COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/12/25 EC・通販事業者システムメーカー・製造業運輸業・倉庫業(3PL事業者)

パッケージ型WMSとは?導入メリット・デメリット、選び方まで徹底解説!

パッケージ型WMSとは?

物流業務の効率化・最適化を促すシステムと言えば、最初に思いつくのがWMS(倉庫管理システム)でしょう。1970年代に汎用コンピューターによる基幹システムの登場に合わせて生まれたWMSは、それから半世紀にわたって、物流を取り巻く環境の変化に対応してきました。
近年では、社会に不可欠なインフラである物流機能の強化を図る観点から、WMSの種類も多様化しており、その一例がパッケージ型WMSです。ここでは、パッケージ型WMSの導入メリットや、サービスの選択のポイントについて解説します。

パッケージ型WMSとは?

パッケージ型WMSの定義と特徴

パッケージ型WMSについて話を進めるにあたり、最初にその定義を明確にしておきましょう。ここでは、「倉庫管理に必要な基本機能が既に搭載され、パッケージ化されたWMS」と定めます。

入出荷や在庫保管、棚卸といった、物流倉庫における在庫管理の基本的な業務を支援するWMSは、「スクラッチ型」と「パッケージ型」の大きく2種類にわけられます。

「顧客の要望に合わせて一から開発する」のがスクラッチ型であるとすれば、「製品として完成した状態で販売されている」のがパッケージ型と言えます。パッケージ型WMSは、倉庫管理業務に必要な機能があらかじめ搭載されており、導入後は必要に応じて自社の業務内容に合わせた機能の追加やカスタマイズをしながら活用していくのが一般的です。

充実した機能

パッケージ型WMSは、標準機能の中に、マテハンやロボット、外部システムとの連携といった機能が搭載されているものもあります。それにより、さらなる現場業務の改善効果を期待できます。

WMSと連携してマテハンやロボットを稼働させれば、入出荷や仕分け、ピッキングなどの業務を自動化することができ、倉庫内の業務の効率化・最適化を実現することができるのです。

他のシステムとの連携による機能拡大も、パッケージ型WMSの優位性です。自社で使っている基幹システムとWMSを連携させることで、基幹システム上の在庫数とWMS上の在庫数が連携し、倉庫業務をスムーズに管理する仕組みができるというわけです。

さらには、WMSを使って蓄積したデータを分析することで倉庫業務の課題を抽出し、解決策の立案につなげることも可能になります。

倉庫内の商品を出荷数や在庫数、コストといった指標でランク付けして分類することで、売れ筋商品の把握や適正な在庫管理に役立てることができます。また、従業員の労働生産性や在庫回転率、作業コスト、ミス発生率といった指標を数値化して可視化すれば、業務の課題が明確になり、具体的な目標を設定して解決につなげることができるでしょう。

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パッケージ型WMS導入のメリット

コスト削減:導入費用を抑え、短期間で導入可能

ここからは、パッケージ型WMSの導入メリットとデメリットを検証します。まずは、メリットについて見ていきましょう。

パッケージ型WMSを導入する企業が増えている理由として最初に挙げられるのが、コスト面での強みでしょう。パッケージ型WMSはすでに製品として完成していることから、スクラッチ型と比べて開発にかかるコストを抑えることができます。

このパッケージ型WMSのコストメリットを最大化したい場合は、クラウド型で利用するのがよいでしょう。インターネット環境があればすぐに利用できるクラウド型を使えば、費用を抑えて導入でき、自社でサーバーを持つ必要がないので管理も不要です。

業務効率化:標準化された機能を活用

パッケージ型WMSは、すでに完成した形で提供されるサービスであることから、標準化された機能をそのまま活用できる点も、大きなメリットと言えるでしょう。基本的な機能がそろった状態で提供されるため、導入に向けたストレスもなく、スムーズに活用できるのは心強いポイントになります。

すでに開発されているシステムであることは、導入までの期間が短縮できる利点もあります。自社に必要な機能を追加で開発する場合でも、必要部分だけの工数で済むので、スクラッチ型と比較しても圧倒的に短納期であるのが一般的です。

