COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2023/12/19 メーカー・製造業在庫管理小売業(リアル店舗)運輸業・倉庫業(3PL事業者)

ハンディターミナルの使い方完全ガイド!メリット、導入、操作方法を徹底解説

ハンディターミナルの使い方完全ガイド

物流現場におけるさまざまな業務において、もはや欠かせないツールになっているハンディターミナル。EC(電子商取引)の急速な普及に伴い、取り扱う荷物の量や種類が急増する中で、倉庫をはじめとする現場業務の効率化を加速する観点からも、情報を読み取ることができる携帯用データ収集端末の重要性は高まる一方です。こうした期待を反映して、ハンディターミナルのさらなる高機能化も進んでいます。ここでは、ハンディターミナルが物流現場にもたらすメリットと効果的な活用方法について考えます。

ハンディターミナルの基礎知識

ハンディターミナルとは?

ハンディターミナル。直訳すれば「携帯型」の「入出力を行う端末装置」となります。物流現場では、倉庫における荷扱いの現場で導入が進んでいるほか、配送ドライバーも携帯して荷物の輸送工程管理に一役買っています。さらには、小売店舗での在庫や陳列商品の動向を把握する手段としても使われています。

それでは、物流現場におけるハンディターミナルの役割とは何でしょうか。物流倉庫での活用時における代表的な機能と言えば、即時にデータを収集・処理できることです。

サプライチェーンの混乱を避けるには、倉庫における在庫管理や入出荷、検品といった機能の円滑化・効率化が欠かせません。それぞれのプロセスでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、あらゆる情報がバーコードや2次元コードなどを介してデジタルデータで管理・処理されています。常に新規のデータが発生し続ける状況に対応できる機動力を発揮するのが、ハンディターミナルなのです。

ハンディターミナルの選択ポイント

物流業界でも多様な場面で活用されるようになっているハンディターミナル。ここでは、その種類について紹介します。

物流倉庫での使用を想定しながら、ハンディターミナルの原理を簡単に振り返っておきます。まずは、荷物に貼付されているバーコードや2次元コード、文字などを、レーザーやLEDで照射して読み取ります。数字や文字、記号にリアルタイムで変換されたデータが画面に文字や図表などで表示され、必要に応じてキーボードやテンキー、タッチパネルなどを使って数値を入力していきます。

こうして処理されたデータは、インターネットや社内ネットワークを経由してホストコンピューターや他の端末と接続することにより、業務の進捗確認や情報の集約・分析に活用できるというわけです。

こうした原理で情報をリアルタイムで読み取り蓄積できるハンディターミナル。物流現場を中心に拡大する市場でのシェア(市場占有率)獲得を狙って、制御機器メーカーを中心とした数多くの事業者が参入し、独自の技術力を生かした製品を販売しています。

差別化のポイントはさまざまですが、温度変化や衝撃など使用シーンを意識した「堅牢性」、作業者の視認性を訴求した「画面の大きさ・見やすさ」、さらには操作ミスを防止する「送信チェック機能」を強調する機種も登場しています。現場作業を支援する機器ですから、やはり作業者の負担軽減は商品選択の重要な基準になりそうです。

ハンディターミナルにおける有線タイプと無線タイプの特徴

独立した端末でデータの読み取りや蓄積が可能なハンディターミナル。とはいえ、こうしたデータを集約したり他の端末と連携したりする場合には、通信環境が必要となります。ハンディターミナルは携帯端末であることから、その通信機能として「有線」と「無線」の2つが存在します。ここでは、それぞれの機能に応じた選び方について説明します。

まずは有線タイプ。LANケーブルやUSBケーブルを使って、ハンディターミナルとパソコンと接続します。ケーブルを使うことから、通信機能が遮断するおそれは低いですが、ハンディターミナルの使用場所が限られます。ハンディターミナルを使った作業における移動範囲を限定することが、有線タイプを選択する条件となります。

一方で、広い範囲を移動しながらハンディターミナルを使う場合は、無線タイプが有効です。専用のアクセスポイントを設置して構内に無線LANを構築する必要があります。注意すべきなのは、広範囲でのハンディターミナルの使用を想定した環境測定が必要であること。運用環境に合わせてアクセスポイントの台数や設置場所を決めます。こうした想定を誤ると、移動中に通信機能が使えなくなるおそれもあります。


物流倉庫でハンディターミナルを導入するメリット

ハンディターミナルの導入メリット

在庫や作業工程の管理に適しているハンディターミナル。物流倉庫で展開される、荷物の在庫管理や仕分け、検品といった作業は、荷札や伝票などに記載されたさまざまな情報を瞬時に読み取ることが求められます。

なぜなら、倉庫内作業が停滞することで、サプライチェーン全体に致命的なダメージを与えてしまうためです。こうした事態を避けて倉庫内作業を最適化したい、ハンディターミナルはこうした現場の悩みを解決に導く手段として、注目されているのです。

在庫管理のミスを防げる

それでは、ハンディターミナルを導入することで、倉庫現場にどんなメリットが生まれるのでしょうか。まずは、正確な在庫管理の実現です。

物流倉庫に次々と集まる荷物。これらの荷物に関する膨大なデータを、人手ですべて帳簿に入力して管理するとしたら、現場はどんな事態が起きるでしょうか。作業者は押し寄せる荷物のデータ処理に追われ、結果として倉庫内のあらゆる作業プロセスで機能不全に陥るでしょう。人間の手作業ですから、ヒューマンエラーが発生する可能性もあります。

