COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2025/02/25 EC・通販事業者メーカー・製造業

在庫管理DXとは?物流の課題を解決する最新システム

在庫管理DXとは?物流の課題を解決する最新システム

サプライチェーンの最適化が課題となっている昨今、物流の現場業務の中でも、在庫管理における業務の効率化は早急な対応が不可欠と言えます。ここでは、在庫管理におけるDXの動きをご紹介するとともに、あるべき将来像を考えます。

在庫管理における課題とDXの必要性

在庫管理の目的

企業にとって重要な資産である「在庫」。その適切な管理は、ビジネスの健全な運営に不可欠です。在庫管理の目的は、需要に応じて商品や製品を供給すると同時に、在庫の数量を最適化してコストを最小限に抑えることにあります。

物流業務をスムーズに機能させるために欠かせないと分かっているにもかかわらず、なかなかうまく取り組めない――。多くの企業にとって、物流業務における悩みの種なのが、まさにこの在庫管理の最適化なのです。

企業が抱える在庫管理の課題とは

それでは、企業が抱える在庫管理の課題を整理してみましょう。ここでは、在庫管理の業務に求められる3つの役割を定義しながら、課題について考えます。

まずは、「商品・製品の迅速な提供」です。 在庫を持つことの最大の意義は、求める相手へ速やかに商品を提供することです。とはいえ、こうした役割を常に担い続けることは、決して容易ではありません。

それは、「求める相手」の要望が常に変化するからです。季節や消費トレンド、さらには地政学リスクなど様々な要因が重なり、求める商品の種類やその納期は変動します。それゆえに、企業は安全策として在庫を過剰に抱えようとします。または、商品の需要が予想を下回れば、結果的に在庫は膨れてしまいます。

ここで顕在化する在庫管理の課題が、「過剰在庫」なのです。余分な在庫を抱えることで、過剰なコストが発生し、企業の収益にも影を落とすことになります。

在庫の持つ2つ目の役割、それは「欠品の回避」です。最初の役割とは表裏の関係にもなりますが、調達におけるリードタイムを短縮し、欠品を防ぐことに重点を置いた取り組みです。ここでは、「リードタイムの長期化」が在庫管理における課題となります。

最後に挙げるのが、「調整機能」としての役割です。先述のとおり、商品の供給は、予想外の変動やトラブルへの迅速な対応が求められます。こうした変動への柔軟な対応に欠かせないのが、調整機能です。企業における課題点は、こうした「柔軟な商品提供を可能にする手段の構築」となるでしょう。

予定している在庫とは別に設定する「安全在庫」は、予想外の問題に対応するための調整弁として機能するほか、平均的な在庫量を管理する意味合いもあります。いわば、適切な「調整役」の在庫を持つことで、需要の変動や予期せぬ出来事にも対応できる体制を構築するわけです。

DXで在庫管理はどう変わる?

こうした在庫管理における課題を解決するために、どんな取り組みを実践すればよいか――。企業が頭を悩ますテーマです。そこで近年、急速に注目を集めているのが、DXによる解決策です。

まずは、物流業界におけるDXの動きを振り返っておきます。新型コロナウイルス禍に伴う外出自粛の経験などをきっかけに、国民の消費スタイルは急速に変動しています。店舗からネットショッピングへの購買シフトは、物流現場にいて経験したことがないほどの急激な変革を迫っているのです。こうした過程で顕在化したのが、物流現場の業務効率化の遅れです。在庫管理も例外ではなく、手作業によるアナログ管理からの脱却が課題になっているのです。

こうした課題の解決に必要な取り組みとして、「リアルタイムでの在庫状況の把握」「実績を踏まえた的確な需要予測」「自動出荷」といったキーワードが浮かんできます。これらを現場で実践するためには、ITシステムの活用によるデジタル化、つまりDXがどうしても必要になってくるというわけです。

DXが可能な在庫管理業務とは

在庫管理は、DXでどのように業務の効率化をできるのでしょうか。ここで、ポイントを整理しておきます。

まずは、入荷・出荷管理の効率です。ハンディターミナルによるバーコードの読み予知システムを構築することで、入荷・出荷管理の効率化・最適化が可能になります。こうしたシステム化によるリアルタイムでの納品書との照合や、ピッキングの効率化により、正確な在庫管理を実現できるのです。

在庫管理の重要な仕事である返品対応については、返品情報をリアルタイムで反映できることで、より正確で効率的な在庫管理が可能になるほか、通常の入出荷との混同による混乱も起きにくくなります。

記録上の在庫と実際の在庫の数が一致しているかを確認する、定期的な棚卸業務についても、日々の在庫管理を正確効率的行うことで、リアルタイムで状況を把握でき、棚卸で在庫数が合わない事態を防げます。

