COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/02/28 DXシステムメーカー・製造業在庫管理物流業務の効率化運輸業・倉庫業(3PL事業者)

物流システムとは?種類や機能を解説!効果的な活用方法と最新トレンドをご紹介

物流システムとは?

物流の効率化を考える際に、「物流システム」の導入を検討される方も多いのではないでしょうか。そもそも物流システムとは?どんな種類や特徴があるのか?実際の事例も交えながらご紹介します。

物流システムとは

物流システムとは

消費スタイルの多様化を背景に、社会に欠かせないインフラとして注目が高まる物流。トラックや鉄道など様々なモードによる「輸送」をはじめ、倉庫などでの「保管」、入出庫や積載などの「荷役」、商品の品質確保や装飾に欠かせない「包装」、商品価値を高める「流通加工」、そしてこうした荷物の動きの把握に必要な「情報」。これらの要素が全体として最適化されてはじめて、物流がスムーズに機能し、商品が生産者から消費者に届けられるシステムが整うというわけです。

「商品をスピーディーかつ安定した品質で消費者に届けたい」生産者と、「ほしい商品を早く安心して受け取りたい」消費者。両社の意向を両立させるためには、物流の最適化が不可欠です。とはいえ、人間の手だけでは時間や労力の点で限界があるのも事実でしょう。こうした課題の解決策として、物流の様々な現場で導入されているのが、物流システムです。

現場の担い手不足の解決策として期待される「物流DX」

物流システムについて考える上で欠かせないキーワードが、「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。輸送や倉庫をはじめとする物流現場が抱える喫緊の課題と言えば、いわゆる「物流の2024年問題」に象徴される、労働力不足への対応です。

新型コロナウイルス禍も契機としたEC(電子商取引)サービスの急速な普及は、物流業界に「宅配需要の増大への対処」という新たな命題をもたらし、現場で取り扱う荷物の量が急増しました。一方で、現場を担う人材獲得は、少子高齢化の進行に就業環境の多様化が重なり、難度が高まっています。いわばダブルパンチの様相であり、疲弊しているのが物流現場の実情なのです。

物流システムの導入は、現場における人間の作業をロボットやITシステムで代替しようというものです。近年では、もはや「代替」の水準を超越して、クラウドの活用によるシステム構築や変更、拡張にもより迅速かつ柔軟に対応できるまでに進化してきています。まさにDXの発想で物流危機を回避する――。それが物流システムの役割です。


物流システムの種類と特徴

物流システムで「行動の『見える化』」を

物流業界における近年の話題と言えば、やはりDXに関連した取り組みです。物流システムは、こうした動きを背景に、先ほど触れた輸送など物流を構成する各要素に合わせて、様々な業界の企業が独自の先進技術を駆使した新サービスを競って提供しています。こうした事業者にとっては、まさに物流業界は将来の拡大を見込める有力な市場なのでしょう。

物流システムの基本的な機能は、各要素における様々な動きを「見える化」して管理することで、荷物やロボット、人間の最適な動線を導いて再現することにあります。輸送であれば、出荷から配送完了までの過程をチェックすることで、無駄のない最適な運行を実現するTMS(配送管理システム)の普及が進んでいます。

倉庫での保管業務であれば、WMS(倉庫管理システム)が広く知られています。荷役や包装など、それぞれ自動化による業務効率の向上を推進する様々なシステムや機器が、物流現場で活躍するようになってきています。

物流システムを取り巻く近年の新たな動きとして特筆すべきは、AI(人工知能)を活用したサービスの展開でしょう。顧客や積載物、道路状況などに応じて、AIが学習して編み出したルートを示して配車業務の最適化を図るシステムは、その代表例と言えるでしょう。

クラウド活用で差別化が進むWMS領域

先に触れたクラウドの活用による新機能の開発が進んでいる領域として、WMSが挙げられます。これまで主流だった、パッケージを基盤にカスタマイズを加えて構築する「パッケージ開発WMS」に加えて、汎用的な機能が備わり低コスト・短納期で導入できる「クラウドWMS」の優位性が注目されています。

