COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

インターネットを利用した電子商取引(EC)が広く普及し、店舗から宅配へと購買行動がシフトする中で、それに対応した物流システムの構築が進んでいます。その代表例が、倉庫における自動化の進展です。入荷した商品をロボットが仕分けして、コンベアで検品や梱包など次の工程を経て出荷していく一連の流れは、人手を介さない倉庫の「自動化」を象徴する光景といえるでしょう。
しかし、現場では新たな課題も浮上しています。先進機器の導入による業務効率化が思うように進まず、頭を悩ませている倉庫事業者も少なくありません。ここでは、自動化が目指すべき姿を明らかにするとともに、その実現に向けた課題の解決策を考えます。
2020年以降の新型コロナウイルス禍による「外出自粛」の風潮は、物流システムのあり方を大きく変えました。小売店など店頭で販売されてきた商品は宅配へとシフトし、この購買シフトによる影響を顕著に受けたのが、サプライチェーンの中でも輸送と倉庫の機能です。
倉庫では、取り扱う商品の量だけでなく種類も急増したことで、混乱に陥りました。荷姿の多様化に加えて、細かな温度や湿度の管理を要する商品が増えることで、倉庫の設備や動線の変更、スタッフの勤務体系・配置の見直しなどさまざまな取り組みを進めることになりました。
少子高齢化が進み、職業観の多様化も加速する中で、こうした現場業務の繁忙を補う人材の確保は、決して容易ではありません。作業量が増える一方でスタッフの確保は一向に進まない、こうした状況を打開する方策として着目されるようになったのが、作業の自動化による業務効率化です。
倉庫事業者にとって、デジタルを活用した現場業務の効率化は、こうした課題を解決する現実的な手段でした。人手を特に要しているアナログの作業を、先進デジタル機器やシステムで代替することで、より少ない人員でも現場業務を滞りなく進められるように改善する必要があったためです。
こうした動きをきっかけに、物流システムの抜本的な見直しを図る機運が、官民で急速に広がり始めます。それが現場業務の自動化という発想の出発点となりました。
こうした自動化は、物流デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に向けた手段の一つとして認識されています。物流DXは、単なる業務のデジタル化ではなく、「物流に関わる業務工程、組織体制、ビジネスモデルそのものを変革すること」と定義されます。
人手不足の解消や業務効率化を図りながら、サービス品質の向上や顧客満足度の向上につなげる取り組みであり、さらにサプライチェーン全体の最適化を通じて競争力の強化を実現するものです。
物流DXの中で、倉庫機能の最適化に特化した取り組みを、倉庫DXと呼びます。デジタル化が既存業務の効率化を主眼とした取り組みであるのに対して、DXは収集したデータを活用した在庫管理や入出荷など、業務全体の革新を実現する取り組みです。倉庫DXの実現を支える手段の一つが、自動化です。

ここまで、倉庫業務の自動化をめぐる動きについて、DXの観点も含めて説明してきました。それでは、倉庫を運営する事業者は、こうした自動化をどのように計画して進めてきたのでしょうか。ここからは、その過程をたどりながら、現在の倉庫現場における自動化の課題を浮き彫りにします。
倉庫現場を自動化する場合に、担当者が最初に取り組む事柄とは何でしょうか。まずは、現場業務における課題を明らかにするのではないでしょうか。具体的にどの箇所でどんな問題が起きているか、その解決にはどんな要素が必要か、といった具合です。
倉庫現場では、課題の抽出を在庫管理業務やピッキング作業、検品といった各機能ごとに進めていくスタイルが一般的でした。なぜなら、倉庫機能は複数の工程が組み合わさって成り立っており、それぞれ分担して作業が進められているからです。入荷した商品は、こうした工程を経て出荷されていきます。
そのため、各工程で個別の課題が生まれることになり、それぞれに適した解決策が講じられるわけです。その結果として、倉庫内でもそれぞれの工程で個別に先進機器やシステムが導入されるようになっていきました。いわゆる「部分最適」の発想です。
