COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/10/06 インタビュー・見学メーカー・製造業

見学:TEC 01 SIGHT SHOWROOM 東芝テック株式会社様

TEC 01 SIGHT SHOWROOM

昨今、新型コロナウイルス感染症や人口動態の変化による人手不足が深刻な問題となっている中で、テクノロジーの活用は重要な解決策の一つとなっています。実際に社内でも省人化や業務効率化が課題となっている会社様は多いのではないでしょうか。今回は店舗機器やRFIDをはじめとする自動認識システムの開発、製造を手掛ける東芝テック株式会社(以下、東芝テック)様の体験型ショールーム「TEC 01 SIGHT SHOWROOM」へお伺いし、その内容をレポートいたします。東芝テック様、丁寧なご案内を誠にありがとうございました。

TEC 01 SIGHT SHOWROOMとは

2020年10月にオープンした、RFIDや東芝テック様の先端技術を体験できるショールーム。更に、お客様からのご意見を実用化に向けて反映させる、共創の場としての機能も備えているとのことです。ショールーム名の「TEC 01 SIGHT」 の01には、"お客様の問題を解決に導く"という意味があり、SIGHTは次のソリューションを"見据える力"を表現されています。
コーナーはコンセプトによって7つに分かれており、具体的にソリューションを活用するイメージが湧くように現場の再現がされています。今回は特に小売り・物流業界向けのバーチャル3D試着サービスや無人コンビニなどの最新ソリューション、RFIDの先端技術を体験させていただきました。

TEC 01 SIGHT SHOWROOMとは


NEXTACT(ネクストアクト)コーナー

NEXTACTコーナーでは、試験中含めてショールームの中でも最先端のソリューションをご紹介いただきました。東芝テック様が近い将来に実現を目指すソリューションを、ピックアップして展示されています。実際に展示されている機器を触って体験することも可能です。

こちらはバーチャル3D試着サービス「バーチャルトライオン」です。試着室のカメラでボディスキャンしてアバターを作成します。一度撮影しておけば、自宅でアバターを使用した疑似試着が可能になる近未来型の試着室です。

例えば通販で洋服を選ぶ際に、普段のサイズで合っているのか心配、実際着てみた時のイメージが分からない、などの理由で購入をためらわれた経験はありませんか。こちらのサービスがあればお客様がご自宅でも試着体験ができるので、いつでも好きな場所で好きな時に気になった服のバーチャル試着をすることができます。またお店で在庫切れとなっている商品も、アプリで試着をすることが可能なのでサイズの心配なく購入することが出来るようになります

また、導入するアパレル業界側の視点では、販売の機会損失を防げるというメリットがあります。更に、ECにおいて返品率の高さは大きな課題の一つですが、バーチャル試着をすればサイズ違いや、実際着た際の印象のギャップなどが少なくなるため、返品率を下げる効果も期待できます


ゼロワンクイック データソリューションコーナー

ゼロワンクイックは高輪ゲートウェイ駅で実際に稼働している無人型店舗です。無人決済店舗システム TTG-SENSE MICROを導入しており、無人店舗での購入体験をさせていただきました。仕組みとしては、天井のカメラと商品が置かれた棚にセンサーがあり、この2つを組み合わせて取得したデータを独自のアルゴリズムで解析。店内のお客様の動きや商品の動きをリアルタイムに捕捉します。お店に入ったら、商品を持ってレジ前の会計ゾーンに立つと、決済確認画面に自動で切り替わるので面倒な操作も不要。そのままお会計を済ませればお買い物は完了です。

こちらのゼロワンクイックを導入すれば、省人化による人件費の削減を期待できます。完全な無人化は難しくても、業務の効率化を図れるのもメリットです。レジ業務を削減することでより少ない人数での店舗運営や、空いた時間を他の業務に充てることが可能です。

また昨今のコロナ禍において、なるべく対人することを避けたいと思うお客様もいらっしゃいます。ゼロワンクイックなら、お客様が商品を選ぶところから、会計までを非対面で行います。非接触で、かつ手軽に買い物体験ができることに価値を置くお客様へのアピールや、新しい購買体験を提供することによってブランド価値の向上に繋げることが可能です。


TEC UX Labコーナー

TEC UX LabはRFIDを実体験、検証することが可能なエリアです。東芝テック様リテール・ソリューション事業本部の坂本様と丹場様によると、RFIDに対する全体的なお問い合わせ件数は増加傾向であり、特にアパレル業界や、製造・メーカー系の物流現場での引き合いが増えているとのことです。

またRFIDを実店舗での販促や販売データ取得に活用する例もあり、TEC UX Labはより使用イメージが湧きやすい様にアパレル店舗と物流現場を再現したショールームとなっています。こちらでは自社の商品をち込んでRFIDの検証をすることも可能になっています。

