COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2020/11/18 インタビュー・見学

取材:ディヴォートソリューション様 中小企業向け次世代型RPA「アシロボ」について

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RPAとはRobotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、パソコンを使った事務作業のアシスタントロボット(ソフトウェア)です。働き方改革の影響もあり、2017年頃から注目されはじめました。RPAは決まったルーティーン業務を得意とするため、物流現場ではデータのインポート・エクスポートやデータの加工、帳票出力、経理などの業務で多く活用されています。

そこで今回は、RPAのメリットや、物流業界でのRPA活用事例について、中小企業向け次世代型RPA「アシロボ」を提供しているディヴォートソリューション様にお話を伺いました。

RPAとは

――RPAとAIの違いや、RPAの得意な作業について教えてください。

RPAは人間の手の役割を、AIは脳や目の役割を果たします。

RPAとはRobotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、パソコンを使った事務作業のアシスタントロボット(ソフトウェア)です。あらかじめ作業内容を設定しておくことで、パソコンを使った定型業務を自動化することができます。RPAAIと同じものと思われることがありますが、実際は全く別物です。人間のパーツで例えると、AIは脳や目の役割をしますが、RPAは手の役割のため、自分で考えたり判断したりすることはできません。例えば、システムのユーザーインターフェイスが変更になった場合、人間であれば該当するボタンを探して押しますが、RPAはあらかじめ指示された内容と異なる場合にエラーと判断してしまいます。身近なところでは、Excelのマクロとほとんど同じと考えていただくとわかりやすいと思います。
設定した通りに作業を行うため、上司から「いい感じに仕上げておいて」と言われても、「いい感じ」になるように考えて作業することはできません。AIの場合は学習して作業を効率化しますが、RPAは決まった作業を行うという点が、AIRPAの大きな違いです。

決まったルーティーン業務で効果を発揮します。

RPAが得意な作業は定型業務です。例えばネット通販の事業者様では、毎日の受注処理やテンプレートで返せるようなお客様対応の業務で重宝されています。基本的にパソコンを使って人が行う、ルールが決まっている業務はRPAに置き換えができ、あらかじめ指示した内容に対して忠実に作業を行うことを得意とします。対象のシステムがエラーなどを起こしてしまった際は、「こういう場合はこのように処理する」とエラー処理や分岐の処理を作っておくことで対応できるため、しっかり設定して使えば、人が作業を行う場合と同等にも、それ以上にも効果を発揮することができます。Excelの場合も、例えば関数を駆使して計算する人もいれば、Excel を触りながら電卓で計算する人もいます。RPAも同じで、利用者の方がきちんと設定することで、より効果を発揮することができます。

RPAが注目される背景

――RPAが注目されるようになった背景を教えてください。

働き方改革による業務改善の推進がきっかけです。

RPAはそんなに新しい技術ではなく十数年前からある技術です。3年ほど前に政府から働き方改革の方針が発表されたことがきっかけで、注目されるようになりました。長時間労働の削減、時間外勤務の是正、育児/介護休暇、短時間勤務制度などを推進するにあたり、業務を効率化する必要があり、RPAを使って業務改善を行う企業が増加しました。また、ロボットができるルーティーン業務はRPAに任せて、接客や企画の考案などコミュニケーションを取ることが必要な、人にしかできない業務のリソースをより増やすために、RPAを活用する企業も増えてきています。

RPAのメリット

――RPAのメリットを教えてください。

経営者目線のメリットは、経費を削減できる点です。

経営者の視点から見るメリットとしては、やはり投資対効果です。人件費とRPAを使った場合の費用を比較すると、RPAを使った方が圧倒的にコストを削減できます。また、RPAはソフトウェアロボットなので、夜中も早朝も土日祝日も働くことができ、休憩を取る必要もありません。通常人間が働かない時間帯に稼働させることで、作業の進捗を早めることができます。

中でも物流倉庫の人手不足は顕著のため、RPAを多くご活用いただいています。人件費は年々高騰し、最もコストがかかるため、いかにロボットやWMSといったシステムを使って人件費を削減するかを考えられていると思います。

現場目線のメリットは、面倒な単純作業を行わなくて済むようになる点です。

現場の視点から見るメリットとしては、煩わしい定型作業を行う必要がなくなることです。「自分ばっかりこの作業をやっていて大変だったが、RPAが代わりに作業を巻き取ってくれた」と思っていただいている方が多くいらっしゃいます。 中には、「ロボットに仕事を取られてしまう」と思われる方もいらっしゃいますが、そもそも人間はロボットには勝てませんし、開発・設定する人間がいなければ動けないのがロボットです。ロボットに使われるのではなく、ロボットの「飼い主」になると考えていただければと思います。

RPAの導入で気をつけること

――RPAの導入で気をつけることは何ですか?

