COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2020/04/20 在庫管理運輸業・倉庫業(3PL事業者)

在庫が合わないのはなぜ?~WMS(倉庫管理システム)をまだ導入していない場合~

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「在庫が合わない。また税理士さんに怒られる。」
「帳簿と現物がどうしても一致しない。在庫差異の理由がそもそもわからない。」

在庫管理システムを導入せずにEXCEL(エクセル)や、Access(アクセス)で在庫管理を行っている現場では『あるある』ですね。かくいう、ロジザードも一番の競合企業はどこですか?と聞かれることがありますが、「Microsoftさんです。在庫管理でいえば、EXCEL(エクセル)とAccess(アクセス)が一番の競合ですね。」と答えることが割と鉄板です。誤解のないように言い訳しますと、EXCEL(エクセル)とAccess(アクセス)はすごく便利で立派なツールです。中途半端な在庫管理アプリよりよほど高性能に化けますし、何より初期費用も月額費用もなく、在庫管理を開始する最も身近なツールであり、柔軟性は圧倒的です。少しEXCEL(エクセル)の関数が使える人であれば、在庫管理もこれでできてしまいます。関数の使い方や、計算式を間違えるなどのミスが起こるケースもありますが、計算式などはどこもおかしくないのに「なぜか在庫が合わない」という相談が多いことも事実です。では、いったい在庫が合わない原因はどこにあるのでしょうか。

「WMSを導入して、パパっと解決しなさい」なんて野暮なことは言いません。今も昔も、経営者と現場で根深い溝があるので、実際問題導入が難しい場合もあります。
そこでまず、在庫管理にまつわる業務を見直せるよう、一つ一つ検証して改善する方法を考えていきましょう。

既にWMSを導入しているが、在庫差異が出てしまう場合はこちら

入荷

入荷時のミスこそ、在庫が合わない一番の原因

入荷の工程では、物流倉庫に商品が届き、商品を受け取ります。入荷業務には、事前にメールやFAXなどで届いた入荷予定の通りにきちんと入荷されているかを確認する作業があります。ここで、入荷予定の商品と別のものが入荷されていないか、数は間違っていないかを確認することが重要です。

実は入荷時のミスこそ、在庫が合わない一番の原因です。一番間違いが起こりやすいポイントと言えるでしょう。それはなぜか。たいていの通販企業、物流現場では、商品の送り先となる顧客を大事にします。顧客ファーストです。これは全く間違いではありません。しかし出荷にウェイトを置くあまり、「入荷業務が大事だ、重要だ」という認識が著しく欠如します。特に経営者の方はその傾向が強く見受けられます。そこで在庫が合わない原因が見えてきます。

    • 仕入先、取引先を信頼し、そもそも検数や数を数えていない。
    • 伝票で外箱だけ数えて、みなし計上している。
    • 間違えたら後で修正すればいいのであまり時間と人をかけない。

なんてことはザラにあります。在庫管理は入荷が大事。ここが合わないとずっと合わないのですが、これは初めのうちは小さい問題なので、目立ちません。企業が成長するにつれ、決算間際になるにつれ、在庫差異が表面化してきます。

対策

まず入荷が大事と気づくことが重要です。面倒がらずに入荷業務を見直してみましょう。仕入先、取引先ごとにはじめはしっかり検数し、間違いが多いケースを洗い出しましょう。間違いが少ない取引先などは簡易的な検数・検品にするなど、ある程度作業を軽減できるケースは負荷をかけない運用にしていくことも検討できます。特に事業規模が小さいときはどうしても人数に限りがありますから、ここには時間をあまりかけられないのが実態でもあります。

保管

登録作業と現場作業のタイムラグが発生する

保管業務では、入荷した商品を棚に入れ、どの棚に何をいくつ保管したのかを記録します。また、既に棚に入っている商品を別の棚に移動することもあるでしょう。
稀ですが、EXCEL(エクセル)でロケーション管理(場所別の在庫管理)まで実施されて、間違っている現場にたまに出会います。貴重な体験です。とても凝ったマクロや関数が施された立派なEXCEL(エクセル)在庫管理に出会うと感動すら覚えます。

こんな努力の結晶とも言える在庫管理EXCEL(エクセル)ですが、残念ながら在庫が合わないというケースのご相談いただくことが圧倒的に多く見受けられます。その理由は、登録作業と現場作業でタイムラグがあるからです。保管した、出庫した、移動した、場所を変えた、という作業と、EXCEL(エクセル)に登録するという作業が切り離されています。どうしても登録漏れ、作業漏れ、報告漏れ、二重登録、、、、が、なくなりません。

対策

無理ですね。もうこの際、EXCEL(エクセル)とAccess(アクセス)で場所別の在庫管理はやめましょう。現場に任せてしまうのです。品数が少なければ固定ロケーションを採用し、カンバンやガイドなどを使って目で見てわかる工夫をすることが最大にして唯一の対策といっていいでしょう。

