COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

2021/11/01 3PL事業者・倉庫セミナー物流ロボット

ロジザード物流ロボットセミナー2021講演 AMRが巻き起こす物流革命~米国にみる多様な活用事例について~

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物流ロボットが、いよいよ3PL事業者にとっても他人事ではなく、導入検討のフェーズに入ってきていることを感じます。そんな中、ロジザードは去る2021年9月14日(火)に、『ロジザード物流ロボットセミナー』を開催。3回目となった今年は、ゲストに物流ロボットの第一人者でもあるGROUND株式会社 代表の宮田啓友様を迎え、先行する海外の物流DXの事例について伺いました。

宮田様は、物流ロボットの先駆者としてAGV、AMRの企画・共同開発や、自社開発したAIソフトウエアとの組み合わせによるソリューション提供など、物流領域におけるテクノロジーソリューションのスペシャリスト。世界の物流ロボットの開発状況や、すでに普及段階にある米国のロボット活用事例をお話しいただきました。

GROUND設立までの歩み

GROUND設立までの歩み

GROUND株式会社の宮田です。私たちは、ロボットをはじめとするハードウェアを日本のマーケットへローカライズするための研究・開発と、物流ロボットの企画や共同開発を行っています。AGVではインドのロボットメーカーが開発した「Butler(バトラー)」、AMRでは中国のロボットメーカーと共同開発した「PEER(ピア)」を提供しています。物流ロボットは特に米国では3年ほど先行しており、3PL事業者が1,000台以上のロボットを導入するなど、POCの域を超えています。今日は先行する米国の事例をご紹介しながら、日本の企業が導入に躊躇する、課題解決の一助となるお話ができればと思っています。

私と物流ロボットとのかかわりは、10年ほど前に出逢ったある人物がきっかけです。ボストン近郊のDevensに、クワイエット・ロジスティクス(Quiet Logistics)という3PL企業があります。ここでは、創業当初よりキヴァ・システムズ社が開発したAGV=Kivaのオリジナルモデルを活用して、徹底的に合理化した物流倉庫を運用していました。2011年当時、私はある企業の物流の責任者として、Amazonに対抗する物流インフラを構築するために、Kivaを熟知するクワイエット・ロジスティクス社と提携したいと考え、代表のブルース・ウェルティ(Bruce Welty)氏との交渉に臨んでいました。ところが2012年3月、Amazonは突如としてキヴァ・システムズ社を買収。我々の計画は頓挫し、クワイエット・ロジスティクスも数年のうちにKivaを使えなくなる事態に陥りました。

Quiet Logistics

その後私は起業し、ずっと思い描いていた新しいテクノロジーを使った物流インフラを構築しようと、2015年にGROUNDを創業。ブルースにメールを送り、自分の事業をスタートしたこと、新技術で物流を刷新していく意気込みを伝えました。すると、ブルースも「自分たちでロボット開発をする、Kivaとはコンセプトが異なるもので、Kiva以上の価値を世の中に提供したい」という返信が来ました。

それが、クワイエット・ロジスティクスからスピンアウトしたローカス・ロボティクス社(Locus Robotics)が開発した『ローカスロボット(以下、ローカス)』です。これは、AMRの草分けともいえる画期的な製品でした。ローカスを活用するクワイエット・ロジスティクス社は、今、世界で一番物流DXが進んでいるセンターだといってよいでしょう。非常に期待できる製品でしたので、私は日本での独占販売権の獲得を目指しましたが、日本の倉庫内でローカライズさせようとするとパフォーマンスが担保できないという課題などがあり、諸般の事情から断念せざるを得ませんでした。

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キャプチャ引用:https://locusrobotics.com/about-us/videos/

しかし、私はAMRに大きな可能性を感じたため、中国のロボットメーカーとパートナーシップを結び、2019年に国内向けのAMRを製品化しました。それが『PEER(ピア)※注』 です。2020年には、ダイアモンドヘッド社とDHL日本が共同運営するアパレル倉庫に、ピア30台を日本で初めて導入しました。物流施設内の作業オペレーションやレイアウトの大幅な変更をすることなく、 スピーディーかつ低コストで導入することに成功しています。ちなみに、ローカスは2021年6月に、米国のDHL現場に今後2年かけて2,000台を導入すると発表しました。桁が違いますよね。世界ではPOCのレベルを超えて、物流ロボットの大量導入が進んでいることがお分かりいただけると思います。

自律型協働ロボット『PEER(ピア)』と中国メーカーの共同開発スタッフ

注:『PEER』のネーミングには、人間とロボットがペア(P airing)を組むことにより、今までにない関係性や生産性が可能(E nabled)となり、 相互作用を創発(E mergent)させるロボティクス・システム(R obotics)へと進化する」というストーリーが込められている。


多様化するAMR

多様化するAMR

2021年現在、世界中で多種多様なAMRが開発され、メーカーも群衆割拠といった様相となっています。近年顕著なのが、製品の低価格化です。EVの恩恵ともいえますが、リチウムイオンの単価が下がり、大量生産が可能となったことが大きく影響しています。AMRのコストの大半を占めるのがバッテリーですので、リチウムイオンの価格が下がったことからAMRの価格も下がりました。これにより、投資の回収期間が短縮化されています。今後は、日本でも人件費の高騰が避けられません。さらにロボットへの投資の回収期間は短縮されると見ています。

