COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
WMS(倉庫管理システム)を導入したのに在庫が合わない。結構がんばって高い金額払って導入したのに...。
システムで管理すれば在庫が合うはずなのに...。
ひょっとしたらシステム屋さんに騙されたのでは...でもそんな事実は償却も終わってないのに、絶対認めたくない!
面倒な在庫管理もスマホで手軽に始められ、バッチリ管理できます!なんて、キャッチコピーに乗った私が馬鹿だったのか...。
最近はWMSを手軽に導入できるケースも増えてきましたが、相変わらず在庫差異に悩む企業さんからのご相談が後をたちません。一体この世の中はどうなっているんだと思ってしまう。棚卸の回数を増やして、合わない在庫管理をなぜ続けているのだろうか。
では、在庫が合わないその原因はどこにあるのでしょうか。
WMSを導入していても在庫差異がでてしまう、原因も様々な企業さんの在庫管理の現場に立ち会い見てきました。実際にどのような原因が考えられるのか、在庫管理にまつわる業務を一つ一つ検証して改善する方法を考えていきましょう。
入荷の工程では、物流倉庫に商品が届き、商品を受け取ります。入荷予定データをWMSにインポートすることで、事前に何がいくつ届くかを把握します。
荷予定データとは、倉庫へ届く商品のデータをWMS上で「入荷予定」として扱うデータのことを指します。入荷予定データと実際に届いた商品が相違ないか、ハンディターミナルなどを使いバーコードをスキャンすることで確認し、入荷受付を完了させます。
実はやっぱりココがキモ!入荷ミスこそ、在庫が合わない一番の原因です。一番間違いが起こりやすいポイント。それはなぜ起こってしまうのか?
対策
商品マスタが入荷前にしっかり整理して登録されていることが大事です。これはもはや当たり前、入荷前の商品マスタが整っていなければWMS自体の運用が破綻します。そもそもどのような仕組みやアプリを使ったとしても、在庫管理システムである以上は、商品マスタの管理は手軽でもなく、確実に間違いないように登録するのが基本です。 そして入荷予定と実数を検品する方式をとることです。入荷予定データがないと、間違えて商品を読み込んだり、または読み漏らしたりすることをしっかり確認することができません。またバーコードの貼り間違いが起こるのも入荷予定データがないからです。
「入荷予定を制するものは、入荷業務を制する」といっても過言ではありません。特に物流を外部委託する場合は、入荷する前に入荷予定データを渡すことを業務としてルールに組み込んでください。
WMSを導入するとロケーション管理が実現できるようになります。ロケーション管理とは、どの商品がどの棚に置いてあるか、商品の保管場所を把握することです。
ロケーション管理の保管ルールは、大きく分けて「固定ロケーション」と「フリーロケーション」の2種類があります。固定ロケーションは「この棚にはこの商品」と置く場所を決めて管理する方法です。反対にフリーロケーションは、商品を置く場所を決めずに、空いている場所に保管する方法です。WMSを使ってロケーション管理を行う場合、特にフリーロケーションはリアルタイムに更新するハンディターミナルやスマホなどのディバイスがないと実現ができません。
「棚にバーコードを貼ってロケーション管理を運営しているのに、どうしても在庫がズレてしまう。」そのようなお悩みを持つ現場によく出会います。最近はスマホで手軽にできるようになったので、誰でも簡単、シンプルな在庫管理というキャッチコピーに惑わされて、ロケーション管理の常識を持たないまま現場を作ってしまうケースが多いようです。
こんな細かなミスの積み重ねで、現場では相当な在庫差異が出てしまいます。
対策
はじめてロケーション管理を開始する場合は、できれば一度ロケーション管理にノウハウ、知見のある人に相談するべきです。今までやっていなかった「保管場所を決めて登録する」という新しい作業はシンプルなようで奥が深いのです。そして多くの保管業務は正しく作業ができたか確認するのがすごく難しい。システムだけではチェックができません。
- システムを使った業務ルールを決める。
- ルールに基づく作業を実作業者に指導する。
- 皆が間違えないように作業しているかチェックする。(システムのどの画面を使ってチェックするか決める)