RFIDとは

電磁波によってモノや人の識別、情報の保管、出力を可能にする技術です。 無線通信を利用して電子情報を記録するICチップ入りの「RFタグ」を商品に貼り、「RFIDリーダーライター」で情報を読み取ります。一度に複数のバーコードを読み取れる、広い読み取り範囲を誇る、透過性があるという3つの特徴を持っており、物流拠点などの「在庫品を管理する際の業務効率化」や、アパレル業界での商品の再生産~店舗再入荷までのリードタイム短縮などの「生産性の向上」に寄与するソリューションとして、様々な分野で注目を集めています。

RFIDについては、こちらのコラムがおすすめです。

物流現場におけるRFID活用メリット
https://www.logizard-zero.com/columns/rfid01.html

RFIDはデータを読み取る際に、金属やガラスなどに影響を受けやすい性質がある上、ディスプレイや保管方法によっては読み取りに支障が生じる可能性があり、導入までに入念な実証と検証をする必要があります。その検証の際に活用したいのがTEC UX Labです。スペース内は特殊な電波体吸収ガラスで囲われており、外の電波に影響されずに検証が可能になっている上に、ブース内に物流倉庫で使用するラックや店舗什器も用意されているため、より現場に近い環境で読み取りの実証を行えます。

東芝テック様開発のRFID機器

① RFIDハンドリーダー
ガンタイプのハンドリーダーです。小型で取り回しが効くので、手に持って店舗での棚卸時に使用したり、カウンターの下に置いてPOS会計を行ったりと、多目的に活用することが可能です。特に物流倉庫や、商品数が多い店舗での棚卸に重宝しそうです。ブースではこちらのRFIDハンドリーダーを使用して棚卸のデモを行いましたが、600点の洋服が数十秒で読み取り完了しました。

② RFIDトンネル式ゲートシリーズ:自動搬送型
遮蔽式で高精度な読取を実現した、自動搬送型のRFIDトンネル式ゲートです。こちらは梱包したままRFIDタグを一括で読み取ることが可能で、自動搬送コンベアに段ボールを載せればRFIDタグの読み取りが完了します。
東芝テック様の調査によると、こちらのゲートの導入はバーコード利用時と比較して作業時間を約20分の1に短縮できるとのことで、大幅な効率化が望めます。

③ ウォークスルー型
ウォークスルー型は、ハンガーラックやカゴ車も通せる広い間口が特徴です。作業時にハンガーラックごと中に人が入れるので、作業効率を高めるとともに、高精度な一括検品ができます。フォークリフトを通したい、など大きさが足りない場合は個別にカスタマイズも可能、自社の環境に合わせてより効果的にRFID機器を導入することができます。

実店舗において、RFIDを販売促進やデータ取得に活用している例

① 商品陳列棚や店頭にRFIDを設置
店舗の商品陳列棚と天井にRFIDリーダーを設置することで、商品とリーダーの距離を測定して、手に取ったが購入には至らなかったもの、購入に至ったものなどのデータを取得することが可能です。また店頭にRFIDリーダーとカメラを設定すると、店頭を何人通り過ぎたか、そのうち何人が入店したかのデータを取得できます。データを活用することで、商品陳列の成否を感覚だけでなく事実で分析し、より効果的な訴求をすることが可能になります。

② 店頭とサイネージでRFIDを活用
サイネージにRFIDリーダーを設置して、お客様が目の前に持ってきた商品の情報や、オンライン購入ページへ誘致するQRコードを表示することが可能です。こちらを活用すればお客様が気になった商品の情報を自分で調べる手間が省ける上に、近未来型の新鮮な購買体験を提供できるでしょう。また、店舗としても接客の時間短縮になるので、業務効率化にも繋がります。


まとめ

東芝テック様の「TEC 01 SIGHT SHOWROOM」で最新の自動認識テクノロジーを体験させていただくことで、技術の進化をより身近に感じることができました。省人化・業務効率化が社会の大きなテーマとなっている中で、今後こういった技術は更なる飛躍を見せていくと思います。
ショールームはまるでテーマパークのような雰囲気で、楽しくテクノロジーを体験することができました。中でもRFIDを現場の環境に近い形で試すことが出来る点と、販促やデータ取得に活用されているのも非常に印象的でした。小売り関係の方で最新のテクノロジーや店頭のデータ分析に携わっている方はぜひ一度ショールームを訪れてみてはいかがでしょうか。TEC UX Labは自社のお取り扱いしている商品を持ち込んで検証することもできるので、物流担当の方の自社でRFIDを導入する際の実証実験としてもとても有意義かと思います。
この度、ご対応いただきました坂本様、丹場様、アテンドをしてくださった高橋様、誠にありがとうございました。

東芝テック株式会社様 会社概要

代表者:代表取締役 錦織 弘信
所在地:〒141-8562 東京都品川区大崎1-11-1(ゲートシティ大崎ウエストタワー)
事業内容:POSシステム、デジタル複合機、自動認識システム、インクジェット技術など、店舗・倉庫・オフィスすべてをつなぐ幅広いソリューションを提供
HP:https://www.toshibatec.co.jp/