COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/12/26 EC・通販事業者システムメーカー・製造業

物流コスト削減のための在庫管理システム活用法

物流コスト削減のための在庫管理システム活用法

少子高齢化や職業選択の多様化、さらに「物流の2024年問題」を機に顕在化している人手不足。その一方で、新型コロナウイルス禍で急速に進んだ、店舗からネットショッピングへの消費スタイルの変化による、宅配便の取扱量の急増。こうした要因から、物流現場における課題となっているのが、物流コスト削減への対応です。今回のコラムでは、物流コスト削減の必要性とその対策について考えます。

物流コストとは?

物流にかかる主な費用

物流コストの在り方について考える前に、まず物流現場ではどのようなコストがかかるのかを整理しておきましょう。物流を機能させるために必要な費用とは、いったい何なのか。ここでは、「輸送費」「荷役費」「保管費」「管理費」「人件費」の5項目に分類して考えます。

まず輸送費は、商品を運ぶ際にかかる運賃を指します。一般的に、企業における物流コスト全体のおよそ半分を占めており、費用負担が最も大きくなります。荷物を自社で運んでいる場合は、燃料費や高速道路などの通行料金、駐車場の使用料金などが必要になります。トラックなど輸送車両を他社から借りている場合は、いわゆるチャーター費用が発生します。

荷役費は、荷物の積み下ろしや倉庫への出し入れといった荷役作業にかかる費用です。商品の入出荷や積み下ろしに加えて、ピッキングや仕分け、流通加工にかかる費用も含まれます。荷役費は、こうした荷役作業にかかる工数の多さや作業時間に比例するのが一般的で、倉庫内の業務の効率化が進んでいるほど、物流コスト全体における荷役費の割合が低くなる傾向にあります。

商品の注文を受けてから輸送先に届けるまでの間に、倉庫などで一時的に保管しておく際にかかる費用が保管費です。自社で倉庫を持っている場合は、建物や関連機器の購入費、維持費を負担します。他社の倉庫を賃借している場合は、賃貸料や管理費が発生します。他にも、冷凍・冷蔵など特別な保管手段が必要な商品であれば、電気代や関連機能の使用料がかかります。在庫を多く抱えるほど大きな倉庫が必要になるため、より多くの経費を負担しなければならない点にも、注意が必要でしょう。

さらに、パソコン端末や各種システムの導入費・運用費や通信費など、倉庫内の在庫や受発注の情報を管理できるシステムを使っている場合にかかる管理費、また物流管理業務に携わる従業員を雇っている場合の人件費も、物流コストの対象です。システムによる倉庫内業務の自動化が進んでいるほど人件費が抑えられる一方で、システムの管理費は増加することから、自社の現場ではどちらに比重を置いて対応すべきか、十分に検討する必要があります。


なぜ物流コストの削減が必要なのか

物流コストが企業に利益をもたらす取り組みとは

今、物流機能の最適化を経営戦略の重要課題とする企業が増えてきています。地震や水害といった自然災害が相次ぐ中で、事業継続計画(BCP)の重要性の高まりに加えて、宅配を含めた消費トレンドの多様化におけるサプライチェーンの変化の加速が、大企業を中心に進んでいることも背景にあるようです。

とはいえ、事業で生み出した収益を持続的な成長投資に活用したいのも、企業の経営者としては当然の判断でしょう。それを踏まえると物流コストの削減、つまり効率化は、企業にとって重要な施策であるということになります。

物流機能の充実を図るには、物流コストの負担はどうしても必要です。自社で対応できない業務を外部リソースで賄うのも、もちろん必要な施策と言えるでしょう。大切なのは、「限られたコストで物流機能の最大化を図る」ための施策をどう構築するか、なのです。

物流コストを削減できる取り組みとは

それでは、物流コストを最適化し、物流機能の最大化を実現するためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。その実現に向けた4つの施策をご紹介します。

まずは、「拠点の集約」、つまり自社所有または賃借している複数の倉庫をまとめることです。数多くの拠点を構えていると、それだけ倉庫の維持管理費がかかり、物流コストが上がります。拠点を集約させることで、倉庫の管理費やレンタル料、倉庫作業員の人件費を抑えられるほか、輸送費の削減も可能になります。しかし、集約することで配達先への送料やリードタイムが増えてしまうリスクもあるため、最適な拠点の配置を検討する必要があります。

続いて、「作業の効率化」です。現場の作業フローの中で、非効率的なフローを改善します。 業務をマニュアル化してスタッフの負荷を平準化したり、倉庫のレイアウトを変更して効率的な動線を確保したりするなど、小さな改善を積み重ねることで作業時間を削減して人件費の削減につなげましょう。

