COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

JANコードのない商材や単位のバラツキ、アレルギー対応品の厳格な管理、そして常温・冷蔵・冷凍の3温度帯運用...。食品卸・学校給食業界の物流現場は、その特殊性ゆえに「人の目」と「手作業」に依存せざるを得ない側面があります。深刻化する人手不足と、高まる「食の安全」への社会的な要求に対応するには、アナログ運用は限界にきていますが、物流DXという言葉は理解できるものの「具体的な一歩が踏み出せない」という事業者は少なくありません。
そんな業界で今、四国の総合食品卸である株式会社池田商店様の取り組みが注目を集めています。同社は2023年9月にWMSを初めて導入し、2026年2月には自動仕分けロボットによる省人化を実現。物流品質を飛躍的に向上させました。本コラムでは、池田商店様の歩みをモデルケースに、食品卸業界の物流DXを成功させるための「正しいステップ」を解説します。

株式会社池田商店
執行役員 経営企画室 室長
新居浜物流センター長
鈴木遼 様

株式会社東芝
セキュリティ・自動化システム事業部 物流・郵便ソリューション営業部
営業第二担当 販売主任
薄木秀行 様

東芝自動機器システムサービス株式会社
第三事業部 物流・郵便システム営業部
エキスパート
北林寛和 様

ロジザード株式会社
営業部 中濱一志
池田商店・鈴木様(以下、鈴木様)
かつての現場は、すべてが紙ベースのアナログ運用でした。小規模なうちは手作業でも回っていましたが、拠点新設による事業拡大に伴い、人海戦術での運用は限界に達しました。特に課題だったのは、業務の属人化とヒューマンエラーのリスクです。当社は常温・冷蔵・冷凍の3温度帯の倉庫を保有していますが、それぞれで運用ルールが異なり、ベテランの経験に頼らざるを得ない状況でした。「目視確認」による管理は、いくら注意を払ってもミスをゼロにすることは難しく、常に誤出荷の不安がつきまとっていました。
鈴木様
その通りです。学校給食や病院向けの食材は、アレルギー対応品のように「パッケージは似ているが中身が異なる」商品が多々あります。これを目視で判別し続けるのは、効率が悪いだけでなく、担当者にとって非常に重い責務となり、その心理的負担は相当なものでした。
また、賞味期限管理も目視チェックではどうしても漏れが生じ、期限切れによる廃棄ロスが相当数発生していました。コスト面でも品質管理の面でも、「このままでは立ち行かなくなる」という強い危機感がありました。
鈴木様
目の前の課題を解決するために、まずWMSが必要でした。「人の目」に頼らず誰もが同じ精度で作業できる環境、そして「紙」から脱却したデータ管理が必要でした。そこでまずは物流の土台を作るべく、WMS(ロジザードZERO)を導入しました。実は、この時点ではまだマテハンによる自動化までは具体的に想定していませんでした。

※写真:2024年8月
鈴木様
WMSを使うには、商品マスタの整備が必須です。頭で理解はしていましたが、実際に取り組んでみるとこれが大変な作業でした。当社が扱う食材は出荷単位がバラバラで、そのほとんどにバーコードがありません。4万件近い膨大な商品に対し、一つひとつルールを決めてマスタ化し、ハンディターミナルで管理できるよう、アナログだったオペレーションを一新しました。現場からの反発はありましたが、「これは自分たちの仕事を楽にするためのツールなんだ」と納得してもらえるまで、粘り強く勉強会を重ねました。その結果、次第に現場が主導権を持って業務改善に取り組むポジティブな組織へと変わっていきました。これは大きなメリットと感じています。
鈴木様
システムによる管理が定着し、月誤出荷は最大で7割も激減しました。また、課題だった賞味期限管理の精度も劇的に向上し、廃棄ロスは以前に比べて約8割も減少するなど、現場の改善効果は数字にもはっきりと表れています。作業効率も大きく向上し、一人あたりの作業時間や必要な人員を、導入前の約半分にまで削減することができました。
鈴木様
事業の拡大に伴い拠点を新設したことから、仕分け先が3割も増加しました。1拠点あたり6~7コース、現在は6拠点から配送していますが、物流センターではコースが増えるほどコース別ピッキング作業や商品確認の回数が増えます。ここに人員を割く必要がありますが、これをカバーする人員の確保が非常に困難でした。加えて、近隣に大手通販事業者の物流センターの進出が決定し、将来的な「人の奪い合い」と賃金高騰が懸念されています。「今の人員でどうやって事業を継続するか。省人化を進めるか、それとも自社物流を諦めるか」。その瀬戸際に立たされ、自動仕分け機(マテハン)の導入検討を本格的にスタートしたのです。
ロジザード・中濱(以下、中濱)
2024年の夏に池田商店様の最初の事例記事(https://www.logizard-zero.com/cases/ikeda-shoten.html)を公開した後も、鈴木様からは継続的に効率化の相談を受けていて、自動化もその中の一つでした。私自身も情報を集めていたタイミングで、偶然にも東芝の薄木様がその記事を読んでくださり、「オムニソーター(立体型仕分けロボット)* 」がお役に立てるのでは?」と、お声がけをいただきました。
東芝・薄木様(以下、薄木様)
私自身、かつてユーザーとしてロジザードZEROを利用していた経験があり、その良さや特徴を知っていました。事例記事を読み、池田商店様がWMSで業務を可視化し、効率化に向けて現場の土台を整えられたこと、現場を巻き込んで成果を出されていることを知り、感銘を受けました。業務が整理されている現場こそ、我々のツールでさらなる貢献ができると確信し、中濱さんを通じてすぐに鈴木様へご提案に伺いました。

