COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

2021/07/26 3PL事業者・倉庫セミナー

ロジスティクスAMRフォーラム2021 座談会:物流ロボットに精通する3社に聞く『物流のミライ』

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物流会社様への有意義な情報提供を目的に、2016年からスタートした『ロジザード物流セミナー』。今年は「ロジスティクスAMRフォーラム2021」と題して、国内最大の物流ニュースサイト「LOGISTICS TODAY」編集長の赤澤様、「ラピュタAMR」を開発されているラピュタロボティクス様、ロボットをサブスクで提供するRaaS事業者のプラスオートメーション様、そして物流ロボットとWMSの連携を進めるロジザードが、自律走行ロボット(AMR)の最近の動向と物流ロボットを活用した未来について語り合いました。フォーラムレポートは、「LOGISTICS TODAY(https://www.logi-today.com/445617)」で公開予定ですが、このコラムでは、4人のパネリストによる座談会をレポートいたします。

開催概要

タイトル:
第6回 ロジザード物流セミナー coordination with LOGISTICS TODAY
ロジスティクスAMRフォーラム2021
~徹底検証|AMR導入で物流効率は本当に向上するのか~
日時:2021年6月24日(木) 13:30~16:00
会場:オンラインウェビナー
主催:ロジザード株式会社
共催:LOGISTICS TODAY
参加費:無料
登壇者(順不同):
物流ニュースサイト「LOGISTICS TODAY」 編集長 赤澤 裕介氏(以下、赤澤氏)
ラピュタロボティクス株式会社執行役員 森 亮氏(以下、森氏)
プラスオートメーション株式会社CMO 大西 弘基氏(以下、大西氏)
ロジザード株式会社 代表取締役社長 金澤 茂則(以下、金澤)

AMRをはじめとする物流ロボットの導入を検討、興味をお持ちの物流企業様や荷主様に向けて開催した、「ロジスティクスAMRフォーラム2021」には、300名の定員に対し730名を超える申し込みがあり、その関心の高さがうかがえました。当社代表の金澤によるセッションレポートは、こちらからお読みいただけます。
セッション後は登壇者4名がパネリストとなり、ロボティクスをキーワードに、物流が今後どのように変化していくのか、その変化の中でロボティクスが果たす役割はどのようなものか、赤澤氏の進行のもと、参加者から寄せられた質問に3社が回答する形で語り合いました。


Q1:AMRと既存のWMSを連携する際のポイントや注意点について

A1:オペレーションの作り込みには、議論と経験とノウハウが必要

赤澤氏(「LOGISTICS TODAY」 編集長):
今回最も多くの方、参加者の約半数の方々から「聞きたい」と希望があった質問です。

森氏(ラピュタロボティクス):
オペレーションへの落とし込みが重要になりますので、AMRに対しWMSのどのデータをどのように流してどのように処理するのか、一つひとつルールを決めて落とし込んでいきます。倉庫によってクセが出るところでもあり、そうとう議論が必要で時間がかかるのが現状です。

金澤(ロジザード):
連携で重要なポイントは2つあります。一つは、ロボットとWMSのデータ連携(会話)の部分です。これについてはAPIの活用など標準的なインターフェイスが用意されていますから、規則通りにつなげばそれほど複雑ではありません。もう一つは、運用フローの見直しです。ロボットは指示で動きます。人間のように「判断して動く」ことはしませんから、人の作業を単純に置き換えるだけではうまくいかないのです。機械化されている工程の前後には必ず「人」が関わる工程があり、ロボットを導入する際はこれら全体を機能化する必要があります。そのため、運用フローそのものの見直しが必要になり、ノウハウや経験値がないと難しいのです。実際、この部分に開発負荷がかかっているケースが多いので、当社ではこれを「標準化」できないかと、取り組んでいるところです。


Q2:国内の物流現場には、何年程度でロボティクス化が一般的に普及されると考えているか?

A2:3年後が一つの節目か?人材確保の難しさに直面した時にブレイクスルーがくるかも

大西氏(プラスオートメーション):
どの程度の状況を「普及」ととらえるかにもよりますが、ロボット導入がニュースにならなくなるのは、あと3年くらいかなと思っています。

森氏:
たしかに、3年は一つの節目ですね。ロボティクスが珍しくない状況になっているでしょう。

金澤:
私は、定量的な予測は難しい、と思っています。新しいテクノロジーやソリューションが社会に普及するには、何らかのトリガーが必要で、「人が採用できない」という現実に直面した時に、一気にロボティクスのブレイクスルーがくるのではないかと思います。それはひょっとすると来年かもしれません。その時に、需要に対してロボットが供給できる体制にあるのか、そちらを心配しているくらいです。


Q3:海外勢のロボティクス関連企業に対して国内勢の巻き返しはあるか?また海外製のAMRを導入する際のカントリーリスクには、どのようなものがあるか?

