COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

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最終更新日:2024/04/24 EC・通販事業者システム在庫管理

基幹システム・ERP導入のステップ、WMS連携について解説【2024年最新版】

基幹システム・ERP導入のステップ、WMS連携について解説

前回のコラムでは、「基幹システム(基幹系システム)」「ERP」について、それぞれの違いや導入のメリットについてお伝えしました。
実際に基幹システム・ERPの導入を検討している方に向けて、選定・導入のステップや、周辺システムと連携して活用する事例について、倉庫内の業務を管理する「WMS(倉庫管理システム)」との連携を例にして解説します。

基幹システム・ERPの導入のステップ・ポイント

ステップ1 業務と必要な機能の洗い出し

社内各部門の業務内容や課題、システムを導入して効率化したほうが良い業務、すでにシステム導入をしているが課題のある業務を洗い出します。その際はシステム上のデータの登録・更新機能のみで良いのか、その業務の運用管理機能も必要なのかについても、併せて確認をすると良いでしょう。
また、SaaSを検討する場合、必要な機能を整理するときにマストの機能か、ベターな機能か、優先度をつけておくと選定に悩みません。先方からさまざまな機能を紹介されると、これも、あれも、となりがちです。しっかりと業務や機能の洗い出しができていると、その機能が本当に必要なのか、スピーディーに判断ができるのでおすすめです。

ステップ2 システムの選定・導入

ステップ1で洗い出した内容をもとに、必要な機能が含まれるシステムを調査・選定します。
各システムの案内資料やサービスサイトを見ると、機能一覧が見出し形式で掲載されている場合がほとんどです。しかし、比較検討時の確認では機能名の見出しだけではなく、具体的にどのような管理機能なのか、運用の手順はどのようなステップなのか、サービス提供会社に直接問い合わせをするなどして確認をしましょう。システムによっては、実際に操作を試せる様に、デモアカウントの貸与サービスや無料お試し期間が設けられている場合もあります。

ロジザードスタッフより

事業や業務が多岐に渡る場合、社内全ての業務管理とデータ一元化を1つの基幹システム・ERPで賄うことが難しいケースが多いです。
販売管理など、どの事業でも共通して管理が必要な項目は搭載されていても、その他必要な機能が搭載されていない場合、データ管理機能は付いているけれど、実業務の運用効率化までは考慮されていないという場合もあります。その際は、経営判断に必要なデータを基幹システム・ERPで一元管理することを優先し、必要に応じて、専門性の高い業務管理システムを別途導入、実績データを基幹システム・ERPに連携することをおすすめします。

ステップ3 機能の追加、拡張

取扱量の増加や新規事業の開始など、ステップ2のタイミングでシステム構成には含まれなかった管理が後から追加される場合もあるでしょう。その際は、導入済みのシステム内に活用できる機能が付いていないか、オプションや追加開発で対応可能か、今のシステムとは別に専門の管理システムを導入が必要なのかを確認、検討します。

ロジザードスタッフより

このタイミングで別システムとの連携がしやすいように、予めステップ2の時点で外部との連携が容易なシステムを選定することもポイントです。


他システムの併用をおすすめするケース:物流業務・WMS

さまざまな管理機能が備わっている基幹システム・ERPですが、管理する業務によっては、必要な機能が備わっていない場合や、より細やかな機能が充実している専門の業務管理システムを導入し、基幹システム・ERPと連携するほうがスムーズに運用できる場合もあります。例えば、倉庫内の業務を管理するWMS(Warehouse Management System、倉庫管理システム)、複数ECサイトの情報を一括で管理するOMS(Order Management System、受注管理システム)、顧客管理・顧客分析を行うCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理システム)などが挙げられます。

OMS、CRMについては、こちらのコラムがおすすめです。

EC・ネットショップ 運営に必要な商流・物流システムと導入のステップ
https://www.logizard-zero.com/columns/ecsystem.html

今回は、基幹システム・ERPとWMSの連携を例にとって解説します。

例えば物販を行う事業者の場合、物量が増えてくると「物流コスト」が注目されます。現時点で販売できる商品を何点どこの拠点で保管しているか、今後どの何点入荷する予定があるのか、といった在庫管理の面、受注に対して迅速にミスなく出荷業務を行えるかといった物流体制の面を整えることが事業成功の鍵と言えるでしょう。そこで「実在庫管理」と「物流品質の向上」、「物流業務の標準化」が重要になるわけですが、これらは基幹システムやERPで実現することは難しく、物流倉庫内の業務・在庫管理に特化したWMSだからこそ管理ができます。

実在庫管理

基幹システム・ERPにも「在庫管理機能」が付いている場合がありますが、保管している商品の種類や個数を手入力する、または予め用意されている在庫データを取り込む「理論在庫」管理に留まることも少なくありません。商材の種類や入荷・出荷の頻度が少ない時点では十分に管理ができていても、取扱量や商材の種類が増えるにつれ、数え間違いや入力間違い、変更点をデータに反映し忘れていた、などを理由に、システム上の在庫データと実際の在庫状況が乖離し始めます。結果、販促活動を行った商品の在庫数が想定よりも少なく早々に売り切れてしまう、売り時を逃した在庫が予想よりも多く残ってしまい、処分せざるを得なくなる、など経営上の判断ミスに繋がります。

