COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2025/05/28 EC・通販事業者システム運輸業・倉庫業(3PL事業者)

WMSとは?基本機能から導入のメリット・デメリット、選定ポイントを解説

WMS(倉庫管理システム)を選ぶ前に知っておきたい基本のポイントとは?

WMS(倉庫管理システム)を検討する際には、まずは自社の物流業務にどのような課題があるのか、そしてどんな機能が必要なのかを明らかにすることが大切です。システムを導入して効果を最大限に引き出すためには、自社に合ったWMSをきちんと見極めることが欠かせません。
このコラムでは、WMSの選定を始める前に知っておきたい基本的なポイントをご紹介していきます。

WMS選定の重要性とは?

物流現場を取り巻く課題

WMSの選定で押さえておきたい基礎知識として、まずは倉庫現場の抱える課題を整理しておくことが大切です。EC(電子商取引)はもともと成長市場でしたが、新型コロナウイルスの影響によって急速に拡大しました。それに伴い、消費者の購買スタイルも変化し、置き配やロッカー受け取りなどが普及したことで、購買から受け取りまでの手段も多様化しました。この「店舗で買う」から「指定した場所に届く」への変化を支えているのが、メーカーと消費者をつなぐ物流拠点となる倉庫です。

そのような倉庫現場では、これまでにない人手不足が深刻化しています。宅配需要の拡大により、取り扱う商品の量が急増する一方で、少子高齢化や働き方の多様化によって、若手人材の確保が難しくなってきているからです。

もちろん、国や企業もこうした状況を改善しようとさまざまな対策を急いでいます。その主軸となるのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。IT(情報技術)システムを活用することにより、現場業務の無駄をなくし、人間が行っていた作業をロボットやIT技術に置き換えることで、限られた人手を補おうとしています。

倉庫業務の効率化とコスト削減のポイント

DXによる物流業務の効率化を考える上で、重要なポイントとなるのが、倉庫における業務スタッフの負荷低減です。前述のとおり、倉庫現場は取扱量の急増と人手不足という、非常に厳しい環境に置かれていると言えるでしょう。

そこで必要になるのが、倉庫内の商品やスタッフの動きを最適化するための管理システム、WMSの出番となるわけです。

WMSは、作業負担の軽減に加えて、既存業務のスピードと正確性の向上、さらに他のシステムとの連携など、付加価値の高い物流サービスの創出にも貢献します。その結果として、倉庫業務におけるコスト削減に繋がるのです。

こうした物流の変革期を迎えている今こそ、WMSはその機能が再び注目を集めているのです。

倉庫内業務の効率化にお悩みの方

クラウドWMS「ロジザードZERO」で課題を解決しませんか。
バーコードで在庫を管理するので、正確な在庫情報を蓄積し、リアルタイムに確認ができます。
 資料ダウンロードはこちら


WMS選びのポイント

企業の業態に適した機能の確認

ここからは、企業がWMSを選択するにあたって、注視すべきポイントについて考えていきましょう。最近では、「物流は経営戦略の一部である」という認識も広がっており、企業はその基盤を整えることで持続的な成長を目指しています。こうした流れの中で、物流分野はますます重要なテーマになってきています。

物流機能を最適化するためには、自社の業種や業態の特性を踏まえて、どのような課題があるのかをはっきりさせる必要があります。WMSの導入にあたり、具体的な課題とその背景、そして「あるべき姿」「ありたい姿」をはっきりと描いて、実現に向けて計画を立てることが大切です。

物流業界ではWMSの普及が進み、その機能も高度化、特定の業種・業態向けに専門性のあるWMSが誕生するなど進展しています。こうした中で、機能が自社の課題解決策と合致しているかどうか、見極めることが必要になるでしょう。

WMSの導入は、大きな投資を伴うことも多く、企業にとって大きな決断であることは間違いありません。そのため、課題を解決したい倉庫の規模や今後の運営方針、課題などを踏まえた、最適なWMSの選定が求められます。

クラウド型WMSとオンプレミス型WMSの違い

WMSの仕様は、それぞれに違いがあります。ここでは、「クラウド型」と「オンプレミス型」の違いに着目してみましょう。

クラウド型は、インターネット上のサーバーでシステムを動作させます。インターネット環境さえあれば、パソコンやモバイル端末で利用できるのが魅力でしょう。

企業が導入するにあたり、自社でサーバーを用意する必要がないため、初期費用を抑えることができます。特に初めてWMSを導入する場合は、高額な設備投資を避けたい経営層の意向にも合致しやすいのではないでしょうか。機能の拡張が容易なのもメリットです。

一方、企業の自社サーバーやパソコン端末にソフトウェアをインストールして利用するオンプレミス型は、カスタマイズ性の高さが強みです。そのため、大規模な倉庫運営に適しています。とはいえ、先述のとおり、導入時のまとまった投資がデメリットです。サーバーの障害発生時は自ら対応する必要があり、定期的なメンテナンスも欠かせません。

