COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
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在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
倉庫における在庫を適切に管理するには、どうすればよいか――。メーカーやEC事業者が事業戦略を立てる上で、頭を悩ますテーマでしょう。このコラムでは、在庫回転率の活用による在庫管理の最適化について考えていきます。
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在庫回転率を正確に把握して、最新の数字を組織で共有しておくこと。それは、在庫管理の最適化、さらにはサプライチェーン機能の強化を図る上で欠かせない取り組みです。
そもそも、在庫回転率とは何でしょうか。在庫回転率を定義するならば、「一定期間に在庫がどれくらい入れ替わったかを示す指標」です。
在庫回転率が「高い」場合は、商品の入れ替わるサイクルが速く、在庫として保管してある商品が売れるまでの期間が短いことを示します。一方で在庫回転率が「低い」状態である時は、商品が売れるまでに時間がかかり、在庫として長く社内にとどまっている状態であると言えるでしょう。
一般的に、在庫を長く保有するほどコスト負担が大きくなります。多くの企業にとって、在庫回転率の向上は解決すべき最大の課題のひとつなのです。
とはいえ、在庫回転率が高い場合も注意が必要です。在庫回転率が高いということは、消費者の購入頻度が高い売れ筋商品とも言えるため、 在庫切れを起こすと販売機会の損失を招くおそれがあります。商品は通年で同じペースで売れるものではなく、季節や消費トレンド、社会動向など様々な要因で変化し続けるものです。適正な在庫回転率は、業種や商品の種類によっても異なる傾向があることも踏まえれば、その数値だけに注目するのではなく、過去の同じ時期や同業他社と比較することも大切でしょう。
在庫回転率の計算には、「在庫数に基づく算出」と「金額をベースとした算出」の大きく2種類の方法があります。ここでは、それぞれの計算方法について、ご紹介します。
まずは、在庫数に基づいた計算方法です。基本的には、「期間中の総出庫数」を「平均在庫数」で割って在庫回転率を求めます。計算対象は1年間と設定するのが一般的ですが、週単位や月単位など、必要な期間を設定する場合もあります。商品の性質や販売戦略などで、柔軟に使い分けることも必要です。
在庫数による在庫回転率計を求める計算式は、「在庫回転率=期間中の総出庫数÷期間中の平均在庫数」です。
期間中の平均在庫数は、対象期間の期首在庫数と期末在庫数の平均値であると考えましょう。期間中の平均在庫数を求める計算式は、「期間中の平均在庫数=(期首在庫数+期末在庫数)÷2」となります。
続いて、金額による計算方法について説明します。こちらは、期間中の出庫金額を平均在庫金額で割って在庫回転率を算出します。計算対象となる期間は「1事業年度」で、決算書の数値を基に計算します。
金額に基づいて在庫回転率を求める計算式は、「在庫回転率=期間中の出庫金額÷期間中の平均在庫金額」となります。
期間中の出庫金額は、損益計算書の「売上原価」にあたり、「売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高」で求めます。
期間中の平均在庫金額は、期首と期末の棚卸資産の平均であり、「期間中の平均在庫金額=(期首在庫高+期末在庫高)÷2」の計算式で求めます。「期首商品棚卸高」(期首在庫高)は、前期の期末時点で残っている在庫、つまり前期の「期末商品棚卸高」(期末在庫高)を示しています。
在庫管理を進める上で最大の課題が、いわゆる在庫データの正確な把握でしょう。在庫管理業務は記録作業が多く、在庫の移動や入出庫があるたびに情報が変化するため、人的ミスが起こりやすい傾向にあります。ミスによって在庫の過不足や廃棄が生じると、商品の欠品や過剰在庫となり、倉庫として果たすべき機能を維持できなくなってしまいます。
