COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

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最終更新日:2021/12/06 EC・通販事業者物流業務の効率化運輸業・倉庫業(3PL事業者)

人気3PL事業者に見る、物流現場の業務効率化のトレンドとは?

人気3PL事業者に見る、物流現場の業務効率化のトレンドとは?

ECや通販の需要拡大による物量の増加を機に、企業は物流のアウトソーシング化を進めています。3PL事業者をはじめとする受託側の倉庫では、いかに物流現場の業務負担を軽くするか、特にバックヤード業務の効率化が喫緊の課題といえるでしょう。今回は、物流業務の効率化について様々な実績と経験を持ち、多くの物販企業から厚い信頼を得る株式会社清長様(以下、清長様)の取り組みから、自社物流でも参考になる物流現場効率化のトレンドを探ります。

自動梱包機とRPAによる自動出荷で、出荷業務の効率化を実現

3PL事業者は取り扱う商材が多岐にわたり、荷主の規模感もまちまちです。多様な案件に対応しながら、バックヤード業務をいかに正確かつ効率的に運用するかが、事業の成長を左右します。EC化率が高まる一方で、人口減少による人手不足が確実視される中、清長様では業界でも早い時期から、テクノロジーを活用した物流のスマート化や自動化に積極的に取り組んできました。
特に出荷業務関わる部分に、自動梱包機やRPAを活用した自動出荷管理システムなどを導入して自動化を進め、高品質で効率的な出荷業務を少人数で実現。無駄を排し、効率化で得られたリソースを荷主様へのサービスに転換することで、お客様から高い信頼を得ています。

自動梱包機やRPAを活用した自動出荷管理システム

自動梱包機の役割とメリット

自動梱包機とは、文字通り、商品を箱に詰めて封を閉じるまでの作業を自動的に行う機械です。種類によりますが、送り状の発行と貼り付けまでを可能にする、一体型の梱包機もあります。清長様では、出荷作業に自動梱包機を導入すれば大きな効果が得られると判断し、2年の準備期間を経て2018年から導入しました。

導入当初こそオペレーションの変更に調整が必要でしたが、今ではスマホケースなどの小物であれば、1日1,000件程度の出荷を、4名のスタッフにより10時から14時までの4時間で完了します。それまでは10~12人がかりで、朝9時から18時まで作業しなければ終わりが見えなかったといいますから、かなりの効率化です。「このサイズであれば、自動梱包機で1時間あたり*件梱包できる」と計算できることから、波動に対する突発的な人員確保の心配がなくなるとともに、現場スタッフの負荷も軽減されています。

自動梱包機の導入には、数千万円単位のコストがかかります。導入に慎重になるのは当然ですが、近年は人件費の最低賃金が上昇傾向にあり、人手不足はいっそう深刻になることから、長期的に見れば人件費の高騰分を吸収して余りあるコストメリットが得られることは間違いありません。3PL事業者の物流コストの抑制は、荷主側にもメリットとなるため、事業競争力の面でもプラスになります。


ヒューマンエラー防止と出荷業務効率化に貢献するRPA

清長様では、出荷データと受注データの出力・取り込み作業に早い時期からRPA(Robotic Process Automation)を導入し、ルーティン業務の自動処理に取り組んでいます。きっかけは省人化でも働き方改革でもなく、人的ミスをなくしたいという課題でした。受注管理システムとクラウドWMS「ロジザードZERO」をRPAでつないでおり、具体的には、WMSから出荷データを出力し一元管理システムに取り込む作業と、一元管理システムから受注データを出力しWMSに取り込む作業を、RPAで自動処理しています。この工程は、物流業務フローの中でも非常に重要な部分ですが、人間の作業では忙しさにまぎれて忘れてしまったり、「翌日作業するつもりだった」スタッフが急病などで申し送りができなかったりで、「抜け・漏れ」が生じるケースがありました。ヒューマンエラーが生じやすい作業を確実に処理するために、RPAを活用して自動化を実現したのです。

自動出荷イメージ

受注管理システムとWMSを連携させて「自動出荷()」を実現する仕組みは、清長様の90%の案件で活用されています。FBA、RSLなど、モール系倉庫への物流アウトソーシングを経験している方も増えており、自動出荷の需要が高まっていることもあるでしょう。また、出荷データの掃き出しや管理業務など、荷主様が出社して行う必要があった仕事が自動化され、コロナ禍のリモートワーク、出勤抑制にスムーズに対応できたことも、メリットの一つです。EC事業者様の多くが少人数運営ですから、人手のかかる定型作業をカバーするのに、RPAは有効なツールといえます。

関連コラム「自動出荷の前に知っておきたいメリットとデメリット」
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さらに注文量、出荷量が増える週末や休日も、自動梱包~自動出荷で現場が回るので、荷主側も休日出勤の必要がなく、週明けにありがちな波動も回避できるようになります。また、出荷までのリードタイムが早くなり、キャンセルが少なくなる効果もあり、出荷業務の自動化は、3PL事業者のみならず荷主側にも多くのメリットをもたらされています。

ただし、RPAはあらゆる作業を自動化できるという夢のツールではありません。自動化を成功させるために必要なシステム連携の仕組みづくりや、メンテナンス体制は必須です。出荷までのスピードが速まるので、キャンセル対応に苦慮する事案も起きるでしょう。それでも、将来的にわたり大きなメリットが得られることが確実な自動化は、3PL事業者が着手すべき施策です。清長様では現在、タブレット上で入荷作業を完了できるスマート入荷システムの導入を検討しており、すでにテスト稼働が始まっています。


自動化が生み出す競争力の原資

コロナ禍によりDtoCが増加傾向にある今、荷主側の要望は、出荷までのリードタイムを短くしたいというニーズから、物流で差別化を図りたいというニーズへと変化しています。清長様では、箱詰めする際に見栄えを重視した、こだわりのある梱包依頼が増えているといいます。クラウド型倉庫など個別のカスタマイズが難しいサービスもありますが、多くの3PL事業者は可能な限り要望に応えることで、荷主の信頼を獲得していく必要があるでしょう。そのためにはサービスに充てるためのリソースを確保することが重要。荷主が求めるこだわりにタイムリーかつ高品質で応えられる体制ができる3PL事業者は、他社との差別化を図ることが可能です。

さらに、コスト呼ばわりされていた物流は、スマート化により情報が集約される場所となり、非常に重要度が高まっています。集約された貴重な情報をどう取り扱っていくか、今後は物流に関わる事業者がマーケティング上もっとも重要な情報を取り扱う可能性があります。自動化への着手は、単に物流現場の効率化にとどまらず、未来を拓くことにつながっているといえるでしょう。


まとめ

混沌とした未来予測において、人口減少だけは確実であり、避けられない未来です。これをどう乗り越えていくかは、あらゆる事業者共通の、企業生命に関わる課題です。今回は、物流現場の業務効率化のトレンドを探る目的で、3PL最前線での取り組みを取材しましたが、自動梱包機やRPAを活用した自動出荷による大きな効果を目の当たりにし、省人化対策のみならず、未来を見据えた事業成長に欠かせない取り組みであることを痛感しました。
ロジザードでは積極的に様々なシステムとWMSを連携させ、物流現場の自動化の推進に力を注いでいます。3PL事業者様の自動化に関わるお問い合わせにも対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

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