在庫管理にお悩みの方

ロジザードZEROで課題を解決しませんか。
バーコードで在庫を管理するので、正確な在庫情報を蓄積し、リアルタイムに確認ができます。
 資料ダウンロードはこちら


在庫管理DXの導入メリット

コスト削減と経営へのプラス効果

ここからは、在庫管理におけるDXの効果について考えていきましょう。まずは、投資の観点によるコストメリットについてです。

在庫管理のDXは、適切なタイミングでの商品の提供を可能にします。つまり、過不足ない在庫数量の維持ができるのが、最大のメリットと言えるでしょう。その結果として、欠品による生産ラインの停止や販売機会の損失を防ぎます。

さらに、在庫商品の保管費や管理に伴う人件費、さらには輸送費を削減できることで、経営に必要な運転資金のさらなる確保が可能になり、キャッシュフローの改善につなげられます。

ある食品メーカーは、季節商材を中心とした在庫管理の難しさに悩んでいました。長年積み上げてきた帳簿から傾向をつかんで、エクセルを活用しながら手作業で在庫数量をはじき出していましたが、近年の激しい天候の変化もあって、過不足ない在庫の維持ができずにいました。

物流業務を支援する展示会の会場ブースで紹介されたシステムを、将来のコストメリットを予測した先行投資として導入したところ、在庫数量の調整がスムーズになり、余剰在庫の大幅な圧縮や作業員の削減を実現でき、財務諸表にもプラス効果を反映することができました。

経営トップは、想定よりも早く投資回収ができると喜んでいるそうです。ROI(投資対効果)の向上は、こうしたDXのもたらすメリットであると言えるでしょう。

業務効率化による生産性向上

こうした投資効果に加えて、現場作業の効率化による生産性向上も、見逃せないポイントです。前述した通り、物流現場における業務の繁忙さは、消費スタイルの変化に伴う宅配需要の高まりで、その深刻さを深めています。一方で、「働き方改革」による就業環境の改善を図る観点から、業務効率の飛躍的な向上が急務となっているのです。

増え続ける作業量を限られた人手でどう賄うか。そこで官民が総力を挙げて推進するのが、物流現場のDXです。在庫管理の世界では、業務のデジタル化とデータ分析をセットにして、DXを進める動きが始まっています。

現場作業の負担軽減に加えて、収集した在庫関連データを分析し、過去実績を踏まえた最適な在庫数量を導き出せます。こうした取り組みは、作業員の負担軽減による生産性の向上を実現できるとともに、業務の正確さが高まることで、最終的には顧客満足度など社会の評価にもプラス効果をもたらし、ビジネス機会の創出にもつなげることができるのです。

サプライチェーンの最適化

こうした企業の物流機能が高まり、その連鎖で実現できること、それがサプライチェーンの最適化です。生産者から消費者まで、商品の供給に携わるすべての担い手がDXで連携すれば、滞りないサプライチェーンが完成するというわけです。

そもそも、デジタルがアナログと比べて圧倒的に優位な点は、情報の共有・連携のしやすさです。需要変動への迅速な対応をはじめ、リードタイムの短縮や在庫の適正化など、サプライチェーンが担うべき機能の円滑化を適時に叶えられる取り組み、それがDXなのです。


在庫管理DXの成功のカギ

適切なシステムの選定

ここまで、在庫管理におけるDXの効果について説明してきました。それを踏まえて、いざ自社で在庫管理の最適化を目指してDXを進めるとした場合に、留意すべきポイントは何でしょうか。ここでは、在庫管理業務の最適化を支援するシステムに焦点を当て、選定のコツをご紹介します。

前提として、システムの選定・導入を進める前に、取り組むべき準備事項があります。それは、自社の在庫管理業務における課題点とその要因、さらにはその解決イメージ(ありたい姿)を明確にしておくことです。

在庫管理のどの部分が支障を来たしていて、結果としてどんな問題点が顕在化しているのか。そしてその解決によってどんな問題がクリアになるのか――。こうした課題抽出を事前にしっかりと固めておけば、それに即したシステムを選定できます。結果として問題解決の精度をより高めることができるのです。

ここでは、具体的に選定に必要なポイントを4点にまとめてみました。

まずは、「業種や課題に合った在庫管理機能」の有無です。
在庫管理システムを選ぶ際には、自社の業種に特化した在庫管理機能があるか確認しましょう。自社の業種特有の在庫管理の課題に対応できるシステムを選ぶことで、効率的な在庫管理を実現できます。

次に、「在庫管理に必要な外部システムとの連携」です。在庫管理システムは、外部のアプリやシステムと連携することで、出荷に関する業務がよりスムーズになります。システム選定に先立って抽出しておいた課題認識とすり合わせながら、あらかじめ自社が連携したい機能を洗い出しておけば、それと連携した実績があるシステムを選ぶことができます。

