COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/09/26 在庫管理運輸業・倉庫業(3PL事業者)

物流管理をスムーズにするWMSとは?導入のメリットとポイント

最終更新日:2021年07月06日

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物流の作業をスムーズにするための方法の一つとして、WMSを導入することが挙げられます。WMSを導入すれば、業務の効率化などの効果が期待できるでしょう。また、WMSを導入する際は現状の問題点を事前に認識しておく必要があります。今回は、WMSとは何かということや、導入するメリット、導入する際の注意点などについて解説していきます。

WMSとは一体何のことか?

物流業務を今よりもスムーズに運営したいのであれば、まずはWMSについて基本的な知識を押さえておきましょう。WMSとは、Warehouse Management System(ウェアハウス・マネジメント・システム)の頭文字を取った略称です。ウェアハウス(倉庫)をマネジメント(管理)するシステム、つまり倉庫管理システムのことを意味しています。倉庫における商品や資材などの入出荷や保管を管理するための機能を搭載しており、情報をデジタル化して処理することで生産性や物流品質を向上させられるシステムだといえるでしょう。

WMSの必要性と物流業界のヒューマンエラー

なぜWMSを導入する必要があるのかというと、物流業界は扱う商品の量が多いだけに、特にヒューマンエラーが目立ちやすい業界だといえるためです。従業員が目視で在庫を管理している倉庫の場合、「データ上では存在するはずの商品の出荷を依頼されて探してみたら、実際には存在しなかった」といったようなことが起こり得ます。こうしたことが起こってしまうと、期限通りに商品を納めることができず、企業の信頼が著しく損なわれる結果につながるでしょう。また、存在しない商品を探すために従業員の手間と時間を割くことになり、無駄なコストが発生してしまうというデメリットもあります。
一方、WMSを導入している倉庫の場合は、コンピュータがデータを管理しているのでヒューマンエラーによるミスが起こり得ません。物流業務の正確性を向上させたいのであれば、WMSの導入は効果的な対策だといえるのです。

WMSの機能

WMSの主な機能としては、入出荷管理と在庫管理と棚卸の3つの機能が挙げられます。ヒューマンエラーがもっとも起こりやすいのは、商品を取引先から入庫するときと取引先へ出荷するときです。特に、似たような見た目の商品を大量に入庫する際は、人の手で管理を行っているとどうしても間違いが起こってしまうものです。物流という業務の性質上避けられないはずのヒューマンエラーによるミスを防ぐためには、これらを管理できる機能を備えたWMSの導入が必要不可欠だといえます。
また、WMSによっては、在庫管理機能がさらに充実しているものがあります。導入を検討する際は、自社で必要としている機能が備わっているか確認することをおすすめします。

WMSの主な機能

● 入出荷管理

入荷・入庫管理の場面では、入庫予定や実績のデータ取込・登録や、それに伴うリストの作成がWMS上で行われます。出荷・出庫の場面でも、出荷指示データの取込・登録や、在庫引き当て一覧・出荷一覧・ピッキングリスト・納品書・お買い上げ明細書の作成などが可能です。また、ハンディターミナルを用いた検品に対応していると、より作業が効率化できます。

● 在庫管理

リアルタイムによる荷主別・倉庫別の在庫や空きロケーションの照会といった基本機能はもちろん、在庫の調整や製造番号による管理など、WMSを使うと煩雑な作業を迅速かつ正確に行えるようになります。

● 棚卸管理

棚卸は重要でありながらも大変な作業のひとつです。WMSを導入すると、棚卸指示書の作成や実績登録・報告といった業務を効率化できます。

WMSのその他の機能

● 商材管理

有効期限や入荷日(先入先出)、品質区分(A品、B品など)、ロット、シリアル、セット品など、商材に関わる管理を一括して行えます。

● ロケーション管理

商品を保管している場所(ロケーション)を登録することで、入出庫時の作業を効率化。さらに、倉庫の空き状況などもリアルタイムで管理できるようになります。

● 請求管理

WMSで運送データの抽出や運賃データの取込、荷役料/作業料の登録を行うことで、物流に関わる請求も管理が可能になります。また、入出荷運賃の報告書を作成することも可能です。

基幹システムの在庫管理機能では不十分?

なお、WMSとよく似たものに、基幹システムの「在庫管理機能」があります。しかし、基幹システムとは別にWMSを導入されている場合が多くあります。どちらも倉庫の在庫を管理することができるシステムなので、より広い範囲をカバーできる基幹システムで統一したほうが効率的だと考える人も多いですが、WMSと基幹システムを別で導入することには、現場の実情を反映したプラクティカルな理由があるのです。


基幹システムとWMSを分ける理由

WMSの重要性を考えていくうえでは、「基幹システムとは何か」ということや、WMSとの違いについて押さえておく必要があります。また、WMSと基幹システムを使い分けるべきだといえる理由についても知っておくことが重要でしょう。

基幹システムとは?

