COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
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最終更新日:2024/04/24 EC・通販事業者物流アウトソーシング

BtoCの流通加工を委託したい!物流業務の委託先倉庫を選ぶポイントとは?【2024年最新版】

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物流業務には、商品の入荷、保管、出荷等の業務以外にも、タグ付けやセット組みなどの「流通加工」と呼ばれる業務があります。物流倉庫では「付帯業務」とも呼ばれ、バーコード貼りやラッピングといった一般的なものから、返品された商品の再生・修理といった難易度の高いものまで、対応している業務はさまざまです。
自社物流から物流委託へ切り替えを検討しているEC事業者様やメーカー様は、「自社で行っている流通加工を物流倉庫に委託することができるのか」「自社と同じクオリティーで対応してもらえるのか」など、不安に思うこともあるのではないでしょうか。また、すでに物流委託をしている事業者様が委託先を変更する際も、現在と同等の対応をしてもらえる物流倉庫を探すことになるでしょう。
そこで今回は、物流倉庫に委託できる流通加工の種類や、委託する際のポイントについてご紹介します。物流業務の委託をご検討の際は、ぜひ参考にしていただければと思います。

委託先倉庫を選定する基準とは?【無料ダウンロード】

物流委託、物流アウトソーシングとは

物流委託(物流アウトソーシング)とは、メーカー様やEC事業者様が物流業務を外部に委託することです。物流業務を委託する形態を「3PL(スリー・ピー・エル、サンピーエル)」と言います。反対に、メーカー様やEC事業者様が自社のオフィスや自社倉庫で物流業務を行う形態を「1PL(ファーストパーティー)」と言い、「自社物流」と呼ばれています。 3PL事業者様へ物流委託をする一番のメリットは、物流に関するノウハウのない事業者様でも物流品質の向上が望めることです。近年、コロナ禍で物量が増えた事業者様が、物流業務を委託するケースが増えているようです。

物流委託については、こちらのコラムがおすすめです。

物流アウトソーシングのメリットとは?委託先倉庫選びで失敗しない方法をご紹介
https://www.logizard-zero.com/columns/outsourcing01.html


流通加工とは

流通加工とは、商品が生産されてから消費者に届くまでの過程で行う、商品の加工業務です。アパレル、食品、電化製品など、商材によって行われている流通加工はさまざまで、例えばタグ付けやラベル貼り、ギフト用の名入れ、組み立て、返品された商品の修理などが挙げられます。物流倉庫では入荷、保管、出荷などのメイン業務に付帯する業務であることから、「付帯業務」と呼ばれています。


流通加工の目的

商品の付加価値を高める

プレゼント用に購入された場合、同じ商品でもラッピングしてあるものと簡易包装のものでは受け取った人の印象が大きく変わります。また、ラッピング以外にも、メッセージカードや名入れを行うことで、「あなたへの特別な贈り物」として特別感を感じてもらうことができます

エンドユーザーの作業を軽減する

商材によっては、ネットショップで商品を購入後、届いてから使う前の組み立てに時間がかかったり、初期設定が必要だったり、手元に届いてからすぐに使用できないことがあります。
この場合、組み立てや初期設定が完了した状態でお届けすることで、手元に届いてすぐに使用できるため、エンドユーザー側で行う作業を最小限にすることができ、顧客満足度の向上に繋がります

業務を効率化する

一般的に、工場では商品を大量に製造することを得意とするため、細かい加工業務は不得意なことがあります。物流倉庫は商品が生産されてからエンドユーザーの手元に届くまでの間の立ち位置にあるため、物流倉庫で細かい流通加工を得意として請け負うことで、効率的に商品に加工をすることができます


流通加工を委託するメリット

本業に集中できる

流通加工を自社で行う場合、商品企画や販促活動などの本業に割ける時間がどうしても削られてしまいます。商品ページ作成や顧客対応など、ECを担当者されている方の業務は多岐に渡るため、流通加工を委託することで売上アップにつながる業務に注力することができます