* 立体型仕分けロボット「オムニソーター」(製造元:HC ROBOTICS / 提供:ブリッジタウン・エンジニアリング / 販売パートナー:株式会社東芝)
鈴木様
中濱さんに相談して2週間後には、東芝さんが来社されました(笑)。実は自動化については、マテハンメーカーを含め7社ほどに相談していました。その中でも、東芝さんからの提案は納得感と信頼感が特に高く、安心してお任せできると感じました。そもそも、当社の物流DXのきっかけはロジザードZEROの導入です。そこから数年で様々な業務のシステム化を進めていて、「受注から配送直前まで」の自動化が見えてきたタイミングでした。そこに、東芝さんから現場の実情に即した提案をいただき、「求めていた最後のピースにピッタリはまる!」と確信しました。当社を熟知しているロジザードさんからの紹介だったことも、大きな安心材料でした。
中濱
そこからとんとん拍子というか、2026年2月に稼働まで、これまでにないスピード感で導入が進みましたね。
薄木様
それは、池田商店様が「物流DXの正しい順番」を踏襲していたからです。最初から自動化ありきで壮大な設計図を描くと、多くの場合、現場は挫折します。まずはアナログ運用をデジタルに移行し、作業手順を「標準化」すること。つまりWMSで業務を整理・可視化し、そのうえで自動化すべきポイントを見極めることが重要です。
自動化の成否は、機械の性能以上に「運用設計」と「現場の納得感」に左右されます。池田商店様のようにデータが整っていれば、我々も「どの工程に何秒かかっているか」を精緻に分析し、最適な設計をご提案できます。土台があったからこそのスピード導入であり、このステップはアナログ現場がDXに踏み出すための最善策です。
中濱
同感です。データが不十分なままマテハンを入れても、その性能を100%引き出すことはできません。それから、池田商店様は勉強会を重ねることで、現場の皆さんが主体的に業務改善に取り組まれています。まさに現場が主役でDXを進めている理想的なケースです。

鈴木様
最大のメリットは、3温度帯の全データを、受注から出荷完了まで「一つのデータ」で完結できるようになったことです。データを一気通貫で活用できるため、入力や二重チェックに人手を割く必要がなくなりました。コース別ピッキングが自動化されたため、コース増による負荷を増員なしで吸収できています。また、目視判断など商品を手に取って「考える時間」が排除され、作業がシンプルになりました。ほぼすべての工程がシステムで管理・指示されるため、スタッフは「データを信じて流すだけ」です。脱・属人化が進み、経験の浅い新人スタッフでも、誰もが同じ効率と品質で仕事ができます。
鈴木様
凍えながら6時間近くかかっていた作業時間の1/3が削減され、スタッフの疲労度は明らかに軽減されました。以前は無口だったスタッフが、今ではよくしゃべるようになりました(笑)。ヒューマンエラーの排除と働きやすさの向上を同時に実現し、現場に笑顔が増えたことがとてもうれしいです。
薄木様
ロジザードZEROとオムニソーターの連携で、在庫情報と実績データが一元化されました。これにより運用が最適化されるのはもちろん、蓄積されたデータは経営指標としても活用可能です。現場の「今」を数字で把握できることは、次なる成長への大きな武器になるはずです。