柔軟性:カスタマイズ可能なパッケージ型WMSも存在

カスタマイズして機能を追加できるということは、柔軟性な対応力があると言えます。必要な要素を標準機能に追加することが容易なパッケージ型WMSであれば、より現場の課題を反映したシステムの構築ができるというメリットがあります。

ミスマッチを軽減:他社の事例を参考に比較検討

パッケージ型ということは、導入している企業はそのWMSに搭載されている機能を使っているということです。様々なサービスや製品比較サイト調べることで、すでに導入している企業の事例を参考に、自社に適しているかを検討することができます。導入事例やユーザーの声をもとに自社業務に最適なシステムを選ぶことができるため、自社に合わないといった導入リスクを軽減できるのも、大きなメリットになります。

最新技術への対応:クラウドなら常に最新の機能が利用可能

最後に、常に最新の機能を利用できる利点もご紹介しておきます。従来のパッケージ型WMSは「買い取り型」と言われるもので、その時点での最新の機能に自社向けの独自カスタマイズを加え、システムとしては独立して存在する形式でした。その場合、独自カスタマイズの自由度が高い代わりに、後のバージョンアップでパッケージに追加される新機能は適用されないことがほとんどでした。しかし、近年ではサブスクリプションモデルのクラウドサービス型WMSも増えてきました。パッケージ型かつクラウドサービス型のWMSであれば、独自カスタマイズをした場合でも定期的にバージョンアップが行われているので、新機能の追加やWMS市場トレンドの変動要素にも対応が可能です。

言い換えれば、常に最新の機能を搭載した形で、WMSを運用できるため、現場の業務環境をいつも最適な形にしておくことができるのです。


パッケージ型WMS導入のデメリット

カスタマイズの制限:一部機能のカスタマイズが難しい場合も

パッケージ型WMSは、既存の機能をベースにしたシステムであるがゆえに、デメリットも存在します。カスタマイズの自由度については、一部の機能についてスクラッチ型と比べて制限されることもあります。 自社の業務フローに合わせた細かな機能の変更や追加が難しいケースもあるため、事前に自社の業務要件に合致するかを十分に確認する必要があるでしょう。

また、パッケージ型WMSは多くの企業に適用できるように設計されているため、すべての機能が自社の業務に必要とは限らないこともあります。不要な機能がある場合は、無理に使おうとせず、必要な機能のみを使うことで、自社の業務に合わせた活用ができます。

他システムとの連携:既存システムとの連携に課題がある場合も

先ほど、パッケージ型WMSの機能として、既存システムとの連携効果について触れました。とはいえ、こちらもシステムによっては、うまく連携できないケースも一部で存在します。他システムとの相互連携におけるミスマッチが発生しないよう、自社で使っているシステムとの連携実績があるか事前に確認しておくとよいでしょう。

こうした観点を踏まえて、パッケージ型WMSを導入する際は、選定基準が非常に重要になってきます。自社に最適なWMSをどう選べばよいのか、選定時の主なポイントについて次項で解説します。


パッケージ型WMSの選び方

規模や業種に合ったサービスを選ぶ

最も重要なポイントは、自社の倉庫の規模や業種に適合するかどうかを確認することです。小規模倉庫向けのシステムでは、大規模倉庫に対応しきれないことがあります。一方で、大型倉庫向けのシステムの場合は、小規模事業者にとってオーバースペックとなり、コストや運用面で無駄が生じるおそれもあります。

業種によって必要となる機能やプロセスも異なるため、業界特有の要件への対応ができるか確認しておく必要があります。

ベンダーのサポート体制の確認

システムを継続的に運用していくにあたって、導入後のサポート体制の充実度は重要な判断ポイントです。システムの仕様確認が必要な際や、現場でトラブルが発生した場合に、迅速かつ的確に対応しているベンダーのサービスを選択するのがベストです。

あわせて、サポート体制が電話やメールで対応しているのか、チャットのみなのか、またサポート費用も選定時にしっかり確認するようにしましょう。こうした条件面を契約時に明確化することで、ベンダー側との信頼関係を深めることができます。

