COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
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最終更新日:2026/02/18 DXシステムメーカー・製造業在庫管理

メーカーが在庫情報をWMSでリアルタイム管理する理由

メーカーが在庫情報をWMSでリアルタイム管理する理由

メーカーの在庫管理は、ここ数年で大きく様変わりしています。
BtoB卸を中心にしていた時代から、いまでは自社EC、直販店舗、協力工場、サテライト倉庫など、在庫の流れが複数方向に広がり、管理対象も「完成品」だけでなく「部品・半製品・原材料」へと拡大しました。
その結果、在庫はこれまで以上に複雑に、そして"絶えず動き続ける資産"へと変化。基幹システムだけではリアルタイムで追いきれず、在庫差異や欠品、過剰在庫が生まれやすい構造になっています。
さらに多くのメーカーでは、営業担当が倉庫に来てサンプルを持ち出し、その場で記録されないまま在庫がズレていくという"現場あるある"も依然として残っています。一方、工場側では、細かな部品が工程間で頻繁に移動し、これも在庫精度を下げる要因になっています。
こうした背景から、メーカーの間で「在庫情報をリアルタイムで管理したい、複数のシステムにある在庫情報を自動でリアルタイムに更新したい」というニーズは急速に高まり、WMS(倉庫管理システム)への期待がこれまで以上に大きくなっています。

メーカーの在庫管理が複雑化している

従来のメーカーの在庫管理といえば、「生産 → 倉庫 → BtoB卸」という比較的シンプルな流れが主流でした。しかし現在、メーカーを取り巻く環境は激変しています。自社ECや直販店舗への参入、短納期を求める小売りからの依頼、協力工場や外部倉庫の活用などにより、在庫の流れはまるで複雑な血管網のように多方向へと広がりました。
もはや「在庫」は、静かに棚に眠る"完成品"だけではありません。工場ラインで動く部品、協力会社に預けた半製品、引当前の原材料、生産途中の小ロット品など、これらは常に"絶えず動き続ける資産"へと変化しています。ロットや期限、製番管理といった細かな要件も重なり、在庫はこれまで以上に複雑化しました。
この複雑さに追い打ちをかけるのが、現場特有の「ズレ」です。例えば、営業担当によるサンプル品としての在庫持ち出し。商談や展示会で急ぎが発生すると、在庫を直接持ち出す場面はどのメーカーにもありえる光景です。悪気はなくても記録が後回しになり、「メモに残しただけ」「誰がいつ持ち出したか不明」といった数個単位のズレが積み重なり、在庫精度は徐々に崩れていきます。

一方で、部品在庫の動きは完成品以上に複雑です。工程間の細かな移動、ライン脇での一時置き、協力工場との往復など、その動きは少量・高頻度で行われます。会計主体の基幹システム(ERP)は「確定した結果」を管理するのは得意ですが、現場の「動いている最中の在庫」をリアルタイムで追うことは想定されていません。
その結果、現場では在庫差異が発生し、生産計画の前提が崩れ、営業が誤った納期を回答したり、購買担当が不要な発注を行ったりする「連鎖的な問題」が組織全体に波及します。
在庫管理の複雑化は、もはや「倉庫担当者の悩み」ではありません。営業、生産管理、購買、協力工場、そして経営層に至るまで、組織全体で向き合うべき喫緊の課題です。"見えない動きの集合体"となった在庫をいかに可視化し、精度高く管理できるか。それは、現代のメーカーが競争力を維持するための重要な鍵となるでしょう。


基幹システムだけでは追えない"動く在庫"の課題

メーカーの在庫管理において、基幹システム(ERP)は欠かせない存在です。生産計画、購買、販売、出荷、在庫台帳管理といった複数システムに分散する「確定された実績」を一元管理する領域では、ERPは非常に優秀です。
しかし、そのERPだけでは追いきれないのが、メーカー特有の"動く在庫"です。ERPはあくまで「結果」を管理するシステムであり、現場で日々発生する"途中経過の動き"をリアルタイムで追跡することをメインの機能とはしていないでしょう。