倉庫機能の自動化は、それぞれの業務をロボットやシステムによって効率化し、人手に頼らず安定した作業を実現する取り組みとして認識され、導入が広がりました。自動化を図る目的として次の3つが挙げられます。
まずは「作業の効率化」です。入庫から保管、ピッキング、出荷などの作業を自動化することで、作業のスピードと精度を向上させる狙いです。続いて、人手不足による労働力の低下を解消し、作業者の負担を軽減する「省人化」です。最後に、ピッキングミスや在庫差異を減少させることによる「業務品質の向上」です。
こうした倉庫の自動化は、コンピュータ制御による荷物の入庫や保管、出庫を自動的に行うシステムの導入や、商品のピッキング作業を担うロボット、商品を自動で搬送するシステムなどが主力で、倉庫内のそれぞれの担当スペースで活用されるようになりました。
ここで注目すべきなのは、倉庫の自動化を進める初期段階では、こうした部分最適化に一定の効果が期待できる、という点です。こうした部分最適化のメリットをまとめてみましょう。
まずは、部分最適では対象を小さく絞るため、課題を特定しやすいというメリットがあります。改善案のアイデア出しもしやすく、検討にかかるリソースを抑えることができます。さらに、複雑性の低いケースが多いため、原因分析や改善策の立案を進めやすい点も利点です。
次に、改善活動にスピーディーに取り組めることです。部分最適では対象が限定されるため、課題は比較的シンプルで解決しやすく、改善案も明確になりやすい傾向があります。さらに、関係者が少ないことで意思決定プロセスも簡素化され、結果として迅速かつ効率的に改善活動を進めやすい点も特徴です。
最後に、個人や部門のモチベーション向上につながる点も見逃せません。部分最適は局所的な改善活動になるため、現場の担当者が直接関わりやすくなります。短期間で成果が出やすく、目標達成が評価と直結しやすいため、モチベーションの向上が期待できます。自分たちの役割や責任を意識しながら、小さな成功体験を積み上げていくことができる点もメリットです。
部分最適による自動化は、倉庫内の業務をスムーズに動かす方策の成功例とされていた時期もありました。自動化の動きが出始めたころは、課題のある部分に特化した解決策を講じることで、商品の流れ全体の改善が期待できると考えられていたからです。
最初から倉庫のすべてを自動化しようとすると、コストもリスクも高くなります。まずは、最も効果が出やすい「部分的な自動化」から検討するのが現実的である、との認識が強かったのです。
ロボットやマテリアルハンドリング(マテハン)などを開発する事業者も、こうした先進機器の導入を促すにあたり、ピッキングや検品など具体的な工程が抱える特有の課題や改善イメージを強く訴求することで、ビジネスチャンスの獲得につなげようとする戦略を掲げていました。各社はそれぞれ強みの技術やノウハウを持ち、それを反映した製品やサービスを展開することで、顧客の満足度の向上と自社の収益拡大の両立を図っています。

しかし、部分最適による自動化は、想定していたほどのプラス効果を発揮できないことが、次第に明らかになってきました。コロナ禍による物流システムの変革も経験した産業界は、サプライチェーン全体の強靭化と持続可能な機能の確保に向けた取り組みが、官民一体となって本格化しています。
こうした中で生まれた発想が、生産から輸送、保管、配達までを一体的に最適化する「全体最適化」です。その手段として構築が進む物流DX(倉庫DX)は、自動化を含めたデジタルによる物流システム全体の最適化を目指す取り組みです。
部分最適化の弱点は、個別の課題に対する対応力は高い一方で、非効率になるリスクがあることです。小さな範囲に焦点をあてるため、長期的視点を欠いて結果的に他の部分に悪影響を与えてしまう可能性があります。ここではその主な課題を3つの観点から整理していきます。
まずは、長期的視点が欠けやすいことです。部分最適では、小さな範囲の特定の工程、業務内容、個人などに注目します。よって、長期的視点が欠けやすく、一時的な問題解決にしかならない可能性があります。全体最適を目指すには、継続性を考慮しながら、長期的視点に立って考える必要があるからです。