対して、物流倉庫内で活用されるWMSは「実在庫」のデータを管理します。ハンディターミナルを使用して入荷・出荷・ロケーション移動、A品・B品(訳あり品)等の品質区分の変更など、あらゆる場面でリアルタイムに検品しシステム上にデータを登録するため、データ上の実在庫のずれを最小限におさえられます。
ハンディターミナルを使用した検品機能をオプションで付けられる基幹・ERPシステムもありますが、PC等へ有線接続して使用するタイプが多く、持ち運びがしづらいことから実際の倉庫内での使用には不便です。多くのWMSに標準機能として採用されている無線のハンディターミナルやスマートフォンであれば持ち運びがしやすく、在庫が保管されている場所を動かさずに必要な検品作業が欠かさず行えます。

基幹・ERPとWMSにおける在庫管理の違いについては、こちらのコラムがおすすめです

ERPとOMS、WMSにおける在庫管理の違いと正確な在庫管理のコツ
https://www.logizard-zero.com/columns/basic14.html

物流品質の向上

WMSには、実在庫管理機能の他にも、商品の入荷・出荷業務、保管場所(ロケーション)の移動・管理業務、棚卸業務など、物流倉庫内で行われる実業務の管理に必要な機能が一通り備わっています。

例えば、出荷業務では、注文ごとに「ピッキングリスト」と呼ばれる、棚から持ち出す(ピッキングする)商品の種類と個数、保管されている場所が記載されたリストを出力できるため、倉庫の中で長い時間探し回ることなく、迅速にピッキングを行うことができます。
ピッキング後、出荷前にハンディターミナルで検品することで、注文に対して商品や個数に間違いがないか、確実に確認ができます。このように、商品の保管場所や商品知識のない人でも業務のスピードや精度を担保しながらピッキング業務・検品業務を行えることが、WMSを活用するメリットです。
BtoC(通販・EC)出荷の機能が充実しているWMSでは、チラシやノベルティの同梱やラッピング等、付帯業務の管理機能が付いているものもあります。通販・ECで重要な販促施策となる付帯業務を漏れなく行う体制を整えることで、販促施策の効果をより確実に発揮できます。

また、1回でも商品・数量間違いなどの出荷ミスが起きると、クレーム対応や代替品の発送・回収手続きなどで、長い時間や手間が取られます。セール等で注文が殺到して出荷準備が追い付かず、お届けまでの時間が予定よりも遅延する場合も、顧客からの問い合わせ対応が集中し出荷業務に割ける時間がさらに減ってしまう、といった悪循環に陥りがちです。特にEC出荷の場合はショップレビューにネガティブなご意見が書き込まれることで、その後の売上にも影響が及びます。ミスなく正確・迅速に物流業務を行う「物流品質」の向上は、業務効率面だけではなく、顧客満足度の維持や売上げアップに繋がる重要なポイントと言えるでしょう。

物流業務の標準化

複数の顧客(荷主様)の案件を管理する3PL/倉庫事業者様では、複数の荷主様の業務を分けて管理する必要があるため、複数の案件を個別に管理できる「複数荷主管理」ができるシステムが必要です。
また、荷主様のご要望にあわせて個別に運用構築を行った結果、同じ3PL/倉庫事業者様の中でも案件ごとに運用が異なり複雑化してしまう、担当者が案件異動をした際にすぐに業務が覚えられない、というお悩みをよく伺います。
専門の業務管理システムは、業務が滞りなくシンプルに進行できるようにあらかじめ設計されているため、システムにあわせた運用を行うことがフローの見直しになります。最適化された運用ができていれば、3PL/倉庫事業者様から荷主様へ「当社ではこのようなフローで運用しています。」と先行してご提案をすることが可能です。このように3PL/倉庫事業者様主導で運用の標準化を行うことで、案件ごとの運用の差異が解消され、急な繁忙応援など急ぎで業務に入る場合にも、特別なレクチャーなしで稼働できる、といったメリットもあります。

このようなWMSのメリットを活かして物流拠点ではWMSを導入して基幹システム・ERPと連携、基幹システム・ERPではその他の拠点も含めた在庫数との合計数を管理する、といった方法があります。


まとめ

各種業務をアナログ管理、Excel・スプレッドシートで管理している場合や、販売管理・会計管理などの業務についてシステムを導入することで運用の見直しを行いたい、という場合は、まず基幹システム・ERPの導入をおすすめします。その際は自社の業務内容や規模、取扱商材の特徴に合うものを選定すること、将来の拡大可能性に備えて他システムとの連携が容易で、連携実績が豊富なシステムを選定するとよいでしょう。

小売・物販等、モノの管理が重要な事業では、規模の拡大にあわせて基幹システム・ERPとは別に倉庫管理システム(WMS)を導入することで、正確な在庫管理と業務効率化が可能です。3PL/倉庫事業者に物流業務を委託する場合も、自社の基幹システム・ERPと連携できるWMSを使用している委託先を選ぶことで、外部に預けている在庫資産も一元管理することが可能です。

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