物流業務の全てや一部を外部に委託する「アウトソーシング」も、物流コストの削減に有効な施策です。企業で雇用する従業員数が多いと、出荷件数に関係なく固定の人件費がかかってしまいます。他社へのアウトソーシングをすることにより、業務品質を落とさず人件費を削減できます。特に出荷量に大きな波動がある場合には、アウトソーシングを活用した業務設計が有効になります。

最後に、物流業界における業務効率策として注目されているのが、「システムの活用」です。倉庫管理システム(WMS)や配送管理システム(TMS)などの導入により現場業務を自動化し、物流管理業務の生産性・正確性を高めるとともに、人件費をはじめとする固定費の削減にもつなげることができます。

中小企業における物流コストの現状

企業における物流コストに対する考え方は、その規模によって異なるのが現状です。大企業の場合は、先ほど説明したように、物流機能の効率化に向けたコスト負担を進める動きが大切になってくるでしょう。一方で、中小企業や個人事業者の場合は、事情が異なります。

収益規模が小さく投資の余力がない中小企業の場合は、物流コストの捻出をどうしても後回しにしなければならない傾向があります。荷主として、輸送事業者と料金などの契約を交渉するにしても、物流コストの負担軽減について理解を求めるのは難しいのが現実でしょう。

一方で、物流コストは膨れ上がる傾向にあります。燃料価格や人件費の高騰、さらには、物量の増加に対応するための設備投資など、数えればきりがありません。

物流機能の拡充を図る必要性を認識しながらも、上昇する物流コストの対応に苦戦している――。それが中小企業の多くの経営者が直面する課題なのです。裏を返せば、一定のコスト負担で最大の効果を発揮できる手法が求められているのです。

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在庫管理システムが物流コスト削減に貢献

在庫の可視化と精度向上によるコスト削減

ここまで、物流コストにかかる企業の課題認識について説明してきました。ここからは、具体的な物流コスト削減の対策について、在庫管理システムの導入に焦点を当てながら、考えていきましょう。

今、物流機能の最適化を図ることで、企業価値のさらなる向上を実現しようとする機運が高まっています。こうした動きの中で、企業が物流現場への導入を進めているのが、「在庫管理システム」です。

そもそも在庫管理システムには、どんなシステムなのでしょうか。それを定義するならば、「商品の入荷から移動、出荷までの情報を管理するシステム」となります。商品在庫の状況を「可視化」することにより、過不足なく管理することで在庫の精度を高め、結果としてコストの削減につなげる――。それが在庫管理システムの活用による物流コストの削減策なのです。

在庫管理システムによる作業効率の改善

在庫管理システムは、物流現場における作業をどう改善することができるのでしょうか。ここで、在庫管理システムの基本的な機能をまとめます。

在庫管理システムで物流機能を効率化する対象となる業務は、「保存場所や取引先などを含む各商品の情報」「入出荷にともなう在庫変動」「倉庫間の移動記録や、賞味期限や先入れ先出しなどの運用」「入出荷商品と伝票の整合性の確認」「在庫データと実際の在庫数の照合」「過去の入出荷データや現在の在庫データの分析」など、多岐にわたります。

他には、基幹システムや受注管理システムなどと連携して、在庫管理だけでなく、受注から出荷までを一括管理することもでき、在庫管理にかかるあらゆる作業の効率化・最適化を実現できるシステムとして、物流現場での普及が進んでいるのです。

リアルタイムデータによる適切な在庫管理とコスト削減

在庫管理システムが人間の手作業と大きく異なる点として挙げられるのが、「リアルタイムでの可視化」です。クラウド型の在庫管理システムであれば、データを瞬時に反映して可視化することができます。

こうしたリアルタイムでの在庫の可視化は、在庫管理業務の最適化をもたらします。在庫を引き当てたら即時に在庫数に反映されるので、「あると思って受注したら欠品していた」といったトラブルを防ぐことができ、トラブル対応にかかっていた時間も不要になります。また、在庫が減ってきたらすぐに確認して発注ができるので、迅速で精度の高い在庫発注が可能になり、結果として物流コスト削減に貢献します。

物流現場における取扱量の増加が顕著となる中で、過不足なく適正在庫の管理ができる点で、在庫管理システムはその機能が注目されているのです。


在庫管理システムの活用メリットと導入ステップ

物流業界で再認識される、在庫管理システム導入の3つのポイント

このように、在庫管理システムは、企業における物流コストの削減に大きく貢献します。初期投資はもちろん必要ですが、それを回収できるだけのコストメリットがある可能性が高いからです。その根拠となるのが、「在庫状況の可視化による在庫の最適化・適正化」「棚卸作業の効率化・標準化」「データに基づいた企業の意思決定の精度向上」の3つのポイントです。

先述したように、在庫管理システムはクラウド型であれば正確で迅速な在庫状況がリアルタイムに確認できるとともに、複数拠点による在庫管理にも効果を発揮します。複数拠点に散らばっている在庫データを一元管理でき、現場にいなくても在庫状況の確認ができるため、スムーズに管理することができます。また、企業全体の在庫状況をリアルタイムに把握できるので、在庫の余剰や欠品を防ぎ、常に適正な在庫を維持できるようになります。