また、適正な在庫数を保つことも、在庫管理業務の大切な役割です。発注業務が適切に行われないと、在庫数に過不足が生じます。発注する数が多すぎると過剰在庫になり在庫のロスにつながる一方で、在庫が少なすぎても販売機会を損失してしまいます。
さらに、保管場所が分からず商品を見つけるのに時間がかかることも、正確な在庫状況の把握に支障を来たします。「入荷した商品を片付ける棚がない」「出荷用の荷物を探すのに手間取った」といった場所に関する問題は、入出荷における時間のロスを生み出す大きな原因となります。
在庫回転率を把握するメリットは、在庫の動きを可視化できることです。在庫回転率を計算して、商品の動向を数値化することで、在庫がどのように動いているのかがわかりやすくなるためです。
とはいえ、在庫の動きを常に注視していても、それだけで全体的な見通しを立てることは困難でしょう。「在庫がなくなってから発注する」など対応が後手に回ったり、過剰な在庫を抱えてしまったりするリスクもあります。
こうした事態を未然に防ぐために必要なのが、日ごろから在庫数と在庫回転率をあわせて確認しておくことです。商品が売れるペースをより具体的に把握できるため、効果的な販売戦略につなげられるでしょう。商品ごとの在庫回転率を算出すると、「売れ筋商品」の見極めも、感覚ではなく数値でとらえられるようになるのです。
さらには、在庫回転率は、コスト削減にも役立ちます。在庫回転率の低い商品をチェックすることで、過剰在庫の発生を防ぎ、無駄な仕入れ費用をカットできるでしょう。過去の同時期のデータと比較してみると、以前より在庫回転率が落ちている商品があるかもしれません。
物流倉庫を訪問して驚くのは、現在も未だに手書きやExcel入力による、いわゆる「アナログ」での在庫管理が主流である現場が少なくないことです。通年で休みなく稼働し、膨大なデータを処理する現場であるがゆえに、従来の手法を変えるには、相当の「ハードル」があるのかもしれません。
とはいえ、在庫管理の最適化に不可欠なのが、こうしたアナログ手法からの脱却です。在庫管理システムなどを活用した、いわゆる現場業務のデジタル化は、サプライチェーンの最適化を促すDX(デジタルトランスフォーメーション)の機運が高まるなかで、もはや必要不可欠な対応として認知されているのです。
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こうした在庫管理における課題も踏まえて、ここからは在庫回転率の低下による影響について考えていきます。
在庫回転率が低いと商品が売れるまでに時間がかかり、在庫として長く社内にとどまっていることになります。それゆえに、過剰在庫を抱え込むリスクがあることは、先に説明したとおりです。ここでは、在庫回転率の低下という現象を、財務の観点から検証します。
在庫回転率を財務の視点で定義すれば、「一定期間内に企業が在庫をどれだけ効率的に販売し、現金化できたかを示す指標」となります。在庫回転率が高いということは、在庫が早く売れており企業が資源を効率的に活用している、つまり効率的に現金化できている(キャッシュフローがよい)状態を示す指標です。裏を返せば、在庫回転率が低いと資金繰りに影響を及ぼす可能性があるのです。
企業の日常的な業務活動で生じる現金の流れを示す「営業キャッシュフロー」の視点から見ると、在庫回転率が高いということは、「在庫が早く売れている」状態を指します。
つまり、早く売れていることで、商品が早く現金化するため営業キャッシュフローが増加するのです。企業における現金の流れがよりスムーズで活発な状況が出来上がることで、事業運営にプラス効果をもたらすことになります。反対に、在庫回転率が低下すれば、営業キャッシュフローの減少、資金繰りの悪化につながります。
在庫回転率の低下は、現場における業務そのものの効率を悪化させることにもつながります。在庫商品が倉庫の保管スペースに大量に積まれている様子を想像してみましょう。倉庫は保管機能とともに、入荷した商品を適切に仕分けて出荷する役割も果たします。
物流機能の重要地点である倉庫で在庫が滞留しているとなれば、こうした入出荷機能に支障を来たすのは当然と言えるでしょう。