当たり前に聞こえますが、一番大事なルールづくりを無視して「手軽に、簡単に在庫管理ができる」と勘違いするネットショップ事業者様がとにかく多く見受けられます。現場さんからの、「一度導入前に相談して欲しかったなぁ」と感じる残念な相談が後を絶ちません。
出荷業務とは、商品を棚からピッキングし、梱包して集荷場に置くところまでの作業を指します。
「この商品をこの出荷先にいくつ出荷する」という出荷指示データをWMSへインポートし、そのデータを元にピッキングリストを出力します。物流倉庫内では、出力したピッキングリストを見ながら商品をピックします。ピッキングが完了したら、ハンディターミナル等を使って出荷検品を行います。
WMSを導入すると、格段に出荷ミスが減ります。WMSの導入前は人の確認する作業スピードと精度に依存していた仕事が、バーコード管理をしてハンディターミナルを使うことにより、一気に誰でもできる単純な作業になります。ここで在庫差異の原因になることはほぼありませんが、検品チェックで引っかかったピッキングのリカバリー処理の業務が、やはり在庫を狂わす原因になることが多いようです。
対策
出荷検品では数量の掛け打ちは禁止する、検品チェックに引っかかった受注の戻し方をルール化するということが必要になります。膨大な出荷作業でもチェックミスがなくなります。簡単なルールを決めるだけですので、今すぐやってほしい対策です。
単純な業務ですが、実はミスが発生しがちなのが棚卸です。商品の区別は圧倒的にハンディが正確で早いものの、「同じ商品の数をひたすら数える」という仕事はハンディでも目で数えるのでもそれほど変わりません。
対策
少し手間ですが、アナログの準備が有効になります。事前にロケーション内の商品全ての数量を数えることです。商品ごとに数える必要はなく、そのロケにいくつ商品があるかという数字を、シールなどに書いてロケーション札の横に貼ります。次に別の担当者がハンディターミナルなどで商品バーコードを読み込んでいき、そのシールに記載された数字とハンディのスキャン総合数が合致することを確認するとよいでしょう。
1:棚卸前のシステムの数量
2:手で数えたロケーション内の総数
3:ハンディなどでスキャンした数量3つの数字ができるので、読み間違いや読み漏れ、二重読み込みがあった場合も確認がしやすくなります。
WMS(倉庫管理システム)を導入すると間違いなく在庫数は正確に、在庫管理の精度は上がっていきます。クラウド型のWMSを使っていれば離れた場所からの在庫情報の見える化も可能になります。しかし、少しのミスが積み重なると驚くほど在庫はズレていきます。10%も在庫がくるってしまうと、ロケーション管理での在庫管理はほぼ意味をなさなくなります。「システムの在庫は間違っていて目安なので、現場にある在庫を優先で作業する。」 という作業文化ができてしまうと、アナログで管理していたときに逆戻りしてしまいます。
在庫管理システム導入のメリットは、作業指示がありその指示に対して正確に作業した結果を記録することで在庫を管理できる、という点です。入荷データや、出荷指示データが有る場合は指示に従い結果を残せるのでよいのですが、作業指示データがない場合は、画面やハンディターミナルで登録業務をするので必ずミスが発生します。ミスは発生するという前提でルールを定め、ミスがないか、漏れがないか確認するルールを決めることが大事になってきます。
WMSといった在庫管理システムを導入したのに在庫が合わない、という方は、どこの工程で差異が発生しているのか、どこが問題点なのか、上記に当てはまるような間違った運用をしていないか、確認してみるとよいでしょう。WMSの運用方法でお困りの場合は、随時ご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
亀田尚克(かめだなおよし)
ロジザード株式会社 執行役員 営業部長
繊維商社、大手システム会社勤務を経た後、在庫管理分野のASPという事業スタイルに魅力を感じ2006年ロジザード株式会社入社。通販物流を中心として物流現場への訪問数はゆうに2,000に達する。徹底した現場主義によりサービス会社としてのロジザードのスタイルを確立する。在庫管理システムをもっと世の中に普及させたいという情熱のもと思索と行動の日々を送る。