COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2021/08/24 インタビュー・見学

取材:アスタリスク様 RFIDリーダーライター開発企業に聞く、RFID活用のメリット

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RFID(Radio Frequency Identification)は、電波によってモノや人の識別、情報の保管や出力を可能にする技術です。無線通信を利用し、非接触で読み書きできることから、特に業務効率化や生産性の向上に寄与するソリューションとして、様々な分野で注目を集めています。物流現場でも、入出庫管理や棚卸業務を劇的に楽にすると期待されており、ロジザードZEROでもRFIDオプション機能を開発、β版の展開を始めました。今回は、RFIDのリーダーライターを含む自動認識機器『AsReader』の開発製造元、株式会社アスタリスク様の東京営業セクション サブマネージャーの酒井暢子(さかいようこ)様をお訪ねし、RFIDのメリットや物流業界でのRFID活用事例についてお話を伺いました。

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RFIDタグ 基本の「き」

インタビューの前に、まずはRFIDについて簡単におさらいをしておきましょう。
広義の意味でのRFIDは、電波を利用して人や物を識別する技術全般のことです。RFIDにはさまざまな種類があり、周波数帯によっても呼び方がことなります。たとえば公共交通機関や電子マネーで使われているICカードにはセキュリティ度が高いHF帯(13.56MHz)が使われています。

物流業界・流通業界での普及が最も進んでいるのはUHF帯です。
RFIDは無線による通信を行うため、非接触であることが特徴です。距離もある程度まで離れていても構わないため、バーコードのようにリーダーを数センチまで近づける必要がありません。また、読み取り対象がダンボールの中に隠れていても読み取り可能。加えて、複数タグの一括読み取りができる点も、バーコードとの大きな違いです。

RFIDの構造は、主に「EPC」「USER」「TID」「RESERVED」という4つの領域で成り立っています。

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ユーザーがリーダーでタグをスキャンした際には、EPCの情報が読み込まれます。
EPCはElectronic Product Codeの略で、本来は国際標準であるGS1識別コードが記載されるのですが、日本ではEPC領域を使ってUSER領域の内容を記載した運用が多数あります。

詳しくは株式会社アスタリスク様のブログ記事「RFIDタグの構造について」をご覧ください。

それでは、RFIDの基本が分かったところで、以下からはアスタリスク様でサブマネージャーを務める酒井暢子様のインタビューをお届けします。


ソフトウエア会社がハード製造に挑戦! 初ユーザーはあの自動車メーカー

ーアスタリスク様の会社概要について教えてください

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当社の設立は2006年9月です。資本金は2億9千万円(資本準備金1億4千万円を含む)、社員数100名(海外子会社含む、2020年8月末日現在)で、大阪に本社を置き、国内では東京、名古屋、海外では中国、アメリカ、ヨーロッパに拠点があります。主にモバイルを活用した業務改革ソリューションを、ソフト、ハード両面から支援する事業を行っています。
もともとはスマートフォン(スマホ)アプリなどソフトウエア開発を核とするシステムベンダーとして、事業をスタートさせました。現在はバーコードリーダー、RFIDリーダーライターなどのハード開発も手掛けており、ソフトもハードも自社開発でソリューションを提供できるところが、当社の強みです。

ーAsReaderを製造するきっかけは何だったのでしょうか?

スマホを活用した業務改革ソリューションを提供する中で、スマホに装着できるバーコードリーダーに、当社が望むレベルの商品がなかったことが最大の理由です。世の中にないなら自分たちで作るしかないと、ソフトウエアの開発会社がハード機器の製造に挑戦しました。これがご縁あって、トヨタ自動車様の目に留まり、RFIDリーダーも製造することとなり、スマホとRFIDを活用したロケーション管理およびステイタス管理システムを導入させていただきました。

トヨタ自動車様の導入事例はこちら
https://asreader.jp/wp-content/uploads/2021/03/CaseStudy_toyota.pdf

トヨタ自動車様がRFID管理に着手したことから、大手企業様を中心に口コミで広まり、「RFIDを使ってみたい」「スマホで操作したい」「現場でスマホとリーダーの2台持ちはしたくない」というご要望のユーザーから、多くの引き合いをいただくようになりました。最近では、RFIDタグの価格がぐっと下がったことに加え、様々な局面でのスマート化が進み、よりRFIDの活用シーンが広がっていると感じます。

ー御社のRFID対応製品をご紹介ください

RFIDタグの読み取りと書き込みの両方ができる、リーダーライターを開発しています。ハンディタイプ(DOCK-Type)、ガンタイプ、デスクトップタイプ、RFID ゲートがあります。

  • ハンディやガンタイプは、iOSやandroidに対応し、スマホに装着することで、誰もが直感的に操作できるのが特長です。

ASR-L251G

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  • デスクトップタイプは、パソコンとつないで管理します。物流でのピッキング作業で使用されるほか、店舗レジとして活用することも可能です。タグの書き込みもできます。

ASR-P30U

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  • RFID ゲートは、ケース内に様々なアイテムが混載している状態での、個体情報の自動読み取りに威力を発揮します。物流現場での入出庫作業等に適しており、主に物流現場に導入されています。

RFIDゲート

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スピードと透過性で圧倒的に優位なRFID

ーRFIDには、どのようなメリットがありますか?

