COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/01/04 EC・通販事業者専門用語運輸業・倉庫業(3PL事業者)

物流トレンド用語30選 2024年最新版|物流担当者のための基礎知識

物流トレンド用語30選

昨今、新型コロナウイルスの影響によりECが急拡大したことで宅配が急激に増えました。商流の変化に合わせて物流業界でも新たな概念やサービス、専門用語が生まれています。新しく物流担当になった方は、商流だけではなく、物流業界で注目されているキーワードもおさえておく必要がありますよね。そこで、商流・物流の最新情報を発信されている物流系YouTuber「ロジカイギ」とコラボさせていただき、トレンドキーワードを30個選定。今、物流担当者が知っておきたい情報をまとめました。ぜひお役立てください。

フィジカルインターネット

フィジカルインターネットとは、インターネット通信の考え方を、物流(フィジカル)に適用した新しい物流の仕組みのことを指します。ECの需要拡大により宅配件数は増加していますが、多品種小ロットの配送によりトラックの積載効率は40%以下という低水準で稼働しています。トラックドライバーの人手不足やCO2削減要請等の影響もあり、配送効率や積載効率を改善する必要があります。そこで注目されているのがフィジカルインターネットです。複数の企業が保有している倉庫やトラックをシェアすることで、最短ルートでの配達やトラック積載効率、稼働率の向上を図り、効率的な物流を実現することができます。

貨客混載

貨客混載とは、乗客と貨物便を同一便で輸送・運行する取り組みを指します。鉄道や飛行機、路線バス、タクシーなどの旅客機の一部スペースが、荷物の運搬に利用されます。トラックドライバーの人手不足解消や温室効果ガス排出量を抑制に繋がることに加え、過疎地域の公共交通機関の経営改善も期待できると注目されています。

ポストパーチェス

ポストパーチェスとは、「購入後」を意味します。購入後も続く買い物体験を通じて、返品対応や問い合わせ対応などの業務コストを削減するだけでなく、顧客ロイヤリティの向上やリピーター育成による売上拡大、ブランディングの強化に繋がると言われています。

リバースロジスティクス

リバースロジスティクスは、逆転物流や還流物流と呼ばれており、消費者から生産者へと向かう物流のことを指します。ECの拡大により、消費者は手軽に商品を購入できるようになった一方で、不良品や「期待していたものと違った」と返品されるケースも増えています。返品は、予測不能な上に個別発生するため、事業者から消費者へ届けるロジスティクスに比べてコストが大きくなる傾向にあります。また返品対応の遅れがユーザーの購入満足度に影響を及ぼすため、迅速に対応することが求められます。このような背景からリバースロジスティクスを最適化させることへ注目が集まっています。

ラストワンマイル

物流におけるラストワンマイルとは、最後の1マイル(マイル=1.6km)という距離的な意味ではなく、消費者へモノを届ける最終区間のことを指します。ECの拡大に伴い、注文した商品が翌日、場合によっては当日中に届くというのが当たり前になりつつあるなかで、リードタイムの短縮かつ確実に届けるためのラストワンマイルを最適化させようと企業間の競争は激化しています。

置き配

置き配とは、あらかじめ消費者が指定した場所(例えば玄関前や物置など)に荷物をお届けするサービスです。非対面で荷物を届けることができるため、ユーザーと配送業者の双方にメリットがあります。ユーザーにとっては、不在時でも荷物を預かることができるため、配達時間に行動を制限されずに済むことや感染症リスクを回避することができます。配送業者にとっては、再配達の頻度を下げることができるため、ドライバーの負担を軽減し、配達業務の効率を向上させることができます。一方で、置き配のデメリットとしては、盗難のリスクがゼロではないことが挙げられます。盗難対策として宅配ボックスが少しずつ普及し始めています。

サーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーとは循環型経済を意味します。これまでの経済活動のなかで廃棄されてきた製品や原材料などを「資源」と考え、リサイクル・再利用などで活用し、資源を循環させる新しい経済システムです。廃棄物をなくし再利用するという点では、3R(リデュース、リユース、リサイクル)と似ていますが、サーキュラーエコノミーは、廃棄を前提としないという点が最大の違いです。世界的な人口増加と経済成長を背景に、従来のような大量生産、大量廃棄では地球環境を汚染してしまいます。資源も有限であることから持続可能な地球環境と経済成長を果たすためにさまざまな業界で注目されています。

