COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2021/11/26 EC・通販事業者セミナー物流アウトソーシング

物流サービス選定セミナーレポート 自社に合う!物流サービスセミナー ~物流サービスとのミスマッチを防ぐには?~

自社に合う!物流サービスセミナー ~物流サービスとのミスマッチを防ぐには?~

自社の業務に適した物流サービスをきちんと選べていますか? EC市場の拡大に伴い、様々な物流サービスが生まれている今、ロジザードに日々寄せられるお問い合わせやご相談に、事業者様と物流サービスとのミスマッチが増えていることを実感しています。ミスマッチはなぜ起きてしまうのか、どうすれば両者のミスマッチを防げるのか。在庫と物流のプロとして、成功事例、失敗事例を多数見てきたロジザード株式会社取締役営業部長の亀田が、適切な物流サービス選択のポイントを解説しました。

【開催概要】
タイトル:自社に合う!物流サービスセミナー
日時:2021年11月16日(火) 17:00~18:00
セミナー形式:ウェビナー
主催:ロジザード株式会社
講師 :ロジザード株式会社取締役営業部長 亀田尚克
参加費:無料

なぜ物流サービスとのミスマッチが起こるのか

ロジザードでは2021年11月30日までの限定で、物販企業様が叶えたい物流の未来をロジザードが中立的立場でアドバイスする、「在庫管理ミライ相談所」を開設。年末の繁忙期までに在庫管理を見直したい、という事業者様から、たくさんのお問い合わせをいただきました。その中で気になったのは、物流サービスとのミスマッチに悩まれている物販企業様が少なくないことでした。

ミライ相談所

在庫管理ミライ相談所(2021年11月30日まで)

その背景には小売形態の進化、販売戦略の多様化にあわせて、様々な種類の物流サービスが誕生していることがあります。特に昨今では、お客様とダイレクトにつながるDtoCが増えていること、コロナ禍のEC化率向上によりオムニチャネルなど事業全体の見直しを図る企業が増えていることから、新しいシステムや物流サービスの登場に拍車がかかっているのです。

新たなサービスを導入したものの、

  • すでに導入していた受注管理システムと物流サービスがうまく連携できない
  • できると思っていたセット品販売に対応しておらず、苦戦している
  • 委託倉庫がWMSを使っておらず、在庫数が合わない

など、ミスマッチから生じるお悩みの声が多数聞こえてきます。

ミスマッチは、以下のような理由で起きるのではないでしょうか?

  • 社内に物流がわかる人がいない。物流について相談できる人がいない
  • 様々なサービスがあるが、種類が多すぎて比較ができない。違いがわかりづらい
  • サービス提供者からの、一見何でもできそうなプレゼンテーションを妄信する

そこで、ミスマッチを防ぐための対策を、ここでは、

  • システム
  • 物流アウトソーシング

の2点を切り口に考えてみます。


システム選定は「具体化」が肝

はじめに、システムのミスマッチを防ぐポイントについてです。
皆さまも何らかのシステムを導入する際には、事前にしっかり調査した上で、機能面、価格面から自社に最適なものを選定しようとするはずです。ところが、実際はここがぼんやりしていることが多く、具体的な数値やフローをもとに検討しているケースが実に少ない。全体像を見ずに、安易に流行りのシステムや便利そうなシステムに手を出しがちです。自社では今何を使っていて、やりたいことを実現するには何が足りないのか、何が欲しいのか? ここを具体化することで、ミスマッチはずいぶん防げます。

STEP1:どのような課題感があり、どう改善したいのかを書き出す

「なんとなく、こんな物流システムを使いたいな」ではなく、実際に言葉にして書き出すことをおすすめします。課題感にリンクして欲しい機能がたくさんある場合は、「マストで欲しい機能」とあると「ベターな機能」で分けておくことも重要です。物流のシステムは増えており、マストでほしい機能が決まっていないと、さまざまな機能に目移りしてしまい、システム導入の軸がぶれてしまいます。

STEP2:イメージしている運用フローを「見える化」する

まず、イメージしている運用フローを「見える化」しましょう。全体像を俯瞰して、具体的に何を使って運用しているか(現状)、そして今後はこうしたい運用イメージ(将来)をフローにします。これにより、必要なシステムが明確になります。

運用フロー(例)

運用フロー(例

STEP3:比較表を作る

運用フローから必要とするシステムが明確になったら、候補となるシステムをピックアップし、比較表を作ります。縦軸に機能や比較すべき要素、横軸にサービスを並べます。いずれのサービスもWeb上で機能が公開されていますし、不明点は各社に問い合わせて表を埋めていきましょう。比較表上で検討する際、その機能が絶対にないといけないものか、運用で回避できるものかも、確認します。
比較表を作るのが苦手、という方は、当社が3PL事業者様用に提供しているクラウドWMS比較シートをお送りします。お気軽にお問い合わせください。

機能比較シート例

機能比較シート例

STEP4:導入事例やレビューサイトを参照する

各社の公開情報からは、スペック的なことはある程度わかります。しかし、仕様として書かれていないこと、やってみないとわからないことは必ずあります。ここで失敗を怖がって導入しないという選択は無し! やってみてわかることは、自社の知見になりますからぜひトライしてください。
失敗をできるだけ回避するには、すでに使っている事例やレビューを確認し、利用者の声を聞くことが有効です。特に自社に近い業種、業態、商材、規模感の導入事例は参考になります。サービス提供企業の営業担当者に「自社に似ている規模感の利用者の声を聞かせてほしい」と相談するのもよいでしょう。
そして、サポート体制もよく確認しましょう。システムは導入して終わりではなく、使い続けることが重要。それを可能にするサポート体制の有無は、システム選択の大切なポイントです。


物流アウトソーシング選定のポイントは?