さらに、近年注目されているのが、パッケージ化したソフトウェアを利用できる「パッケージ型」です。低コストで比較的容易に導入できる強みがありますが、機能がパッケージ化されているゆえに、カスタマイズ性に課題もあります。

WMSと他システムの連携

システムを活用した倉庫現場の課題解決方法の1つとして、WMSと他のシステムを連携させることで、より効果的な業務改善が期待できます。

たとえば、販売管理システムや基幹システムと連携することで、情報の一元化や業務の自動化が進み、現場の効率化をさらに加速させることができます。また、配送管理システムと連携すれば送り状を自動発行することもできます。

WMSのなかには、こうした他システムとの連携のしやすさを強みとしているものもあります。業務の幅が広がる今の物流現場では、柔軟な対応力がより一層重要になってきていると言えるでしょう。

サポート体制と導入事例の確認

WMSは、一度入れたら終わりではなく、長く付き合っていくシステムです。業務内容や市場の変化にあわせて柔軟に対応できるように、導入後のサポート体制も確認しておくと安心です。

導入にあたっては、専門的な知識も必要となります。企業の物流課題が変化すれば、他のシステムとの連携も含めた構成を見直す必要もあるでしょう。こうした場合に、すぐに相談できる窓口があれば、企業にとって心強いビジネスパートナーになります。システムの提供側も、より顧客のニーズに合ったサービス提供を踏まえて、さらなる機能の充実を進めることができるでしょう。

システムを選択する上で、サポート体制も含めた導入事例を参考にすることも、重要なポイントになります。導入して解決した課題だけでなく、WMSを活用して初めて気づいた機能の効果や利便性など、ユーザーならではの「使い勝手」を把握できます。さらには、導入事例に掲載された企業の業界や、その企業の抱える課題などの傾向を分析することで、サービスの強みを理解することもできるでしょう。


WMS導入の流れと方法

ここまで、WMS選定のポイントについて説明してきました。ここからは、実際にWMSの導入を検討する流れと方法についてご紹介します。その実現には下記の4つのステップがあります。

  1. 自社の課題の整理と必要な機能や要件の洗い出し
  2. WMS候補選定とその根拠の明確化
  3. WMSの確定と導入
  4. WMSの本格運用と効果検証

ステップ1:自社の課題の整理と必要な機能や要件の洗い出し

最初のステップは、WMS選定・導入の前提となる現場の課題の整理と、その解決策の明確化です。WMSを導入する最大の理由は、倉庫現場の課題を解決し業務を最適化することでしょう。

現場における課題をピックアップして類型化し、解決策をまとめるのがステップ1の段階です。この部分をしっかりと固めてから、WMSの導入の可否を含めた具体的な解決策を考えましょう。

ステップ2:WMS候補選定とその根拠の明確化

ステップ1で固めた課題と解決策について、現実に向けて取り組む準備段階がステップ2です。ここで、WMSの導入の可否を判断することになるでしょう。

インターネットで「WMS」と検索すれば、数多くのWMSサービスの紹介ページが表示されます。裏を返せば、これら数多くの候補の中から、最適な1つのサービスを選ばなければならないのです。

では、どうすれば自社の課題解決に最適なWMSを選ぶことができるのでしょうか。そのために必要なのが、「自社の課題の明確化」と「その解決策ができるWMSのリサーチ」です。つまり、WMSを導入したい側と、提供したい側の意向が合致すればよいのです。候補となる根拠をはっきりとさせることで、スムーズにWMSの選定を進めることができるようになります。

例えば、「棚卸を効率化・省人化したい」というニーズがあるならば、棚卸機能の充実したシステムを選ぶのがよいでしょう。例えば、誤出荷の削減を目的とするならば、帳票やバーコード活用の機能が充実しているシステムを選ぶのが、解決の近道になります。

ステップ3:WMSの確定と導入

WMSの候補が定まれば、最終的に導入するサービスを確定する段階に入ります。。課題認識と機能の相性ももちろんありますが、予算や導入時期、経営層の意思決定のタイミングなど、各方面の調整も踏まえながら、最終案をまとめていきます。

とはいえ、倉庫業務を行う中で重要なシステムを導入するわけですから、準備を念入りに進める必要があるのは、言うまでもありません。システムを導入する際は、現場スタッフの操作の成熟度を高めるため、慣らし期間を設けることをお勧めします。いくら現場の課題解決に合った仕様のシステムであっても、現場スタッフが使いこなせないものであれば、効果を発揮できないものになってしまい、新たな課題を生み出すきっかけにもなりかねないからです。

慣らし運用期間で明らかになった課題点は、システムの選定時には見えなかったポイントなのかもしれません。ここで新たに発見した課題点の改善・解決を踏まえて、本格運用に入るのがよいでしょう。

ステップ4:WMSの本格運用と効果検証

本格運用が始まると、業務効率化の評価をする段階がやってきます。もちろん、WMS導入を機に、倉庫内の商品やスタッフの動線も見直していることでしょう。とはいえ、システム活用による効率化にかかる定量面・定性面での評価を、定期的に実施していく必要があります。

