COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/01/27 EC・通販事業者システム

単品通販とは?システム選定のポイント

単品通販とは?システム選定のポイント

近年、注目が集まるDtoC(Direct to Consumer)。その多くは、展開するカテゴリを絞った単品通販です。今後さらに需要と注目度が高まるであろう単品通販事業における、最適なシステム選定と物流現場の構築・見直しについて解説します。

通販は大きく分けると総合通販と単品通販

一口に通信販売と言っても、扱う商品の種類や事業の規模によって形態はさまざまです。ショップごとに客層も変わりますし、消費者行動にも違いがあります。このように、多岐にわたる通信販売事業ですが、扱う商品の点数に注目すると「総合通販」と「単品通販」の二つに大別できます。

総合通販

大量の商品を取り揃え、顧客自身が商品を探して買い物をする形態を「総合通販」と呼びます。生活用品全般を扱う総合通販ECをはじめ、Amazonや楽天などは総合通販ECモールの代表格とも言える存在でしょう。幅広いターゲットのニーズに合う商品が販売されているため、多くの人を呼び込めるというメリットがあります。

さらに、クロスセルへの期待が大きいのも特徴です。たとえばファンデーションだけを売るお店では、ファンデーション以外のものは売れません。しかし、一緒にアイシャドーが並んでいたらどうでしょうか。ファンデーション購入を目的にサイトへ訪れているユーザーであっても、別商品の魅力をアピールできれば、併せ買いをしてもらえる可能性があります。また、単純にそれぞれの商品がユーザーの目にとまる回数も倍増するため、ショップ全体の売上アップにもつながるのです。

一方、総合通販にはデメリットもあります。その最たるものが価格競争の激化です。 数多くの商品が並んでいるのは、何もひとつのサイトだけではありません。そのため、同じ商品が異なる価格で販売されることも多々あります。この際、「安く売っているお店で買いたい」と思うのが消費者心理。その結果、サイト間での値下げ競争が起こってしまう可能性があります。また、本来通販はリピート率を上げることで売上のベースアップを狙うのですが、リピート購入よりも新規購入が多くなる傾向にあります。

その他、取り扱う商品が増えれば増えた分だけユーザーのニーズは満たせますが、商品の登録作業や在庫管理の負荷は大きくなるという点も無視できない、さらに仕入れ商品が多いと薄利になってしまうことがデメリットです。

単品通販

単品通販は、特定の商品やブランド、カテゴリのみを扱う通販の形態です。必然的に商品数は少なくなるため、新規購入よりも狭いターゲット層にアプローチし、リピーターになってもらうことを目標とします。そのため、少ない商品一つひとつに注力したマーケティングが行われます。なお、代表的な商材としては、化粧品や健康食品です。

一見すると難易度が高く見られがちな単品通販ですが、実は新規参入がしやすく、販売促進も行いやすいというメリットがあります。また、オリジナル商品を展開することで総合通販のような価格競争に巻き込まれることもないので、いかに他社と差別化した商品を揃え、ブランド独自の地位を確立するかがポイントになるでしょう。

また、単品通販を手がける企業は、定期購入を促すビジネスモデルを持っているケースが多く見られます。「単品リピート通販」や「定期通販」と呼ばれるこの手法は、顧客の買い忘れを防ぎ、売上の安定化を図れる点がポイントです。

ただし、必ずしも定期購入だけが単品通販のゴールではありません。単発の購入のみや、定期購入との併用といったビジネスモデルも多く存在しています。単品購入でファンになってくれたユーザーが定期購入をしてくれたり、リピーターになってくれたユーザーへのクロスセル・アップセルを促したりすることで、より大きな売上げを生み出すことも可能です。


単品通販のシステム構成

受注から出荷の流れ

単品通販をはじめるに当たり必要となるシステムについても見ていきましょう。基本的な構成は総合通販と変わりありません。しかし、独自のニーズを満たしたり、業務効率を高めたりする機能は知っておいて損はありません。以下では、単品通販におすすめのカートシステムやWMS(倉庫管理システム)の機能をご紹介します。

カートシステム選定について

通販サイトに欠かせないカートシステム。注目したいのは、「定期購入機能」、「ステップメール(シナリオメール)機能」の有無です。一部の安価なカートシステムは、コストを抑えるために定期購入機能やステップメール機能が省かれていることも少なくありません。また、ASPのカートシステムの場合は、オプション機能になっている可能性があります。

また、単品通販はリピーター獲得が非常に重要です。顧客心理をつかむためのリピート施策としてお試し商品やカタログ、クーポン同梱などが挙げられます。ただし、こうした同梱物をどのような条件で付与するかのパターン決めや管理方法(在庫品として管理するか、非在庫として配りきるか)など、事前に決めておくべきことは少なくありません。そして、そのルールに沿った運用にカートシステムがマッチするかなども選定の決め手になりえます。

WMS(倉庫管理システム)の選定について

もしもすでにWMSを導入しているのであれば、カートシステムとの連携実績を確認しましょう。カートシステムが開発型の場合は、WMS連携も用件のひとつに入れることが臨まれます。なお、連携方法はCSVを用いた手動連携か、APIやFTPによる自動連携になります。自動出荷の場合は自動連携が必要になりますが、この際はキャンセル処理への対応や同梱処理、システム連携エラーなど、リスクがあることも覚えておいてください。なお、まだWMSを導入前であればシステムの選定時に、カートシステムとの連携についてしっかり確認することをおすすめします。

