COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/01/11 EC・通販事業者システム

物流戦略やマーケティング施策を成功に導く、在庫データの活かし方 ~躍進企業にみる物流データ活用法~

物流戦略やマーケティング施策を成功に導く、在庫データの活かし方

購買スタイルが多様化する今、消費者ニーズに応える販売チャネルの構築に欠かせないのが適切な在庫管理であり、それを支えるのがWMS(倉庫管理システム)です。「いつ、どこに、何が、いくつあるのか」。WMSには、所在別の在庫状況をリアルタイムで可視化する貴重なデータがあります。しかし、この在庫データをきちんと見ている企業、企業戦略に活用している企業はどのくらいあるでしょうか? 今回は、物流セクションに集まる在庫情報などを社内で共有し、販売戦略や経営判断に活用されている株式会社I-ne(アイエヌイー 以下、I-ne)様の事例を通じ、貴重な在庫データを眠らせずに活用する方法について考えます。

在庫データの蓄積と活用が重要な理由

ロジザードでは以前から、在庫情報をクラウドで見える化し、データを共有化して企業活動に活かすことをご提案してきました。ここにきて時代の針が一気に進み、「在庫情報をリアルタイムに見たい!アナログ運用はもう限界!」という悲鳴とともに、在庫管理や倉庫運用に関するご相談が、多数ロジザードに寄せられています。

国内最大の物流ニュースサイト「LOGISTICS TODAY」編集部が2021年11月に行ったWMSに関する実態調査(※)によれば、回答企業の83%以上がWMSをすでに導入、または導入予定であると回答しています。目的は主に、「在庫管理業務、出荷業務、入荷業務の効率化」や「出荷精度の向上」ですが、入出庫管理や在庫照会に関わる機能はもちろん、他システムとの連携にも期待が高まっているとの結果も。総評として、WMSは「業務の標準化や効率化だけでなくコスト削減や在庫管理の強化を実現できるシステムとして、物流DX化の観点からも注目が高まっている」と論じています。データ活用の時代、DX化を検討する前にまずは正しい情報の管理と蓄積ができるシステムの導入でデジタル化が必要です。

LOGISTICS TODAY」が実施したWMSに関する実態調査(2021年11月)
※参照・一部抜粋:「LOGISTICS TODAY」が実施したWMSに関する実態調査(2021年11月)
https://www.logi-today.com/465880

WMSを通じて蓄積される在庫情報などの物流データは、企業にとって実は宝の山。大事な資産である「商品」を倉庫に眠らせることなく、効率よくお客様のもとに適切に届けるために、在庫起点の情報が従来に比べて一層重要視されています。調査からは、在庫データを可視化するとともに社内の主要システムと連携し、分析を可能にすることで、経営戦略に活用していこうという意識の強まりを感じます。


物流コストに直結する在庫情報

「在庫」情報を可視化することでもたらされる最も大きなメリットは、コスト削減です。ヘアケアブランド「BOTANIST(ボタニスト)」などヒット商品を連発し、現在19ブランドを展開するI-ne様では、クラウドWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO」の導入により、従来見えていなかった在庫情報を「数値化」したことで、物流業務の効率化とコストダウンに成功しました。

業務報告に数字を明記することができるようになり、エラー実績やコストの実態が見えてきたことで、ケアレスミスの低減やコスト削減に大きな効果が生まれたといいます。

また、在庫過多や滞留在庫は、保管費や在庫評価損などのコスト増に直結するため注意が必要ですが、I-ne様では月に一度、現在庫と出荷履歴から商品ごとの在庫回転率を見ることで、商品が順調に動いているかどうかを確認しています。動きが鈍い商品や、何らかのアクションを起こして活性化させないと滞留在庫になりかねない商品情報は、いち早く関連事業部に共有し、対策を講じます。在庫データを読み解くことで、在庫過多を防ぎ、無駄なコストを生まないようにしているのです。

さらに、物流戦略にもWMSで得られるデータを活用しています。クラウドWMS「ロジザードZERO」から得られる出荷履歴や納品場所などのデータから、物流拠点を全国のどこに置けば最も低コストかつ効率的に運用できるのかを、常に検討しています。無駄なコストを生まないだけでなく、積極的に物流コストを軽減していくにも、WMSに蓄積されるデータが非常に役立ちます。


マーケティング施策と紐づけた物流コストの算出にもデータを活用

滞留在庫になりかねない商品を在庫回転率から見極め、社内共有する例を先に挙げましたが、販売施策につなげることで不良在庫化を防ぐだけでなく、売上の向上にも寄与しています。I-ne様では、WMSに蓄積されたデータをマーケティングや販売戦略に活かしているケースはこれにとどまりません。

例えば、出荷データと宅配便のデータをかけ合わせて、宅配サイズの構成比を割り出し、これを関係部署に共有しています。ブランド毎、シーズン毎、イベント毎に展開されるマーケティング施策では、お客様が選択する商品の組み合わせや個数などにより宅配サイズが変わります。どのマーケティング施策はどのような商品の組み合わせでの発送が多いのか、それはどの程度のコストがかかるのか? これらのデータを提供できるのはWMSを管轄する物流部隊です。「利益」にフォーカスし、施策の適正な上代設定を物流コストからも検討できるよう、施策ごとの送料、梱包材、保管料などのコストを見える化し、事業部にフィードバックしています。


財務など基幹システムとの連携も

I-ne様は事業が急拡大したこともあり、基幹システムとの連携は急務でした。各ブランドを管轄する事業部ではBtoB、BtoCのいずれにも対応しており、在庫管理の手法も基幹システム上の扱いもバラバラ。これを統一ルールで連携させていく必要があり、ロジザードとともにWMSのカスタマイズに取り組みました。非常に難しいカスタマイズでしたが、基幹システムとWMSを連携させたことで、よりデータの活用範囲が広がりました。特に、在庫情報と財務情報がシームレスにつながり、在庫在高や原価など会社(主に財務)が必要とするデータをリアルタイムで正確に取得できるようになりました。こうして物流現場から得られる貴重なデータは、経営判断上も有効に活用されているといいます。

さらに、SDGs経営を目指すI-ne様では、会社としてあるべき姿勢を物流側からも考えていくために、環境にやさしく高品質な物流を低コストで実現できるよう、これからもWMSが蓄積する物流データをあらゆる方面で活用していこうとしています。


まとめ

クラウドWMSから得られる在庫データを活用するメリット

WMSが蓄積する在庫データ活用法の一例をご紹介しました。コスト呼ばわりされていた物流ですが、スマート化が進み、今や情報が集約される場所が物流現場です。物流部門は、販売戦略、ひいては経営戦略に役立つ情報、企業競争力を左右する情報が集まる最前線といえるでしょう。物流現場のスマート化の第一歩は、WMSを導入して在庫情報を「見える化」することから始まります。ロジザードのクラウドWMS「ロジザードZERO」が、皆さまの物流業務のスマート化および、在庫情報の有効活用をサポートします。どうぞお気軽にご相談ください。

本記事は、株式会社I-ne(アイエヌイー)様のご協力のもと作成しました。

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https://www.logizard-zero.com/cases/i-ne.html