し、在庫管理システムを導入したことで、長年の悩みであった店舗間の収益格差を是正し、店舗網拡大にもつながりました。
小売業界は、ECサイトとの連携による事業拡大を進める企業が増えています。ECが国民生活にすっかり定着し、今後も加速することが予想される現状で、小売業は商品の在庫の最適化をどうやって実現するか。それが喫緊の課題になっています。
九州地方のある小売事業者は、ECを活用した商品展開を模索していました。しかし、課題は即時の商品供給力でした。既存の人手に頼った方法は一定の成果を出してはいたものの、ECサイトとの連携を図るとなれば、まさに分刻みの在庫管理が必要になるわけです。
在庫管理システムを導入によって実現した、ECサイトを経由した販売は、まさにシステムを活用した在庫管理の「見える化」の成果であると実感しています。
導入事例
店舗の在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」
導入事例はこちら: https://www.logizard-zero.com/cases/store/
小売業の持続的な成長に欠かせない、在庫管理の最適化を実現する在庫管理システム。様々な企業がそれぞれの強みを生かした機能を持つシステムを展開している中で、自社に適したサービスを選択するポイントは何でしょうか。ここでは、4つのポイントを紹介します。
まずは、「自社業務への適合性の高さ」です。同じ小売業界でも、扱う商材などにより在庫の考え方は様々です。適正在庫の定義も、事業者や店舗ごとに差があるでしょう。そこで、自社の倉庫現場に適したシステムを選ぶ必要があります。
システム会社の担当者に店舗や倉庫などの現場に足を運んでもらいながら、必要な設備の有無を含めて、活用イメージを浮かべられるように理解を深める必要があるでしょう。
いくら高機能なシステムを導入したとしても、それを現場のスタッフが使いこなせないようであれば意味がありません。各種情報の登録方法をはじめ、必要なスキルや操作性の特徴などを、しっかりと検証しておく必要があります。
直感的に操作できる仕様にこだわったシステムから、高度な知識をある程度要するものまで、様々な仕様のサービスが存在します。現場のITリテラシーも考慮しながら、ぜひ「使える」システムを選択しましょう。
小売業の特徴として挙げられるのが、複数店舗の展開です。そこで必要となるのが、複数店舗でのシステムの利用や、カスタマイズ性、他のシステムとの連携性能の高さです。
小売業は、日々多くの商品を販売し、在庫の管理も非常にきめ細かくなっています。取り扱うデータもめまぐるしく変動し、リアルタイムで把握し分析しながら、商品展開を小刻みに変えていくことも求められます。
在庫管理システムの運用にあたっては、その機能性もこうした状況変化に対応していく必要があります。高頻度でカスタマイズが求められるとともに、新たな展開に対応した様々なシステムとの連携も欠かせません。
在庫管理システムの導入の際に、確認しておく必要があるのは、サポート体制です。システムが正常に作動しなくなった場合や、カスタマイズや拡張が必要になった際の相談など、様々な局面で、短時間で対応してもらえる担当者との関係性を強めておくと、現場でのシステムトラブルの防止や、より最適な活用を促すヒントを得ることができます。
こうしたサポート体制が充実している事業者のシステムを導入することで、急なトラブルがあっても業務の手を止めることなく運用することができます。現場スタッフも安心してシステムを扱うことができます。
このコラムでは、小売業における在庫管理の最適化を図る意義と、その手段としてのシステム導入効果について、解説してきました。
小売業にとって、商品の在庫状況を可視化して最適な形にする取り組みは、商品販売戦略そのものであり、収益の改善・拡大に欠かせない要素です。売上増とコスト削減を両立するために、在庫管理の最適化はまさに避けて通れない施策であり、激変し続ける業界環境への対応力を高める観点からも重要な視点であることを、改めて認識する機会になればと感じます。