そこで、現場作業者にハンディターミナルを付与した上で、荷物にはバーコードや2次元コードを貼付し、棚にもコードを付与すればどうでしょう。作業者はハンディターミナルでコードを読み取ることで、「どの荷物がどこにどれくらいあるのか」がリアルタイムで把握できるようになります。まさに、在庫管理の効率化が実現するわけです。荷物の入庫・出庫や移動も、バーコードを読み取るだけで、正確かつ適時に管理することが可能になります。

物流業界および他の業界での導入成功事例

物流業界では、倉庫における在庫管理や荷扱い業務の効率化に、ハンディターミナルが大きく貢献しています。その要因の一つが、物流現場におけるDXの遅れでしょう。

国内の産業界は、多くの領域でデジタル化による業務の効率化が進展してきています。しかしながら、こうした取り組みの進捗における業界間の格差も問題化しています。とりわけ顕著なのが、物流です。

いわゆる「アナログ」な業務スタイルから脱却できない事業者が少なくない物流業界では、店舗から宅配への消費シフトを主因とする処理量の急増への対処法として、官民挙げてのDX推進活動が始まっています。とりわけ中小の倉庫事業者では、ハンディターミナルの導入による業務効率の向上につなげている事例が聞かれるようになっています。

ハンディターミナルの導入効果は、ドライバーの集配業務にも生まれています。荷物の正確な配達はもちろん、迅速な集配業務とその情報管理、さらにはドライバーの就労環境の改善にもつながっている事業者が増えています。

小売業をはじめとする流通業界、さらには製造業の世界でも、商品の在庫管理の円滑化に貢献しており、物流倉庫やドライバーを含めたサプライチェーン全体での相乗効果の創出も実現しています。ハンディターミナルの普及という観点からも、物流業界における業務改善は幅広い産業領域にプラスの効果を及ぼしていることが分かります。


ハンディターミナルの導入方法と注意点

最適なハンディターミナルの導入に向けて

「倉庫の在庫管理がどうしてもスムーズにいかない」「ピッキング作業のデジタル化の方法が分からない」――。物流倉庫の事業者が抱える、こうした悩みの解決に向けた手法として、ハンディターミナルの有効性を説明してきました。とはいえ、やみくもにハンディターミナルを購入しても、その機能を発揮できないばかりか、投資効果も低くなってしまいます。

端末の導入にあたっては、まず現場における課題認識の明確化を進めることが大切です。数多くのメーカーがさまざまな機能を持つ機種を展開していますが、そこから現場の課題に最も対応力のある最適なモデルを選択しなければなりません。そこで、現場の抱える課題の抽出とその解決法、つまり「ありたい姿」を明らかにすることが第一歩となるのです。

それが決まれば、いよいよ機種の選択を進めていくステージになります。有力な候補を複数選択して、それぞれの機能や価格、アフターサービスなどを含めて総合的に判断しながら、最終案へ絞り込んでいきます。

近年は、スマートフォンタイプの機種も登場するなど、メーカーがより現場における操作性に配慮したラインアップを充実させています。ウェブサイトなどで情報収集を積極的に進めることで、最適なハンディターミナルの導入を実現できるでしょう。

ハンディターミナル導入における注意点

物流現場の業務効率化を支援するハンディターミナル。とはいえ、導入にあたって留意していくべきポイントもあります。とりわけ、現場で取り扱う荷物の種類によっては効果が期待できない場合もあるので注意が必要です。

まずは費用面について。ハンディターミナルは、必要な台数の端末を揃えるとともに、それを使ってデータを収集し蓄積していくためのシステムの設計や設定にも一定の費用がかかります。既存のシステムとの連携や作業者の訓練の時間も必要です。

ハンディターミナルの使用を前提とした現場作業フローの調整も欠かせません。ハンディターミナルを導入するには商品情報を読み込むためのバーコードや2次元コードが不可欠であることから、コードが貼り付けられる荷物しか管理できません。例えば、食材や細かくて数の多いもの、液体など、コードを貼付できない荷物は対応できません。

さらに見逃せないのは、「ハンディターミナルを操作するのはあくまで人間である」ということです。確かに読み取りのミスは削減できますが、ハンディターミナルでコードを読み取る操作の漏れや、通信環境のエラーが発生する可能性を想定する必要があるのです。現場によっては、管理する荷物が多い場合はバーコードを貼る作業そのものが負担になることもあります。あくまで全体的な業務効率を考えて導入を進める必要があるでしょう。


まとめ

物流業界における現場作業の効率化を推進する「旗手」として、高い注目を集めるハンディターミナル。荷物の情報を読み取ることで、あらゆるデータを集約して業務改善につなげることができる優れものです。とはいえ、その効果を生み出すには、現場の課題抽出力が欠かせないのも事実でしょう。

ハンディターミナルを含めたDX関連機器の導入にあたっては、現場の課題解決に向けたアプローチとして、「全体最適」を視野に入れたアクションが欠かせません。在庫管理業務の効率を高めるために、ハンディターミナルを導入してバーコードを荷物に貼り付けたとしても、その他の倉庫業務が改善していなければ、そこでボトルネックを引き起こして、結果として倉庫全体の機能は最適化されない事態になりかねません。

操作も分かりやすく、機能を十分に理解して活用すれば、実効的な業務改善を促すハンディターミナル。「2024年問題」を目前にして、さらなる課題も予想される物流業界の担い手として、将来に備えた現場改善を推進する観点からも、ハンディターミナルの効果を検証してみてはどうでしょうか。

ロジザードでは、業界No.1の稼働数を誇るクラウドWMS「ロジザードZERO」を提供しています。ハンディターミナルを活用した在庫管理をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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