COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2024/08/14 メーカー・製造業在庫管理小売業(リアル店舗)

アパレル業界の在庫管理方法【2024年最新版】在庫過多のリスクとキャッシュフローの関係

在庫管理はビジネスの基本

「在庫管理はビジネスの基本。」「在庫管理は経営を強くする。」アパレル企業出身、アパレル企業様向けのコンサルタント経験のあるロジザード代表の金澤は、自身の経験からこう語ります。

実際のところ、在庫管理は地味だし面倒だし、できればそっとしておきたいですよね。でも、実はコワイ「在庫管理の落とし穴」。例えば、在庫過多で現金化できずに売上回収が追い付かない、商品は売れていたのにキャッシュフローがピンチ、といったことに陥らないためにも、今すぐ在庫管理の考え方を見直しましょう。

こちらのコラムでは、在庫管理の基本、アパレル在庫とキャッシュフローについて解説、物流と在庫を中心にビジネスを見ることの重要性について解説します。

アパレルにおける在庫とは

「アパレル」とは、もともと衣服、特に既製品を指していましたが、最近のアパレルメーカーでは靴やバッグ、服飾雑貨を取り扱うことが多くなりました。そのため、衣料品全般が「アパレル」と呼ばれています。「在庫」とは、 一般的に、主に企業が販売する目的で一時保管をする商品・(製品・原材料・仕掛品)を指し、企業が保有する資産でもあります。

アパレル商品は、1品番に対する色・サイズ展開や、春夏/秋冬の製品展開をする特性上、大量の在庫を抱えがちです。ただ、食品のような賞味期限が設けられておらず品質そのものが大きく劣化しないため、売れるまで物流倉庫で保管すればよい、という考えもできそうです。しかし、この部分こそアパレル在庫を考える上での落とし穴で、トレンドに左右されやすく、生産されたシーズンを過ぎると売り切ることが困難な場合がほとんどです。賞味期限のない製品だからこそ、旬のうちに売り切る「鮮度管理」が重要になるのがアパレル在庫の特徴です。

この特徴を念頭に置きながら、アパレル在庫とキャッシュフローの関係について見てみましょう。


アパレル在庫とキャッシュフローの密接な関係

「アパレルショップA」を例として3年間の在庫とキャッシュフローを見てみましょう。粗利40%、在庫管理費は期首残高+仕入れ在庫に対して15%、銀行借入の返済は3年返済を条件として計算します。「期末在庫」に注目してください。 (在庫と現金の構造と関係を示すためにかなり簡略化した例となっています。)

1年目:仕入れた5,000の内3,000を販売し、2,000が「在庫」となっています。
売上高 原価 利益
4,200 3,000 1,200

在庫資産 現金資産
期首在庫 0 5000
仕入(原価) 5,000 -5,000
銀行借入:  0
在庫管理費 -750
売上回収 -3,000 4,200
借入返済 0
期末残高 2,000 3,450
2年目:5,000の仕入れに対し、期首資産が足りないため1,600銀行から借入します。1年目と同様に2,000が「在庫」となったため、併せて4,000の在庫資産があります。
売上高 原価 利益
4,200 3,000 1,200

在庫資産 現金資産
期首在庫 2,000 3,450
仕入(原価) 5,000 -3,400
銀行借入:-1,600
在庫管理費 -1,050
売上回収 -3,000 4,200
借入返済 -533
期末残高 4,000 1,067

3年目:1~2年目と同じように運営すると現金資産がショートします。

「在庫」が増えることで在庫管理費が上がり、現金化できていないため売上回収が追い付きません。

売上高 原価 利益
4,200 3,000 1,200

在庫資産 現金資産
期首在庫 4,000 1,067
仕入(原価) 5,000

1,000

銀行借入:-4,000
在庫管理費 -1,350
売上回収 -3,000 4,200
借入返済 -1,866
期末残高 6,000 -2,949

「在庫」をどう考えるかで状況は大きく変わってきます。例えば、3年目に4,000の在庫を原価の8掛けで販売するとします。

3年目:原価を割ってでも現金化します。

売上高 原価 利益
7,400 7,000 400

在庫資産 現金資産
期首在庫 4,000 1,067
仕入(原価) 5,000

1,000

銀行借入:-4,000
在庫管理費 -1,350
売上回収 -7,000 7,400
借入返済 -1,866
期末残高 2,000 251

こちらの例では、「在庫」を現金化したことで現金資産のマイナスは免れましたが、次は借りられないでしょう。在庫は、生まれた瞬間から価値が劣化し続け、時間が経つほど0円へ近づきます。

陥りがちな在庫のトリックは存在します。そこが原因で立ち行かなくなるビジネスが多いのは事実。逆に言うと在庫管理がしっかりしていれば、ピンチの時も次の手は打てるのです。
在庫の鮮度管理を怠ると、負のスパイラルが必ず起こります。

