COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
日経平均株価が史上初めて4万円の大台を突破、一方で8割以上の人が景気の回復を実感できないというパラドックスにある日本。企業の目は、人口減少等構造的な要因で市場の成長が期待できない国内から、海外マーケットに移っています。これから人口ボーナスを迎える東南アジア諸国は、特に注目すべきエリアです。2024年1月末、ロジザードはユーザー様とともに、成長著しい東南アジア3カ国の小売・物流現場を視察してきました。2回にわたってお届けするレポート、今回は視察をご一緒した株式会社物研代表の土肥克次様に、現地の様子や視察の感想、今後の展望をお聞きしました。越境ECや海外進出を検討されている方は、必見です!
東南アジア視察概要
日程:2024年1月27日~2月2日
視察先:カンボジア、タイ、ベトナム
視察メンバー:株式会社物研 代表取締役 土肥克次様 および ロジザード営業メンバー
目的:越境EC等で注目が集まるASEANの物流現場を視察し、現地の最新情報を収集
土肥社長
当社は、ECに特化した物流・倉庫業です。大阪南に拠点を5カ所持ち、冷凍・冷蔵・定温・常温の4温度帯に対応できる強みを活かし、流通加工も含むEC物流サービスを提供しています。ロジザードとの付き合いは、間もなく10年になります。「ロジザードZERO」はとにかく安定していて信頼性が高く、荷主様の要望に合わせて周辺システムとうまくつないでくれるなどカスタマイズも安心で、とても頼りにしています。様々な会社のWMSを使っていますが、老舗のロジザードとはお互いにオープンに情報を開示しながら、よりよい利用環境を目指しています。
人材確保や生産性の向上は、この業界の大きな課題ですから、省人化やDX関連の情報にはアンテナをたてています。ロジザードが発信する情報には常に注目していて、関西圏で行われるセミナーには必ず足を運びます。2023年11月に開催された『ロジザードEXPO 2023』は、連携できるシステムベンダーが一堂に会する展示会というご案内をいただき、東京浅草橋の会場まで出向きました。
土肥社長
『ロジザードEXPO 2023』がきっかけです。海外でのビジネスに関しても情報を集めていたところだったので、越境EC・海外出店エリアにブース出展されていた AEON MALL (CAMBODIA) LOGI PLUS CO., LTD.(以下:イオンモールカンボジアロジプラス)様の話を聞き、大変興味を持ちました。イオンモールカンボジアロジプラス様は、イオンモールを活かしたプラットフォームを構築し、カンボジアの越境ECや海外販売を支援されています。あまり情報がないカンボジアで、ASEAN最大規模のショッピングモールを含めすでに3モールが稼働し、EC事業にも注力しているとのことでしたので、ぜひ現地に行って施設を見学したいと思いました。
ロジザードの営業さんにそのことを伝えたところ、「Logizard ZERO」をベトナムに導入するタイミングだと伺いました。もともとベトナムにも興味を持っていたので、それならばベトナム、タイの物流現場の視察も含めて3カ国を回ろうと、トントン拍子に企画が決まりました。このようなことはスピード感が大事です。行く前から、これはよい視察になりそうだという予感がしました。
土肥社長
ベトナム市場は、これからもっと大きく成長します。実は2年ほど前から、ベトナムの首都、ホーチミンに注目して情報を集めていました。特に食品ECの需要に関心があり、日系企業様がすでに現地で宅配事業をスタートしているので、越境ECも加速すると見ていました。JETROからベトナム進出に関する情報を得るなど動いていたことを、ロジザードの営業さんが覚えていてくれて、せっかくの機会だからと、ベトナムも含む3カ国の現場視察をアレンジしてくれました。
土肥社長
タイには過去2回行ったことがありますが、カンボジアとベトナムは初めてでした。インフラはタイが一番整っており、次いでベトナム、カンボジアの順で、カンボジアが最も発展途上にある印象です。
カンボジアでのメインの視察先は、もちろんイオンモールカンボジアです。プノンペン郊外に昨年オープンしたイオンモールは大変大きく、敷地面積も出店数も日本の郊外型モールと遜色のない規模感でした。今後開発が進むであろうエリアに先行投資をしている様子で、駐車場に並ぶ高級車を見ると、富裕層がターゲットであることは一目瞭然でした。詳しくは、カンボジア視察レポートをお読みいただければと思います。
