COLUMNロジザードオリジナル EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。

2018/03/12 再配達特別コラム

再配達問題を今一度考えてみる -前編-

最終更新日:2018年3月12日

ロジザード株式会社代表の金澤が、東京・大阪で開催された「ロジザード物流セミナー 2018春」へ登壇。「再配達」について、現在の課題と再配達のない未来について語りました。こちらのコラムは当セミナーでお話した内容です。

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2017年より「物流クライシス」とメディアに騒がれ、物流が大きな局面を迎えています。ロジザード株式会社は物流倉庫の入出荷をサポートするシステム、WMS(倉庫管理システム)を提供していますが、「倉庫だから配送は関係ない」とはもはや言えません。

その中でも特に「再配達」は非常に重要な課題だと考えており、この話題について2回に渡ってお話したいと思います

運賃値上げと物量の関係

2017年下半頃から大手運送会社は運賃の是正の取り組みを始めています。年が明けたころにはロジザードのたくさんのお客様も受け入れざるを得ない状況となりました。過重労働の問題が大きくクローズアップされ、「モノを運ぶ」労働力不足が価格のデフレーションを払拭するというシナリオで進められているようです。価格が是正されてくると運送会社の利益は増えて、適正賃金の支払いや追加の採用などの投資ができますので、是正自体はこの際ポジティブに受け止めたいと思います。しかし、そもそも過重労働を引き起こしたのは物量の増加です。

国土交通省の調べによると、2018年度の宅配個数は40億個を超えました。2017年度の調べでは約37億個でしたので、3億個増加しています。つまり、運賃が上がっても物量は変わらぬペースで増えており、運賃の値上げは増加する量を抑制する効果は少ないだろう、というのが私の結論です。さらに今後もECの発展を背景に、東京オリンピックが開催される2022年には45~46億個まで達するだろう、と言われています。


再配達を引き起こす「同時性制約の壁」

ここ1~2年、業界全体で「再配達」を撲滅しようと様々な取り組みが進められています。実際に2014年12月の調査によると宅配便の個数のうち約2割が再配達だったところ、2017年10月には15.5%と効果が見えます。しかし、都心部では17.1%と依然として2割近く再配達が発生しているのが実態です。

では、再配達はなぜ起きるのか。それは配達が「サービス」であるからだと考えます。サービスは「サービスを施す者と受けるものが、同じ時間に同じ場所にいないと成立しない」という、同時性制約条件があります。日本の運送サービスには日付や時間指定のサービスがあり、代引きもあるため受け取る本人がいないと成り立ちません。配達する人と受け取る人がマッチングされないと再配達は起き続け、ドライバーが同じところをグルグルと回る非効率なサイクルが生まれます。この配達サービスメニューと再配達業務により、積載効率の低下、配送時間の増加、走行距離の増加を招き、配達するドライバーへの負担となっているのが現状です。


業界の取り組み

「同時性制約の壁」を取り払うには「配達する人が配達したいタイミング」、「受け取る人が受け取りたいタイミング」というのを非同期で実現することが重要なファクタとなります。具体的な取り組みとしては、宅配ロッカーやコンビニ受取りサービスが思い浮かびます。多様な受け取り方法の選択肢を増やすことで解決できるのではないか、ということです。

私はこの考え方に大賛成です。なのですが。。。

宅配ロッカー

取り組みとしては、「楽天BOX」や「はこぽす」、2016年に設立されたPackcity Japan株式会社(ヤマト運輸株式会社出資)の「PUDO」が挙げられます。これらは商業施設や駅を中心に1,194か所設置されていますが、全国での設置はまだまだ追いついていません。別途、マンションなどに専用の宅配ロッカーを設置する「フルタイムシステム」がすでに27,000か所設置しているようです。しかし、これはマンション住人のみが利用できるサービスのため、残念ながら皆が使えるサービスではありません。そこで国土交通省が5億円の補助金を交付するなど設置促進を計っているところのようですが、増加し続ける量に設置数が追いつけるかは厳しい情勢に思えます。

コンビニ受取り

コンビニの全国56,000店舗を受取場所として活用する取り組みです。コンビニは商圏距離500m時間距離で徒歩6分と言われており、馴染み深く有望なインフラと言えるでしょう。かく言う私も不在が多いのでコンビニ受け取りにしています。

なのですが、利便性のまだら模様な状況はいつまで続くのだろう、というのがいち利用者としての率直な感想です。ECモールによって対応しているコンビニが異なっていたり、提携する配送会社が異なったりで、「いつもの近くのコンビニで受け取れる」とは言えない実態もあります。

そして受取に際しては、商品にして想像以上に箱が大きく持ち運びづらいことや、重いものであればコンビニから家までの距離ですら心理的に負担、西口店と東口店の指定を間違えて結局2kmぐらい歩いた(これは私が悪いのですが。笑。)、なんてことが起こるのも事実で使い勝手の面ではまだまだ改善が必要と感じます。

また、コンビニは商圏人口の密度という考え方で店舗が設置されているため、人口が少ない地域だと店舗数が少ないのです。ロジザードは秋田に開発センターがありますが、やはり地域に2件しかなくて数キロ離れているのが当たり前なので、実際にどの程度浸透するのかウォッチしていきたいと思っています。


「受益者負担の原則」が貫かれていない再配達というサービス

上記から考えるに、今現在、自ら荷物を取りに行くことは「直接届けてもらう」以上のメリットがあまりにも少ないのが実態です。(ポイントがつくなど取り組みもあるのですが。)また、荷物を送る側も受け取る側にとっても再配達における(経済的)デメリットが全くない、いわゆる「受益者負担の原則」が貫かれていない無料サービスになっています。このような状況下である限り、実感としても「やっぱり直接届けて欲しい。でもいなかったらごめんね。」というある意味合理的な行動を販売者も消費者が取るのは止められないように思うのです。

乱暴な言い方ですが、「再配達サービスを止めてしまう」選択が一番の対策という身も蓋もないオチになってしまいました。

では、本当に再配達サービスを止めることはできるのでしょうか?次回はそのあたりをお話したいと思います。

なお、今回の宅配料金の是正に応じることが再配達のコストを負担したという意味ではないことをここで明確にしておきたいと思います。どこから見ても再配達は"公共社会のムダ"です。