続いて、「在庫情報の登録や検品に必要な機能・備品」です。在庫情報をどれだけ手軽に登録・管理できるか否かは、システム選択の重要な基準となります。CSVファイルの一括インポート、基幹システムとの連携による取り込み機能があれば、情報の管理がしやすくなります。さらに、検品や棚卸の効率化を重視するならば、ハンディターミナルに対応したシステムが適しています。

最後のポイントは、「倉庫や店舗など拠点数の拡張への対応力」です。複数の倉庫や店舗を持つ企業では、多拠点の在庫管理に対応できるシステムが必要です。システムによっては、登録できる拠点数やユーザー数に限りがあるものも存在します。多拠点管理機能の有無や拠点数の制限、拠点間のデータ連携の仕組みなどが、選択のポイントになります。

優位性の高い「クラウド型」

システムを選択する場面で、こうした機能面に加えて、「クラウド型」と「オンプレミス型」で判断する動きも広がっています。近年は、このクラウド型の優位性を重視する見方が広がり、その機能がより注目されるようになりました。

自社の業務に合わせた専用システムを開発して、自らのネットワーク内で利用するオンプレミス型に対して、クラウド型はインターネット環境があればどこからでもアクセスでき、自社でサーバーを用意する必要がない利便性が強みです。在庫管理は必ずしも単一の拠点のみで行うものではありません。多拠点の在庫管理に適しているクラウド型のシステムは、より優位性が高いと評価されています。

もちろん、オンプレミス型の強みもあります。自社のネットワーク内で利用するため、社内ネットワークが整備されている中規模から大規模の企業に適しています。システム面でのカスタマイズの柔軟性も高いため、自社で機能を拡張したい場合や、他のソフトウェアと連携させるといった対応も可能です。

クラウド型の強み

クラウド型は、インターネット環境があれば導入できるため、低コストかつ短期間で導入できるのが特徴であり、こうした点が近年の注目されているようです。一般的な料金体系はサブスクリプションのため、比較的小規模組織にとっては費用負担が軽くなりやすい点も、導入を促す要素になっています。

ロジザード株式会社が展開するクラウドWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO 」は、在庫管理を支援するシステムを代表する存在として、高い実績を誇ります。あらゆる業種・業態に対応できる幅広い機能を備え最短1カ月で簡単に導入できるのが強みです。

在庫管理にお悩みの方

ロジザードZEROで課題を解決しませんか。
バーコードで在庫を管理するので、正確な在庫情報を蓄積し、リアルタイムに確認ができます。
 資料ダウンロードはこちら

データ活用で課題解決へ

こうした在庫管理システムの機能は、現場作業の効率化・最適化を促すとともに、データの有効活用による業務改善、さらには経営支援にも役立てることができます。

在庫分析とは、在庫が適正に保たれるよう在庫状況を把握して分析する取り組みです。自社の在庫管理に問題がないか確認したり、原価の把握や適正在庫の基準を見直したりする過程で、こうしたデータ分析が欠かせません。在庫不足による販売機会の損失防止、商品の売れ行き把握や在庫過多による管理コストの増大を防ぐ狙いがあります。

在庫分析の効果は、適正在庫の実現にとどまりません。売れ筋を的確に把握することで、販売計画の策定などの経営判断に活かすことができます。

在庫管理システムで取得した過去の実績や商品属性などの様々なデータを使い、商品の需要を予測することができるからです。商品の需要は天候や社会のトレンドによって大きく影響を受けます。需要予測の精度が高まると、商品別の在庫数を必要最低限に絞れるため、収益最大化や商品価値の維持につなげられます。こうした分析により、適正在庫や発注計画の精度を高めて、無駄のない在庫の確保を支援します。

在庫管理にお悩みの方

ロジザードZEROで課題を解決しませんか。
バーコードで在庫を管理するので、正確な在庫情報を蓄積し、リアルタイムに確認ができます。
 資料ダウンロードはこちら


まとめ:在庫管理DXで物流の未来を拓こう

このコラムでは、在庫管理のDX推進が物流業界にもたらす効果に焦点を当ててご紹介しました。産業界における物流の在り方が改めて問われている現在、サプライチェーンの最適化に向けた在庫管理のさらなる高機能化は、対策すべき最大のテーマと言えるでしょう。

在庫適正化を進める上でまず取り組むことは、自社の課題の洗い出しです。課題の本質を見極めたうえで、その解決策としてDXに向けた一歩を踏み出してみましょう。在庫管理DXの究極の目的は、現場業務の最適化を経て、企業の投資効果を最大化すること。ひいては、その複合体であるサプライチェーン全体の最適化を実現することと言えるでしょう。