鈴木様
前回の事例記事を公開して以来、食品メーカーや同業他社、物流会社など100社を超える方々が見学にいらっしゃっており、業界内での反響の大きさを感じています。四国において、中小規模の卸売業者がWMSとマテハンを連携させ、ここまで自動化を進めた例はまだ珍しいのかもしれません。大手の物流会社ならいざ知らず、我々のような規模の企業が取り組んだからこそ、「やりたいけれど、あと一歩が踏み出せない」と感じていた多くの中小企業に響いたのかもしれません。
中濱
食品卸の世界ではまだまだ人海戦術に頼る企業が多い中、中小企業でもここまでできるんだという実例が、業界の「希望」になっていると感じます。
鈴木様
見学に来られた方からは、導入コストやスケジュール、実際の効果など様々なご質問をいただきますが、私は包み隠さず正直にお答えしています。
薄木様
鈴木様がノウハウをオープンにされているのは、業界全体を良くしたいという思いからですよね。
鈴木様
はい。業界全体が消耗する戦いは終わりにして、もっとクリエイティブな仕事ができる仲間が増えてほしいんです。バーコード管理が徹底され、女性スタッフが活躍する当社の倉庫を見て、「自分たちも一歩踏み出そう」と思ってもらえたらうれしいですね。実際に、見学後に「まずはWMSから始めてみるよ」と動き出した会社さんもあります。業界の仲間が、できるところから一歩を踏み出すきっかけになればという思いで、今も私が直接アテンドして積極的に見学を受け入れています。

鈴木様
今後はロボットならではの特性を活かし、オムニソーターの「夜間活用」を検討しています。夜間の空き時間を活用することで、これまでにない新しい業態へのチャレンジも視野に入れています。物流DXを単なる効率化で終わらせず、事業拡大のさらなる起爆剤にしていきたいです。
東芝・北林様
24時間稼働を視野に入れていらっしゃるとのこと。私たちもそれに応えるべく、24時間365日の保守体制で、池田商店様の物流をしっかりサポートしてまいります。
薄木様
自動化はゴールではありません。運用を通じて見えてくる新たな課題や、池田商店様が次に仕掛ける挑戦に対し、我々も常に最適なソリューションを提案できるパートナーとして、柔軟に伴走し続けます。
中濱
弊社も、すでに入荷作業のさらなる効率化についてご相談をいただいています。WMSの技術により磨きをかけ、物流の土台から池田商店様の進化を支え続けていきます。

池田商店様の取り組みから紐解くと、食品卸・学校給食業界における物流DX成功のポイントは、以下の3点に集約されます。
いきなりマテハンなどの高額投資に踏み切るのではなく、まずはWMSで業務と在庫管理をデジタル化し、現場を整えることが先決です。標準化・可視化を行うことで、自社の「ムリ・ムダ・属人化」がどこに潜んでいるのか、次に取り組むべき真の課題が明確になります。
自動化は、整った土台の上に載せる"次の一手"として検討します。WMSで整理されたオペレーションの上に、オムニソーターのような現場に馴染みやすい設備を導入することで、投資効果を最大化し、現場の混乱を最小限に抑えたステップアップが可能となります。
自社が今、物流DXのどの段階にいるのかを正確に把握し、導入後の保守・運用までを安心して任せられるパートナーを選ぶことが、失敗しないDXへの最短ルート。現場を理解し、将来のビジョンを共有できる伴走者の存在が、成功の鍵を握ります。
本コラムが、特に食品卸・学校給食業界で物流現場の課題に悩む皆さまにとって、新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。池田商店様のように「アナログ運用からの脱却」を目指す方、あるいは「深刻な人手不足」への対策をお探しの方は、まずはロジザードにお気軽にご相談ください。
池田商店様ではクラウドWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO」をご利用いただいています。
導入事例はこちらをご覧ください。
①WMS導入編(2024年8月取材)
クラウドWMS「ロジザードZERO」で食品倉庫のDXを実現!作業時間と人数が約1/2に
https://www.logizard-zero.com/cases/ikeda-shoten.html②WMS×自動仕分け機「オムニソーター」導入編(2026年4月取材)
食品卸の物流DXが加速!ロジザードZERO×オムニソーターで冷凍倉庫の作業時間を1/3削減
https://www.logizard-zero.com/cases/ikeda-shoten-02.html
取材日:2026年4月2日

| 商号 | 株式会社 池田商店様 |
|---|---|
| 本社所在地 | 〒766-0003 香川県仲多度郡琴平町五条488-2番地 |
| 代表 | 代表取締役社長 池田孝二 |
| 創業 | 1957(昭和32)年12月 ※1964(昭和39)年4月会社創立 |
| 事業内容 | 総合食品卸売業 |
| HP | https://i-show.jp/ |