人材確保・教育リソースの削減

流通加工を自社で行う場合、その業務に必要な人員の確保や、専用の機械を使う際は使い方の習得をするでしょう。そのため、仮に欠員が出ると、求人募集・採用からスタッフの教育が必要となります。流通加工を委託することで、スタッフの管理や教育を行う必要がなくなります

波動に耐えられる

流通加工を自社で行う場合、繁忙期に受注が増えることを見越して人員を確保しておく必要があります。流通加工を委託する場合は、3PL事業者様側で必要に応じて人員の調整を行います。また、作業費はかかった分だけ請求されるため、必要以上の人件費がかかる心配がありません。


委託できる流通加工の種類とポイント

物流倉庫では、入荷、出荷、保管といった業務以外にも、下記のような業務があります。

  • 梱包・包装:配送するために段ボールや箱に詰める
  • 封かん:封筒や袋に封をする
  • 丁合い:帳票などの種類・量・順番をそろえる
  • 員数確認・検品:数を数える
  • 名寄せ:同じ届け先の商品を1つにまとめる

更に、このような業務の他にも、さまざまな流通加工を物流倉庫へ委託することができます。しかし、流通加工は難易度が低いものから専用の機器や知識が必要で難易度が高いものまでさまざまなため、難易度によっては委託できる物流倉庫が多くない場合もあります。EC事業者様は、委託したい流通加工の難易度を事前に把握しておくことをおすすめします。

※以下の難易度は、ロジザードにて独自に判断のうえ記載しております。委託予定の流通加工の難易度につきましては、各3PL事業者様にお問い合わせください。

難易度低:クラウド倉庫やモール系のフルフィルメントサービスでは難しいが、3PL事業者様であれば委託できる可能性が高い

バーコード、ラベル貼り

バーコードラベルのように、同じ商品には同じラベルを貼る、といった単純作業は、クラウド倉庫やモール系のフルフィルメントサービスでも対応できる場合があり、事前に「商品の右下に必ず貼る」などの取り決めを行います。
シリアルコードなど単品ごとに異なるラベルを貼る場合や、化粧品成分のラベル貼り、ワインなどそのままラベルを貼りたくない商材など、少々特殊な依頼がある場合は、3PL事業者様にご相談することをおすすめします。

同梱物対応(チラシ、説明書、カタログ、ノベルティなど)

購入者全員に同じチラシを入れる、といった単純作業は、クラウド倉庫やモール系のフルフィルメントサービスでも対応できる場合があります。しかし、「この商品を買った人にだけこの説明書を入れる」「3回目に買った人にはこのノベルティを入れる」といった複雑な条件のもと同梱を依頼したい場合は、EC物流に対応している3PL事業者様にご相談することをおすすめします。また電化製品などの場合は、同梱する保証書への日にちの記入や押印を委託できる物流倉庫もあります。
※定期通販の場合は、同梱物のパターン設定ができるWMSを利用している物流倉庫であれば、同梱物の入れ間違いも低減されます。

同梱物管理機能について、詳細はこちら

https://www.logizard-zero.com/services/repeat/

ラッピング

クリスマス、バレンタイン、母の日・父の日などのギフト用ラッピングは、簡易的なラッピングであればクラウド倉庫やモール系のフルフィルメントサービスでも対応できる場合があります。しかし、クラフト包装を行う、専用・オリジナルのギフトボックスを使用するなど、包装資材を指定する場合はEC物流に対応している3PL事業者様にご相談することをおすすめします。

値札、タグ付け

特にアパレルは、商品に値札やタグを付ける流通加工が多いでしょう。商品に専用値札などをつけたい場合は、アパレルが得意な物流倉庫であれば委託できる可能性が高いです。

詰め合わせ(セット組み、アソート)

化粧品のスターターキットの作成、福袋の作成、お中元やお歳暮のセット組み・箱詰めなど、作業指示書に従って指定した商品をセット組みにする作業は、EC物流に対応している物流倉庫であればほとんど委託できます。

