COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2025/01/06 DXEC・通販事業者メーカー・製造業物流業務の効率化

物流の司令塔!物流統括管理者とは?

物流の司令塔!物流統括管理者とは?

物流統括管理者とは、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(流通業務総合効率化法の改正)によって、特定荷主に選任が義務化された役職です。「物流改善の責任者」となる、役員クラスの担当者に任命するもので、2025年5月までに施行されます。荷主企業における物流機能の「司令塔」としての役割を明確化することにより、業務の効率化を促すのが目的です。ここでは、物流統括管理者に求められる任務とその狙いや、荷主企業が行うべき物流効率化に向けた取り組みについて考えます。

物流統括管理者、それは物流の"監督"!

物流統括管理者ってどんな人?

物流統括管理者とは、2024年5月に公布された改正法で、トラックで運ばれる国内貨物輸送量(重量ベース)の半数程度を占める物量に関わる大規模事業者である「特定荷主」に対して、2026年以降に選任を義務付ける役職です。

改正法は、物流統括責任者の選任にあたって、「特定連鎖化事業者(荷主や元請事業者など、輸送ビジネスにおいて指示命令を出す立場の事業者)が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者をもって充てなければならない」と定めています。つまり、荷主企業の物流部門で"監督"に相当する幹部社員を選定する、と捉えられます。

改正法は物流統括管理者の選任対象者について「管理的地位にある者」と明記していることから、物流担当の役員か幹部社員を想定しているようです。また、物流統括管理者は、政府に氏名と役職を届け出る必要があります。

特に求められる役割とは?

物流統括管理者は、物流を効率化するための中長期計画を作成し、政府に提出します。荷主企業において、物流業務の効率化を推進する責任者としての役割を担うわけです。特に期待される役割は、ドライバーの荷役時間と待機時間の削減に向けた取り組みです。輸送の現場が抱える最大の課題と言えば、ドライバーの担い手不足だからです。

少子高齢化や職業に対する価値観の多様化などで、若年層を中心としたドライバーの就業希望者が伸び悩んでいます。一方で、トラック運転者の時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることにより発生する「物流の2024年問題」への対応もあり、ドライバーの確保は課題になっています。

政府はこうした観点から、ドライバー不足による「モノを運べなくなる危機」を回避するためには、荷主企業の努力に任せるだけでは難しいと判断しています。今回の物流統括管理者の選定は、荷主企業に対してこうした問題への対応を促すことにより、物流機能の改善を促進する目的があるのです。

環境問題への対応も焦点に

物流における輸送現場が抱える課題は、ドライバー不足だけではありません。物流業界で注目が高まっているのが、環境問題への対応です。

政府は、2050年のカーボンニュートラル実現を宣言しています。経済産業省を中心に関係省庁が連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。産業政策とエネルギー政策の両面から、成長が期待される物流の重要分野での実行計画を示していて、具体的な目標を定めて実現を目指す企業の前向きな挑戦を後押しする政策を掲げているのです。

荷主企業も、こうした政府の動きに対応する必要があります。環境負荷を低減できる車両の導入や、物流拠点における省エネルギー化など、現場での環境対応策は着実に進んでいますが、政府目標の達成は決して容易ではありません。こうした取り組みについても、物流統括管理者は政策を計画し、実行していくことが求められます。

物流統括管理者は、現場が抱える課題の解決を図りながら、持続可能な物流機能を実現するキーパーソンとしての使命が求められているのです。


物流統括管理者の仕事内容を覗いてみよう!

長期的な物流計画の策定

物流統括管理者は、企業のサプライチェーン全体を管理する観点から、物流機能の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上を目指す役割と責任があります。

企業の物流機能を強化するためには、倉庫や配送ネットワークの設計、輸送手段の最適化、在庫管理戦略など、物流およびサプライチェーン全体を考える必要があります。

その手段として、新しいテクノロジーの導入や業務の自動化、サプライチェーン全体の可視化など、業務プロセスの改善を通じて物流機能を効率化していきます。

IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、さらにはデジタルツイン(リアル空間にある情報を仮想空間で再現する技術)などの先進技術を導入し、リアルタイムでのサプライチェーンの可視化やデータ分析を進めることで、より効率的な運営を実現していく――。それが、物流統括管理者による物流・サプライチェーン最適化の「あるべき姿」と言えるでしょう。

もちろん、業務プロセスのボトルネックを特定して改善することで、リードタイムの短縮やコスト削減をすることも、重要な役目です。輸送費や保管費、在庫コストなどを最適化し、企業の収益を向上させるための施策を推進するとともに、コスト削減とサービスレベルのバランスを取ることが重要です。

重要な任務であるリスク管理とコンプライアンス体制の構築

社会に欠かせないインフラとしての使命を持つ物流。自然災害や地政学リスクなど、様々なリスク要因に対応する戦略を立てることは、持続可能な社会の実現に欠かせない、物流の果たすべき機能です。その実現に向けて、物流の抱えるリスクの抽出とその対応策が不可欠です。

さらには、国際的な規制や法律に従ったグローバルの視点で物流運営を確保するための、コンプライアンス管理も重要な役割になってきます。グリーンロジスティクス*1の導入やカーボンフットプリント*2の削減など、物流プロセスにおける環境負荷の軽減も推進すべきでしょう。サプライチェーン全体でのエネルギー効率向上や廃棄物削減も欠かせません。

*1:グリーンロジスティクス
物流活動において環境負荷を低減させるための取り組み。

*2:カーボンフットプリント
製品やサービスのライフサイクルの過程で排出される温室効果ガス排出量をCO2排出量に換算した数値。

中小の荷主企業も例外ではない

物流統括管理者の選定・活動は、決して大企業に限った取り組みではありません。規模に関わらず、サプライチェーンに携わる事業者であれば、その役割を果たすことが求められます。なぜならモノの供給網は、関連する全ての過程で効率化・最適化されて初めて、全体が円滑に機能するからです。

物流統括管理者は、輸送や倉庫における業務の効率化を推進します。その結果として、顧客満足度の向上や、就業環境の改善による優秀な人材の定着・確保を図ることが可能になり、企業のブランド価値と競争力を高めることができるのです。


物流統括管理者になるには?