社内でプロジェクト化することが重要です。

RPAの導入は、スムーズに定着し、運用が進む企業と、知らぬ間に頓挫してしまう企業の2パターンに分かれるように思います。頓挫しないように導入時に気をつける点としては、社内でプロジェクト化していただくことです。中小企業の場合、パソコンが得意な個人がRPA導入の担当者になることが多いのですが、その方は社内のどんな業務が自動化の対象になるのかを俯瞰した視点で把握していないケースがあります。そうなると、その担当者がやっていたちょっとした業務だけが自動化され、経営層からは「自動化ってこれだけしかできないのかな、これだと投資対効果が得られないな」と判断されてしまいます。設定はパソコンが得意な個人が担当し、別途業務効率化を希望する人たちの意見を取りまとめるプロジェクトマネージャーのような仕切り役の人を立てて体制を整えると、スムーズに進めることができます。

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各担当に必要な能力と役割

  • 仕切(プロジェクトマネージャー)
    必要な能力:業務を俯瞰する能力
    役割:チームへ号令を出す
  • 補助(プロジェクトマネージャーと兼任可)
    必要な能力:業務内容を引き出す能力
    役割:業務収集・業務探しを促す
  • 入力
    必要な能力:ループ/分岐の理解能力
    役割:シナリオ入力

※シナリオ:RPAで登録する項目や分岐の処理

①~③を全て一人で行う方もいらっしゃいますが、①と③の必要とされる能力は異なります。例えば、全体を俯瞰できる視野の広い方は①②を担当、パソコン作業が得意な方はを担当するといった、2人名体制で行うのも良いと思います。また、1人で作業をしていると、人によっては心が折れてきてしまうこともありますので、励まし合いながら一緒にチームで動くとうまくいく傾向にあります。

業務のルールと手順を確認しておくことをおすすめします。

業務のルールや手順が増えれば登録するシナリオの種類も増えます。上層部は、「手順はマニュアルがあって決まっている」と思っていても、いざ現場に行ってみると、マニュアル通りではなくオリジナルのやり方で作業を行っているケースもあります。RPAの導入を検討する場合は、一度マニュアルを事前に確認して、業務の見直しをしておくことをおすすめします。

簡単・低額!中小企業向け次世代型RPA「アシロボ」とは

――アシロボについて教えてください。

簡単・低額のため、中小企業でも導入いただけるRPAです。

RPAは、大手企業では10数年前から導入している企業が多くありましたが、高額なソフトウェアのため中小企業にとっては予算的に投資することが難しいものでした。また、こういったテクノロジーはヨーロッパ発祥で、海外のパッケージを日本ローカライズした商品が多いため、高額で難解なRPAが非常に多くあります。純国産でも技術開発の研究所が作ったツールなど、エンジニアでないと使いこなせないようなものも多くありました。

そこで、簡単・低額なRPAを作れないかと考え開発したRPAが「アシロボ」です。高額なシステムを導入することが難しい中小企業でも導入できるという点にこだわって開発したところ、ありがたいことにご好評いただきました。費用は初期費用20万円、月額費用5万円なので、1年に換算すると初年度は80万円、2年目以降は60万円でご利用いただけます。

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大手企業では、高価なRPAとアシロボを使い分けている企業もあります。

中小企業向けに開発したアシロボですが、実は大手企業にも多く採用されています。大手企業では、シナリオの設定等を情報システム部門が行い、実際に自動化の対象業務が発生する部門は現場ということが多くあります。その場合、現場はRPAの開発希望をどんどんシステム部門に依頼して、システム部門はそれに従って作成します。市場環境が変わればKPIも変わり、上司が変わってもKPIが変わるため、現場からの開発依頼は増えますが、変更の頻度が多くなるとシステム部門は「そんなにコロコロ変わって本当にシステム化する必要があるのか?」と思われることが多いようです。すると【情シス】【経営層】【現場】の3軸がいつまでたっても噛み合わない状況が発生します。その解決策として、システム部門が管理者で、現場が自由に設定変更できる簡単・低額なアシロボが多く採用されています。大手企業では、このように現場の人が自分で設定するためのアシロボと、メインで使う高額なRPAを使い分けるなど、複数のRPAを使っているケースがあります。

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1台のパソコンにつき、1ライセンスで使用することができます。