個別ビニール包装・フィルム包装

大きい袋で入荷した商品を小分けにしてPP袋(注1)で包装する、といった業務が必要な場合は、3PL事業者様にご相談することをおすすめします。また、シュリンク(注2)が必要な場合は、シュリンク機やキャラメル機といった専用の機械を導入している物流倉庫や、シュリンクの対応実績がある・得意な物流倉庫を探してみると良いでしょう。
(注1)PP袋:PP(polypropylene/ポリプロピレン)フィルムを加工した袋
(注2)シュリンク:透明なフィルムを商材の形に沿って収縮させて包装すること

エアキャップ包装(プチプチ)

割れ物の場合は、商品をエアキャップで包む、といった対応も物流倉庫に委託できる場合があります。また、ビンに入っている商品の場合は、慣れていないと割ってしまう恐れがあるため、過去に割れ物の取り扱い実績があるか3PL事業者様に確認しておくことをおすすめします。

難易度中:専用の機械や設備が必要だが、設備が整っている3PL事業者様であれば委託できる可能性が高い

贈答品の対応(のし)

のしを付ける場合は、のしやメッセージカードの印刷を行う必要があります。印刷するデータをPDFなどで物流倉庫に送って印刷を行う、専用のソフトを3PL事業者様側で使用するなど、どのような対応が可能かを事前に3PL事業者様に確認しておくことをおすすめします。また、商品にのしを掛ける業務については、正しくのしを掛けられるように、物流倉庫のスタッフの方に教育を受けていただく必要がある場合もあります。贈答品の対応実績なども確認しておくとよいでしょう。

プレス加工、プレス掛け

スチームアイロンやプレス機が必要ですが、アパレル製品を得意とする物流倉庫であれば委託できる可能が高いでしょう。短納期での大量加工が必要な場合は、機械の台数に限りがある場合もあるため、対応可能な数量を事前に3PL事業者様に確認しておくことをおすすめします。

検針

アパレルや靴など、針を使って生産される商材をお取り扱いの場合、検針の業務も物流倉庫に委託することができます。ローラー検針機、ハンド検針機、X線検査機など専用の機器が必要になりますが、アパレルが得意な物流倉庫であれば、委託できる可能性が高いでしょう。ただし、繊維にラメなどの金属類が入っていると正確に検出できない場合もあるため、事前に3PL事業者様にご相談しておくことをおすすめします。

厳しい品質検品

衣類のちょっとしたほつれやシミなどの汚れを確認する品質検品に比べて、虫眼鏡を使ってジュエリーなどの細かい商品の傷の有無を確認したり、輸入品の指輪のサイズが正しいかを確認したりする検品は細かい作業になるため、一般的な品質検品より難易度がやや高くなります。
また、例えば臭いといった写真に写せないものなど、人によって感じ方が異なる検品は、基準を設定することが難しいでしょう。臭いを数値化する機器を導入する、または「消臭剤を一定時間かける」といった、誰でも対応が可能な状態を作ることで、委託ができる場合もあります。
その他にも、中古品の目利き(売れるか売れないかを判断する)は検品項目やどこまでは許容範囲といった基準をマニュアル化して、3PL事業者様に共有し、対応してもらえるかご相談しましょう。

動作確認・通電確認

キャリーバッグのキャスターが問題なく動作するか確認する、といった動作確認や、電化製品の電源が問題なく入るか1台1台試す、といった通電確認を委託する場合は、どこまでは許容範囲、どのような場合は出荷してはいけないなど、3PL事業者様と事前に取り決めを行っておくことをおすすめします。

難易度高:専用の技術が必要なため、委託できる物流倉庫は多くない

手書きのメッセージ・お礼状代筆

購入いただいた際のお礼として手書きのメッセージを同梱する場合は、記入内容、入れる順番、使用する紙の種類などを明記した作業指示書を用意したうえで、委託できるかどうかを3PL事業者様にご相談すると良いでしょう。