「自動出荷」については、こちらのコラムがおすすめです。

自動出荷の前に知っておきたいメリットとデメリット
https://www.logizard-zero.com/columns/system04.html

また、「同梱物管理機能」があるかも確認必須です。あらかじめ想定する同梱パターンに対応しているか?在庫品・非在庫品管理が可能か?など、細かい部分までチェックを怠らないようにしてください。そのほか、ノベルティをお買い上げ明細書に記載できる・できないといった点も、柔軟に管理できるかどうか確認しておきましょう。ちなみに、カートシステム側が同梱物管理機能を備えている場合もあるため、状況に応じてカートシステム会社やWMS会社と打ち合わせをするのがおすすめです。

POSの導入について

DtoCの企業ではブランドイメージ、世界観を表現するために実店舗を検討される方もいらっしゃると思います。実店舗の展開やポップアップストアの実施を行う事業者であれば、POSとの連携も判断材料のひとつになり得ます。たとえばWMSとPOSが連携していれば、倉庫以外の場所からでも販売可能な在庫数(すでにECなどで引き当てがかかっているものを除外した数)をリアルタイムに確認可能。店頭で顧客から欠品商品について尋ねられた場合は、在庫の有無を伝えるだけでなく、その後店頭受取や自宅配送といった選択肢をご案内できます。

なお、当社が以前に実施した街頭アンケートでは、正確な在庫情報が分かると75.2%のお客様は取り置き・取り寄せで購入に至るという結果がでました。在庫の見える化がいかに重要であるかが分かる調査と言えます。

「在庫の見える化」については、こちらのコンテンツがおすすめです。

コラム:調査レポート 実店舗でのお買い物に関するアンケート調査 IN原宿
https://www.logizard-zero.com/columns/questionnaire-shopping.html

サービス:ロジザードZERO 店舗管理オプション
https://www.logizard-zero.com/zerostore/


単品通販 システム構成事例 エルテックスDC×ロジザードZERO:三省製薬様・村田園様

化粧品を取り扱う三省製薬様は、ECサイトの構築に通販管理システム「eltexDC(エルテックス・ディーシー、以下エルテックス)」を採用、WMSはクラウドWMS「ロジザードZERO」です。

エルテックスは柔軟な開発が行えるカートシステムであり、ロジザードZEROとはインポート・エクスポートするCSVにより、スムーズな連携を実現しました。(2022年1月現時点では、連携時にカスタマイズが必要です。)

三省製薬株式会社様

三省製薬株式会社様

導入事例はこちら

  • 商材:化粧品
  • システム構成:eltexDC・ロジザードZERO
  • 取り組み:
    SDGsに配慮し、オリジナルパッケージにより梱包材、プラスチックの削減を実現。
    梱包ラインを工夫することで、出荷業務の効率化。

物流現場の構築・見直しについて

単品通販は商品カテゴリや商品ブランドを絞り込んで販売を行うため、同一の商品サイズが多いという特徴があります。それを踏まえ、物流現場の構築・見直しのポイントをいくつかご紹介します。

(1)梱包サイズ・方面別仕分け

梱包サイズは送料コストに直結する重要な要素です。商品パッケージを見直すことで、1件の送料が100円以上安くなることも。この場合、たとえば月3,000件の出荷であれば、300,000円のコストダウンが図れます。

また、配送会社の集荷も同様に重要な要素になり得ます。出荷件数が増えれば「方面別仕分け」が配送会社との取引条件になることも。あらかじめ配送会社ごとに荷物を分けたり、方面別仕分けを想定したりしながら現場を構築することが大切です。

(2)効率化

出荷規模が1日数百件になってきたら、自動梱包機の導入も検討しましょう。初期費用は数千万円と決して安くはありませんが、制度の高い梱包作業がスピーディーに行えるようになります。現在、出荷作業が追いつかず受注を停めざるを得ないといった状況であれば、ぜひご検討ください。

また、すでに受注を停めている、出荷制限をかけている、出荷が遅くお客様からクレームが来てしまっているというような場合は、アウトソーシングについても検討するのがおすすめです。

(3)SDGs、サスティナビリティへの配慮

環境への配慮など、クリーンなイメージはファンを呼び込みます。近年であれば、SDGsやサスティナビリティなどが最重要キーワードです。たとえばプラスティックの梱包資材を廃止し、代わりとして商品に合わせた仕切りを作ったり、あらかじめオリジナルパッケージを作ったりするメーカーも増えています。前述した三省製薬様も、オリジナルパッケージを作り、SDGsやサスティナビリティへの取り組みをはじめています。


まとめ

単品通販のシステム選定の際は、カートシステムやWMSの機能面、それらの連携について着目してみてください。また、DtoCではファンの獲得が非常に重要です。リピート施策はマーケティングだけでなく、実行するための業務フローの構築、欠品などで顧客満足度を下げない物流現場、業務効率化もぜひ検討しましょう。

物流面にお困りの際はロジザードにご相談ください。導入事例をご紹介しながら最適な物流現場をご提案いたします。