メーカーの現場では、目に見えないほど細かい在庫の動きが毎日発生しています。

  • 工程間を行き来する部品
  • ライン脇での一時置き
  • 生産投入量の微妙な差
  • 協力会社との部材往復
  • 小ロットの中間品が工程をまたぐ

こうした動きはどれも日常的ですが、ERPにはリアルタイムに反映されません。
ERPが扱うのは「生産が終わった後」「移動が確定した後」という、集計することが目的の"後追いの世界"です。そのため、現場で起きているリアルタイムな動きとERP上の数値が噛み合わず、気づかないうちにズレが積み重なっていきます。

物流や生産管理の現場で最も多く聞くのが、「在庫が合わないけど、どこでズレたのか誰にも分からない」という声です。
これは、ERPに「結果」しか残らず、現場には「途中経過の記録」が残らないことが原因 です。工程間移動、協力工場からの返却、不良品の選別場所への移動など、いずれも現場では確かに発生している動きですが、ERP上ではその履歴が追えません。

その結果、

  • どの工程でズレたのか
  • どのロケーションでズレたのか
  • どの移動が記録漏れなのか

が特定できず、原因調査や棚卸に膨大な時間がかかります。
さらに厄介なのは、ズレが"完成品"と"部品"の両方で発生することです。販売チャネルの多様化で完成品のズレが起こり、生産工程の複雑化で部品在庫のズレが起こる
このふたつが同時進行で積み重なるのが、メーカー在庫の難しさです。

これらにより起こる在庫差異は、もはや倉庫担当者だけの問題ではありません。ズレは組織全体に広く深く影響します。

  • 生産管理:必要な部品量が誤り、生産計画が狂う
  • 営業:誤った納期回答で顧客の信頼に傷がつく
  • 購買:実際には不要な部品を"余分に発注"してしまう
  • 経営:正確な在庫資産が読めず、意思決定が遅れる

在庫が動くたびに記録されず、ERPの画面上には「何も起きていなかったかのように」見えてしまう。この構造が、メーカーにとって極めて大きな経営リスクになっているのです。


WMSでリアルタイム化すると何が変わるのか?

ここまで見てきたように、メーカーの在庫は「完成品の持ち出し」から「工程内の部品移動」まで、多種多様な動きが混在し、それが基幹システム(ERP)では追いきれない構造的な課題を生んでいました。
この"動く在庫"の全容を正確に捉えるための仕組みこそ、WMS(倉庫管理システム)です。
WMSは、倉庫だけでなく工場・協力会社・サテライト倉庫など、メーカーが抱える複数の在庫拠点と工程を"リアルタイムでつなぐ"ために設計されています。
ERPとは役割が異なり、ERPが「結果」を管理するなら、WMSは「動きそのものを管理するシステム」と言えます。
では、メーカーがWMSを導入すると何が変わるのでしょうか。


①現場で起きている在庫の動きを"その瞬間"に記録できる

メーカーの現場では、工程間の部品移動やライン脇の一時置き、協力工場との往復など、細かい在庫の動きが日々発生します。WMSではこれらを製品スキャンや画面上から記録でき、誰が・どこで・何を動かしたのかがリアルタイムに在庫情報として反映されます。
営業がサンプルを持ち出す場合も同様で、スキャンさえすれば在庫がリアルに更新され、記録漏れによるズレがなくなります。


②分散していた在庫を"一元管理"できる

メーカーの在庫は本倉庫だけでなく、部品庫、工場ライン周辺、協力工場、外部倉庫など複数拠点に分散しています。
WMSを導入すると、

  • どこに
  • 何が
  • いくつあるか

複数拠点にある在庫を一画面でリアルタイムに把握できるようになります。


③生産計画・購買・営業が"正しい在庫"を基準に判断できる

リアルタイムで在庫が見えると、

  • 生産計画:必要な部品がある/ないが即判断できる
  • 購買:過剰発注が減る
  • 営業:納期回答の精度が上がる

といった組織全体の判断精度が一気に向上します。
ERPの"後追いデータ"ではなく、WMSの"今この瞬間の在庫"を基準に意思決定できるようになるため、ズレによるムダが大幅に減り、在庫の適正化が進みます。

