COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

2021/10/04 EC・通販事業者オムニチャネルセミナー小売・リアル店舗

ロジザード オムニチャネル×物流パネルディスカッション2021 ~オムニチャネルに向けた具体的なアクションとDXにおけるポイント~

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昨年大好評を得たO2O、オムニチャネルの専門家を迎えてのパネルディスカッションを、今年もオンラインで開催しました。「オムニチャネルに向けた具体的なアクションとDXにおけるポイント」をテーマに、激動の1年を振り返るとともに、変化を余儀なくされた小売業のオムニチャネル化で見えてきた課題や、実行におけるポイントについて、各分野の専門家が語り合いました。
こちらのコラムでは、後半のパネルディスカッションテーマ「オムニチャネル推進上の課題と具体的なアクション、DXのポイント」についてご紹介します。前半テーマ「2020年から2021年にかけての振り返り」の「小売・流通における EC の変化」「海外を含むアパレルにみるオムニチャネル」「倉庫在庫数の変化」のセッションにつきましては、まとめ資料 をご覧ください。

開催概要

タイトル:ロジザード オムニチャネル×物流パネルディスカッション2021
~オムニチャネルに向けた具体的なアクションとDXにおけるポイント~
日時:2021年7月20日(火) 16:00~17:30
会場:オンライン (YouTubeライブ配信)
主催:ロジザード株式会社
参加費:無料
登壇者(順不同):
有限会社ディマンドワークス 代表 ファッション流通コンサルタント 齊藤孝浩氏(以下、齊藤氏)
株式会社CaTラボ 代表取締役 オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎氏(以下、逸見氏)
ロジザード株式会社 代表取締役社長 金澤茂則(以下、金澤)
ファシリテーター:
株式会社トークロア 代表取締役社長 伊藤 良氏(以下、伊藤氏)
内容:
前半テーマ:2020年から2021年にかけての振り返り
セッション1)小売・流通における EC の変化(逸見氏)
セッション2)海外を含むアパレルにみるオムニチャネル(齊藤氏)
セッション3)倉庫在庫数の変化(金澤)
後半テーマ:オムニチャネル推進上の課題と具体的なアクション、DXのポイント
パネルディスカッション1)海外のオムニチャネル成功事例と日本の違い
パネルディスカッション2)具体的なアクションとDXで気をつけるポイントとは?


テーマ:オムニチャネル推進上の課題と具体的なアクション、DXのポイント

伊藤氏
前半(資料のダウンロードはこちら) では、2020年から2021年にかけての振り返りというテーマで、逸見様には日本の小売業界の変化と現状、齊藤様には主に海外のアパレル企業の動き、金澤様には倉庫から見た変化について、データや具体的な事例を交えて話していただきました。後半はいよいよパネルディスカッションです。まず「海外のオムニチャネル成功事例と日本の違い」をテーマにお話を伺いますが、その前にいくつか私から参考資料を提示します。

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トランス・コスモス社が2019年時点で予測した、世界のEC市場規模予測です。中国のECはまだまだこれから伸びていく、米国も上昇傾向、英国と日本はほぼ横ばいとの見方です。

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こちらは、主要6か国のEC利用者の概要とその購入品TOP3、EC化率、主要決済手段、主要ECサイトの一覧です。それぞれのお国柄が見えてくるデータです。


パネルディスカッション1)海外のオムニチャネル成功事例と日本の違い

オムニチャネルに対する考え方、取り組み方の違い

伊藤氏
前半のセッションやこうした各国のEC事情から、日本と海外とではオムニチャネルに対する考え方に違いはあるものなのか、皆様のご意見をお聞かせください。

逸見氏
国によって、スタンスは違うと思います。中国は、インターネットで販売して店舗をどう使うか、ネットが先にありきの合理的な発想で運用が進んでいます。アメリカは国土が広いので基本は宅配ベースですが、対Amazonで考え、基本は店舗拠点を活用した戦略です。ヨーロッパは逆にそれぞれの国土が狭いという事情から、近距離間のメッシュ物流に商品を載せて店舗で受け取る、「クリック&コレクト」が早くから導入されています。欧州型の店舗受け取り方式は、日本にも合うと思います。

齊藤氏
国土の広いアメリカはなにしろ物流が大変ですから、店舗の在庫を可視化してECで売る、という発想が登場しました。欧州は、既存店舗を物流拠点にしてしまう発想です。結局は送料の問題です。倉庫から送る方がいいのか、店舗から送るのがいいのか、店舗に取りに来てもらうのがいいのか。お客様を物流に巻き込みながら、送料や手数料を極力かけないECモデルとして参考になります。

逸見氏
海外のサービスの中には、日本でも導入できるモデルがもっとありそうです。先般、ドイツで経験したことですが、DHLで送った荷物をミュンヘンで受け取るサービスを利用した際、受け取り拠点はミュンヘンの駅前にある小さな洋裁店でした。日本ではコンビニがその役割を一部行っていますが、今後は受け取り代行、取り置き代行拠点も増えてくるのではないでしょうか。

