COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
全世界で長年利用され続けている表計算ソフトウエア「Microsoft Excel(以下、エクセル)」。物流業界でもなじみ深いツールとして、広く活用されています。商品の在庫を管理する現場では、もはや必携アイテムとなっている企業も多いのではないでしょうか。しかし、倉庫で取り扱う物量の増加や、少子高齢化による現場の変化により、エクセルでの在庫管理に限界を迎えつつあるという声も聞かれます。ここでは、エクセルでの在庫管理に焦点を当てて、在庫管理業務の効率化と課題、解決策についてご紹介します。
在庫管理業務におけるエクセルの活用について考えるにあたり、最初に在庫管理業務の定義とエクセルの機能について確認しておきましょう。
ここで在庫管理という業務を定義するならば、「企業内に存在する製品や、原材料・仕掛品などの在庫を、生産や販売などの状況に応じて最適な状態・量で供給できるよう管理すること」となるでしょう。入出荷管理や返品管理、棚卸しなどの作業を通じて、在庫の数や状態を正確に把握・管理します。
一方で、エクセルは「計算・関数」「表・グラフ」「データベース」の3つの基本的な機能を備えています。情報を整理して効率的に計算したり、図表やグラフで「見える化」したりする作業に適したソフトウエアとして、パソコンの普及とともに様々な業務シーンで活用されるようになりました。
これを踏まえると、在庫管理業務とエクセルの親和性の高さがよくわかるでしょう。在庫管理の現場では、エクセルによる「在庫管理表」が広く使われています。在庫管理表は、商品の入出荷数や在庫数などを正確に管理するために必要とされています。
それでは、エクセルでの在庫管理におけるメリットとデメリットについて考えてみましょう。まずメリットについては、「紙と比べて管理しやすい」「低コスト」の2つが挙げられます。
まずは、紙の在庫管理表よりも管理がしやすい点です。紙の在庫管理表は、破損や紛失などのリスクがあるだけでなく、手書きによる煩雑さもあります。在庫管理表をエクセルにすることで、こうしたリスクを減らせるほか、記入の手間も軽減でき、バックアップを取っておくこともできます。特に在庫管理表を複数の人で管理する場合は、ファイルの置き場所や取り扱いのルールを定めておけば、効率的に管理できるでしょう。
また、コスト面でのメリットも見逃せません。エクセルのソフトウエアを購入する費用はかかりますが、一度インストールすれば、ほぼ無制限に使用できます。在庫管理システムをはじめとするシステムの導入時に発生する、システム開発費用やランニングコストなどの一定の費用負担も、エクセルの場合は必要ありません。
一方で、エクセルによる在庫管理にはデメリットもあります。まず挙げられるのが、ヒューマンエラーです。パソコンのソフトウエアを活用するとはいえ、基礎となる数値を入力するのは人間です。つまり、入力ミスは「起こりうること」なのです。
また、膨大なデータを扱う場合にファイルへの負担が過大となり、データが破損する恐れがあります。「画面が固まって動かなくなった」「データが壊れてしまった」という現場担当者の声もよく聞かれます。近年は在庫管理の現場で取り扱う商品の量や種類が急増していることも、それに拍車をかけているようです。
最後に、リアルタイムでの在庫状況の把握が難しいことが挙げられます。在庫管理は、できる限り最新のデータを取り扱うことで、より迅速な対応が可能になります。エクセルは、入力したデータの処理能力が強みのソフトウエアですが、適時の情報を常に反映しようとすると、どうしてもデータ入力の頻度を高めるなどの対応が避けられないからです。
パソコンの検索エンジンで、「在庫管理」「エクセル」「テンプレート」のキーワードで検索すると、エクセル仕様の在庫管理表のテンプレートが多数出てきます。テンプレートは基本的な「型」「書式」であり、それを活用すれば、数値など必要な項目を入力するだけで、在庫管理表を作成することができます。
テンプレートは、あくまで基本的な書式です。もちろん、在庫管理の現場の特性に応じて、仕様を変更してカスタマイズすることで、より使いやすく業務効率の高い在庫管理表を作ることもできます。
エクセルによる在庫管理の優位性と言えば、関数を活用して効率的にデータを処理できることでしょう。ここでは、在庫管理の作業効率を高める3種類の関数を紹介します。
「VLOOKUP関数」は、シートを検索して条件に対応した値を抽出できるものです。在庫管理表とは別のシートからほしい値を抽出できるので、ひとつずつ値を手入力しなくてもよくなり、ミスや作業時間を減らせます。入荷管理表や出荷管理表のシートから数値データを抽出するような場合に活用できます。