ベトナムは、ラーメンや牛丼などのファストフード、ディスカウントストアなど、日系のサービス業が思っていた以上に一般社会に浸透していて、驚きました。おそらくフランチャイズだと思いますが、想像以上に日本の看板を掲げたサービスが展開されていて、ベトナム、特にホーチミンはビジネスがしやすい環境にありそうだと感じました。
タイは、3カ国の中では最もインフラが整っている印象です。店舗もみな立派で、バンコクの中心にあるショッピングモールの「セントラル・ワールド」は、スケールが大きく見応えがありました。街中では、タイの財閥が関与する日系のコンビニや、ドン・キホーテの勢いが感じられました。アプリケーションコンテストなどでロジザードと交流のある、泰日工業大学も訪問しました。大学にはロジスティクス科があり、日本の物流技術を中心に、省人化・自動化などへの対応やDXについて研究しているそうで、教授たちとのディスカッションはとても刺激的でした。
土肥社長
ギャップは感じませんでしたが、私が10年前にタイを訪れた時に比べると、交通渋滞の問題もやや緩和されているように思いました。といってもカンボジアやベトナムに比べてよいというレベルで、日本から見れば交通渋滞はまだまだ大きな課題です。バンコクでは、主要な場所の交通渋滞緩和を目的にトラックが入れない時間帯が設けられるなど、物流面では厳しい環境で、宅配はローカル企業が担っています。交通渋滞は3カ国とも大きな課題で、カンボジアやベトナムは人口が増加したら、さらに悪化しそうです。現地で運転など、とても怖くてできそうにありません(笑)。
現地法人を立ち上げるには、各国独自のルールがあり、タイは現地企業との合弁会社でなければならないなど、厳しい条件があります。ベトナムはそれほどではなく、カンボジアはさらにゆるい印象です。海外進出を考える際には、このあたりもしっかり調査を進める必要を感じました。
土肥社長
タイとベトナムでは、日系企業様の倉庫を視察させていただきました。棚付けやレイアウトなどにはおのずと目が行きます。実際の物流現場で、業務全体の流れを見ることができました。特にベトナムでは、宅配事業についてご担当者に直接お話を伺うことができ、大変参考になりました。食品を中心に、日本製の商品がたくさん扱われています。アイテムの種類や数量、出荷数なども含めて、現場の運用を実際に見ることができ、大変有意義な経験でした。
見学した各国の物流現場では「Logizard ZERO」が使われていて、WMS(特に「Logizard ZERO」の)運用については、ほとんど日本で使用している「ロジザードZERO」と変わらないことを確認しました。現地のスタッフが、ピッキングから検収まで一通り使いこなせていることに感心すると同時に、海外においてもロジザードの品質の安定感を改めて認識しました。
また、「どんな人がどんな意識で働いているか」にも着目しました。「人」の部分は、私が仕事をするうえで最も重要視しているポイントです。現場がきちんと回っているところには、しっかりしたマネージャーの存在があります。カンボジアやベトナムでは、日本人のマネージャークラスの方がその国の今後のインフラ計画などを理解したうえで、国内の現状も含めてきちんと説明してくれました。タイでは、現地採用のマネージャーが、日本語でしっかり説明・質疑応答してくれました。優秀な人たちがいることで現場がしっかり回っているのだと改めて思うに至り、海外に限らず、人材の登用は非常に重要なファクターだと感じました。
土肥社長
日本市場は成熟しきって、今後は縮小していきます。その中で成長を目指すには限度があり、国内にはマーケットはないと見極め、新たなマーケット=海外市場へ進出することは必須でしょう。東南アジアは、まだまだこれから成長が期待できます。しかも、日本から距離的にも近く、日本製品への信頼とあこがれが強い国々です。特にカンボジアやベトナムは、発展途上ですから、新たなインフラに資本投資できることも魅力です。
昔は国内外問わず、倉庫が現場を見せるなどご法度でした。ましてや、海外で物流現場を見学できるケースなどほとんどありません。今回の視察先はすべてロジザードと縁があり、いずれも快く迎えてくださいました。1週間で3カ国を視察できたこと、物流現場の運用を自分の目で確認できたことは、とても有意義でした。