見えない在庫による、負のスパイラル

レベル1 見えない在庫は気にならない
すぐそばに在庫があれば気になって対処しますが、見えない場所、遠い倉庫などにある場合は存在すら忘れてしまうものです。

レベル2 見えない在庫に気付かない
商品ごとの売上表を見れば売れていない商品に気付くはずです。しかし、目先の売上額に着目してしまいます。

レベル3 見えない在庫がどんどん増える
ちょっと倉庫を見に行けば、余剰在庫に気付き、まだ何か手だてが打てるかもしれません。

レベル4 「売れない在庫」となる
何だか最近保管料高くない?と、気が付くも時既に遅し。完全に売り逃がし、既に1銭の価値もなくなっている場合もあります。

レベル5 「売れない在庫」の処理
原価より安い価格設定をしてでも売りさばくなどして、どうにか余剰在庫のリセットをはかります。また、旬を過ぎた在庫はどうしても売り切りできない場合も多く、原価と長期間の保管料をかけた処分、という結果にもなりかねません。処分にも費用がかかります。

在庫とキャッシュフローの関係については、こちらのコラムもおすすめです。

ロジザード オムニチャネル×物流パネルディスカッション2022【後編】 ~ 実はコロナは関係なかった!? 成功するECの粒度 ―在庫のままではお金は使えない
https://www.logizard-zero.com/columns/seminar11-02.html#3

「うちは不動在庫なんて無いから~」と豪語するA社長

ロジザード代表金澤がまだアパレル企業向けのコンサルタントをしていた際に、こんなことがあったそうです。
とある企業の社長を「近くに旨い焼き肉があるんですよ!」と誘い出し、郊外にある倉庫に同行したところ...あるわあるわ、在庫がザックザック。 しかもそこには探していた売れ筋商品が大量に!販売機会を失った在庫はすでに価値が半分以下、もったいないです。その場でA社長はすぐにどなたかに電話をされていたとか。。 在庫管理をしっかりと行い、正しい在庫情報を見える化、マネージメントをされる方は「在庫数」を「資産」として意識していただけるとこのような事態を防げるかもしれません。

代表金澤のコンサルタント時代の実話は、こちらのコラムで詳しく語られています。

StockTalk:「お客様の物流を止めない」それがロジザードのバリューです
https://www.logizard.co.jp/article/02.html


物流在庫管理を中心に考える

見えない在庫による負のスパイラルに陥らないためには、どのようにすればよいのでしょう。売上や在庫管理ばかりに注目せず、物流在庫管理を中心にすると、ビジネスの問題が見えてきます。

今までの在庫管理・販売管理ソフトは商流を中心に設計されたものばかりです。商流を中心とした仕組みは、データが複雑に入り組み管理しにくいものでした。そこで、商品の流れ(物流)を中心に情報を整理し、視覚化、数値化による業務効率化が必要です。

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まとめ

アパレルでも在庫は「生もの」です。在庫管理、鮮度管理を怠ると必ず負のスパイラルがやってきます。在庫が見える化ができていない企業では要注意、いつでも在庫状況を把握できて当然、在庫管理システムで在庫の見える化に取り組んでください。在庫管理、在庫状況を見ていれば商売で必要なことに気づきが必ずあります。キャッシュフローにも直結します。それだけ在庫管理は経営に重要なのです。

これは物流業務を委託されている場合も同様です。在庫情報をリアルタイムに管理、可視化するにはクラウド型の在庫管理システムや倉庫管理システムを利用することをおすすめします。クラウドWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO」 は、物流会社様に多くご採用いただいており、委託をした際に在庫情報をリアルタイムに確認できることはもちろん、在庫データや履歴のCSVファイルダウンロードも可能です。また、これから商品保管や入荷・出荷などの物流業務を委託(アウトソーシング)することをご検討されている場合は、ロジザードZEROをすでに導入されている3PL様のご紹介が可能です。興味のある方は完全無料の倉庫紹介サービス「ロジザード・マッチン」をご検討ください。

また、販売チャネルの一つ、実店舗でも在庫管理は大事です。アパレルを取り扱う実店舗をお持ちの方は、クラウド店舗在庫管理システム「ロジザードZERO-STORE」がおすすめです。どの店舗にどの商品があるのか、店舗スタッフの方がリアルタイムに在庫データを確認できるため、「この商品のMサイズが欲しい」といった、アパレルならではの色違い・サイズ違いのご要望にも応え、販売機会を逃しません。また、商品別・カテゴリ別の売り上げ分析やデータのエクスポートも可能です。

自社ではどのようなシステムの導入が合っているのか知りたい、という方は、ご状況やお悩みをヒアリング、おすすめのシステム構成やサービスをご紹介させていただきます。お気軽にお問合せください。

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