COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

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物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

2019/03/15 セミナー倉庫物流ロボット

第4回 ロジザード物流セミナー2019冬 レポート【後編】~中小3PL企業が、物流ロボットを「今」導入する理由~

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東京・大阪で開催された「第4回 ロジザード物流セミナー2019冬」。前編に続き、いよいよ本題のパネルディスカッションです。テーマは、「中小3PL企業が、物流ロボットを"今"導入する理由」。物流ロボット、フルフィルメント、在庫管理システム、それぞれに関わる企業の代表が、各々の視点から物流ロボット導入の真実について、赤裸々に語りました。 (このコラムは当セミナーで話した内容です。)

パネリストは、中国のEC運用にもはや欠かせない物流ロボットを開発する株式会社ギークプラス 日本法人(以下、ギークプラス) 代表取締役社長 佐藤智裕氏。佐藤社長には、ロボット提供側の生の声を伺います。もうお一人は、フルフィルメントサービスの株式会社アッカ・インターナショナル(以下、アッカ) 代表取締役社長 加藤大和氏。加藤社長には、ギークプラスの物流ロボットEVEを実際に使う立場からお話しいただきます。ここに、モデレーター役の株式会社トークロア 代表取締役社長 伊藤良様と、3PL企業に寄り添いWMSを開発・提供するロジザート代表の金澤が、3PL企業の視点から切り込みます


導入のきっかけは、待ったなしの人材不足問題

アッカ・加藤氏
当社は、アパレル系ネット通販のバックヤード業務、いわゆるフルフィルメントサービスを展開しています。現在、当社の倉庫の約半分は、ギークプラスの物流ロボットで自動化しています。導入のきっかけは、人手不足の深刻化です。このまま放っておけば近い将来確実に業務が立ち行かなくなることが見えたので、自動化のソリューションを検討し始めました。そこからAGVが効果的と判断し、ある候補製品をベースに他のAGVを調べている中で出会ったのが、中国のギークプラスです。ギークプラスのソリューションは、「お客様のビジネスを止めない」という目的が明確で、一般的なマテハンメーカとは視点が異なりました。メーカーの思想や価値観が自分たちと近かったことが、導入決定のポイントです。

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ギークプラス・佐藤氏
「人が荷物を取りに行くのを止めよう」がギークプラスの開発コンセプト。「EVE」はピッキングロボットで、人が歩いて行う作業が多い倉庫で効果を発揮し、作業効率は人間の3倍以上です。汎用性があり、導入がとてもシンプルで、約3カ月で稼働開始、平均3年程度で投資回収が可能です。

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アッカ・加藤氏
ビジネスの事業継続を考えた時に、物流ロボット導入への挑戦は必要だと思います。実際に導入してみて、現場の効率が上がり、作業環境が非常によくなったことは想定内ですが、価格競争になりがちな物流業界で、他社との差別化を明確にできるという営業上の競争力が生まれました。

ギークプラス・佐藤氏
アッカ・インターナショナルさんは、ギークプラスの「EVE」の導入がセールスポイントになり、新たな営業接点のきっかけになっています。導入はどの機能からでもいいと思います。ギークプラスでは様々なソリューションを用意していますが、実はハードそのものは変わらず、ソフト上の変更で用途の転向ができるのが特徴です。例えば、ピッキングで導入したEVEを、商品移動のムービングシステムや仕分けのソーティングシステムへと転用することが可能です。

アッカ・加藤氏
現実の変化にどう適応できるかも、選択のポイントです。ギークプラスは本国で自ら3PL事業を手掛けています。これは物流の現場、現実を知り、業務上の課題を解決するためにとても有効な投資です。課題の解決策はすぐにソフトに反映されて、バージョンアップが図られる。物流を実際に事業として行い、理解した上でロボットを作り、しかも日本市場に「法人」を置いて深くコミットしています。こうした投資姿勢も評価しています。


物流ロボットを「今」導入する理由とは?