アシロボはインストールして使っていただく、オンプレミス型※のソフトウェアです。機器端末のIDに紐づいて、1台のパソコンにつき1ライセンスが必要となります。そのため、1台のパソコンを複数名で使用する場合は、1ライセンスで複数アカウントを使用することができます。例えば、1台のパソコンを5人で使う場合、1ライセンスで5ユーザーアカウントを使用できる、といったイメージです。実際に複数名で使用されているお客様は、RPA専用パソコンを一台置いて、そこにインストールしているケースが多いようです。費用は1ライセンス月額5万円なので、5ユーザーアカウントでも月額5万円で使用できるため、非常にお得にご利用いただけます。また、権限管理設定もできるので、例えば部長クラスはシナリオの編集ができるが、パートさんは制限をかけたユーザモードで実行ボタンを押すことしかできない、などといった設定もできます。
※オンプレミス型:サーバーやネットワーク機器を自社で購入・設置し、自社で運用するシステム。

下図)1台のパソコン(ライセンス)で複数のユーザーアカウントを使用した場合の例

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BtoC出身の企業であることを活かし、細やかなサポート対応を心がけています。

我々は元々通販会社出身で、BtoCの経験を活かして日々の業務を行っています。例えば、通販で商品を購入する際、購入意欲が最も高まるのは商品をショッピングカートに入れた時点なので、そこからどれだけリードタイムを短く届けられるかを大事にします。サポートの問い合わせ対応も同じで、問い合わせをしたタイミングが一番困っているときなので、そこから時間軸が伸びていくとモチベーションも下がってしまいます。「お問い合わせ後3営業日以内に返信します」と書かれているより、すぐに返信した方が顧客満足度も上がるので、そこをどう早く対応できるかが重要です。せっかくBtoCを経験しているので、システム会社出身の他社さんと上手く差別化していきたいと、事業スタート当初から課題にしています。

物流業界での活用事例

――物流業界でRPAが注目されている背景には、どんなことが挙げられますか?

人手不足や作業の属人化を解消するために注目されています。

物流倉庫では、例えば週に2回しか出勤していないパートさんが受注処理を行う場合、慣れない作業のため手順のマニュアルを見ながら行い、フルタイムで働く人に比べ作業が遅くなることがあります。その結果、Aさんは1時間に300件受注処理ができるのに、 Bさんは100件しかできないといったように、作業が属人的になりがちです。そこで、RPAを使って自動化することで、一定の時間で一定の作業クオリティを発揮することができるようになります。また、慣れない作業はミスの原因にも繋がりますが、RPAに任せることでミスも軽減できます。

――物流業界ではどのような活用事例がありますか?

データの加工やインポート・エクスポート、帳票出力などで活用されています。

荷主さんから日々送られてくる出荷指示データをWMSにインポートしたり、帳票出力やステータス変更(検品中、出荷済みなど)を行ったりしているお客様が多くいらっしゃいます。また、物流倉庫内の業務は1つのデータをいろいろなプラットフォームでやり取りされるので、「このシステムにインポートする時はこのカラムを削除する」などといったデータ加工業務にも活用されています。

120時間の稼働で人件費削減につながりました。

福井県にあるアップル流通様では、運賃の請求データダウンロードの業務にアシロボを使用されています。アシロボ導入前は、荷主毎に運賃CSVを抽出するために、サイトが込み合う時間帯を避けて毎朝7時に出社されていましたが、現在はアシロボが朝7時からデータを自動収集し、9時にはテータとして揃えてくれています。

月額5万円で月に75時間アシロボが稼働しているので、時給に換算すると1時間660670円くらいです。例えば、派遣社員の人件費が時給1,300円としても、アシロボが月に40時間(月20日稼働として12時間)稼働すれば人件費の削減につながります。

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まとめ

――最後に、物流業界の皆さまへメッセージをお願いします。

RPAと物流業界は非常に相性が良いので、多くの企業様にご活用いただいております。データの加工やインポート・エクスポートなどの定型作業をRPAに任せることで、人件費削減や働き方改革にもつながります。アシロボは無料体験版があり、業務の検証をすることができますので、業務効率化をお考えの際はぜひ一度ご検討ください。各種研修会も無料で行っております!

「アシロボ」に関するお問い合わせ先
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ディヴォートソリューション 株式会社
担当:星川様
TEL:03-4560-1927 Mailassirobo@devote-solution.jp
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【事業内容】
RPA事業 ②ECソリューション事業 ③ITソリューション事業
2000年から培ったEC実績を活かし、イメージ撮影・WEBサイト構築・物流倉庫マッチングなど、ITWEBビジネスの専門性を高める。20128月、セレクチュアー株式会社ソリューション事業部から分社化。20193月アシロボリリース。

▼「アシロボ」サイト
https://assirobo.com/

▼ヴォートソリューション株式会社様 公式サイト
https://devote-solution.jp/