金澤
クリーニングチェーンなどが、始めていますね。

逸見氏
一つのチェーンだけだと規模は小さいですが、いくつかのチェーンがまとまって受け取り拠点網を形成していけば、BtoB物流で巡回できるようになり、より効率的です。国土が狭い日本では、コスト効率だけでなく、お客様の利便性の点からも、現実的な施策になると思っています。

齊藤氏
イギリスでピックアップポイントを拡大している「コレクト・プラス」のような、EC専業事業者も利用できるクリック&コレクトのルート配送サービスが日本でも出てきそうです。

金澤
そのために、基本機能は皆共通化してしまう、プラットフォーム化すべきです。システムやルール、仕組みをシンプルにして共有すれば、低コストでオムニチャネル化が図れます。本来の競争力向上のために資本投下をできる業界にしていかなければ...。俯瞰してインフラを描ける人材が欲しいですね!


パネルディスカッション2)具体的なアクションとDXで気をつけるポイントとは?

伊藤氏
いよいよ核心部に入っていきますが、オムニチャネルでは商品の流れが従来とは変わります。従来はメーカーが商品を箱単位で店舗に届ければ完結していたものが、ECにより配送は小口化し、しかもお客様の利便性を考慮したタッチポイントに届ける必要が出てきました。人の手で管理することはもはや不可能で、DX=デジタル変革は待ったなしの状況です。企業は、どのようにDXを具現化していけばよいのでしょうか?

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お客様を巻き込み、店舗があるからこそできるDXから始めよう!

齊藤氏
お客様を物流に巻き込むことがポイントで、そのためにはお客様が購入に必要な情報を可視化する、つまり在庫をEC用、店舗用と分けずに、全社的に管理して状態を見える化することが重要です。企業側のシステムが複雑だとなかなかそれができません。必要最小限の機能にそぎ落とし、商品の動きやステータス情報をリアルタイムにアウトプットする仕組みにする必要があります。

逸見氏
ロジザードのようにWMSなどは共通化していけますから、こうしたクラウドで提供されるプラットフォームを極力利用して、お客様の利便性重視の視点で物流を変えていくといいと思います。個人情報の提供というハードルがありますが、お客様は自分の利便性やメリットが大きいものなら、自らの情報を提供してくれます。だからこそ、お客様目線でスタートすることが重要です。自宅配送を望む人ばかりではなく、受け取り拠点が選択できればその方が便利だという人も多いものです。販売機会を損失しないよう、すでにあるプラットフォームやサービスを活用してお客様の選択肢を増やす、自由度を高める視点で取り組むとよいと思います。

金澤
そもそもオムニチャネルやDXを、壮大なイメージでとらえすぎているのではないでしょうか? それぞれの事業規模でできるオムニチャネル化があるはずで、カギは「店舗の役割」を見直すことだと思います。まず店舗に買いに来てくれるお客様に、オンラインの利便性を感じてもらうことを考える、中小企業にとってこれがDXへの一番の近道です。消耗品を買いに来られたお客様には、2回目以降はネットで注文すれば便利ですよと伝えるだけでいい。アプリ一つあればできることで、その仕組みが自分の商圏以外の人にもリーチしていくのです。店舗を活かしてオンラインも使う、これも十分DXですし、オムニチャネルです。

逸見氏
お客様も、「この店この会社で買うことが自分にとってメリットがある」ということに価値を置きます。その視点で、お客様に自社の商品やサービスを便利に使ってもらうこと。スマホがあればできることですね。

齊藤氏
「アプリに今日あなたが見た商品を登録しておけば、2回目以降はワンクリックで買えますよ」と、店頭での接客に組み込めばいい。店舗でやっていることをデジタル化して、できることを徐々に増やしていけばよいと思います。

金澤
私がアプリを登録した経験から言えば、結局、機能というより、お店での接客が良かったからおすすめのままにというのが理由です。笑。
小商圏の店舗であれば、お客様の顔や名前が分かる場合が多いですよね。これは商売上の強みです。お客様との信頼関係をベースに更にリッチな購買体験を勧めるのは、それほどコストがかかることではありません。店舗があるからこそ接客ができる、自店のファンに新たな購買体験を提供することから始めて行くことが上手くいくコツだと思っています。

伊藤氏
たしかにシステム構築だと最初から腰が引けますが、まず自分の店舗のお客様に別の購買体験をしてもらう。システムを考える前にやれることがあるなら、一歩踏み出せそうです。


経営者は人気アプリを体験してみること

逸見氏
一歩踏み出せない理由に、経営者自身が分からないものを遠ざける、という心理的な壁があります。経営者がまずアプリを使ってみる、便利な機能を体験してみることが重要で、それがDXへの第一歩ではないでしょうか。