トークロア・伊藤氏
ここからは、中小3PL企業が、物流ロボットを「今」導入する理由について、議論を進めます。物流ロボットを入れると、3PLの何が変わるのでしょうか? 組織、人、営業、現場でリアルに変わることについて伺いたいと思います。

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ロジザード・金澤
人手不足の副作用(参照:前編)を、正の循環に軌道修正できることが大きいと思います。先日訪問した中国の通販会社では、午前中は一切作業をせずに午後から作業をスタートしていました。従来、午前中に行っていた作業を、ロボットが夜中に終わらせているからです。ロボット導入の大きなメリットは、夜間や長時間稼働が可能なこと。必要な人員は本当に少数で済みます。物流が人気のない仕事なのは、日本も中国も同じですが、この会社では、ロボットの導入で従来の半分の従業員数で仕事が回せるようになったので、従業員には1.5倍の給料を出せるようになりました。今では待機人員がいるほど、リクルーティング効果が生まれています。

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アッカ・加藤氏
ロボットの導入当初には、「自分の仕事がなくなるのではないか?」と不安を覚えたスタッフがいました。ロボットは道具であり、EVEは「人間が倉庫内を歩かなくてよくなる」ようにするだけ。人材が大切なことに変わりありません。スタッフには、ピッキング以外のキャリアプランをしっかり見せることが必要です。また、今までとはまったく異なる思想で、倉庫運営をとらえていかなければなりません。例えば、大きなボックスに商品が混在し、ピッキングのプロが目視で選びだすやり方は、ロボットには通用しません。ロボットを活かすルール作りが大切です。入れるだけでパフォーマンスは上がりません。使い方を間違えたらダメなのです。
とはいえ、いつまでも「様子見」をしていては、時代に乗り遅れます。同じソリューションなら経験値が多い会社ほどメリットがあり、先行企業の方が一日の長がありますから、導入が早いほど競争力が高まります。

ギークプラス・佐藤氏
「ロボットが使える会社」としてのノウハウは、ここに任せたいという荷主を呼びます。これは企業イメージにプラスです。以前、物流会社3社から、まったく同じ案件での営業提案でEVEを使いたいという相談を受けました。当社からは、3社にまったく同じ提案内容を提示しました。その中で最終的に荷主が選んだのは、アッカさんです。決め手は経験値でした。

ロジザード・金澤
道具という言葉がぴったりですね。物流は運用、組み立てが重要で、トライ&エラーが財産です。経験値を積み上げることがそのまま、物流会社のノウハウ、売りになります。


物流ロボットを「今」導入しない理由 「なぜ導入しないのか?」

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トークロア・伊藤氏
早くから始めた企業ほど、経験も知見もあるわけで、任せる側から見れば、当然安心感が違います。では、なぜまだ導入がそれほど進んでいないのでしょう?

ギークプラス・佐藤氏
いろいろな方とお話をすると、過去の自動化投資の失敗経験がブレーキになっていることが多いと感じます。また、ある荷主(案件)に対してロボットが使えるか?という見方をされがちですが、ロボットは複数荷主を効率的に運用できるところにメリットがあります。発想の違いのハードルを越える怖さや、マテハン投資のトラウマのようなものがあるのかもしれません。

トークロア・伊藤氏
複数荷主でメリットが生まれるというお話ですが、その場合の運用方法は?

ギークプラス・佐藤氏
従来は、荷主ごとに保管・作業場所を決めることが基本でした。EVEは「歩きまわらない」をコンセプトにしているので、人が作業する場(ステーション)にロボットが荷物を運んできますから、どこに何を置いてもよくなります。スペースが空いたら別の荷主さんの商品も格納できます。つまり荷主ごとにエリアを決める必要がありません。

アッカ・加藤氏
複数荷主でのシェアリングが基本ですから、現在10社で運用しているところに1社加わっても、問題なく稼働します。棚卸しの商品はロボットが抑えているので、混積されていても大丈夫です。

ロジザード・金澤
現場も倉庫も荷主単位で動いていたところから、ロボットという道具を使って倉庫全体で利益を上げるという発想への、パラダイムシフトが必要ですね。中小にとっては大きなチャンスですが、心理的なハードルがあるのでしょう。例えば、荷主を説得するのが大変だからとか・・・。

アッカ・加藤氏
当社は荷主に説明していません。「新しく画期的な仕組みを導入してパフォーマンスを上げますので、楽しみにしてください」と話したくらいでした(笑)。業務オペレーションを預かる仕事ですから、ビジネスをアップグレードする仕組みの導入は喜ばれます。

ロジザード・金澤
請求体系などは、これまでと考え方が全然違いますから、調整が必要ですね。

ギークプラス・佐藤氏
坪請求からピース請求へと概念が変わっていくと思います。こうなると、あいまいな関係での契約がなくなりますから、荷主と物流会社がフェアな立場で仕事ができるようになります。スペース効率を上げて、フェアな契約が結べるメリットは大きいと思います。


通販物流の未来像 「ゲームチェンジは起こるのか?」

トークロア・伊藤氏
導入を躊躇して、今のまま5~10年先にビジネスがどうなるか? 今後、通販物流にゲームチェンジはどのように起こるでしょうか?