先にも述べましたが、倉庫現場における在庫管理の課題として、「適切なロケーション管理」があります。「どこに商品があるか分からない」状態が続くことになれば、企業の収益判断にもダメージを与える事態になりかねません。
在庫回転率を向上させる最初のポイント、それは目標となる回転率の設定です。やみくもに在庫回転率を増やそうとしても、どの程度の在庫回転率が最適なのかが分からなければ、それに向けた行動を策定することもできません。目標となる在庫回転率を決定することではじめて、明確に状況を把握して、課題への対応に向けたアクションを踏み出せるのです。
目標となる在庫回転率は、在庫回転率を導き出す数式に目標数値を当てはめて、「目標となる在庫回転率(回転数)=目標の一年間の商品売上金額÷目標の平均在庫金額」の式で算出できます。
目標値については、同じジャンルの商品を扱う企業の在庫回転率を参考に決定するとよいでしょう。目標となる在庫回転率を決めるときには、事前のリサーチが大切です。
こまめに在庫回転率を確認し在庫の動きを把握することも、在庫回転率を高める有効な手法です。在庫回転率は使用する値の範囲を変えるなど、常に在庫回転率の変化を注視することで、在庫の動きを具体的に把握できます。
会社の売り上げとなる在庫の動き、つまり在庫回転率の傾向をリアルタイムで確認し把握しておけば、市場動向の敏感な動きに対応した対策をすることができます。在庫回転率は、可能な限りこまめに確認するようにしましょう。
ここで留意したいポイントは、受注から納品までの期間であるリードタイムの短縮です。それが長いほど、在庫の回転期間は長くなる傾向があります。それを短縮するには、生産工程の効率化や仕入先との連携強化、物流体制の整備など、サプライチェーン全体での取り組みが必要です。需要予測の精度を高め、適切なタイミングで発注することも欠かせません。
在庫回転率の向上に向けた目標設定と状況把握を踏まえた、次のアクションとなるのが、不要在庫の削減です。余計な在庫を長期間抱えてしまうと、もちろん在庫回転率は悪くなってしまうことは、先述のとおりです。
在庫回転率が悪くなるだけでなく、長期間在庫を保管することで在庫自体が劣化してしまい、商品を廃棄しなければいけないという最悪の事態も招きかねません。
在庫回転率を向上させるためにも不要在庫は持たないことが望ましいです。在庫回転率だけでなく在庫管理全体の体制が整っていなければ、把握しきれていない在庫が倉庫に眠っているかもしれません。
そもそも、在庫回転率を高める取り組みは、適正な在庫管理を推進する活動と一致します。在庫管理に不安要素があるならば、在庫管理の体制を見直してみることも必要でしょう。
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在庫回転率を高めるために在庫管理の最適化が不可欠であることについて、ここまで様々な角度から説明してきました。ここからは、在庫管理の適正化に向けた具体的な取り組みとして、WMSの導入についてご紹介します。
在庫管理における課題について触れた際に、アナログの手法による業務からの脱却が必要であると述べました。在庫の可視化を可能とするシステムの導入は、こうした煩雑な業務の負担を軽減するだけでなく、正確な状況把握とその分析にも活用できることから、在庫回転率の向上、つまり適正在庫の維持につなげられるというわけです。
こうしたシステムの導入により、在庫にかかる様々な取り組みを最適化できます。リアルタイムの入出庫管理と在庫量の把握をはじめ、在庫に関する各種レポートの作成など、幅広い業務の負担を軽減することができるのです。
その結果として、過剰在庫や欠品リスクを減らせるほか、需要予測の精度が向上し、適正在庫の維持が可能になります。リアルタイムでの在庫把握が可能になると、在庫の過不足への迅速な対応が可能となり、過剰在庫や欠品のリスクを抑えられます。
WMSや周辺のシステムは近年、物流現場におけるDXの機運の高まりもあり、急速な進化を遂げています。なかでも、インターネット上のネットワークを経由して、ソフトウェアやアプリを使ってリアルタイムで在庫を確認できるクラウド型システムは、その機能性の高さから、物流業界でもとりわけ高い注目を集めています。
