COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

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最終更新日:2024/01/17 システム物流ロボット運輸業・倉庫業(3PL事業者)

物流の変化とマテハン機器の変化~自動倉庫と物流ロボットの役割~

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物流業務を担う事業者において、特に大型の設備投資といえば、「自動倉庫」と「物流ロボット」の2つが挙げられます。このコラムをご覧の方にも、どちらがより便利なのかまずは調べ始めた、という方も多いのではないでしょうか。
自動倉庫と物流ロボットは、単純にどちらが優れているというものではなく、それぞれの特徴や機能を発揮できる環境が異なります。
今回のコラムでは、自動倉庫と物流ロボットがどのような場面で活用されてきたのか、それぞれの特徴や導入のメリットについて、これまでの物流業界の変化とあわせて解説します。

倉庫内業務の効率化に注目される「物流ロボット」とは?【無料ダウンロード】

自動倉庫も物流ロボットも、マテハンの1種

マテハンとは「マテリアル・ハンドリング」の略で、モノの保管・運搬などの物流業務を効率化するために用いられる荷役機器のことを指します。実際の物流現場では、業務の省人化や省力化につながるものを指して「マテハン機器」と呼んでおり、運搬用、仕分用、保管用、情報整理用など、さまざまな用途の機器が活用されています。

マテハン機器というと、フォークリフトやソーター、パレットやネステナーなど、倉庫内に配置する設備や機器を連想するかもしれませんが、「機械によるモノの移動の効率化」という役割においては、自動倉庫も物流ロボットも、どちらもマテハン機器の中の一種であると言えます。

物流の変化と活用される機器・運用の変遷

オートメーション化と一括大量生産、自動倉庫の台頭

日本では1970年代半ばから1980年代にかけて工場内での自動化が進行し、工場内の生産ラインでは高度な自動化の仕組みができあがっていました。
この時代に特徴的だったのが、製造されるモノの種類が限られていること、一度に作られるモノの量が大量であったこと(少品種多ロット)、BtoB物流が主流であったことです。
そのため、物流倉庫内では一品大量の商品をパレット単位でハンドリングできる仕組みが必要とされ、商品の移動にも工場での自動化の技術が活かされることとなり、自動倉庫の導入へと至りました。

自動倉庫とは

自動倉庫とは、品物の収納や取り出しを自動化した倉庫のことを指します。AS/RS、ASRS(Automated storage and retrieval systemの略)、無人倉庫とも呼ばれています。
コンピューターや機械を組み合わせ、メカトロニクス技術を駆使し、従来の倉庫内で人が行っていた作業を自動化しています。パレット単位での製品保管に適しているパレット型自動倉庫、不定形の製品や小物などをバケット内に保管できるバケット型自動倉庫などさまざまな種類の自動倉庫が存在します。

自動倉庫を活用する最大のメリットは作業効率の向上です。決められた業務においては人間の1,000倍の作業効率を発揮するといわれており、少品種の商材を大量に扱う倉庫内ではその機能を最大限発揮することが可能です。
そのほか、棚の設置に関して人の手が届く高さを考える必要がなく、多層・立体的な棚を構築できるため、空間効率が高くなる点、倉庫内が無人となるため冷凍・冷蔵商品を扱う倉庫内作業から人手を開放でき作業の安全性を高めることができる点も、自動倉庫の強みと言えるでしょう。

自動倉庫を目的として建屋そのものを建設する建築一体型(ビル式ラック)のほか、既設の倉庫内に自動倉庫の機能を持った設備を導入するタイプもありますが、いずれもスペース・金額ともに大きな設備投資となります。一定の取扱量を超えなければ損益分岐点に到達しないため、小規模の会社では導入が難しい設備でもあります。

多品種小ロット化、人手に頼る時代

その後物流のトレンドは、消費者のニーズが多様化したこと、通販などの個配が進んだことにより、一括大量物流から高頻度小口物流へと形態が変化しました。
高頻度小口物流の倉庫現場では、多くの種類のアイテムの中から特定の商材をピッキングし消費者個々に向けた梱包を行う...といった、細やかな作業が必要となります。