サステナブル

サステナブルとは、「持続可能な」を意味します。このサステナブルというキーワードは、日本の物流業界だけではなく、世界中さまざまな業界で注目されています。物流業界におけるサステナブルな取り組みとしては、再配達の防止、貨客混載や共同物流などトラックドライバーの人手不足を解決するものや、梱包資材の見直し、CO2排出量の削減など環境問題へ配慮したものが注目されています。

省力化・省人化

省力化・省人化とは、従来人が行っていた作業を、ロボットやシステムに置き換えることで、業務の効率化や生産性の向上を図る取り組みを指します。物流倉庫内で注目されている物流ロボットとしては、AGV(Automated Guided Vehicle)やAMR(Autonomous Mobile Robot)などが注目されており、人間とロボットが協働して効率的に業務を行なう取り組みが進められています。また配送面ではドローンによる配達や宅配ロボによる配達の実証実験も進んでいます。

買物難民

買物難民とは、地方の過疎化や小売店の減少、公共交通機関の廃止により気軽に食料品や日用品といった生活必需品を調達することが困難な方を指します。2015年時点で高齢者全体に占める割合は24.6%と高く、およそ4人に1人が買物難民に当てはまります。物流面では、ドローンによる配送や移動販売の促進が問題解決に繋がると期待されています。

ドローン配送

小型無人航空機(ドローン)を使って商品の配送を行なうことを指します。ドローンは予めルートを設定しておくことで、自動で飛ぶことができるため、配達員が不要となり人手不足の問題解決に繋がります。また、空を利用して移動するため、最短距離での移動が可能である点と交通渋滞の影響を受けないメリットが挙げられます。買物難民の解決にも繋がると考えられています。

マイクロフルフィメント

マイクロフルフィルメントとは、従来型の大規模かつ郊外にある物流センターからの配送ではなく、店舗のような顧客に近い拠点に小規模な倉庫を設置し配送する物流システムのことを指します。例えば、アメリカのスーパーでは、店舗にマイクロフルフィルメントセンターを併設して、オンライン注文に対して迅速に対応できるようにする取り組みが注目されています。

BOPIS

BOPISは、Buy Online Pick up In Storeの頭文字をとった造語で「ボピス」と呼ばれています。意味としては、ECで注文した商品を「店舗」で受け取ることができる仕組みを指します。消費者は、ECで事前に在庫を確保しておき、自分の好きなタイミングで取りに行くことができます。メリットとして、商品を探す時間が短縮できる点や返品が簡単である点が挙げられます。また、対人接触を伴わない購買形式のため、新型コロナウイルスの感染リスクを低減させることができます。意味の近い言葉にClick & Collect(クリックアンドコレクト)がありますが、こちらは、「自宅以外の場所」で受け取る仕組みを指します。より実店舗を意識した取り組みとしてBOPISが注目されています。

BORIS

BORISは、Buy Online Return In Storeの頭文字をとった造語で「ボリス」と呼ばれています。意味としては、ECで注文した商品を「店舗」で返品できる仕組みのことを指します。従来の返品対応は、消費者が事業者に返品手続きをしたうえで、商品の梱包を行ない、指定の場所まで返送する対応が必要となり、手続きの煩雑さに消費者の購入体験を下げていました。店舗を返品窓口として返品にかかる負担を軽減することで、購入体験を高めるとともに、新たな顧客とのタッチポイントづくりにも寄与します。

Amazon HUB 地域配送

Amazonが新しくリリースした独自の配送プログラムのことを指します。地域の中小企業やお店にAmazon商品の配送を委託し、報酬を支払う仕組みです。デリバリーパートナーは空き時間を利用して配送拠点となる店舗や事務所から最長約2km圏内で配達します。Amazonとしては配達員不足の解消を図れること、配達するお店としては空き時間に報酬を受け取れること、地域にお住まいの方との新しいコミュニケーションが生まれる可能性があることなどがメリットとして挙げられます。

物流インフレ

物流インフレとは、物流コストの高騰のことを指します。物流コストのインフレは、需要サイドと供給サイドの両方に要因があります。需要サイドでは、ECの拡大による宅配便が急増したことと、多品種小ロット配送によりトラックの積載効率が低下したことが挙げられます。一方で供給サイドとしては、規制緩和による競争激化の結果、ドライバーの労働環境が悪化したことで、著しくトラックドライバーが減少していることが挙げられます。2024年には、トラックドライバーの時間外労働に上限規制がかかることやCO2排出量の規制がかかることで物流業界はより一層制約を受け、物流コストはさらに高騰していくと考えられています。