また、他の工程に悪影響を与える可能性にも留意しなければなりません。部分最適では、限定した範囲の課題や問題解決に注力するため、他の工程の状況を十分に考慮せずに自動化を進めてしまうことがあります。その結果、ある工程で改善が進んでも、別の工程に負荷がかかるといった問題が生じる可能性があります。例えば、特定の生産ラインを自動化した結果、生産ラインの流れが変化し、次の工程の作業者の待ち時間が増えてしまうケースが挙げられます。
部分最適は、全体最適の手段の一つであるといえます。しかし、それ自体が目的化されてしまうと、本来の目標から逸脱してしまい、結果として全体の効率性や生産性が低下してしまうリスクがあります。これが3つ目の課題です。
ここまで、倉庫における自動化を含む業務の「部分最適化」の課題について説明してきました。ここからは、全体最適化を前提とした自動化の進め方について考えます。
物流システムの全体最適化を実現するためには、その構成要素である倉庫も同様に工程全体が最適化されている必要があります。自動化の観点でみると、特定の工程にロボットやシステムを導入する「投資」として考えるのではなく、倉庫全体の最適化に向けた「仕組み」を構築するための手段としてとらえることが重要です。
「倉庫が全体的に最適化されている」とは、どのような状態を指すのでしょうか。まず、倉庫全体の工程を俯瞰(ふかん)し、統合的に指揮する司令塔となるシステムが存在することが挙げられます。そのもとで、各工程のロボットやシステムが「実働部隊」として連動し、稼働している状態こそ、全体最適化を支える仕組みといえます。
とはいえ、全体最適化は、システムだけの整備では不十分です。こうしたシステムを骨格とするならば、それを支える要素が必要になります。それが、商品などの情報を集積した「データ」です。
倉庫の全体最適化とは、こうした商品データを全体システムで統合し、それに基づいてロボットなど各工程の機器やシステムが連動する状態を指します。
倉庫業務の自動化には、「見える化(在庫・作業の可視化)」「標準化(作業の平準化・属人化の排除)」「機械化(ロボット・自動倉庫)」の3つの要素があります。これらを統合的に管理するシステムとして、倉庫管理システム(WMS)が注目されています。
WMSといえば、倉庫を管理するシステムとして認識されることが一般的です。しかし、倉庫の自動化という観点で捉えると、その本質は「自動化を『機能』させる頭脳・司令塔」とも言えます。
WMSが、こうした自動化を促す司令塔として有効である理由は、連携機能に強みを持つ点にあります。倉庫全体の機器やシステムを統括するためには、これらと連携をスムーズに進められることが必要だからです。
WMSは物流倉庫業界に広く普及し、現在では基盤システムとして定着しています。それに伴い、さまざまな機能を備えた製品の開発に、ITシステム企業をはじめ多様な事業者が参入しています。こうした群雄割拠の市場の中でも、圧倒的な存在感を示しているのが、ロジザード株式会社のクラウドWMS「ロジザードZERO」です。
ロジザードZEROは、倉庫の自動化を促す機能を搭載しているのが特徴です。システム連携が豊富であることに加えて、リアルタイムでの在庫管理による倉庫全体の把握がしやすいことも強みです。
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本コラムでは、サプライチェーンの最適化を促す観点から、倉庫DXを前提とした自動化のあり方について考えました。物流が社内に不可欠なインフラとして認識される中で、倉庫機能の最適化はその根幹をなす重要な課題です。それを実現するためには、倉庫内のすべての機能を全体最適の形で統合制御する仕組みの整備が欠かせず、その有効な手段として、自動化という概念を捉えることが必要です。
倉庫機能を統合するWMSなどのシステムと、それに連携するロボットなど自動化機器の整備は、持続的な物流機能の強化を促す重要な取り組みです。導入や見直しの際の参考にしてみてください。