こうした状況下で存在感を高めているのが、ロジザード株式会社のクラウドWMS「ロジザードZERO」です。ここでは、BtoB(企業間取引)とBtoC(企業と一般消費者の取引)の事例について見てみましょう。
ベッドとマットレスの企画開発・製造から流通・販売までを行う製造小売業として、寝具全般の専門店をリアルとウェブで展開する企業では、棚卸しの差異と誤出荷の問題が見過ごせなくなり、「アナログでの商品管理はもう限界」「商品をバーコード管理したい」との機運が高まっていました。
ベッド周りの寝装品の取り扱いが増えるに従って、紙で商品を管理する手法では作業が追い付かず、実在庫と棚卸の数字が乖離するようになると、棚卸の精度を上げるに、WMSの導入に踏み切りました。目視と手作業だった商品管理が、ロジザードZEROの導入でハンディターミナルによるバーコード管理になったことで、業務に変化と効率化をもたらし、出荷のキャパシティが500%以上アップしたそうです。
株式会社ベッドアンドマットレス
導入事例: https://www.logizard-zero.com/cases/bedandmattress.html
一方、ホームセンター事業を展開する企業は、ECサイトからの注文分について、実店舗に置いてある在庫を出荷していました。まずはA店の在庫を見て、在庫が無い場合は近くのB店舗に取りに行く、という運用です。新型コロナウイルス禍でのEC(電子商取引)受注数30%増という大きな環境変化の影響もあり、受注件数の増加に伴って、店舗在庫からの出荷は運用が煩雑化していることが課題でした。
こうした状況で、ECの売り上げをさらに伸ばしていくために必要な取り組みは何か。検討の結果、ECサイトのバージョンアップや品揃えの拡充とあわせて、物流面の体制についても見直しを行う上で、WMSを含めてシステム構成を再検討することになり、ロジザードZEROが採用されました。事業戦略の大転換を可能にしたのが、ロジザードZEROのクラウド型ならではの使い勝手のよさと、自動梱包機など他の機器との連携のしやすさだったそうです。
コーナン商事株式会社
こうして浸透を深めているロジザードZERO。その強みはどこにあるのでしょうか。ここでは、ロジザードZEROの強みを具体的に3つのカテゴリーで紹介します。
まずは、「手厚いサポート体制による現場課題のスピード解決」です。営業段階から現場を訪問してハイタッチなサービスを提供しているので、現場に合った最適な解決策の提案とともに、担当のシステムエンジニアが稼働時まで伴走して支援する体制を構築。導入後も、365日電話やメールで運用をフォローします。
次に、「多種多様な業種・商材に対応した運用」です。様々な商材を扱う現場での多数の採用実績をベースに、信頼性が高く実用的なシステムとして、あらゆる業界の企業から高く評価されています。
最後に、「定期的なバージョンアップで常に最新機能が使える」点です。物流は、あらゆる産業の中でも特に業界環境の変化が激しい市場です。そこでの変化や新たなニーズに応えるため、バージョンアップや周辺システムとの連携の強化を続けています。常に最新の機能を反映したシステムを提供する対応力は、ロジザードZEROの圧倒的な優位性であると言えるでしょう。
ロジザードZERO
20年以上のサービス運用実績を誇るクラウド倉庫管理システム(WMS)です。
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このコラムでは、倉庫における在庫管理の最適化において欠かせない概念である、在庫回転率に焦点を当てて解説してきました。社会に不可欠なインフラである物流は、「2024年問題」をはじめとする様々なリスクと隣り合わせの状況下で、さらなる機能の強化・拡充を迫られているのが実情です。
こうした課題への対応策のひとつとして、在庫回転率の向上による商品在庫の最適化を推進する取り組みは、サプライチェーンの円滑化による社会のさらなる発展に貢献することでしょう。先進的なシステムの導入を含めたあらゆる活動が、それを実現するエンジンになることは間違いありません。今後も、こうした動向を注視していく必要がありそうです。