COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

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最終更新日:2022/10/26 物流ロボット運輸業・倉庫業(3PL事業者)

【要点解説】物流ロボットとは?導入メリットとおさえるべきポイント

物流ロボットとは?導入メリットとおさえるべきポイント

近年、物流業界では慢性的な人手不足により、業務の自動化・効率化が求められています。そこで注目されているのが物流ロボットです。物流ロボットとは、物流業務における「ピッキング」や「仕分け」といった単純作業を自動化するためのロボットです。物流ロボットに注目が集まっている背景や導入におけるメリット、導入時における課題について解説していきます。

なぜ今、物流ロボットが注目されているのか

「2025年問題」ともいわれる超高齢化社会は日本全体の課題です。社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、さまざまな業界・分野に影響を及ぼすと言われています。
その中で物流業界の「人手不足」はすでに慢性化しており、近い未来には今までの働き方では通用しなくなることが予想されています。とりわけ「2024年問題」で取り上げられているトラックドライバーの時間外労働の上限規制は物流業界を取り巻くさまざまな分野に影響を及ぼすと考えられており、倉庫業を営んでいる方にとっては、配送コストの高騰として現れる可能性があります。年々上昇していく人件費や配送費により物流コストは今まで以上に高騰していくことが予想されます。人手不足という問題に対し、物流業界全体が真剣に取り組むべき時が来ています。
そこで注目されているのがオートメーション化、自動化ツールを用いた業務の効率化です。ロジザードは、物流ロボットの導入が物流コストと人手不足等の課題を解決する強力な一手になると考えています。かつては、自動倉庫を主役としたマテハン機器が注目されていました。自動倉庫は、生産性の向上や物流品質の均一化といったメリットがあり、大量生産・大量消費の時代には最適な物流設備でした。反面、これらの設備は導入の制約がある上に大がかりで柔軟性に欠け、投資リスクが大きいという障壁がありました。1990年代からECがはじまり、注目が高まってきましたが、2019年のコロナウイルスをきっかけにEC需要が一気に伸びました。ECでは、CS(顧客満足度)や顧客一人ひとりに合わせた接客をする「One to Oneマーケティング」が注目されており、物流でも個別に対応する要件が増えています。そこで、自動倉庫に比べて拡張性・柔軟性に優れ、目的によっては導入における制約条件も抑えられる「物流ロボット」が注目されています。

先日、ロジザードが主催したセミナーで物流ロボット導入に関するアンケート調査を行ったところ、86.1%もの人が3年以内に物流ロボットの導入を検討しているという結果が出ました。

物流ロボットの導入検討と導入時期グラフ

*ロジザード実施「物流ロボット・物流DXに関するアンケート調査」より

いまや物流ロボット導入は将来的な話ではなく、直近での導入を具体的に検討する段階まで来ていることがうかがえます。

物流ロボットに関するアンケート調査はこちらのコラムがおすすめです。

調査レポート:物流ロボット・物流DXに関するアンケート調査
https://www.logizard-zero.com/columns/report03.html


物流ロボット導入のメリット

物流ロボットを導入した倉庫運用は、従来の「人手中心の運用」と比較して、5つのメリットがあります。

1.人手不足解消

物流ロボットは、決められた業務では人の3倍から4倍働くといわれています。また、人間は1日8時間以上働くことはできませんが、ロボットなら夜間を通して稼働させることも可能です。これまで人手が担ってきた作業をロボットが代替すれば、貴重な人材をコア業務に専念させることができ、企業としての競争力が高まります。

2.コスト面

作業量と時間に比例して(あるいはそれ以上に)コストが膨らんでいく人件費に対して、原則的に量と時間に反比例して単位当たりのコストが下がるのが、機械化の特長です。そのため、物流ロボットの導入が早ければ早いほど、稼働時間が長ければ長いほど、コストメリットは大きくなります。

3.導入後の拡張性、柔軟性の高さ

導入した機器を長く活用するには、その後の環境変化に応じて長く利用できる仕組みであることが重要です。物流ロボットなら、状況に応じてエリアや棚数、ロボット数や設定を変更することができるため、将来の変化にも柔軟に対応することができます。例えば、倉庫・3PL企業様であれば、荷主様の追加や解約など流動的に対応し、複数荷主様での物流ロボット運用が可能になります。メーカー様であれば、ECと店舗などオムニチャネル化する事業計画・企画にあわせて、柔軟な物流対応が可能です。

4.コロナ対策

外出自粛要請により出社人数の抑制が必要な状況にも物流ロボットは有効です。人と人との接触頻度を抑え、ソーシャルディスタンスを保ちながらの業務が可能となります。

5.スタッフ育成・採用コストの削減

物流ロボットにより作業がシンプルになり、育成工数の削減につながります。物流ロボットの種類によっては、重い荷物を持つといった負担のかかる業務が軽減され、スタッフの定着率向上が期待されます。

物流ロボットは、従来の大型マテハンに比べて、柔軟性・拡張性が高い点や、目的と倉庫に合わせた運用が可能である点が最大のメリットです。また、人手中心の運用では、時間当たりの生産性に限界がありますが、物流ロボットは運用次第で飛躍的に生産性を向上させることができます。また、セール時の物流波動には、必要台数のロボットを追加して、生産性とコストを最適化するといったことも可能です。