メーカーが抱える在庫のズレは、単なる"倉庫内の数字合わせ"ではありません。完成品の持ち出し漏れ、部品の工程間移動、協力工場とのやり取りなど、こうした現場の小さなズレが積み重なると、生産・営業・購買・経営といった組織全体の判断そのものが誤ってしまいます。
だからこそ現代のメーカーにとって重要なのは、「今、本当にどこに何があるのか」を正確に把握できる状態、つまりリアルタイムで更新される在庫管理体制の構築です。
リアルタイム化の価値は、在庫精度を上げることにとどまりません。

  • 生産計画が狂わない
  • 過剰発注が減る
  • 納期回答の精度が上がる
  • 協力工場の在庫が透明化される
  • 在庫資産が正確に把握できる
  • 営業・生産・購買が同じ数字で動ける

つまり、リアルタイムで正しい在庫が共有されることは、
組織全体の意思決定の"軸"を揃えるための仕組み なのです。
ERPの「結果データ」だけに頼っている限り、動き続ける在庫の実態は見えず、誤った判断が連鎖し続けてしまいます。
この構造を断ち切り、複雑化するメーカーの在庫課題を根本から解決する唯一の方法こそ、WMSを用いたリアルタイム更新の仕組み化なのです。


メーカーが在庫情報をリアルタイム管理する理由

メーカーが抱える在庫のズレは、単なる"倉庫内の数字合わせ"ではありません。
完成品の持ち出し漏れ、部品の工程間移動、協力工場とのやり取りなどこうした小さなズレが積み重なると、生産・営業・購買・経営の判断そのものが誤ります。
だからこそ、メーカーにとって大切なのは
「今、本当にどこに何があるのか」を正確に把握できる状態
です。

リアルタイム化の最大の価値は、
在庫精度を上げることだけではありません。

  • 生産計画が狂わない
  • 過剰発注が減る
  • 納期回答の精度が上がる
  • 協力工場の在庫が透明化される
  • 在庫資産が正確に把握できる
  • 営業・生産・購買が同じ数字で動ける

つまり、リアルタイム化は
組織全体の意思決定の"軸"を揃えるための仕組みなのです。
ERPの「結果データ」だけに頼っていた状態では、
動き続ける在庫の実態が見えず、誤った判断が連鎖しやすくなります。
これを断ち切る唯一の方法が、
WMSを用いた在庫情報のリアルタイム管理です。


まとめ:メーカーこそ"リアルタイム在庫管理"を武器に

メーカーを取り巻く在庫の流れはかつてよりも格段に複雑になっています。完成品が複数の販売チャネルへ流れ、部品は工程や協力工場を行き来し、現場では営業によるサンプル持ち出しのような小さな動きが日常的に発生しています。こうした動的な在庫の実態を正確に捉えられなければ、生産、営業、購買、経営のいずれも正しい判断ができず、企業全体のパフォーマンスに影響が及んでしまいます。
だからこそ現代のメーカーに求められているのは、「今、本当にどこに何があるのか」を誰もが共有できる、リアルタイムな在庫管理体制です。瞬間ごとの在庫が見える状態であれば、生産は必要な部品を前提に計画を組むことができ、営業は確実な納期を提示でき、購買は過剰在庫や無駄な発注を避けられます。経営層にとっても、正確な在庫資産を把握できることは意思決定の精度を高める大きな助けとなります。リアルタイム管理とは、単に在庫精度を上げる仕組みではなく、組織全体の意思決定の軸を揃えるための基盤なのです。
その基盤を支えるのが、倉庫や工場、協力会社を含む複数の在庫拠点と現場作業をリアルタイムでつないでくれるクラウドWMSです。メーカーの在庫は、部品・半製品・完成品が混在し、BtoBとBtoCが併存するなど、一般的な在庫管理よりもはるかに多様で複雑です。その複雑さを無理なく吸収し、現場の動きを正しくデータ化できるWMSがあってこそ、真のリアルタイム化が実現します。

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ロジザードコラム編集チーム

クラウド在庫管理システムを中心に、小売業や流通業の物流・在庫管理に関する情報をわかりやすくお届けする編集チームです。導入事例、コラム、ホワイトペーパーなどのコンテンツを通じて、物流現場の課題解決や業務改善のヒントを発信しています。現場視点を大切に、皆さまのお役に立てる記事づくりを心がけています。