評価の基準は、現場の課題認識によって変わってくるでしょう。スタッフの就業時における繁忙さが課題であった場合は、残業時間の削減率や有休消化率などが指標の一つになるでしょう。入出荷業務における作業スピードが課題であったならば、入荷から出荷までのリードタイムの短縮率を調べることも可能でしょう。

こうしたパフォーマンスチェックの結果は、倉庫を運用する関係者に共有するとともに、システムの提供側にも提示しておきましょう。システム機能のさらなる改善提案や、運用面での見直しなど、双方にとってメリットのある形で情報を反映できる可能性が高いからです。

効率化のための追加機能

WMSは、機能の追加や他のシステムとの連携など、柔軟性の高いシステムです。ITシステムならではの強みである機能の拡充や連携のしやすさは、物流現場での課題解決にも、有効な効果を発揮します。

WMSは、倉庫現場の業務を最適化する目的で設計されており、更にパッケージ型の場合は豊富な機能を搭載しています。WMSの本格運用が始まり、新たな課題が浮上した場合は、その内容に応じて、既に搭載されている機能を使うことができます。

ECの進展などによる消費者の購買トレンドの変化は、より迅速な動きを物流現場に求めています。つまり、物流現場は、課題を速やかに解決しなければならない状況であるのです。

倉庫内業務の効率化にお悩みの方

クラウドWMS「ロジザードZERO」で課題を解決しませんか。
バーコードで在庫を管理するので、正確な在庫情報を蓄積し、リアルタイムに確認ができます。
 資料ダウンロードはこちら


WMS導入のメリットとデメリット

メリット

WMSを導入することで、業務の「効率化」と「精度向上」が期待できるでしょう。倉庫内の業務がスムーズになることで、全体の生産性が向上します。作業手順が整備され、誰が行っても安定した品質が保たれるようになります。さらには、商品情報がデータ化され、入出荷やピッキング作業が正確に管理されることで、作業者はミスを減らすことができるでしょう。

こうした2つの効果で期待できるのが、人件費の削減です。倉庫作業が効率化されることにより、スタッフ1人あたりの業務負担が軽減され、少ない人数でも運営が可能になります。

また、人的コストだけではく、誤出荷や在庫管理の不備による追加コストを削減できる点も見逃せません。効率的な作業環境が整うことで、残業やヒューマンエラーに関連する無駄なコストを減らせるほか、リアルタイムな情報提供が可能になることで、不要な在庫を抱えるリスクも低減できるのです。

デメリット

WMSを導入する際に、デメリットの検証も必要であることは既に述べた通りです。初期コストの高さは、企業にとって大きな課題になるでしょう。システムの導入は初期投資が必要となるため、短期間でのリターンが期待できない場合もあります。こうした事態も想定して、導入を決定する際には、コスト対効果をしっかりと見極める必要があります。

また、操作の習熟が必要なため、従業員への教育やマニュアル作成にも時間と労力が求められます。新しいシステムに慣れるまでの間、業務に支障をきたす可能性もあります。特にITに不慣れなスタッフにとっては、新しい操作手順の理解が難しい場合があります。

WMSの導入にあたっては、導入後の適切なトレーニングやサポート体制の整備が必要です。教育が徹底されないと、システムの利便性を十分に活かされず、管理費用や工数だけがかさむことになるからです。

投資対効果が企業経営における重要な指標となる中で、WMSによる事業効率の改善効果を最大化するためにも、こうした投資面での懸念材料を最低限にしておく努力が必要なのです。


まとめ

このコラムでは、WMS導入における選定から導入、その後の運用にかけての流れを振り返るとともに、その最適な方法についてご紹介しました。

作業のムダを減らし、正確で効率的な運営を実現することで、企業全体の成長にもつながっていくはずです。「どのWMSを選べばよいのかわからない」「導入に不安がある」といった声も多いかもしれませんが、丁寧にステップを踏み、自社に合ったシステムを見つけることが何より大切でしょう。

ロジザード株式会社が提供する「ロジザードZERO」は、さまざまな業種・業態に対応できる柔軟性を備えたクラウドWMSです。導入実績も豊富で、サポート体制もしっかりしています。

物流業界で急速に進む、DXによる業務効率化。その原動力となっているのが、WMSに代表される信頼性の高いシステムです。倉庫現場に存在する、漠然とした課題を解決したい――。そんな悩みを抱えている方は、まずはこうしたWMSの紹介ページを検索してみてはいかがでしょうか。物流関連事業者が出展する展示会やイベントのブースを訪ねてみるのも良いでしょう。

ロジサードコラム編集部.png

ロジザードコラム編集チーム

クラウド在庫管理システムを中心に、小売業や流通業の物流・在庫管理に関する情報をわかりやすくお届けする編集チームです。導入事例、コラム、ホワイトペーパーなどのコンテンツを通じて、物流現場の課題解決や業務改善のヒントを発信しています。現場視点を大切に、皆さまのお役に立てる記事づくりを心がけています。