特にベトナムは勢いを感じましたし、黎明期にあるカンボジアは今後の成長を考えれば非常に魅力的なマーケットだと思いました。日本製品はまだまだ世界で喜ばれ、需要があります。今回東南アジア3カ国をめぐり、どの国でも「日本品質」「メード・イン・ジャパン」の威力を、再確認できました。赤ちゃんのおむつや直接肌に塗る薬、スキンケア製品など、肌に直接触れるものは日本製が欲しい、というニーズは強いですね。このあたりの商材を扱われている企業なら、東南アジアへの進出は、検討に値すると思います。商流と物流の一体化で、大きな可能性が見ており、その意味でも物流企業が東南アジアに進出するメリットは大きいはずです。
土肥社長
今は国内拠点の充足に注力していて、海外のことは少し先にはなると思います。展望としては、5年後に海外、最初はベトナムのホーチミンをターゲットに、冷凍冷蔵施設の設置を検討したいですね。今回の視察で、当社のビジネスモデルがほぼそのままベトナムでも通用すること、そのためのインフラがすでに整っていることを確認できました。視察を機に、現地のネットワークがぐんと広がりました。ネットワークを通じて、自分たちができることとできないことがはっきりするので、努力のしどころを間違えずに済みます。
実は当社では、ベトナムから来た2人の技能実習生が働いています。彼らが将来帰国した際、当社で学び得た知見を母国でも発揮してほしいという気持ちも、どこかにあります。お互いに夢を持って仕事がしたいですよね。ベトナムに拠点を持つという夢が、そこにつながるとうれしいですね。
今回の視察のアレンジには、とても感謝しています。ロジザードのように、プロダクトだけでなくネットワークを紹介してくれることは本当にありがたいです。こうした価値のある見えない情報提供の重みを、痛感しました。越境ECを目指す企業の皆様に最適な物流サービスを提供できるよう、スキームを確立していきたいと思います。大企業のような先行投資はとてもできませんが、情報収集を続け、決断の時を見極め、近い将来に「あの視察が第一歩だったね」とロジザードさんと語り合えるよう、着実に歩みを進めていきたいと思います。そのためにも、定期的に最新情報を収集していくつもりですので、これからもよろしくお願いします。
今回、『ロジザードEXPO 2023』での土肥社長のお声がけをきっかけに、ロジザードの営業も同行して、東南アジア3カ国の視察が実現しました。普段から海外の現場に行き慣れている社員ですが、ユーザー様をアテンドしたことで、各国の文化や考え方、スピード感の違いなど初めて気付くことが多く、発見の連続で刺激になったといいます。
東南アジアでも、多くの拠点でロジザードのWMSが使われています。海外の現場で日本と同様の運用ができることは、私たちにとって「当たり前」のことです。しかし、視点を変えれば、海外を目指す企業に向けてロジザードができることは、まだまだたくさんあると気付きました。これからも、ユーザー企業様をはじめ、ロジザードにかかわる皆様と情報提供し合える関係性を築き、お互いに成長していけるよう尽力してまいります。
越境ECや海外進出をお考えの方は、まずはロジザードにご相談ください。無理のないステップで、新たなマーケットの可能性を試すお手伝いをさせていただきます!
ロジザードEXPOを機に実現した、ユーザー様との東南アジア視察。カンボジアにフォーカスしたレポート vol.1 もあわせてお読みください。
株式会社物研様概要
株式会社物研は、大阪南にあるECに特化した倉庫・物流会社です。「物流の前に心流あり。」という経営理念のもと、冷凍・冷蔵管理~定温・常温管理まで、幅広い商品の取り扱いと丁寧な流通加工で、多くのユーザー企業から絶大な信頼を得ています。
会社名:株式会社物研
代表者:代表取締役 土肥 克次
設立:昭和58年9月
所在地:〒599-8246大阪府堺市中区田園685-1
事業内容:
・EC物流事業(Logi-Design)
・食品EC物流事業(Logi-Design COOL)
・物流センター事業(3PL)
・品質管理事業
・流通加工事業
・梱包資材販売
HP:https://www.bukken-logi.co.jp/