アッカ・加藤氏
「通販物流」とくくることに、すでに古さを感じます(笑)。今、B to Bの荷物に変化が見えています。メーカーからの出荷単位がどんどん小さくなり、もはや通販と同じサイズに寄りつつあります。この傾向はさらに進み、どんどん小口の比重が高くなっていくでしょう。通販やB to Bのフォーマットは、今後ガラッと変わります。こうした時代の変化は、小回りのきく中小企業には追い風です。

ギークプラス・佐藤氏
今までの倉庫業のノウハウが古くなり、長く使っていけなくなるかもしれません。時代が変われば、ロボットに限らず先進的な物流ノウハウを持つ企業が、多くの荷主を獲得するようになっていくと思います。

アッカ・加藤氏
事業転換の可能性も生まれます。当社では新たな試みとして、大手企業と協業で、専用のWMSにロボットを連携させようとしています。今は既存のWMSにロボットを無理やり組み合わせようとしてハレーションを起こしている段階ですが、今後は、ロボットが活きるWMSが重要になっていくのではないかと想像しています。この観点から、当社がロボットのノウハウを活かす事業へ変わる可能性もあります。

トークロア・伊藤氏
ロボットが活きるWMS。WMSの世界も、今後違いが出てきそうですね。

ロジザード・金澤
WMSの位置付けは、在庫と上位システムとのデータ連携です。今はバーコードを中心に運用していますが、ハンディターミナルがロボットに代わることは十分考えられます。その際は、ロボットを中心に運用する、と決めることが大事で、ハイブリッド型は存在しないでしょう。
私は、5~10年後を見据えて2つの流れを意識すべきと思っています。1つは、別事業からの物流業界への参入、いわば3PLに殴りこみかけてくる新たなプレイヤーの存在です。Amazonやソフトバンクの動きがよい例ですが、これらに共通するキーワードが「ロボティクス」です。10年後にこれらが席巻する世界を想定して、我々は今、手を打たなければなりません。ここは素直にロボティクスでカウンターを当てていくのが、ベストプラクティクスでしょう。
もう1つは、あくまでも私見ですが、純粋に製造に徹したいメーカーは、FBA(Amazon)などのわかりやすいサービスに載せる方が簡単だと判断するようになるのではないか、ということです。すると、3PL業者は、何かとがった分野で生き残るしかありません。今後は、脅威が増えることはあっても減ることはないでしょう。


まとめ、最後に

ロジザード・金澤
将来的には、物流会社の設備としてロボットがないと始まらないと思います。いわば、運送会社にとってのトラック投資のようなもの。その設備がなくてできますか? という当たり前の位置付けになるのは、それほど遠くないはずです。

ギークプラス・佐藤氏
未来に向け、物流の在り方が大きく変わるタイミングにいる今、ロボットを単に売るだけの会社ではなく、ソリューションを通じてお客様の企業価値、競争力を高める力となれるよう、ともに成長することを目指したいですね。

アッカ・加藤氏
当社のソリューションは、3PLの皆様との協業ができると考えています。アマゾン、ソフトバンク、いろいろなプレイヤーが登場するマーケットで、たった1隻船を浮かべて戦おうとしても勝ち目はありません。自分たちの力を異業種や競合企業と組み合わせて、クリエイティブかつフレキシブルに動いて、今すぐ市場で生き残っていく手立てを考えていきましょう。このセミナーには、アンテナが高い方、今後も活躍していこうという意欲ある方々が集まっていると感じます。アッカは、そうした皆様の役に立つ会社でありたいと思います。

トークロア・伊藤氏
3人のお話が、「・・・すべき」という言葉ではなく、「今だからこそチャンス」との表現で語られたことを、嬉しく思いました。選択肢は目の前にあります。この波に乗り、ともに物流業界をよいスパイラルに変えていきたい、という思いを共有して、お開きとさせていただきます。本日はありがとうございました。

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開催レポート
325名来場、第4回ロジザード物流セミナー2019冬 開催


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