クラウドサービスならではの汎用性とバージョンアップの容易さが、最適な倉庫管理のさらなる実現に貢献すると認識されているようです。直感的に使用できる仕様や、導入後のトレーニングやサポート機能など、独自の強みを訴求することで、サービス提供の差別化を図る動きも顕著になっています。

WMSの選定ポイントについては下記の資料も参考なるかと思いますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

WMSとは?導入メリットと選定ポイントについて解説
https://www.logizard-zero.com/whitepaper-download/wms01.html


3. せっかく導入した先進システム、うまく付き合うには

物流システム導入前のポイント

現場における業務改善を図ろうと、高額の先進的な物流システムを導入したにもかかわらず、十分に使いこなすことができない――。そんな悩みを抱えている物流事業者は、決して少なくありません。同様に、同じ倉庫内でもピッキングや検品など部門ごとに個別のシステムを導入した結果、全体の作業動線の一元管理ができず、本来の効果を発揮できていないケースもあるなど、なかなか物流システムとうまく付き合えていない現場の声も聞こえてきます。

こうした事態を避けながら、現場に最適な物流システムの導入を進める秘訣はあるのでしょうか。ここでは、システム導入までに抑えておきたいポイントをご紹介します。

まずは、「現場にある課題の抽出」です。この現場には具体的にどんな課題があるのか。その課題は、現状の人員や機械などを駆使して解決することが不可能なのか。そもそもこの現場だけで部分的に業務を改善しても、全体の効率化につながるのか――。こんな具合に、系統立てて課題と解決策を検証していく必要があります。意外に感じるかもしれませんが、実はこのプロセスをおろそかにしたままで、システムの導入を決断する事例が、しばしば発生しているのです。

課題の抽出とともに必要なのが、物流業務の関連データの収集と分析です。システム導入の最大の目的は、あくまで全体の業務の効率化です。「あるべき姿」「ありたい姿」を明確化するには、業務に関連した様々なデータを収集して分析しなければなりません。こうしたデータ分析が、システムの選定やカスタマイズの具体的な内容策定につながります。

システム選定に必要な「検証プロセス」

こうした準備が整った段階で、いよいよシステム選定のステージに入ります。ポイントは、「自社で採用している、あるいは今後採用を検討している物流管理の手法に対応したシステムであること」、「複数拠点を管理している、または商品によって保管拠点を分けている場合は、それぞれの倉庫をシステムで統合管理できるかどうかを確認すること」が挙げられます。

物流業務の管理には、事業者ごとの方向性があるでしょう。それに即した機能や仕様のシステムを選択することで、継続的に活用できる仕組みを整えることができます。さらに、複数の拠点を統合管理する必要がある場合は、こうした機能を強みとするシステムの選択が望ましいでしょう。

それぞれの開発企業が提供する物流システムは、それぞれの要素技術を端緒にしているがゆえに、特に強みとする領域が千差万別であるものです。さらには、汎用性や拡張性、操作性といった実用的な機能面での優位性や、従量課金制度など使いやすい料金設定を訴求する事業者も増えています。システムの選定ポイントとしては、効果的なトレースやトラッキング機能についても、着目していくとよいでしょう。

システム導入の成功事例

上記のような適切な手順を踏まえて検討・導入することで、物流システムはその効果を発揮します。それはAIやビッグデータ、物流ロボットといった最先端のシステムの導入に限ったことではなく、バーコード管理のような一般的な管理手法の導入によってもその効果を十分に感じることができます。

例えばWMSの導入では、目視確認と手作業が中心だった倉庫業務をハンディターミナルによるバーコード管理に置き換えることで、出荷能力が500%以上伸長したという事例があります。ベテラン作業員も新人スタッフも、迷いなく正確な作業ができるようになったことが大きいようです。

株式会社ベッドアンドマットレス様 WMS導入事例
https://www.logizard.co.jp/news/2023/09/bed&matress.html

また、他のWMS導入事例では、作業精度における定量的な成果だけではなく、システム稼働までの期間短縮や新人スタッフへの教育の簡素化など、波及効果が出ることもあります。システムを導入し、リアルタイムに状況が把握できるようになったことで「報告」の手間が省かれるなど、様々な側面で業務効率化が見込めます。