齊藤氏
DXやオムニチャネル化の本質は、「お客様の購買体験をいかに豊かにするか」、これに尽きます。ですからEC起点ではなく、店舗起点で考えていけばよいのです。今、ポイントカードを発行している店なら、紙ではなくアプリにする。購買体験が豊かになるアプリを一つ入れれば、前進できます。
まず、自分でユニクロやマクドナルドのアプリを体験してみましょう。このアプリは何を解決しようとしているのか、お客様のどんな不便を解消しているのか、それを自分の商売に置き換えるとしたら?という発想で使ってみると、自社のDXのヒントが見えてくるはずです。

金澤
消費者がアプリを入れるきっかけの多くは、店舗での接客です。お客様に、「あなたの店から買いたい」と思ってもらえるかどうか。「あなたから買い続けたいからアプリを入れる」=「家や出先からでも欲しいときに購入」する、これぞオムニチャネルです。中小企業だからこそできることに目を向けて、まず一歩踏み出しましょう!

伊藤氏
身近なアプリを体験し、自分のビジネスに置き換えて、お客様の利便性に資することを考えて実行する。それがDXへの第一歩になるのですね。今日は国内外の小売業界激動の1年を振り返りながら、今、小売業がすべきこと、やれることについて、専門家の皆様にお話を伺いました。このディスカッションが、小売業や物流にかかわる皆様の課題解決へのヒントになりましたら幸いです。本日はありがとうございました。


まとめ

パネルディスカッション終了後のアンケートでは、

  • DXは企業目線ではなく顧客目線で実現することが重要
  • 実際の商売をイメージしながら、置き換えて聞くことができた
  • 社内の取り組みに照らし合わせて、やるべきことが見えた

など、DXへの取り組みのアプローチを「自分ごと」としてとらえてくださったコメントを多数いただきました。 その一歩を踏み出したい、踏み出すにはどうすればいいか? そうお悩みの方は、ロジザードにお気軽にご相談ください。

齊藤 孝浩(さいとう たかひろ)

有限会社ディマンドワークス 代表
グローバルな商品調達から、ローカルなストアオペレーションまで、ファッション流通の実務を川上から川下までを実務で経験。2004年に独立し、チェーンストア化を目指す多くの新興・成長ファッション専門店を、在庫最適化とキャッシュフロー経営の視点から支援する、ファッション流通コンサルタントとして活躍中。著書に、『人気店はバーゲンに頼らない(中央公論新社)』『ユニクロ対ZARA(日本経済新聞出版社)』『アパレル・サバイバル(日本経済新聞出版社)』がある。

逸見光次郎(へんみこうじろう)

オムニチャネルコンサルタント 株式会社CaTラボ 代表取締役
1994年三省堂書店に入社。1999年ソフトバンクに入社し、イー・ショッピング・ブックス社(現 セブンネットショッピング社)の立ち上げに参画。2006年アマゾンジャパンを経て2007年にイオン入社。ネットスーパー事業の立ち上げと、イオングループのネット戦略構築を行う。2011年キタムラに入社し、執行役員・EC事業部長を務め、同社が「人間力EC」と呼ぶオムニチャネル化を確立。その後、ローソン、千趣会を経て独立し、オムニチャネルコンサルタントとして多くの流通事業会社のオムニチャネル化を支援中。2019年4月に株式会社CaTラボを設立。著書に「デジタル時代の基礎知識『マーケティング』 「顧客ファースト」の時代を生き抜く新しいルール」(翔泳社)

伊藤 良(いとうりょう)

株式会社トークロア 代表取締役社長
EC黎明期である2000年から大手企業でECに携わる。その後、ベンチャー企業4社の幹部として広範囲の実務と事業の成長に伴う様々な課題を経験する。前職の通販物流企業では営業責任者として年商10倍までの道筋を作る。アドバイザーとして独立し6年経った現在では事業参謀として新規サービスの開発、マーケティング、業務体制構築など種々多様な50以上のプロジェクトに携わっており、ハンズオンの支援に定評がある。

金澤茂則(かなざわしげのり)

ロジザード株式会社 代表取締役社長
株式会社福田屋洋服店(現 株式会社アダストリア)にて、店長やバックオフィス業務に従事し、在庫消化のため「アウトレット」を企画。物流倉庫と連携を強める過程で「在庫」の重要性に気付き、アパレル企業向けのコンサルタントとして独立する。在庫情報の重要性を唱える中、在庫管理システムを開発する前取締役会長遠藤と出会い、2001年にロジザード株式会社を設立。物流×在庫×ITを掲げ、クラウドWMSのリーディングカンパニーとして業界をけん引する。オムニチャネルや物流ロボット、RFIDなど物流の最新技術に精通し、企業の売上増大に結びつく物流改革を実現する手腕は、高い評価を得ている。