なんといっても「スピード」です。
バーコードやQRコードのように一つひとつのタグにリーダーを向ける必要がなく、一度に複数のRFIDタグを読み取れるので、読み取り時間を大幅に短縮します。当社のガンタイプリーダー(ASR-L251G:出力1W)は、1秒に1,000枚以上のタグを読み取ります(※設定、環境による)。

そして、「透過性」に優れています。
無線通信により非接触で読み取れますので、商品が箱に梱包されている状態、タグが隠れている状態など、RFIDタグが表出していなくても読み取ることが可能です。

UHF帯は非接触で、かつ「離れていても」読み取れます。
少し離れた場所、高い場所にある商品なども、リーダーを向ければ読み取れます(距離、タグの種類など条件による)。非接触での一括読み取りにより、棚卸業務などの作業効率は飛躍的に向上します。

さらに、「データの書き換えが可能」です。
情報の追加や変更など、必要に応じて情報を書き換えられます。RFIDタグを繰り返し長く使ったり、流通過程で情報を書き加えたりすることができます。当社の製品は、すべて読み書き両方に対応するRFIDリーダーライターです。

ーデメリットとして意識すべき点はありますか?

注意点としては、環境により読み取り精度に影響が及ぶことです。無線通信のため、電波干渉が起こり得ます。RFIDは、必ず使用する現場で試すことが鉄則です。使用環境に適切なタグの選定も重要です。機器の選定、タグの選定、現場での読み取り作業、この3点がきちんと検証されていないと、RFIDのメリットが活かせません。特に一括で読み取る際、不要なものまで読み過ぎてしまうと、何を読み取ったかが判別しづらい場合があります。読みたくないものには電波シールドを施すなど、現場の工夫が必要になります。
そして、RFIDが使用する電波出力によっては、総務省への申請が必要な場合があるので、注意が必要です。リーダーライターの中には、申請不要なタイプ(「特定小電力型」と呼ばれる、電波出力が250mW以下のもの)もありますが、多くが申請を必要とします。当社では、LF帯、UHF帯、HF帯のすべての帯域に対応するリーダーを提供しており、機種によって申請が必要なケースもあるので、こうした手続きのサポートも行っています。


物流現場におけるRFIDの導入メリット

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ー倉庫との親和性はどうでしょうか?

RFIDは、物流現場で最も導入メリットが出ると思います。段ボールを開かずにそのまま入出庫管理や棚卸管理ができます。しかも一括読み取りですから、作業時間も人手も大幅に削減でき、人手不足課題の解消、人件費の抑制につながります。また、最近はEC需要が急激に伸びていますが、ECからの注文を倉庫でピッキングする業務にも有効です。

ー店舗ではいかがでしょうか?

店舗とRFIDも、親和性がとても高いです。すでに一部の企業様では、会計でのセルフレジ、セミセルフレジでの使用が始まっています。もちろん、店舗でも倉庫同様に、入出荷作業、棚卸、店舗でのピッキングに威力を発揮しています。実際にRFIDの活用を始めている企業様は、店頭業務、バックヤード業務がどんどんスマート化されています

ー物流業界の皆様にメッセージをいただけますか?

導入障害となっていた、RFIDタグの単価は年々下がってきています。近い将来には、段ボールにもタグが組み込まれるようになるかもしれません。現場でRFIDタグを貼り付ける作業はなくなり、もともとタグが付いているものが流通するようになる、現在のバーコードのように使われるようになるはずで、導入企業もどんどん増えてくると思います。
RFIDは、一度使うと以前の状態には戻れないほど、本当に便利な機能です。バーコードではできない、様々な可能性が生まれます。特に物流現場にとってはメリットが大きく、確実にサービスコストに反映できますから、競争優位性も狙えます。
最初は苦労するかもしれませんが、導入後はあらゆる作業がものすごく楽になります。早く導入するほど、大きなメリットが享受できます。軌道に乗ればとても使えるソリューションなので、導入時はがんばって乗り越えていただき、ぜひRFIDで物流現場の改善に挑戦してほしいと思います。

ロジザードZERO×RFIDオプション(β版)

RFタグやリーダーなどの低価格化に伴い、アパレル業界ではRFIDが普及しています。ロジザードではこの状況を受け、早期の段階からRFID対応のアプリ開発を行ってきました。そして2021年には、アパレル企業様、3PL事業者様のご協力を得て実装テストを実施。アプリの運用について検証を行いました。

テストでは約3万点にも及ぶ商品を、3台のRFIDリーダーを用いて入庫検品するというタスクを実行。予定としては、1週間を見込む作業です。しかし、蓋を開けてみればすべてのタスクが正味2日で完了という好結果。ご協力いただいた企業様にも、大変ご満足いただけました。

また、RFIDとロジザードZEROが連携されることによって、リアルタイムなデータ反映が実現。入荷から棚卸しまでの一連業務がスムーズに連携し、効率的な管理システムが完成しました。RFIDの可能性を広げるためにも、今後さらなる開発を推し進めていく予定です。

ロジザードZEROに待望のRFIDオプション機能を! ユーザーと物流現場の声が反映された開発ストーリー


まとめ

ー最後に、今後の展望とロジザードへの期待もお願いします

ロジザードのシステムと当社の製品を組み合わせることで、物流から店舗まで、トータルでのソリューションが提案できると期待しています。当社は、スマホであらゆる業務ができる世界になることを見越して、様々な開発を進めています。ロジザードが持つ物流現場の知見、経験の力をお借りして、これからもスマホを使って業界の変革に一役買えたらと思っています。

お問い合わせ先

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株式会社アスタリスク
東京営業セクション サブマネージャー
酒井暢子(さかいようこ)様
TEL:050-5830-5393
https://www.asx.co.jp/inquiry/
※「ロジザードのコラムを見た」とお伝えください!

▼「AsReader」 サービスサイト
https://asreader.jp/

システム連携事例:クラウドWMS「ロジザードZERO」がRFIDオプション機能をβ版に搭載。
https://asreader.jp/solution/case1_logizard-zero/

▼株式会社アスタリスク様 コーポレートサイト
https://www.asx.co.jp/

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