株式会社三鷹倉庫様 WMS導入事例
https://www.logizard-zero.com/cases/mitaka-soko.html


物流業界における「BtoB」と「BtoC」の違いと対応策

「toB」「toC」で異なるアプローチ

ここからは、少し違った視点で物流システムについて考えていきます。物流という機能は、様々な角度で分類することによって、取り組むべきテーマや解決すべき課題を整理することができます。ここでは商品の発送先に着目して、「企業間(BtoB)物流」と「企業から消費者へ向けた(BtoC)物流」に分けてみます。例を挙げるならば、前者は商品のメーカーから小売店への配送、後者は配送センターから各戸へと宅配する機能が該当します。

両者の最大の違いは、納品先へ届ける商品数量の規模でしょう。一般消費者への配送の場合は、数量は数点に限られるケースが大半でしょう。一方で、企業間物流の場合は、数百から数千点にかけてのボリュームが一般的です。さらに、納品先が店舗である場合は、その相手先のルールに適合した輸送ノウハウを身に着けておく必要があります。先方の物流システムに適合した物流システムの導入を求められることも珍しくありません。

両方の機能をカバーしたシステムに注目集まる

こうした違いは、物流システムの導入にも少なからず影響を及ぼします。求められる物流機能が異なるため、これまではそれぞれに合ったシステムを使う必要がありました。ところが、こうした「BtoB物流」「BtoC物流」の両方に適応したサービスを提供する事業者が登場するなど、物流システム業界も進化してきています。

「BtoB物流」であれば、取引先ごとの受注データやロケーションを指定した引当処理などが可能な機能があれば利便性が高いわけですし、一方の「BtoC物流」では、同梱物の管理機能や店舗管理システム連携などの拡張性の高さがメリットにつながります。ここで重要なのは、「顧客となる配送先のニーズ」の適切に把握したうえで、供給チェーンの最適化を図る観点をもって、物流システムの選択を進めることにあります。こうしたシステムの選定こそが、両方の市場で配送先顧客を獲得できるアプローチとなるわけです。


物流システムの今後の展望と革新的な技術

IoTやAIによる物流DXが物流の常識を変える

こうして進化を続ける物流システムですが、今後さらに革新的な技術が搭載されるようになるのでしょうか。物流現場の担い手不足がさらに顕著となることが想定される中で、物流システムに求められる機能はさらに高度化するでしょう。

その一例が、IoT(モノのインターネット)です。RFID(電波を用いてICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術)を活用して、輸送中の商品の所在や倉庫内の保管場所を確認できるなど、作業効率を高める取り組みが、物流業界で加速しています。さらには自動運転技術を活用した無人物流も、実現に向けた様々な検討が進められています。高速道路での無人走行トラックによる輸送が実現すれば、業界における構造的な課題であるドライバー不足の解決へ大きく前進するでしょう。

さらには、ロボットやドローンによる宅配輸送 も、全国各地でテストが実施されていますが、法整備も同時並行で準備が進んでいるようです。近い将来、本当に宅配荷物が空からやってくる――。そんな夢物語が現実のものになるかもしれません。

さらには、先述したAIによる物流DXの革新的な進化は、ビッグデータの活用による現場業務の最適化に大きく貢献すると考えられています。デジタルツイン(リアル空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを元にサイバー空間でリアル空間を再現する技術)の概念も含めた、物流機能の最適化を推進する動きは、今後さらに盛り上がりを見せるのは間違いないでしょう。


まとめ

ここまで、物流システムについて考えてきました。物流現場の最適化にかかる議論の中で、忘れてはいけない考え方として、「全体最適」というキーワードを最後に紹介しておきます。

前にも触れましたが、ある特定の機能だけを最適化すれば、その部分だけはスムーズに業務が進むかもしれません。しかし、あらゆる業務が部門間の連携で成り立っていることを考えれば、こうした「部分最適」を繰り返していても、いずれは新たな課題が生まれてきます。

ここでご紹介したWMSの事例は、一元管理による全体最適を視野に入れた取り組みです。こうした着想こそが、物流DXの本質であり、真の課題解決力となるのではないでしょうか。

気になった方は、クラウドWMS「ロジザードZERO」を提供するロジザード株式会社に、全体の運用も含めご相談してみてください。

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