2024年問題

2024年問題とは、2024年4月1日より働き方改革関連法「自動車運転業務における時間外労働時間が年間の上限規制」が適応されることで、運送や物流業界に影響する諸問題を指します。トラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に上限設定されることで、会社の売上・利益減少やトラックドライバーの収入減少、荷主側の配送料の高騰などの問題が生じる恐れがあります。

メルロジ

メルカリは、2021年10月31日に100%子会社で物流事業を担うメルロジを2023年1月1日付で吸収合併すると発表しました。メルロジはメルカリの物流サービスの企画、開発、運営を行なう企業です。メルカリの流通取引総額の増加に伴い、日本全体の物流におけるメルカリの取扱量も拡大しています。そこでメルカリでは、2020年より郵便局やコンビニなどにおいて対面の接客なしに商品の発送ができる「メルカリポスト」の設置に取り組んでいます。新たに設立されたメルロジでは、「メルカリポスト」を2024年までに全国8,000か所に拡大しながら、メルカリを体験しながら学べるリアル店舗「メルカリステーション」と合わせて自社のタッチポイントとして活用することで、集積効率の最大化を図っていくようです。

ギグワーク

ギグワークとは、英語のGig(ギグ)とWork(ワーク)を組み合わせた造語です。ギグは日雇い労働を意味する言葉であり、ギグワークは単発の仕事を請け負う働き方のことを指します。働く側にとっては、時間や場所に囚われない自由な働き方として人気を集めています。企業側にとっても、突発的な需要への対応ができるメリットがあります。ギグワークの代表例として、ウーバーイーツの配達員やAmazon Flex、Pick Goなどのサービスが挙げられます。

scope 1.2.3

「scope」という言葉は、カーボンニュートラルへの取り組みにおいてよく用いられています。scope1.2.3とは、国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「温室効果ガスプロトコル」の中で設けられている排出量の区分を表す言葉です。
scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出量
scope2:他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出量
scope3:1.2以外の間接排出量
これらscope1.2.3の合計がサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量となります。

サプライウェブ

サプライウェブとは、流通における川上や川下といった区分なく、あらゆるプロセスが柔軟に繋がることで、最適な形で全体のマネジメントを行なおうとする概念のことです。従来は、調達、生産、管理、輸送、販売といった川上から川下まで供給連鎖(サプライチェーン)を固定的にしてマネジメントしてきました。しかしサプライマネジメントの未来の姿として、より多くの調達先や納品先と自由に繋がり不要なプロセスを取り除くことができる「ウェブ=蜘蛛の巣」への進化が求められるようになりました。

SDGs

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称であり、「持続可能な開発目標」という意味を表します。SDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であり、17のゴール、169のターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さないことを誓っています。発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり、日本も積極的に取り組んでいます。

働き方改革

働き方改革とは、「1億総活躍社会の実現」を目標に、労働者が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革のことを指します。働き方改革を行なうことで、働き手の増加、出生率を上昇、労働生産性の向上を図る狙いがあります。

共同物流と共同配送

共同物流・共同配送とは、複数の企業が物流機能(保管・荷役・輸送・配送など)を共同で行なうことを指します。物流コストのインフレ対策やトラックドライバー不足の対策として注目されています。大まかな種類としては、異なる荷主が共同で特定の輸送業者を利用する「荷主連携の共同配送」と複数の輸送業者がお互いの輸送便を利用しあう「輸送業者間の共同配送」があります。

共創物流

共創物流とは、共同物流や共同配送の上位概念にあたります。基本的な意味合いは共同物流・共同配送と同じく、複数の物流会社が共同で物流業務を行なうことを表します。しかし現場レベルでは複数の企業が業務ルールを統一していく必要があるため、うまくいかないことがあります。そこで、共創物流という概念が生まれました。業務ルールなども含めて共同物流ができる仕組みを一緒に創り上げていこうという姿勢が含まれた言葉になります。

クールロジスティクス

クールロジスティクスは冷蔵・冷凍物流のことを指します。コールドチェーンと同義で使われることがあります。主に食料品の物流に用いられており、その他温度管理が必要な化学品や衣料品、電子部品などにも用いられることがあります。