A3:海外勢が先行しているように見えるがまだ黎明期。機能強化やサポート面からも日本製に期待

赤澤氏:
海外製品に関する質問ですね。現在は、メーカーも機種も中国製が圧倒的に多いですが、国産の巻き返しがあるかどうか、カントリーリスクの観点含めてご意見をお聞かせください。

森氏:
導入例を見ると欧米中が先行しているように見えますが、普及という点ではまだそれほど進んでいるわけではありません。それぞれが実例を出して、「物流ロボットは使える」ということを見せている段階です。海外は大型倉庫が圧倒的ですが、日本の倉庫は小型でしかも高い品質が求められます。複雑なニーズに応える日本製のロボットは、今後はスタンダードになって世界に出ていくと思います。
カントリーリスクという点においては、一般論として、海外メーカーはサポートやフィードバック、リクエストを製品に反映することが難しいと考えられています。機能強化は、声(実例や市場性)が少なければ要望としては後回しされるのが常です。日本独自の仕様をプロダクトに反映していく進化の部分では、特に難しい面があるかもしれません。

金澤:
中国ではたくさんのメーカーが、顧客ニーズにあわせて開発していて、経験も豊富です。ロボティクスは、ハード面とソフト面の融合が重要です。ハードは汎用的なもので十分です。実は中国製のロボットも分解してみると、部品はほぼ日本製なので、製造コストの問題さえクリアできれば日本でも十分製造が可能です。しかし、ソフトウエアに関しては、これはノウハウの塊ですから実績が必要です。そういう面では中国が一歩先を行っており、日本ではとにかく実績を作っていかなければなりません。

大西氏:
RaaSでは国産、海外製の区別はなく、今後は混在していくと見ています。いずれにしてもとにかく使って実績を作リ、ノウハウを蓄積していかなければ負けてしまいます。カントリーリスクという点では、RaaSモデルがリスク回避の選択肢の一つとなり得るのではないでしょうか。


Q4:中小零細企業での導入が可能か、可能な場合の実現方法は?

A4: RaaSモデルこそ、そのソリューション

大西氏:
RaaSは、中小の事業者様向けのソリューションです。今は大企業での導入が先行していますが、本当に必要なのは中小規模の物流事業者様だと思います。ただ、皆さん、特に経営者層の方が日々のオペレーションに追われていて、先を見ることができないようです。

森氏:
大企業でしか導入し得なかったロボティクスを、中小零細企業様にも使っていただきたい、そのためにロボットの柔軟性を高めていこう、というのが我々の取り組みです。そうした企業の皆様にも、一歩踏み込んで使っていただけたらと思います。

金澤:
AMRを導入して効果を上げている中小の物流会社は、実際に存在します。必ず効果は出ますので、導入への不安は無用です。やらなくてはいけないのは、ロボットの能力を最大限生かすために必要な量をどう確保して、どれだけロボットをフル稼働させて生産性を上げるか、そこを考えることが重要です。

赤澤氏:
EC現場は特に中小規模の物流倉庫が多いと思いますが、開発段階でその点は意識されているのでしょうか?

森氏:
ピッキングをサポートするAMRは、規模が大きい方が費用対効果は出ます。ただ大規模設備とは違いますので、10人くらいの人員で運用する規模の倉庫であれば、十分効果を出せます。金澤社長が話されたように、複数荷主で数をまとめる、複数現場で稼働させる、などの工夫をすれば、効果はより高まります。


Q5:ROI(Return On Investment)が成り立つ条件とは?

A5:負荷の高い作業をどれだけロボットに置き換えられるかがポイント

赤澤氏:
難しいのが費用対効果の出し方だと思います。導入の判断基準となる、ROI(Return On Investment)が成り立つ条件についてはどのようにお考えでしょうか?

金澤:
私のセッションでもお話ししたとおり、ロボットをランニングコストとして人件費と指標を合わせれば、費用対効果は明確です。繰り返しになりますが、量と時間をまとめて、ロボットの能力をフルに生産性に結びつけること、これにつきます。

森氏:
今までの経験から、既存の現場に組み込んでもROIは出ます。スペースや歩行時間などといった、オペレーションにおけるサイズが大きければ大きいほど、確実に効果は出てきます。

大西氏:
ロボットができることは簡単・単純な作業で、それを現実のオペレーションの中からどれだけ抽出できるかにかかっていると思います。たくさんの人手をかけてやっていることをロボットに置き換えることができれば、ROIは出ます。


Q6:物流ロボットの価格は今後低廉化していくか?

A6:低廉化せず、高機能化して価値が上がっていく

赤澤氏:
物流ロボットはいつが入れ時か、普及すれば製品価格は下がっていくのではないか?それを見極めたいという人もいらっしゃるようです。RaaS、いわゆるサブスクで支払い続ければ、いつか購入コストを追い抜くことがあるのでは?という質問もありました。

大西氏:
RaaSモデルは、コンサルやシステム保守も含めての定額料金制です。機能の向上やシステムの進化に応じて、提供サービスの内容もブラッシュアップされていきますから、普及によって価格が下がるものでも、いつか追い抜かれるというものでも、いずれでもないと考えています。製品そのものは、価格帯のバリエーションが増えていくでしょう。

森氏:
低廉化というよりは、機能が高度化していくと思います。対応できることが増えていく分、価値も上がります。コストが下がるというよりも、効果が大きくなっていきます。サブスクにしても、使い続けることで相対的にコストが圧縮されていくと考えます。

赤澤氏:
普及が進めば、求められる機能にあわせて多様なロボットが出てくるでしょう。機能あたりのコストを見ていく必要がありますね。

金澤:
そのとおりです。テクノロジーが、どんどん更新されていくわけですからね。実際、ロジザードの料金は20年前の創業当時と変わっていません。同じ価格で高機能化しています。導入は他に先んじることでノウハウの蓄積になり、それを強みに後々大きなリターンを期待できますから、早い決断が得策です。


Q7:AMRが活躍しているミライに向けて、今欠けているものは何か?