使いやすさ

システムの使いやすさも重要なポイントです。どれだけ機能が充実していても、現場での使用感が悪いものだと、システムを導入しても十分に効果が発揮されません。そのため、直感的に操作できる仕様であるか、現場スタッフが扱いやすい画面遷移になっているかを確認することが重要です。

ここで大切なのが、現場の誰にとっても使いやすいシステムであることです。 せっかく導入したシステムが特定のITリテラシーの高いスタッフにしか使えない仕様であった場合、操作方法を習得できず、結果として使いこなすことができなくなってしまうケースもあるのです。

費用対効果を考慮する

パッケージ型WMSは、WMSの中でも容易に導入できるシステムであるとはいえ、企業にとっては決して小さくない投資であることには変わりありません。費用に見合った効果を期待するのは、事業者として当然のことでしょう。

コストパフォーマンスを最大化させるために取り組むべきことは何か。それは、現場の課題認識の明確化です。具体的にどんな課題があるのか、その背景の要因は何か、本質的な要素を見逃していないか――。様々な視点から検証することで、課題の本質を抽出し、それを解決する取り組みとしてシステムを選ぶことが重要です。 それは、自社に必要なWMSの機能を見定めるプロセスでもあります。

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パッケージ型WMS導入の成功事例

システム連携がスムーズ、手厚いサポートで導入効果を実感

コンピューター機器を中心とした各種商品の企画・製造ならびに卸販売を手掛ける企業は、3PL(荷主の物流業務を受託する)ビジネスへの参入をきっかけに、パッケージ型WMS「 ロジザードZERO 」の導入を決定しました。

以前は、パソコンの製造過程に合わせたWMSを自社開発して在庫管理をしていましたが、メンテナンス性などを考慮すると常に最新の状態で使えるクラウドのパッケージ型WMSを導入する利点は大きいと判断したとのことです。

CSV(項目をカンマで区切り列挙したテキストデータ形式)で周辺システムとの連携が可能なことが大きなポイントとなり導入し、WMSとの連携がうまくいくかどうか最初は不安だったものの、ベンダーの充実したサポートで無事につなぎ込むことができたそうです。

運用したばかりのころは、ベンダーのSEに導入サポートを依頼していましたが、理解しやすいマニュアルを用意していただき、自社の社員で対応できるようになったとのことで、こういったサポート体制も継続的なパッケージ型WMSの活用の利点であると言えそうです。

物流センター新設を機に導入を決断

四国を中心に、学校や病院などへ直接配送する食品卸業を展開する企業は、業容拡大と配送機能の効率化を図る観点から、物流センターの新設を機にパッケージ型WMS「 ロジザードZERO 」の導入に踏み切りました。

従来の倉庫運用はアナログ管理でしたが、小規模な倉庫ならまだしも、広さや取扱点数が拡大した新しい物流センターでは手作業では配送が追いつかず、業務の属人化が進み、出荷作業の負担が増えたことから、作業効率の悪化や誤出荷をなくすための業務改善が課題だったそうです。

WMS導入による業務改善が急務となり数社に問い合わせて商談を進める中で、最もレスポンスが早く、パッケージ型の標準機能で対応できるように希望に沿った提案をしてくれたベンダーを選ぶことに。 その結果、かつて月間30件もあった誤出荷が大幅に減少し、「『誤出荷をゼロに』という意欲が現場から出ているとのことです。作業効率も劇的に改善され、1人当たりの作業時間も、必要な作業人員数も、導入前の約半分に削減できたそうです。

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まとめ

このコラムでは、パッケージ型WMSに焦点を当てて、その効果や選定ポイントについて解説してきました。倉庫業務の効率化は、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の柱として、サプライチェーン最適化の重点施策に位置付けられています。こうした機運を高める手段として、より効率的な導入が可能なパッケージ型WMSの存在意義は、今後さらに大きくなっていくことでしょう。

導入にあたっては、そのメリットとデメリットを慎重に判断しながら、現場の課題認識を踏まえた最適な選択をする必要があります。社会に不可欠なインフラである倉庫機能の充実を図るためにも、パッケージ型WMSの機能性の認知がさらに広がればと考えます。