「IF関数」は、指定したセルや範囲内の値が条件に当てはまるか否かで、表示する値を変えることができるのが特徴です。発注のタイミングを知らせるアラートなどとして活用できます。指定した在庫数を下回っている場合に「発注してください」と表示する欄を作っておけば、発注忘れを防ぐことができるなど、便利に活用できるでしょう。
最後に、「SUMIF関数・SUMIFS関数」です。指定した条件に合った数値だけを足し算できる関数で、条件を1つ付けたい場合はSUMIF関数を、複数付けたい場合にはSUMIFS関数を利用します。特定の条件の商品がどれぐらい売れているかなどを算出でき、確認に役立ちます。在庫管理表でも、合計した在庫数を簡単に算出できます。
さらに、エクセルの操作を自動化するための便利な機能「マクロ」の活用も、在庫管理表の効率的な運用を手助けします。例えば、繰り返し行う作業を記録して、ボタン1つで実行できるようにすることができます。毎月同じ操作を繰り返す場合などに有効です。
ここまで、エクセルによる在庫管理による業務効率化について考えてきました。エクセルの機能性を在庫管理業務に活かすことにより、ペーパーレスで無駄のない作業を低コストで実現できるので、現場業務の改善に貢献することは間違いありません。
とはいえ、エクセルでの在庫管理にはデメリットもあります。言い換えれば、さらなる業務効率化が求められる現状で、新たな在庫管理の方法が問われているのです。
ここで、物流現場が置かれている実情について説明しておきましょう。インターネットの普及によるEC(電子商取引)ビジネスの進展は、新型コロナウイルス禍による外出自粛の影響で、一気に加速しました。店舗から宅配へ、いわゆる消費スタイルの多様化が顕著となった結果、物流現場での商品の取扱量が急増したのです。
一方で、物流現場を担ってきた熟練の人材が高齢化する中で若年層の採用が進まず、現場は人手不足の深刻さが増しています。「物流の2024年問題」への対応も、こうした人材確保に向けた課題です。そこで、既存の業務スタイルから脱却して、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化を進める必要に迫られています。
在庫管理においても同様であり、エクセルによる作業の課題を解決するために、在庫を管理できる機能を搭載したシステムの導入が求められているのです。
このコラムの最初に、エクセルによる在庫管理のデメリットについて説明しました。避けられないヒューマンエラーやリアルタイムでのデータ更新の難しさ、さらには、データ量の増大による処理能力の限界など、エクセルの弱点も存在します。
ではなぜ、物流現場でこうした課題が浮き彫りになっているのでしょうか。その答えとなるのが、先ほど述べた物流現場で進んでいるDXの動きです。つまり、在庫管理の業務効率化をさらに加速するためには、エクセル管理の課題を解決するシステム化が求められているのです。
在庫管理システムは、製品や入出荷の情報を「正確」かつ「効率的に」把握して管理するほか、ミスの軽減にも繋がる多くの機能を備えています。例えば、在庫数の記録は目視で行うと作業量が多く、ミスも発生しやすくなります。在庫管理システムを導入すれば、バーコードとハンディターミナルを使って情報を入力できるなど、非常に効率よく作業を行うことができるのです。
在庫管理システムは、業態や取り扱う製品に応じて最適化された様々な機能を備えています。また、現場の作業効率化にとどまらず、記録されたデータを活用することで事業者全体の生産・販売戦略にも活用することもできます。まさに「在庫管理は経営戦略そのものである」との考え方に即したシステムと言えるでしょう。
それでは、在庫管理システムの導入で、現場はどのように変化するのでしょうか。クラウド倉庫管理システム(WMS)「ロジザードZERO 」の展開で、物流業界に高い存在感を誇るロジザード株式会社を事例に、ご紹介します。
九州地方に本社を置き、全国で3PL(Third Party Logistics、荷主企業に代わって第三者が効率的な物流システム構築の提案を行い、物流業務の企画・設計・運営の全体を包括して請け負う業態)ビジネスを展開する物流サービス企業。悩みは、在庫管理の効率化でした。エクセルでの在庫管理業務は、「毎日数字を足したり引いたり全部手作業でやっていたため、大変なうえに、どんなに慎重にやってもミスがなくならなかった」そうです。
そこで、荷主様からの紹介をきっかけに導入したのが、「ロジザードPlus」(現在のロジザードZERO)でした。同社のある幹部は「初めてロジザードPlusに触れた時は、倉庫で必要な機能が全部そろっている!と感動しました」と振り返ります。
「まだ会社を立ち上げて間もないころで、SKU(在庫管理上の最小の品目数を数える単位)が多い商材を扱う荷主様が多かったので、これは便利でいいと思いました」。エクセルからシステムへの移行による効果を実感したそうです。
クラウドWMS「ロジザードZERO」