次にもう一つの視点、物流アウトソーシングの視点から、ミスマッチを防ぐ方法について考えていきましょう。結論からいうと、自社とのミスマッチを防ぐには、安易にコスト面から判断するのではなく、事業のパートナーとしてふさわしいかどうかで判断すること。そのために知っておくべきポイントを解説します。

Point 1:物流アウトソーシングの種類と特徴

物流アウトソーシングは、大きく分けて3種類あり、それぞれに特徴があります。

物流アウトソーシングの種類と特徴

物流アウトソーシングの種類と特徴

一般的に「物流倉庫」のイメージで語られるのが、3PL(Third Party Logistics)事業者です。原則として企業を対象に、荷主からの受託で効果的な物流戦略、システム構築、運用を行います。受け皿が広く、得意不得意はあるものの様々な流通加工(ラッピング、値札、同梱物など)にも柔軟に対応するため、料金はやや高めの設定です。
逆にBtoC事業者を対象に、料金設定がシンプルでわかりやすく、出荷数が少なくても個人事業主でも手軽にはじめられるのが、クラウド物流倉庫です。明確なメニュー化でコストを抑えているため、イレギュラーな業務やカスタマイズは不可です。物流倉庫の料金体系は一見複雑ですが、基本は「作業」と「時間」から割り出されます。作業の負荷に応じてコストが変わることを覚えておきましょう。モール系物流倉庫は、ECモールに出店する事業者にとってはワンストップで運用できる、便利な物流です。BtoCのみの対応で、簡単なラッピングには対応します。

Point 2:料金シミュレーション

下記の料金比較表は、代表的な物流アウトソーシング企業がWeb上で公開している料金表をもとに、一覧表にしたものです。出荷規模が大きくなると価格差が小さくなる傾向にあり、3PL事業者の方がコストメリットを得られる場合もあります。かつては、月間2,000件以上の取り扱いがないと物流を委託できないといわれたものですが、今ではクラウド物流倉庫のように、小口でも低コストで受託してくれるサービスがあります。低コストのからくりは、業務の平準化にあります。定型で同じ作業をベースにしているからこその低価格設定ですから、例外的な作業はできないと認識してください。あくまでも、費用は「作業」と「時間」から割り出されており、「安いのには理由がある」ことを理解しましょう。

モール系フルフィルメントの料金は、最も安い金額で計算。他社モールの商品を出荷する場合は、異なる場合がある
さらに詳しい料金比較と選定のステップをホワイトペーパーにまとめました。ダウンロードはこちらから
「委託費用の目安と倉庫を選定する3つのステップ」
https://www.logizard-zero.com/whitepaper-download/outsourcing02.html

Point 3:拡大を考えるなら、モール系倉庫と3PL事業者を上手に使う!

楽天やYahooなどのECモールのみで物販の商売を確立していくことは、これからの時代、非常に困難だと思います。顧客サービスの多様化を考えれば、画一的な物流では対応が難しいからです。様々な販売戦略で事業を拡大していこうとするならば、3PL事業者をハブに、各モール系物流倉庫に納品するやり方をお薦めします。物販を本気で拡大しようと思うなら、制約条件が少なく、作業や実績に基づいた料金を提示してくれる3PL事業者をパートナーに選ぶべきでしょう。

3PL事業者・フルフィルメント+モール系物流倉庫


まとめ

物流サービスとのミスマッチを防ぐための考え方を、システム視点、物流アウトソーシング視点から解説してきました。これらのポイントを抑えながら、自社の事業形態に合うサービスを選定していただければ幸いです。

ここで、もう一つ大切なことをお伝えします。物流から得られる情報は、事業者にとって財産になります。お客様としっかりつながり物販を拡大させていくには、情報を活用していくことが必須です。そのために欠かせない下記の施策を、できるだけ早い時期に確立するよう、意識されるとよいでしょう。

  1. 個体認識:できるだけ早い段階から商品のバーコード管理をする
  2. 資産管理:正しい在庫数を見える化する
  3. リアルタイム管理:リアルタイム管理ができるようシステムを導入する

ロジザードのミッションは、事業者の皆さまがwin-winな物流のパートナーを持ち、物流の活性化に寄与することです。当社が提供する在庫管理システムは、基幹システムや業務改善・効率化ツールとつなぐことから、様々なサービスとの連携実績を持っており、お客様に最適な事業者をマッチングすることが可能です。サービス選定の際は、どうぞお気軽にロジザードにご相談ください。

在庫管理ミライ相談所(2021/11/30まで)
https://www.logizard-zero.com/matching/advice.html

お問い合わせ
https://www.logizard-zero.com/contact/

亀田尚克(かめだなおよし)
ロジザード株式会社 取締役営業部長

繊維商社、大手システム会社勤務を経た後、在庫管理分野のASPという事業スタイルに魅力を感じ2006年ロジザード株式会社入社。通販物流を中心として物流現場への訪問数はゆうに2,000に達する。徹底した現場主義によりサービス会社としてのロジザードのスタイルを確立する。在庫管理システムをもっと世の中に普及させたいという情熱のもと思索と行動の日々を送る。