COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

物流DXは単なる設備投資やシステム導入だけでは進みません。重要なのは「連携」、工数やコスト、導入期間が大きくかわります。WMSとWES、それぞれの強みを掛け合わせることで、現場の自動化はDXへと進化します。本コラムでは、倉庫自動化システム(WES)「MMLogiStation」を提供する株式会社YE DIGITAL(以下、YEデジタル)社に監修いただき、クラウドWMS「ロジザードZERO」との連携が、なぜ次世代倉庫のスタンダードとなり得るのかを解説します。
近年、物流業界では立体型ソーターや仕分けロボット、フォーク付AMRといった最新機器が続々と増え、導入検討企業も増加傾向にあります。しかし「新しいマテハンを入れたからDXが進んだ」とは必ずしも言えません。なぜなら、個々の仕組みがバラバラに動いているだけでは、倉庫全体の効率は頭打ちになるからです。
物流現場に本当に必要なのは、システム間をつなぎ、全体を最適化する力です。WMSが担う「在庫・入出庫管理」と、WESが担う「人・機械のオペレーション制御」。この二つを組み合わせてこそ、倉庫全体が滑らかに機能する"スマート倉庫"が実現します。言い換えれば、DXの本質は「点の改善=個別最適」ではなく「線と面でつなぐことで実現する全体最適」にあります。

WMSは在庫の正確な位置や在庫数の把握、入出荷・棚卸といった業務計画をサポートします。一方のWESは、その業務を指示という形で現場を動かす、人と機械を最適に動かす実行系業務を得意とします。両者が分断されたままでは、計画と実行に齟齬が生じ、かえって現場の混乱を招きかねません。
しかし両者が連携すれば、WMSの在庫情報を基にWESがリアルタイムで最適な作業指示を出し、現場の状況が変化すればそのデータをWMSにフィードバックできます。結果として、
といった多方面の成果につながります。
つまり、WMSとWESの連携は「システム効率化」だけでなく、「現場の人と設備を活かす仕組み」として機能するのです。
さらに、複数のマテハン機器を現場で同時に動かす際には、WMSとロボットを直接つなぐだけでは限界があります。工数やコストの問題に加え、WMS自体は複数の機器へ細かい順序立てた指示を出す設計にはなっていません。ここでWESがハブとして機能することで、WMSは「出荷計画」という大枠を提示し、複数のロボットや自動化機器へのきめ細かなタスクの割り振りはWESが担います。
たとえば「出荷業務」と一言で言っても、実際にはWMSがバッチ処理でトータルピッキングを指示し、その後は仕分けロボットでの振り分け、さらに自動梱包機による梱包へと工程が連なります。ひとつの作業が終わったら次の機器へ、さらにその次へ......と、前後の業務を踏まえてシームレスに指示を出さなければなりません。これは複数のマテハンを横断的に制御する必要があるため、WMS単独では難しく、WESが不可欠となる理由です。
つまり、WMSとWESはどちらも欠かせない存在であり、両者の連携こそが「計画と実行の橋渡し」と「複数機器をまたいだ全体最適」を同時に実現する鍵となります。
全体最適を目指す際、クラウドWMS「ロジザードZERO」と、WES「MMLogiStation」を組み合わせることで得られるメリットは非常に大きく、具体的には次の3点に集約できます。
これらは単なる"機能改善"にとどまらず、現場のオペレーションを継続的にアップデートし続けられる「進化可能なDX基盤」を意味しています。

物流DXの最終ゴールは「人を減らすこと」ではなく「人が働きやすい現場をつくること」、「人が最適な業務でより能力を発揮すること」です。たとえば、これまでメーカーごとに異なる画面を行き来していたピッキング作業が一つの画面に集約されれば、作業者は迷うことなく業務を進められます。業務の生産性を図る際にも、CSVデータをエクセルで加工するといった業務をシステムに任せることができます。こうした小さな改善が、日々のストレスを大幅に軽減します。
さらに、自動フォークリフトが夜間の棚補充を担えば、スタッフは翌朝すぐに効率的な作業を開始できます。夜間労働の負担が減ることで人材定着にもつながり、現場に安心感が生まれます。結果的に、「人が辞めない職場」「人が集まる職場」へと進化するのです。
つまり、自動化と人材確保は相反するものではなく、連携によって共存・強化し合えるものだといえます。
WMSとWESの連携は、単なる効率化にとどまらず、物流業界全体を持続可能な形に変革していく"次世代倉庫モデル"です。特に「ロジザードZERO × MMLogiStation」の組み合わせは、導入のしやすさと拡張性の両立という点で、現場にとって現実的かつ未来志向の選択肢となります。
段階的な自動化を進めるには、現場の課題感を正しく整理し、その課題に合ったステップを踏むことが欠かせません。ロジザードはクラウドWMSの知見とYEデジタルと社の連携実績をもとに、お客様と一緒に課題を見つけ、最適な解決策を描く伴走者として寄り添います。まずは現場の悩みを共有し、一歩目をどう踏み出すかを一緒に考えてみませんか。

スマー トロジスティクスを推進する技術部長かつ事業拡大のマーケティングを牽引する。EC需要拡大の一方で、人手不足に悩む物流業界の課題解決のために、スピーディーに倉庫自動化を実現する倉庫自動化システム「MMLogiStation」を企画し、製品化。物流業界で培ったノウハウを活かし、各マテハンメーカーの自動化設備との連携も進め、さらなる機能向上に努めている。