COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
少子高齢化による市場拡大を背景に、成長を続ける薬局(ドラッグストア)業界。薬局という特性ゆえに、とりわけ厳格な対応を求められるのが、在庫管理です。こちらのコラムでは、薬局にフォーカスを当てた在庫管理の最適化について考えます。
経済産業省の商業動態統計によると、薬局(ドラッグストア)の2023年度商品販売額は前年度比8.9%増の8兆5,203億円。店舗数は1万9,198店で、前年度比3.4%の伸長でした。薬局は、国内でも数少ない「成長領域」であるのは間違いなさそうです。
インターネットの普及により、消費スタイルの多様化が急速に進んでいる中で、ここまで市場を拡大している理由は何でしょうか。
様々な要因がある中で、最も大きな要因と言えそうなのが、「健康への意識の高まり」です。高齢者だけでなく、若い世代も健康意識が高まってきているのです。
こうした動きを反映しているのが、まさに薬局業界です。店舗に入ると、様々な薬や健康食品、化粧品などがずらりと並んでいます。健康でありたいと考える消費者の需要が、こうした薬局ビジネスを支えているのです。
店舗運営で最もあってはならない事態の一つは「来店客に商品を提供できない」こと。つまり、在庫管理の不備による欠品です。これは、薬局だけでなくどの業種・業態の店舗にも言えることです。
中でも、生命に関わる深刻な事態にも対応する必要がある薬局で欠品が起こったら、と想像してみましょう。薬局での在庫管理に厳格な対応が求められるのは、こうした理由によるものです。
薬局における在庫管理の在り方について考える前に、現場の課題をまとめておきましょう。ここでは、薬局での在庫管理の最適化に向けた課題を3つご紹介します。
薬局における在庫管理に欠かせない条件、それは需要が少ない医薬品も常に確保しておく必要があることです。薬局は患者の多様な医療ニーズへの迅速な対応が不可欠だからです。
常に一定の需要がある医薬品の場合は、在庫を常に多めに確保しておけば対応できるでしょう。しかし、特定の疾患や症状に対する医薬品については需要が限られます。処方の頻度は低いですが、患者が必要とする際には迅速な対応が求められます。緊急性の高い医薬品の場合は、求められたらすぐに提供できないと、患者の健康に影響を及ぼす可能性があるからです。
こうした事態に対応するためには、常に一定数の在庫を確保しておかなければなりません。つまり、顧客のいわゆる「行動パターン」を認識した上で、正確で柔軟な在庫管理が求められるのです。
医薬品やその関連品には、効能期限が設定されています。薬局の在庫管理では、こうした期限の切れた在庫品が発生することで、無駄なコストとなることがあります。
医薬品は安全性と効果が一定期間に限って保証されていることから、期限を過ぎると患者に提供できなくなります。そのため、薬局では期限切れ前に医薬品を販売しなければなりません。ところが、欠品を避けるなどの理由で在庫を過剰に抱えてしまうと、一部の医薬品が期限切れになり、結果として廃棄することになります。
健康食品や飲料の在庫管理で重要なのが、賞味期限管理です。賞味期限は、「記載されている保存方法を守って保存すれば、その日付までは品質が保たれ、おいしく食べられる」という期限です。賞味期限を過ぎた製品や、品質の低下した製品は、もちろん販売することができません。
そのため、賞味期限切れや品質の低下を防ぐために、厳格な賞味期限管理が求められます。製品の入荷から陳列・販売までの過程で常に賞味期限が切れていないか確認するとともに、賞味期限が近い順に優先的に販売するなどの対策をすることにより、最適な品質を維持して提供する必要があります。
薬局は、顧客へ提供する商品を、医薬品を専門に扱う卸売業者から取り寄せます。つまり、サプライチェーンの観点で考えれば、こうした卸売業者の倉庫における在庫管理が、薬局での最適な在庫管理を進める上で重要な役割を果たすことになります。
在庫管理の最適化には、「過不足ない」在庫管理の徹底が基本であるのは、言うまでもありません。ところが、こうしたテーマを薬局にフォーカスして考えると、どうしても「不足のない」在庫確保に軸足が寄ってしまいがちです。
とはいえ、過剰に在庫を抱えることによるリスクも存在することを、忘れてはいけません。欠品が許されないとはいえ、過剰な在庫は利益率を圧迫するからです。1箱数万円に及ぶ薬品もあり、こうした廃棄は経営にも大きなダメージを与えてしまうでしょう。
薬局に医薬品を供給する立場である卸売業者にとって、倉庫における「過不足ない」在庫管理の最適化は、経営上の重要課題であると言えます。
薬局の商品が欠品しない供給体制を維持しながら、在庫過多にもならず、あらゆる期限も守る――。そんな徹底した在庫管理が求められるのです。
薬局での取扱品、つまり医薬品の物流機能については、保管や輸送時に温度や湿度などの様々な指標において、徹底した管理が求められます。
こうした取り組みを進める上で注目されているのが、トレーサビリティです。本来の意味は、商品の生産から消費までの過程を追跡することですが、ここでは卸売業者の倉庫から薬局までの輸送における最適な管理、と捉えます。