A7:コストばかりに目を向けず、「やってみよう」というマインドを経営層に求めたい

森氏:
コストばかり見るのではなく、DX=テクノロジーを導入してトップライン(売上)を上げていくという思考に変えてみてはどうかと思います。特にリーダー層の考え方は重要です。テクノロジーを味方に、自社の強みを作って、自社のポテンシャルを高めていくマインドと意欲に期待しています。

大西氏:
まずやってみよう、というマインドになるためには、過度に期待しないことです。あれこれ最初からパーフェクトを望むのではなく、まずやってみて修正を重ねていく。使いながら自社流に改善していけばよいという気持ちで、挑戦してみることをお薦めします。

金澤:
その意味でもRaaSはおススメです。十分テストを重ねて導入したとしても、バグやアクシデントはつきものです。それを怖がっていては前に進めません。今、どの事業者も課題感はあると思います。踏み出すためのインパクトがあれば一気に動くでしょう。中国でロボティクス化が進んだ背景には、「人がアテにならない」「労務問題が大変」といった問題がありました。日本は違います。人は機械よりも信頼できる存在ですし、労働問題も少ない、つまり機械に置き換える理由付けが乏しいのです。でも、「人が採用できない」壁に直面した時に経営者の思考が変わり、ロボティクスは一気に進むと見ています。ロボットはビジュアル的にも現場の雰囲気を変えてくれます。まず体験してみてほしいと思います。


まとめ

講演中にも多くの質問が寄せられるなど、オンラインとは思えないほどの期待と熱気が感じられました。フォーラム後のアンケートでも、
「オンラインということもあり、参加しやすく、ためになる話が聞けて有意義な時間を過ごせました。」
「クライアントの生産性向上や労働力不足の手段として有望に感じました。」
「今後、導入を検討するにあたり大変参考になりました。」
など、たくさんのコメントをいただきました。フォーラムの内容は、後日、物流ニュースサイト「LOGISTICS TODAY」に掲載される予定です。

今回のフォーラムが好評だったことを受け、9月にも物流ロボットに関するセミナーを開催します。

開催日時

2021年9月14日(火)  仮)ロジザード物流ロボットセミナー2021【定員100名】
https://www.event-form.jp/event/19808/robot2021

ロジザードは、皆さまの現場のロボティクスを応援しています。どうぞお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら

赤澤 裕介氏
物流ニュースサイト「LOGISTICS TODAY」編集長

物流を主要な取材テーマとして記者活動に従事し、舞台を紙媒体からインターネットへ移して2010年4月にLOGISTICS TODAYを開設。「物流に求められているのは何か」「メディアに求められているのは何か」を考え続けて25年、現在も試行錯誤中。

森 亮氏
ラピュタロボティクス株式会社 執行役員(ビジネス統括)

ラピュタロボティクスのビジネス部門を統括。クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」および「rapyuta.io」から生み出されたロボットソリューションの普及に尽力。元Google APAC地域マーケティングプログラム統括、モルガン・スタンレー M&Aアドバイザリー。UCLAにてMBA、ノースカロライナ大学にてBAを取得。

大西 弘基氏
プラスオートメーション株式会社 セールス&マーケティング部長

+Automationの営業部門を統括。顧客目線・オペレーション目線での物流ロボット導入「Operation First」をコンセプトに独自のロボットソリューション、物流向けRaaSを展開。
物流会社出身のプロの物流マンを中心とした精鋭チームを率い、単なるロボット売り/マテハン売りに留まらない自動化ソリューションプロバイダーとしての価値を提供、日本初のサービスを創るべく日々奮闘中。

金澤 茂則
ロジザード株式会社 代表取締役社長

株式会社福田屋洋服店(現 株式会社アダストリア)にて、店長やバックオフィス業務に従事し、在庫消化のため「アウトレット」を企画。物流倉庫と連携を強める過程で「在庫」の重要性に気付き、アパレル企業向けのコンサルタントとして独立する。在庫情報の重要性を唱える中、在庫管理システムを開発する前取締役会長遠藤と出会い、2001年にロジザード株式会社を設立。物流×在庫×ITを掲げ、クラウドWMSのリーディングカンパニーとして業界をけん引する。オムニチャネルや物流ロボット、RFIDなど物流の最新技術に精通し、企業の売上増大に結びつく物流改革を実現する手腕は、高い評価を得る。