現場業務の効率化を支援する在庫管理システム。ロジザード株式会社をはじめとする先駆的な事業者に続いて、様々な業界から多数の企業が参入し、独自の強みを生かしたシステムを次々と物流業界に提案する動きが加速しています。それだけ物流業界には業務改善に向けた需要があると、市場から評価されているのでしょう。
とはいえ、導入を検討する事業者は、数多くの在庫管理システムが存在するなかで、自社の現場が抱える課題の解決に最も適したサービスを選択する必要があります。一定の投資をするわけですから、しっかりと課題を分析して現場で有効に活用できるシステムを見極めましょう。ここでは、こうしたシステム選定のポイントをまとめます。
まずは、自社の課題や業界に合った在庫管理機能があるかどうかをチェックしましょう。自社の業種や商材に特化した在庫管理機能の有無がポイントになります。例えば、アパレル業界であればサイズや色など細かいジャンルごとの商品管理が必須でしょう。
また、在庫管理に必要な外部システムと連携できる機能も重要です。在庫管理システムを外部のシステムやアプリケーションと連携できれば、出荷や販売に関する業務がよりスムーズになります。特に販売管理システムは、在庫管理と密接に関わっています。
さらに、システムの運用面で見逃せないのが、在庫情報の登録・管理の簡便さです。基幹システムと連携して取り込める機能があれば、情報を管理しやすくなります。検品や棚卸の効率化には、ハンディターミナルに対応するシステムが適しています。
複数の倉庫や店舗を持つ企業では、多拠点の在庫管理に対応できるシステムが有効でしょう。システムによっては登録できる拠点数やユーザー数に限りがあるものも存在します。インターネット環境があればどの拠点からでもアクセスできるクラウド型の在庫管理システムは、多拠点の在庫管理に適しており、注目されるようになっています。
在庫管理業務におけるエクセルからシステムへの移行をスムーズかつ的確に進めるためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、導入に先立って取り組むべきことを整理してみましょう。
まずは、現場における課題認識の明確化です。エクセルによる在庫管理に限界を感じているとしても、「システムの導入により具体的にどんな点が改善できればよいか」という部分を明確にしておく必要があります。
ヒューマンエラーの多発、リアルタイムでの数値把握、業務の効率化――。エクセル仕様の在庫管理業務が抱える課題は、その現場や業種などによって様々です。もちろん、在庫管理における一般的な課題認識を踏まえてシステムを選定しても、一定の効果は期待できますが、企業が投資に踏み切るからには、その現場特有の課題と解決策を明確にすることで、より実務的な業務改善につながるでしょう。
課題認識を明確化したら、導入するシステムの選定に進みます。予算の他にも、現場のITテラシーも考慮した選択が欠かせません。通常業務で活用するシステムを選ぶのですから、使いやすく管理しやすい仕様が適しているのは言うまでもありません。
導入テストを踏まえて本格運用に入ると、予想していないトラブルや困りごとが起きることもあります。こうした場合に、迅速に対応してもらえる事業者であれば、業務への影響を最小限に抑えることができます。導入後のサポート体制は、しっかり確認しておく必要があります。
ロジザード株式会社は、20年以上にわたってWMSを展開しています。その成長の背景にあるのが、徹底したサポート体制です。導入から稼働、運用といった一連の流れの中で、それぞれお客様担当チームとサポート専任チームが、365日様々な対応を受け付けています。
システム販売のビジネスと言えば、かつては「システムを納入したら終わり」というスタイルも多く見受けられました。しかし、システムの機能進化や顧客ニーズの高度化・多様化、さらにはシステム提供事業者の競合激化といった事業環境を踏まえると、導入後のサポート体制の手厚さが付加価値になる時代になった、とも言えるのではないでしょうか。
在庫管理にお悩みの方
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バーコードで在庫を管理するので、正確な在庫情報を蓄積し、リアルタイムに確認ができます。
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このコラムでは、在庫管理業務の効率化について、エクセルからシステムへの移行という観点でご紹介してきました。紙での対応からエクセル管理、さらにシステムによる最適化へ。サプライチェーンの要である在庫管理の効率化・最適化が叫ばれる中で、エクセル管理のメリットとデメリットを検証した上で、システムの有効性を考えることで、物流業界全体のDXの効果を最大化できるのではないでしょうか。在庫管理現場の課題を改めて認識することで、サプライチェーンの持続的な機能強化を進めていく必要があります。