物流の知識、リーダーシップ、「使命感」

物流統括管理者には「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」を起用する必要がある、と先述しました。とはいえ、その人物には、物流に対する深い知識に加えて、業務の改善と効率化を進める行動力と推進力が必要なのは、言うまでもないでしょう。

さらに、ここで強調しておきたいのは、「物流が最適に機能して初めて、社会の持続的発展は実現できる」との使命感を持つ人材が、最適であるだとう、ということです。

社会のインフラとしての物流機能をさらに強化するために

国内の産業界には、物流機能を「コストセンター」「必要最低限の投資対象」としての認識にとどまる風潮がありました。必要な機能であることはわかっているものの、それ自体が経営を左右する存在にはならない、というわけです。

ところが、東日本大震災などの大きな災害の復旧・復興に、物流各社が尽力したこともきっかけとなり、こうした輸送や倉庫といった機能が経営戦略の鍵であるとの認識が広がり始めたのです。

EC(電子商取引)の浸透などによる消費スタイルの多様化は、物流業界に新たな変革をもたらしています。社会のインフラとしての機能は、今後も飛躍的に高まっていくでしょうし、社会からの必要性も強まっていくはずです。物流統括管理者の活躍の幅は、これから更に広がっていくことは間違いありません。


物流統括管理者をサポートする強い味方、WMS

物流現場の効率化・最適化を促すシステム

今後の活躍が期待される物流統括管理者。限られた時間や経営資源を活用して、業務をより効率的に進めるためには、知識や行動力に加えて、システムの効果的な活用が欠かせません。

物流機能を支援するシステムは、輸送や倉庫をはじめとする様々な場面での業務効率化を目的とした、多様なサービスが提供されています。その中でも、サプライチェーンの重要な役割を担う倉庫業務の最適化を促すシステムとして、産業界で注目されるのが倉庫管理システム(WMS)です。

WMSを導入する意義

倉庫内の運営をサポートするWMSは、現場における入出荷や、ピッキング、棚卸などの業務のほか、ロケーションやロットなどの管理、納品書の作成など、倉庫で行われる業務を支援する機能が充実しています。業務を効率化したり、倉庫内の在庫情報を一元化したりする機能に加えて、帳票やラベルの発行といった作業も省力化できることから、業務の工数削減や人件費の削減につなげることができます。

こうした機能は、物流統括管理者が主導する業務の効率化に大きく寄与するでしょう。物流戦略を計画するためには、そのベースとなる基礎的な業務を効率的に進める必要があります。さらに、投資効率の向上を図る観点からも、現場業務を効率化する意義は大きいと考えられます。

WMSの導入効果

ここで、物流統括管理者の業務を支援できるクラウドWMSの機能をまとめます。

まずは、入荷予定、出荷予定などの登録がスムーズになります。荷主側と倉庫側がそれぞれの画面からログインできるので、メールや電話でのやり取りの必要がなく、データを登録すればリアルタイムに反映されます。また、荷主側が使っている基幹システムや受注管理システムと自動連携できるWMSであれば、データを登録する手間も省くことができます。

WMSの機能は、在庫管理にも威力を発揮します。在庫商品の置き場所(ロケーション)や数量、消費期限などの情報を一括で管理でき、返品のようなイレギュラーな変動の場合も記録を残して正確な在庫数を把握します。

棚卸の管理も見逃せないポイントです。ハンディターミナルで商品のバーコードをスキャンすることで、作業スピードと正確性が向上します。

倉庫内における商品のピッキングルートの最適化も、重要な機能です。作業時間の短縮とミスの削減につなげることができ、より最適で高精度な出荷体制の構築ができます。

物流統括管理者の業務を支援するクラウドWMS「ロジザードZERO」

物流業界に広く普及しているWMSの中でも、多くの支持を得ているのが、ロジザード株式会社の「ロジザードZERO 」です。あらゆる業種・業態に対応できる幅広い機能を備えており、豊富な機能と最短1か月で導入できることが強みです。

手厚いサポート体制で倉庫現場の課題をスピーディーに解決できるほか、多種多様な商材に適した運用を実現。定期的にバージョンアップすることで、常に最新機能が使えるのも特徴です。

物流統括管理者は、長期的な物流機能の「あるべき姿」を策定するとともに、現場業務の改善策を迅速に実行する必要があります。ロジザードZEROは、こうした物流統括管理者の業務に最適な機能を取り揃えています。倉庫における業務の課題の抽出から改善、そしてさらなる機能強化へ、トータルで支援するシステムとして、高い優位性を実感することができるでしょう。

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まとめ

このコラムでは、改正法が定めた物流統括管理者の役割と在り方、その活動を支援するWMSの効果について解説しました。

物流は、現在そして将来の持続的な社会の発展に欠かせない機能です。さらに、産業界が抱える環境など新たな課題に対して、解決策を立案し実践していく取り組みを推進する必要にも迫られています。

それは、企業の規模を問わず、物流効率化を実現し、競争力を高めるためには欠かせない取り組みであると言えるでしょう。

持続可能な物流を実現するために、物流統括管理者は重要な役割を果たしていくことになります。その実現には、WMSの導入も含めた効率的な業務改善を進める必要があります。持続可能な物流現場を創造する、それが荷主企業で物流を統括する「プロ」に求められる術なのです。