AMRはピッキングのみならず、その前後の工程間作業にも応用が期待されています。様々な領域に拡大して、用途も多彩です。

Oasis

これは、GROUNDでも提供をしている中国のスタンダード・ロボッツ社(Standard Robots)が開発する『Oasis』です。AGVのように見えますが、固定のインフラや導線を必要とせずに自律走行する搬送用AMRロボットです。主にフォークリフトやハンドリフトの代わりとなり、バースから仕訳迄の運搬を担えます。可搬重量も600~1,200kgまでと豊富で、1,000万円以下で運用できるのが魅力です。

Vecna Robotics

こちらは、米国のベクナ・ロボティクス社(Vecna Robotics)の小型AMRです。ここでは、AMRがコンベアの代わりとして使われています。コンベアを設置しなくて済めば、倉庫内のレイアウトの自由度が飛躍的に高まりますので、今後こうしたAMRの活用は広がっていくだろうと考えています。2年前に訪れたある展示会では、ボイスレコーダー機能とAMRを連携して、コンベアなしに商品が工程間を移動する、興味深いデモンストレーションを見ました。

車を牽引するAMR

これは、ポルトガルのロボットベンチャーが開発したかご車を牽引するAMRで、工程間の搬送に使われています。400kg程度の牽引が可能で、ユニークなのは土台はセグウエイを応用しているところです。ベントレーの製造現場では、無人で障害物を避けながら、重量がある部品の工程間搬送を行うなど、実用化が進んでいます。


WESとの連動でAMRはさらに進化する

このように、米国ではAMRが様々な用途で当たり前のように使われています。物流ロボットはすでに普及段階にあり、日本でも投資対効果は十分に図れると思います。これからは、AIを活用したシステムもスタンダードになります。日本ではまだ認知がほとんどない倉庫実行システム:Warehouse Execution System(基幹システムなどから情報を統合・管理し、物流施設全体を可視化するとともに、作業効率化につながるさまざまなシミュレーションや提案も行うシステム)は、商品在庫の配置やリソース(人、ロボット、マテハンなど)配分の最適化、作業進捗の可視化やエラー検出など、より効率的な倉庫運営が期待できます。AMRはさらに進化していくとみています。当社はこれを見越し、WESをいち早く自社開発し、物流施設統合管理・最適化システム『GWES(ジーダブルイーエス)』として、2021年8月に提供開始ししています。

『GWES』は、ミドルウェアとなる共通データ基盤、そしてAIを適用した各種機能モジュール群から構成され、メーカーを問わず、様々なハードウェア(マテハン・ロボット)やソフトウエアとシームレスに連携することによりデジタル化を推進し、物流施設全体の最適化や可視化を実現する汎用性・拡張性の高いパッケージシステムです。ロボットは部分最適の役割を担いますが、AMRなどのロボットを最大限活用するためには、GWESのようなAIシステムと連携させ、データを分析、シミュレーションすることにより、可視化や合理化を図ることが重要になります。

物流施設統合管理・最適化システム『GWES』
物流施設統合管理・最適化システム『GWES』

ここまで、AMRを用途に応じて選ぶ時代になっていることを、米国の事例を通じてご紹介しました。千葉県市川市に、当社の開発拠点およびショールームの『PlayGROUND』があり、物流ロボットのデモンストレーションなどを実際にご覧いただけます。ぜひ一度見学にお越しください。

PlayGROUND

まとめ

セミナーでは、先行する米国での多彩な物流ロボットの活用事例のご紹介のほか、3PL事業者が物流ロボットを選定するの際のポイント、導入するタイミング、導入検討までのステップやスケジュールなどについて、宮田様と弊社代表金澤が一歩踏み込んだ内容で意見を交わしました。

  • 導入を検討するための3ステップ
  • AGVとAMR、それぞれの導入が向く物流現場の見極め方
  • 導入効果が出やすい物流現場とは?
  • 具体的な導入手順(スケジュール)

など、物流ロボット導入を検討される事業者様必見のセミナーのレポートを、無料で公開しています。

下記フォームよりダウンロードいただけます。

ロジザード物流ロボットセミナー2021講演

ロジザードは、皆さまの現場のロボティクスの導入、オートメーション化を応援しています。どうぞお気軽にロジザードにご相談ください。
ご相談・お問い合わせフォーム:https://www.logizard-zero.com/contact/

宮田 啓友氏
GROUND株式会社 代表取締役社長

上智大学法学部卒。1996年三和銀行(当時)入行。2000年デロイトトーマツコンサルティングへ入社し、大手流通業を中心にロジスティクス・サプライチェーン改革のプロジェクトに従事。
その後、2004年よりアスクルのロジスティクス部門長として物流センターを運営。2007年楽天株式会社へ入社し、2010年には楽天物流の社長に就任。2015年4月、GROUND株式会社を設立し現職。https://groundinc.co.jp/