自動倉庫がこのような業務に転用できるかといえばそうではなく、少品種多ロット・BtoB物流の現場で使用することを前提に設計された機能を再設計や拡張、変更することは困難でした。
また、高頻度小口物流に対応できる細やかな倉庫内作業を行うためには、その場その場で状況を判断し商品や移動先を選別できる人間が作業を行ったほうが、効率の良くなるケースがほとんどでした。結果、倉庫内の作業の大部分を人間が行い、特定の場所から場所への運搬といった単純作業については、ソーターなどをはじめとしたマテハン機器を使用するといった体制がとられるようになりました。

人手不足の深刻化と物流ロボットの登場

その後もEC事業に新規参入する企業は右肩上がりで増加し、物流倉庫ではいっそう個配への対応が求められることになりました。昨今では、新型コロナウイルスの影響によりEC化の波はさらに加速し、個配に関連する業務量が従来の2倍・3倍に膨れ上がっている、という倉庫もあるほどです。

また、人手による細やかな判断によって支えられてきたEC物流ですが、物量の伸びの裏では人手不足問題の深刻化が進んでいました。
日本の人口に占める生産年齢人口は1990年以降下がり続けており、各産業に従事できる人の数は減る一方です。特に物流倉庫内の業務は、物流センターの立地や業務内容から人手の集めにくい業務と言われています。時給をいくら上げても他の業種に人がとられてしまうということが続けば、各社の物流事業の継続そのものが困難になることも大いに考えられます。

このような状況の中、人手不足問題解決の鍵として注目されたのが物流ロボットです。 ロボティクス技術・AI技術の向上に伴いさまざまな業界においてロボットの活用が進む中、物流倉庫内においても同様にロボットの導入が始まりました。

物流ロボットとは

物流倉庫内において数あるオートメーション化の中で、「ピッキング」「仕分け」など人力で行われていた業務のうち、単純作業の役割を担うのが物流ロボットです。なかでも、倉庫内で目的の商品を「探す」、探すために「歩く」といった作業を代替するロボットは、特に実用化が進んでいます。

「歩く」作業を代替している物流ロボットでは、棚搬送(GTP)AGVAMR(棚流動型ロボット/以下、棚搬送(GTP)型ロボット)と呼ばれる、荷物や商品が格納された棚を運びピッキング作業者の元に届けるロボットや、自律協働型AMR(以下、自律協働型ロボット)と呼ばれるレーザーや画像認識などにより周囲の物や人物を検知、目的の場所まで自律移動し、物を搬送するロボットの活用が進んでいます。

物流ロボットについては、こちらのコラムがおすすめです。

大幅な省力化を実現!物流ロボットの種類と特徴的な機能は?
https://www.logizard-zero.com/columns/robotics01.html

EC物流の需要増と物流ロボット導入のメリット

省人化・作業効率アップ

物流ロボットを導入する大きなメリットの1つが、複雑なEC物流が行われる現場においても省人化・作業効率の向上ができる点です。

物流ロボットは、決められた業務では人の3倍から4倍働くと言われています。
この数字だけを自動倉庫と比較すると、見劣りするかもしれません。しかし物流ロボットの強みは、人間による複雑な判断が必要なEC物流の現場において「ものを運ぶ・移動させる」という場面のみ切り離して自動化することが可能な点です。

棚搬送(GTP)型ロボットを例にとって、実際の流れを見てみましょう。
棚搬送(GTP)型ロボットは、商品を保管するエリアと作業員が商品のピッキング・棚入れを行うエリアを区別しています。例えば商品の出荷・ピッキングが必要な場面においては、システムの制御によって商品保管エリアからピッキングしたい商品が格納されている棚をロボットが持ち上げ、作業員の待機しているエリア(ワーキングステーション)まで運びます。作業員は棚の中を目視確認し、取り出す必要のある商材を棚から手で取り出します。検品が完了するとロボットがもう一度棚を持ち上げ、元に置かれていた場所に戻します。