名入れ

小物系であればレーザー刻印の機械、アパレル系であれば専用のミシンが必要になります。また、PCやミシンの操作ができる人が必要になるため、場合によっては物流倉庫のスタッフの方に教育を受けていただくこともあるでしょう。事前に、3PL事業者様に名入れ対応の実績や設備が整っているかを確認しておくことをおすすめします。また、ミスが発生した場合のことも考え、「何%のロスまでは容認する」といった取り決めを事前に行いましょう。

裾上げ(採寸・裁断)

アパレル製品の裾上げや裁断を委託する場合は、専用のミシンなどの機械や、物流倉庫のスタッフの方に操作方法の教育を受けていただくことが必要です。事前に、3PL事業者様に裾上げの対応実績や設備が整っているかを確認しておくことをおすすめします。また、ミスが起きるとロスになってしまうため、「何%のロスまでは容認する」といった取り決めを事前に行いましょう。

組み立て

パーツやネジなど組み立て前の状態で入荷した商品の、組み立て作業を3PL事業者様に委託する場合は、物流倉庫のスタッフの方に説明書を見ながら組み立ててもらう必要があります。作業にどのくらい時間がかかるかなど事前に共有し、必要な時間や人数などをイメージできる状態にしておくことをおすすめします。

補修、返品の再生・修理

アパレル製品のほつれやひきつれの補修、返品された商品の再生・修理業務、返却されたレンタル品が故障していた際の修理なども、委託できる物流倉庫があります。どのような修復作業が必要なのかを記載したマニュアルや作業指示書を作成のうえ、3PL事業者様にご相談しましょう。

真贋検品

真贋検品や資格が必要な業務は習得に時間がかかるため、委託できる3PL事業者様は比較的少ないでしょう。マニュアル化できるものかどうかを確認したうえで、業務が平準化できる場合は、そういった業務を委託できる物流倉庫を探してみると良いでしょう。

番外編:特殊な流通加工

食品の小分け

ホールケーキのカットやカニの足を分けるなど、1つのものを複数個に分ける業務を委託できる物流倉庫もあります。何等分にするのか、何gずつに分けるのか、作業指示書を作成のうえ3PL事業者様にご相談しましょう。

植物のメンテナンス

水やりや花が開きすぎないための温度管理、枯れてしまった葉の剪定(せんてい)など、植物のメンテナンスが必要な場合は、3PL事業者様にご相談のうえ、水やりの頻度や設定温度などの運用ルールをすり合わせましょう。

電子機器の初期設定

ソフトウェアのインストールなど、電子機器の初期設定を委託する場合は、手順を明確にしてマニュアル化し、3PL事業者様にご相談しましょう。

中身が見えない景品

ガチャガチャ等の中身が見えない状態の商品の場合、祭事の余り分などを物流倉庫で返品入荷すると、どの商品なのか判別がつかないため、3PL事業者様にご相談のうえ運用フローをすり合わせましょう。


委託先倉庫選びに迷ったら「ロジザード・マッチン」

クラウド倉庫やモール系のフルフィルメントサービスの場合、入出荷や保管といった基本的な物流業務は委託できますが、それ以外の流通加工といった付帯業務は委託が難しいでしょう。小回りのきく3PL事業者様であれば、特殊な業務や免許が必要な業務にも対応できるかもしれません。
ロジザードでは、完全無料の倉庫紹介サービス「ロジザード・マッチン」を提供しています。物流業務の委託先倉庫をお探しのメーカー様やEC事業者様に、最短1週間で平均3~4社の3PL事業者様をご紹介するサービスで、これまでに300社様以上へご紹介の実績があります。おすすめする物流倉庫は、取り扱っている商材や必要な流通加工によってさまざまです。委託先倉庫をお探しの際は、ロジザードまでお気軽にご相談ください。

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