物流ロボットの種類についてはこちらのコラムがおすすめです。

物流ロボットの種類と特徴的な機能は?
hhttps://www.logizard-zero.com/columns/robotics01.html


物流ロボット導入における課題

さまざまなメリットをもたらす物流ロボットですが、導入における課題は費用や稼働までのリードタイムだけではありません。大きく2つにわけてご説明します。

1.物流現場・人

新しい仕組みを導入するためには、環境を最適化する必要があります。例えばAGV(Automated guided vehicle 無人搬送ロボット)・AMR(Autonomous Mobile Robot 自律走行ロボット)といった物流ロボットを導入する場合は専用の棚設置が必要なことがあります。物流現場は倉庫法・建築基準法・消防法といった法律をクリアした上で環境を整えていかなければなりません。3PL・倉庫様の場合、荷主様の大切な荷物をお預かりし、入出荷作業をしています。「導入期間中は一時的に入出荷を止める」といったことはできませんし、現場を止めずに環境を整えようとすると拠点を増やす、または引っ越しが必要となりますが、拠点の拡充や移転にアルバイトやパートさんはついてきてくれるのでしょうか?物流ロボットは自動倉庫とは異なり、人手と共存する必要があるため、せっかく作り上げた人材基盤を失うのは、大きな痛手となってしまいます。また、新しい仕組みに則って業務内容が変わるため、社内教育や関連するマニュアル整備なども重要となります。

2.システム・ノウハウ

物流ロボットを導入するにあたり、運用、オペレーションが現場ごとに変わります。それに合わせてシステムも対応する必要がありますが、現在ご利用中のシステムによっては物流ロボットの連携ができない、またはできたとしても莫大な開発コストがかかる恐れがあります。どんなに有用なロボットでも、WMS(Warehouse Management System 倉庫管理システム)やWCS(Warehouse Control System 倉庫制御システム)が紐づいていなければ効果的な運用を実現することはできません。

現在、国内において物流ロボットの導入事例は決して多いとは言えない状況です。そのため一般的なシステム会社では開発ノウハウが少ないと予測されます。物流ロボットはあくまで「ツール」に過ぎないため、導入するだけで生産性が向上することはありません。使い方や現場構築のコツ等、ポイントを理解した上で導入することで効果を発揮します。物流ロボットの導入には、開発ノウハウだけでなく、運用ノウハウも重要になってきます。


課題解決のカギはパートナー選び

初めての物流ロボット導入の際、カギとなるのは「物流ロボットの知識があるパートナー選び」だと考えます。物流ロボットメーカーや物流ロボットと連携するシステムの会社はもちろん、前職で物流ロボット導入を担当していた方、物流ロボット導入を支援したことのある物流コンサルタントなど、海外ではなく国内の物流の特徴と物流ロボットのノウハウがある方が望ましいです。知見のある方を探して、自社の物流現場にはどのような物流ロボットが合うのか、その物流ロボットを取り扱うにはどのような注意が必要なのか、といった相談をすると良いでしょう。

例えばロジザードでは、国内外での物流ロボット連携、導入支援の実績があり、3つの取り組みを行っています。

1.商流側のシステム連携における標準化

WMSは物流ロボット以外にもさまざまなシステムのハブになります。商流側のシステム連携については、OMSや基幹システムとの連携実績が豊富であり、最近ではAPIやFTPを用いた自動連携も進めています。また入荷情報や出荷指示が下りてくる上位システムとの連携が豊富なので、さまざまな荷主様に対応できる柔軟性があります。

2.早期の情報収集と導入実績

ロジザードでは、2016年に物流ロボット連携プロジェクトが発足し、物流ロボット開発が進んでいる中国に赴きました。現地で約30社にわたる視察調査を行い、2019年には中国、日本国内それぞれで棚搬送型AGVと連携し稼働を果たしました。この知見や開発・運用ノウハウを集約して2020年6月に物流ロボットとの連携基盤を構築しています。これにより、『ロジザードZERO』との連携実績がある物流ロボットに関しては、莫大な開発コストをかけずに連携ができるようになりました。

3.現場構築の運用ノウハウ

物流ロボットの種類により、WMSが支援する業務範囲は異なるため、違いを整理して運用設計に落とし込むには、ノウハウが必要となります。ロジザードには早期から実績を作り、積み上げてきた独自の現場構築ノウハウがあります。お客様の目的に合わせてご提案が可能です。


まとめ

いかがでしたでしょうか。
物流ロボットが注目されている背景や導入メリット、導入における課題は理解できましたでしょうか。繰り返しにはなりますが、物流ロボット導入には、開発ノウハウだけでなく、運用ノウハウも重要になります。早期から物流ロボットに注目し国内での導入実績があるロジザードにはどちらのノウハウもございます。導入をご検討の際はお気軽にロジザードにご相談ください。これからもお客様に最適な物流ロボットを選択・ご提案できるよう、今後はこの連携基盤により、標準連携ロボットを増やしてまいります。

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