基幹システムとは、企業の業務全般を支えるための、根幹にあるシステムのことです。ビジネスの世界で流通している概念として、総務・会計・人事・販売などに関する総合的な基幹情報をリアルタイムで処理して効率的な経営を目指すべきだという考え方があります。これはERPと呼ばれる概念ですが、ERPを実現するためのシステムが基幹システムだということになります。WMSが倉庫の管理に特化している一方で、基幹システムは企業の業務全般を管理するためのシステムだといえるでしょう。

規模拡大に伴い発生する基幹システムを使った物流業務のデメリット

基幹システムで業務全般を管理することができるのであれば、それに加えてWMSを導入することに疑問を感じる人もいるでしょう。確かに、基幹システムで物流業務の管理まで行っている場合、在庫や入出荷に関する情報を一元管理できるというメリットがあります。また、基幹システムの特性として物流に関する情報をリアルタイムで処理できるということもメリットの一つに数えられるでしょう。これらのメリットを考えると、物流業務の規模が小さい間は基幹システムのみで物流まで管理するというやり方も現実的だといえます。しかし、物流業務の規模が拡大していくにつれて、基幹システムのみですべてを管理するというやり方の現実味は薄れていくでしょう。
規模の大きな物流業務においては、在庫や入出荷に関する膨大な情報を処理していく必要があります。物流に関する管理項目が詳細になることで、基幹システムだけでは情報の処理に時間がかかるようになるというデメリットが生じます。また、ERPの運用を行う時間や基幹システムの稼働する時間に物流業務が影響を受けてしまうというデメリットについても考慮しなくてはなりません。さらに、外部のシステムと連携するときやシステムの内容を改変する必要が生じたときなどにテスト工数が増大することもデメリットの一つだといえます。

WMS導入によって解決できる課題

例えば、会社の規模が大きくなると社員全員を参加させて会議を行うのは現実的に難しくなり、少人数で会議を行って決定内容を上から下に伝達するというやり方がより現実的です。基幹システムに加えてWMSを導入するのも原理的には同じことです。WMSを導入することで、事業の規模が拡大しても物流を管理するシステムの柔軟性を確保し、状況に応じた細やかな対応を実現できるのです。
取引先から物流におけるデータの内容を変更してほしいという要望があった場合、基幹システムだけで管理している企業では業務全般にかかわるシステムを見直さなくてはなりません。当然システムの改変も大がかりになるので、それだけ手間や時間を要することになるでしょう。一方、WMSを導入していれば物流に関するシステムだけを改変することが可能です。その結果、基幹システムのみの場合と比べると大幅に手間や時間を省くことができます。また、物流業務で扱う商品の量が増えれば、それぞれの商品の状態に応じて細やかに対応する必要性が生じてきます。大量の商品の置き場所を効率的に配置するためにも、基幹システムとは別でWMSを導入する必要があるといえます。

物流で数百種類の商品を扱っており、1日の出荷の明細が数百行にも及んでいる企業であれば、基幹システムのみですべてを管理するのは困難だといえます。WMSとは、極言すれば在庫の置き場所を管理するためのシステムです。基幹システムと同期しつつ、それぞれの商品をどこに配置するのか、その配置によっていかに業務効率を向上させられるのかということにWMS導入の重点を置くべきでしょう。WMSを導入する際は、基幹システムとWMSを分けて運用することのメリットを把握したうえで検討していく必要があるのです。


WMSを導入するメリット・デメリットとは?

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大規模な物流業務を行っている企業は、WMSを導入することでさまざまなメリットが得られます。WMSを導入するメリットとしては、作業の効率化が図れること、経費の削減が図れること、在庫が把握しやすくなることの3つが主に挙げられます。ここからは、それぞれのメリットの内容について具体的に解説していきます。