このような運用を行うことで、作業員は広い倉庫内を歩き回ることなく、人間の判断が必要な「見る・取り出す」ことに集中できます。結果、人力のみの場合と比較して、省人化を図りながら効率的にピッキングの作業を進めることができるのです。

また、人間は1日に8時間以上働くことはできませんが、ロボットであれば夜間を通して稼働させることが可能です。人手だけではこなせない作業量を吸収できるだけではなく、複数の荷主様から物流委託を受けている3PL事業者においては、複数の案件でロボットをシェアすることでより作業効率を高めることが可能です。

スペース活用の面でもメリットがあります。棚を置かれているエリアには作業員の出入りはなく、ロボットだけが通過できるように保管効率よく配置されています。

最近では、搭載されている分析機能によって、頻繁に動く商品が保管されている棚は作業員に近いところに配置をしなおすといった、より作業効率を向上させる機能をもった棚搬送(GTP)型ロボットも使用されはじめています。

導入後の拡張性、柔軟性の高さ

導入した機器・設備を長く活用するには、その後の環境変化に柔軟に対応できる仕組みであることが重要です。
物流ロボットは、一度導入し環境構築した後も、保管エリアの広さや場所、棚の数、ロボット数やシステム上の設定を変更することが可能です。そのため、作業量の増加や倉庫移転など将来の変化にも柔軟に対応することができるのです。
特に、倉庫事業者・3PL事業者においては、荷主の追加や解約などに柔軟に対応できる点は、大きなメリットだと言えるでしょう。

低い投資リスク

投資リスクが低いことも物流ロボットの魅力です。
自動倉庫の場合、建物を建設するという特性上、投資回収が長期にわたる割には物流の変化に対応できず、倉庫を持つ事業者にとって大きな負担となることもあります。
その点物流ロボットは、前述のとおり環境変化に応じて長く利用できる仕組みのため、投資回収後も長期間活用することができ、メリットを長期間享受することができるのです。
昨今は、ロボットをレンタルできるサービスも続々と登場していて、より導入しやすい環境になっていると言えるでしょう。

マテハン機器との連携でさらに広がる自動化の可能性

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棚搬送(GTP)型ロボットを利用した倉庫内自動化の例

このようにEC物流が増加傾向・人手不足が課題である現代においてさまざまなメリットのある物流ロボットですが、今時点の技術ではすべての自動化をロボットひとつで叶えることは困難です。
また、今後の物流の変化に柔軟に対応できるようにするためにも、物流ロボットとその他マテハン機器を組み合わせることで自動化を進めるとよいでしょう。
例えば、商品棚入れやピッキングを物流ロボットが行い、検品や梱包ラインまではコンベアで搬送、自動梱包機で梱包を行い、仕分けシステムで配送先の仕分けを自動で行い出荷、といった流れが考えられます。このように、ロボットや各種設備が作業を行い、それぞれの作業工程をコンベアがつなぐのが、ロボティクスを活用した現場の最終構築のイメージです。

物流ロボット、マテハン機器と連携するならロジザードZERO

物流センターにロボットやマテハン機器を導入して自動化・省力化を成功させるためには、どのようなWMS(倉庫管理システム)を導入するか、ということが重要になります。
そこでご紹介するのが、物流ロボットとの連携実績のあるクラウドWMS「ロジザードZERO」です。2018年より、棚搬送(GTP)型ロボットを活用したプロジェクトをいち早く手掛け、2020年6月には、これまでの国内外での導入ノウハウを活かして棚搬送(GTP)AGVAMRとの標準連携基盤を構築、同年7月にはすでに株式会社ギークプラスが提供する「EVE」と標準連携しています。また、20213月には、自律協働型AMRとの標準連携基盤を構築、同年4月にはラピュタロボティクスが提供する「ラピュタPA-AMR」と標準連携が実現しました。すでにWMSと物流ロボットが連携していることで、導入時に一から運用フローを考える必要がなくなり、導入期間の短縮やコスト削減につながります。
物流ロボットの導入を少しでも検討している、物流倉庫のオペレーション改善をめざしている方は、パッケージ型のクラウドWMS「ロジザードZERO」の導入もセットで検討してみてはいかがでしょうか。

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