さらに、データを活用すれば、過去の出荷数や現在の在庫数から、適切な仕入時期や個数を予測できます。商品ごとの販売予測によって、売れ筋商品の欠品による販売機会の損失や、回転の悪い商品による倉庫の圧迫も防げるのです。

また、ハンディターミナルなどの端末を用いて簡単に在庫数の確認やデータ登録ができるのも、在庫管理システムのメリットです。作業の自動化によって正確性が高まるほか、転記作業の手間も省けるため、棚卸作業を効率化できるのです。

こうしたメリットを反映して、企業の経営者は、より正確な在庫データを確認することができるため、的確な意思決定ができるようになります。それにより、企業の価値向上と持続的成長にも貢献できるでしょう。まさに「物流の最適化が企業価値を決する」のです。

在庫管理システム導入における成功のためのステップ

ここまで、在庫管理システムの活用メリットについて解説してきました。在庫管理システムは、普及が進んでいるゆえに、業界を超えた様々な事業者が参入し、それぞれ強みとなる機能を搭載したシステムが存在します。

こうした中で、自社に最適なシステムを選ぶには、事前の準備が欠かせません。ここでは、導入に成功するためのステップを紹介します。

まずは、現場における課題の正確な認識です。コスト面を含めて、在庫管理における現場の課題点を抽出し、その解決に必要な対策を検討します。人手不足や作業時間の長さなど、起きている具体的な現象の裏に潜む問題点を追究することで、より効果的な解決策を打ち、自社に合ったシステムを選定することができます。

先に説明したとおり、システム選定には、課題認識を明確化した上で、自社が必要とする機能を把握ことが重要です。さらに、「必要な機能が搭載されているか」「使いやすいシステムか」「カスタマイズできる柔軟性のあるシステムか」「セキュリティは万全か」「システムの拡張性は高いか」といったポイントも重要です。

こうしたポイントは、長期的に現場で活用できるシステムであるかどうかを判断する基準となるものです。いくら高機能であっても、仕組みや操作が難しく使いこなせないようであれば、現場業務の効率化につながりづらいでしょう。また、外部からの不正アクセスなどシステムの堅牢性についても、BCPの観点から十分に配慮する必要があります。


成功事例と具体的な成果

業界別の成功事例~業務効率化への貢献~

在庫管理システムを導入した企業は、物流コスト削減をはじめとするメリットをどのように実感しているのでしょうか。クラウドWMS「 ロジザードZERO 」を広く展開し、様々な物流課題に対応しているロジザード株式会社の取り組みを例に、紹介します。

ロジザードZEROによる在庫管理や検品業務の最適化を実現した、あるスポーツアパレル関連企業は、色やサイズバリエーションが多岐にわたり、膨大な管理業務の効率化に課題を感じていました。

それを踏まえて、データの取得や管理、追跡に便利なRFID(電波を用いてICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術)機能を搭載したロジザードZEROの導入により、約3万点の入荷検品をわずか2日で完了させることができました。

また、カラーコンタクトレンズのEC(電子商取引)ビジネスを展開する企業は、在庫管理における商品の数や種類のずれをなくすためにロジザードZEROを導入。企業の担当者は「出荷検品の課題が解決され、在庫差異も減ったことで出荷後の作業が楽になりました」と成果を語ります。

導入前は「1日の出荷が終わると後処理の業務があり、余った商品と注文者の引き当てを行い、残っている在庫が出荷漏れではないかと、毎日『数合わせ』をしていました。」と振り返ります。ロジザードZEROを入れてからは、毎日の数合わせは減り、当日出荷なのに出荷されてない注文の確認だけになったそうです。

クラウドWMS「ロジザードZERO」

導入事例はこちら
https://www.logizard-zero.com/cases/zero/

コスト削減効果の創出

こうした取り組みは、企業にとって物流コスト削減という具体的な成果を発揮しています。在庫管理システムは、従来の繁雑な業務を効率化するとともに、より限られたリソースでプラスの価値を作り出すことで、物流コストの削減、つまり有効活用を実現しているのです。

属人的な業務スタイルでなく、システムを活用した効率的な作業を実現することこそが、物流DX(トランスフォーメーション)の意義なのではないでしょうか。

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まとめ

このコラムでは、物流コスト削減という観点から、在庫管理業務の課題点とその解決策について考えました。物流機能に対する認識を重視する機運が高まる今こそ、物流コストの削減に向けた取り組みを加速するチャンスになるのではないでしょうか。

その実現に向けて、在庫管理システムをはじめとするシステムの活用が、大きな力になることは間違いありません。物流コスト削減に向けた取り組みで課題を抱えている方はシステムを導入することで、新たな可能性が開けるかもしれません。