出荷

指示と作業を合わせることは難易度が高い

出荷業務とは、出荷指示があった商品を棚からピッキングし、梱包して集荷場に置くところまでの作業を指します。在庫が合わないという問題を引き起こす一番多い(と見えがち)な作業が出荷作業です。
誤出荷をしたことがない現場には出会ったことがあません。頻度が非常に少ないものの、Amazonの現場ですら誤出荷します。ここはダイレクトに問題になりますね。誤出荷には「顧客の怒りと失望」 というわかりやすいフィードバックがあるからです。しかもこのフィードバックは結構な「圧」があり、経営者と働く人の心を痛めます。苦痛を伴うので、在庫管理より正確な出荷だけできるようになりたい、という要望も多いぐらいです。

原因は色々ありますが、指示と作業を完璧に合わせること自体、そもそも難易度が高い仕事という認識を持ちましょう。商品を間違えた、数を間違えた、セットと単品を見間違えた、という事故は通常2,000件に1回ぐらいは発生してしまうものです。人は間違えるものです。

対策

間違えたことに気付く工夫が必要です。(出荷ミスに限りませんが)一般的に多い対策としてあげられるのが以下ではないでしょうか。

  • 事故を共有し注意喚起をする。(具体的には、ピッキングミスが起こりやすいロケに注意喚起のガイドを設置するなど)
  • 作業者を作業精度の高い人に変更する。
  • 作業者を2名体制にしてダブルチェックする。(これで1名のときより思い込みによるミスが大きく減ります)

棚卸

そもそも数が合っていない

棚卸とは、倉庫の中にあるはずの商品が、実際にきちんとあるか数量を確かめることです。商品も会社の資産なので、在庫が予定より多いと資産を無駄にしてしまうことになります。反対に在庫が足りない場合は、いざ注文が入って出荷する際に「あるはずの在庫がない」という事態になり、欠品してしまいます。
棚卸業務には、一度に全ての商品の棚卸をする方法と、部分的に(例えば高価な商品など)行う場合があります。棚卸作業で在庫をミスするということはそれほど多く聞きませんが、そもそも数が合っていないので、何回実数を数えても数が合わないというケースはあります。

      • 固定ロケーションの運用をしていて、一つの商品がその場所にしかないと思い込み、他の場所に保管していた商品をうっかり見落とした。
      • 複数人で棚卸しを実施していて、一度数えたところをもう一回数えてしまった。
      • 集計を計算ミスした。

これらの原因で数が合わないというケースが多くあります。

対策

在庫の数の数え方に少し工夫をするとよいかもしれません。特に1SKUで数が多い場合などは、5点という単位で区切ること。 商品を5点単位に山を作って、その山を数えるなど、数える上限を小分けにすると間違いが少なくなります。 またロケーションや棚単位で作業を区切り、1回数えた箇所には色付きの付箋を貼り、数が合わないところは別の人が2回目を数えるなどの工夫をしている現場もあります。

まとめ

在庫を合わせる対策として、現場でできることは沢山あります。整理整頓は当たり前ですが、目で見てわかりやすい状態を常に心がけることが大切でしょう。EXCEL(エクセル)とAccess(アクセス)はあくまで登録結果なので、過度に依存しないようにすることです。
よく「在庫差異率」を〇〇%にしたい、などのKPIを聞くことがあります。しかしそのKPIがなぜその数値なのか。世間一般的に他社がこの程度を目標としているから、という曖昧な事情で設定していることもあるようです。本来は顧客単価、在庫原価、ミスによるリカバリーのコスト、お客様への事故率、そして現場の作業負荷を総合的に検討して、企業ごとに違う率を設定すべきです。精度を上げることは、チェック項目を増やすなど、コスト(人件費)と時間がかかることにつながるからです。
在庫差異率を少なくする、作業精度を上げるには二重チェックが一番の解決策であるのも事実です。しかし人手不足が顕著になりつつある昨今では、一定規模以上になったらWMSのような在庫管理システムを利用するなど、現場の作業精度を上げつつ、在庫精度を上げる仕組み化に取り組む企業様が増えています。

まだ在庫数がそこまで多くないという場合は、一度ご自身の企業に合った在庫差異数のKPIを考え、現場でできることから始めてみましょう。在庫数が多くなってきた、人手不足でダブルチェックが難しいという場合は、システムを検討してみてもよいかもしれません。弊社のクラウドWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO」は、ハンディーターミナルを使うことでミスなく入荷から出荷まで行えます。ご相談も承りますので、ロジザードZEROお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

また、在庫管理システムの導入となると予算感が合わない、売上を上げることに集中したい、という方は物流業務の委託を検討してもいいかもしれません。物流業務の委託を検討される場合は、ロジザードZEROをすでに導入されている物流倉庫様を無料でご紹介しております。詳しくは完全無料の倉庫紹介サービス「ロジザード・マッチン」ページをご覧ください。

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亀田尚克(かめだなおよし)

ロジザード株式会社 執行役員 営業部長

繊維商社、大手システム会社勤務を経た後、在庫管理分野のASPという事業スタイルに魅力を感じ2006年ロジザード株式会社入社。通販物流を中心として物流現場への訪問数はゆうに2,000に達する。徹底した現場主義によりサービス会社としてのロジザードのスタイルを確立する。在庫管理システムをもっと世の中に普及させたいという情熱のもと思索と行動の日々を送る。