2025年の崖問題

2025年の崖とは、経済産業省の「DXレポート」で使われているキーワードです。この「DXレポート」では日本の近い将来に対する警鐘であり、仮に日本企業がDXを推進できなかった場合、最大で年間12兆円の経済的損失が出ると算出されています。老朽化や複雑化、ブラックボックス化しているレガシーシステムに多くのコストや人的リソースが費やされていることで、新しいデジタル技術に投資ができなくなり、DXの足かせや企業の競争力を低下させることに繋がります。

コールドチェーン

コールドチェーンとは、冷凍や冷蔵の温度帯を保ったまま、生産、在庫管理、配送、販売までサプライチェーンを実現する仕組みのことを指します。クールロジスティクスと同義で使われることがあります。

自動配送ロボット

自動配送ロボットとは、自動で走行してさまざまな荷物や商品を配送するロボットです。EC市場の拡大により宅配需要が急増する中、トラックドライバーの不足や買物難民などの問題解決に繋がると言われています。日本でも、日本郵便、パナソニック、本田技研工業、楽天グループといった大企業とロボットベンチャー企業を中心にさまざまな実証実験が行われています。

パレットの標準化

パレットの標準化とは、標準規格のパレットを標準化された方法で運用すること(ユニットロード化・一貫パレチゼーション)を通じ、パレット化可能な全荷物の効率的な輸送・保管を実現することと定義されています。これからパレット化を図る事業者に推奨されている規格は、国内で最も生産・利用(全生産数量中32%、JISのサイズ中66%)されている「平面サイズ1100mm×1100mm」のパレットです。
2024年問題対策として、バラ積みバラ卸しからパレットに切り替える会社が増えています。国土交通省が公表した調査資料によると、バラ積みからパレット積みに変更した場合、荷役にかかる時間を約75%削減できるとのことです。


まとめ

本コラムでご紹介した物流用語は、YouTube「ロジカイギ」でも解説されていますので、ぜひご覧ください!
物流業界は、物流コストの上昇や人手不足などさまざまな課題を解決するために、沢山の概念やサービスが生まれています。新しく物流担当になった方にとっては、難しく感じる用語が多いかもしれませんが、本コラムを通してトレンドキーワードをおさえてみてください。


監修いただいたロジカイギの皆様
株式会社LiNKTH(リンクス)代表取締役 小橋 重信(こばししげのぶ)

婦人服アパレルメーカーに10年勤務し、マネージャとしてブランド運営全般を行う。在籍中に上場から倒産までを経験し、ファッション業界からIT業界に転身。SONY(株)の法人向け通信事業部(bit-drive)で提案営業としてネットワーク及び、サーバー構築を行う。 その後、株式会社オーティーエスのEC物流の立ち上げ時に転職し、新規導入から現場改善、さらには、不良在庫販売や越境ECなどの新規事業を立ち上げる。現在は物流コンサルタントとして、物流改善、オムニチャネルの相談、越境ECの支援を行い、業界や学生向けの物流セミナーの講師として登壇している。ファッション×IT×物流の分野で「ファッション業界を物流から元気にしたい!」をテーマに活動中。

トランスフィード株式会社 代表取締役 長井 隆典(ながいたかのり)

EC事業会社におけるfulfillment(Logistics/CS/Studio/System)の統括マネージャーとして新規立ち上げと運用構築を多数経験。特にEC物流においては、部門を跨いだ課題可視化やKPI設計による物流戦略立案を担当し拠点統廃合及びWMS導入責任者を務める。2017年にトランスフィード株式会社を設立。荷主及び物流事業者として培ってきた経験をもとに、物流改善に特化したコンサルタントとして活動。主にフロー分析によるオペレーションの可視化やシステム導入による省人化を行っており、近年は管理者の育成にも力を入れている。

株式会社トークロア 代表取締役 伊藤 良(いとうりょう)

EC黎明期である2000年から大手企業でECに携わる。その後、ベンチャー企業4社の幹部として広範囲の実務と事業の成長に伴う様々な課題を経験する。前職の通販物流企業では営業責任者として年商10倍までの道筋を作る。アドバイザーとして独立し6年経った現在では事業参謀として新規サービスの開発、マーケティング、業務体制構築など種々多様な50以上のプロジェクトに携わっており、ハンズオンの支援に定評がある。

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