物流機能では、保管や輸送の過程における品質確保についても、高度な水準が求められるようになっています。その代表例が医薬品であり、物流品質そのものが、物流サービスの価値を決める指標になっているのです。
こうした繊細な物流品質を実現するためには、様々な取り組みが求められます。とはいえ、人的な施策では限界があるのも実情です。そこで着目したいのが、システムの活用です。
ここでは、インターネットを使ってオンライン上で利用できるクラウド型の在庫管理システムに焦点を当てて、薬局の在庫管理における有効性を考えます。
システムを活用した在庫管理について考える際に、まず浮かぶのが、在庫状況のリアルタイムでの可視化でしょう。過不足ない在庫状況を常にキープしておく必要がある薬局の店舗や卸倉庫での在庫管理では、こうしたシステムの導入は非常に大きな力になるでしょう。
過不足ない在庫の実現には、在庫情報をリアルタイムに確認することが重要です。クラウド型のシステムであれば、複数の拠点を持っている場合もリアルタイムで各拠点の在庫管理や情報共有が容易になります。
システム導入には、一定の初期投資が必要です。しかし、クラウドサービスを活用する場合は、サブスクリプションのため、大規模な初期投資をせずに導入できます。企業は必要なサービスレベルに応じた料金を支払い、結果的にコストパフォーマンスを最大化することも可能です。更に、クラウド型の場合、自社でハード設備を持たないので、メンテナンス費用も削減できます。
クラウド型のシステムの特徴は、他のシステムとの連携が容易であることです。つまり、システムの拡張性を高めることができるのです。
薬局の在庫管理を最適化する場合、卸事業者の倉庫内の在庫管理機能だけが高度化しても、システムの本来発揮すべき効果が必ずしも発揮されるわけではありません。倉庫と店舗それぞれのシステムを連携することにより、在庫管理がより最適化されるのです。
こうした観点で見ると、クラウド型システムの持つ拡張性の高さは、在庫管理という機能を検証する際の判断材料として、注目すべきポイントであると言えます。
ここまで、クラウド型を中心とした在庫管理システムの利点について説明してきました。ここからは、在庫管理システムがもたらす具体的な効果について確認します。
医薬品は人体に影響を与えるため、取り扱いには十分な注意が必要です。そのため、薬局は正確な在庫管理を維持しなければなりません。在庫商品の情報を可視化することで、廃棄期限に対応した在庫管理の最適化を促し、在庫期間の短縮を実現できるのも、システム導入の効果です。
さらには、こうした取り組みが過剰在庫の低減につながり、利益面でプラスの効果にもつなげることができます。同時に、在庫管理の徹底により、欲しい医薬品をすぐに入手できる仕組みが整うことで、顧客満足度やリピート率のさらなる向上につながり、結果的に売上高を増やすことも可能になるというわけです。
薬局業界における近年の競争激化は、サービス水準の向上を促すきっかけにもなります。裏を返せば、サービスで差をつけることができない店舗は、市場からの撤退を余儀なくされることになります。こうした生存競争に勝ち抜くためにも、システムを活用した在庫管理の最適化は、もはや経営戦略を描く上で欠かせない存在になっています。
薬局における在庫管理の最適化を図る上で、システム導入は様々な効果があることについて、説明してきました。ここでは、薬局における在庫管理システムを選択するポイントを紹介します。
在庫管理システムを選ぶ際には、自社の業種に特化した在庫管理機能があるものを選びましょう。薬局業界特有の在庫管理の課題に対応できるシステムであれば、より効率的な在庫管理を実現できます。
在庫管理システムに、外部のシステムやアプリケーションとの連携実績があれば、関連する業務をよりスムーズに進めることができます。あらかじめ自社が連携したいシステムを洗い出しておき、該当する製品との連携実績があるシステムを選ぶと、効果的で失敗のないシステム選択ができるでしょう。
複数の店舗を持つ薬局チェーンを展開する場合は、多拠点の在庫管理に対応できるシステムが必要です。システムによっては登録できる拠点数やユーザー数に限りがあるものも存在します。多拠点管理機能の有無や拠点数の制限、拠点間の在庫情報を連携する仕組みなど、システムの強みを見分けながら選択する必要があります。
特にクラウド型の在庫管理システムは、インターネット環境があれば拠点を問わずアクセスできるため、多拠点の在庫管理に適しています。
このコラムでは、薬局の在庫管理の最適化における課題と対策についてご紹介しました。もはや健康な生活の維持に欠かせないインフラと言うべき薬局。その機能を最大化するためには、取り扱う医薬品などの「過不足ない」在庫管理が欠かせません。
クラウドWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO 」の数多くの導入実績を持つロジザード株式会社は、店舗の在庫を管理する「ロジザードZERO-STORE」 も提供しています。卸事業者を含めた倉庫での在庫管理には「ロジザードZERO」、各店舗での在庫管理には「ロジザードZERO-STORE」と、それぞれ活用することにより、小売業を取り巻く在庫管理の最適化を支援しています。