WMSのメリット1:作業の効率化が図れる

WMS導入の1つ目のメリットは、作業の効率化が図れるということです。WMSを導入している物流倉庫では、入出荷や在庫管理などの作業時に商品の情報をデータベース化して扱うことになります。具体的には、ハンディターミナルで情報を読み取ったり、あるいは端末に数値をキー入力したりすることで商品を管理しているのです。こうした作業は平準化されており、誰でも簡単に行えるように設計されています。作業が簡単に行えることで、時間当たりに処理できる作業量が増えて業務効率が向上する効果が期待できるでしょう。作業の簡略化に加えて、入力を間違えたときにエラー表示の画面やアラーム音を鳴らすなどの方法でシステムがサポートしてくれるため、作業ミスが少なくなるというメリットも生じます。
そして、WMSが導入されていない倉庫では商品の保管場所があいまいになりやすく、長く在籍しているベテラン社員の記憶力に頼らざるを得ないような場面があります。しかし、常にベテラン社員に現場を監督させておくのは難しいうえに、わからなくなるたびにベテラン社員を探していたのでは業務もはかどりません。一方、WMSを導入していれば求める商品がどこにあるのかをシステムがすぐに教えてくれるため、手間や時間をかけずに商品に辿り着くことができます。すなわち、倉庫内の商品の配置などに関して、ベテラン社員に依存することなく一定性が保てるというメリットが得られるのです。

WMSのメリット2:経費の削減ができる

次に、経費の削減ができるということが2つ目のメリットとして挙げられます。物流の現場においては、人件費にかかるコストが経費のうちで大きな割合を占めています。そのため、物流の経費削減のためには人件費を圧縮するということが重要なポイントだといえるのです。WMSを導入すれば、それまでは人が行っていた管理作業をシステムに任せられるようになります。その結果、作業人員の数が減って経費が削減される効果が期待できます。また、入出荷や在庫の管理のための作業が効率化するということもWMSを導入する利点の一つです。人の手による作業が効率的に行われるようになることで、無駄な労働時間をなくして人件費を抑えられます。
ここで削減できた、商材の知識がある人材は、さらなる現場の効率化や売上アップの施策を考えるなど次のステップへ進んでもらうことができます。
また、フリーロケーション管理機能のあるWMSを採用することで、商品や資材をフリーロケーションで適切に管理できるようになります。この機能によって保管に割くべきスペースの広さを明確に把握することができ、必要以上に倉庫を借りて無駄なコストがかかるという事態が避けられるのです。

WMSのメリット3:在庫を把握しやすい

WMSの導入に伴う3つ目のメリットは、在庫が把握しやすくなるという点にあるでしょう。WMSを導入することで入出荷のデータなどがリアルタイムで反映されるようになり、最新の在庫状況を正確に把握することができます。最新の在庫状況が把握できるということは、何かのトラブルが起こった際に迅速に対応しやすいということでもあります。作業の進捗が遅れている部署に他の部署から社員を派遣するなど、内部からの指示で柔軟な対応が可能になるでしょう。
また、物流業務に複数の倉庫を利用している場合、すべての倉庫の状況をリアルタイムに把握できるようになります。在庫状況が把握しやすくなって情報の「見える化」が向上すれば、発注の調整や適切な人員配置、仕入れの計画修正などに情報を有効活用することができます。そして、これらの情報は権限さえ与えれば誰でも自由に参照できるので、社員だけではなく取引先の人に開示することも可能です。すなわち、WMSの導入は統括的な意思決定を促進するという目的のためにも効果的な施策だといえるのです。

WMSのデメリット:導入・運用にかかるコストとリソース

次に、WMSを導入するデメリットについても考えていきます。もっとも大きな点はイニシャル&ランニングコストです。どういったシステムを選ぶかで費用は大きく変わりますが、少なくともこれまでにはない支出が発生します。また、マネージャーはもちろん、現場スタッフに対する教育・指導にかかる人的リソースも考慮しなくてはなりません。
このように、WMSの導入にはある程度のハードルが想定されます。ただし、近年は初期費用が抑えられ、かつ導入サポートに力を入れるWMSも増えてきています。特にクラウド型WMSの場合はイニシャルコストも低く、比較的導入がしやすいシステムといえるでしょう。
また、ランニングコストについても気になるところではありますが、WMS導入によって作業効率が上がれば、生産性の向上や人件費削減にもつながります。結果として、WMSのランニングコストを踏まえても収支をプラスにすることができるでしょう。
また、WMSのなかには2〜3時間程度、既存スタッフの作業を見て覚えれば基本的な操作ができるようになるものもあります。こうしたシステムであれば、作業効率が高まるだけでなく、新人スタッフの教育時間短縮にもつながります。

ロジザードスタッフより

ロジザードZEROは、WMSの導入に不安を覚えている方にこそご検討いただきたいWMSです。
クラウドサービスなので初期費用・ランニングコスト、システム構築期間の面でオンプレミス型に比べて低い導入ハードルを実現。常に最新のバージョンへ自動でアップデートされるため、拡張性を含めて長く安定してご使用いただけます。結果的に、将来的なシステムの入れ替えコストも不要になるでしょう。
また、すでにシステムがクラウドに構築されているため、システム・IT担当者が社内にいなくても導入可能です。さらに、導入のハードルのひとつとなる「運用」も徹底バックアップ。在庫管理システムを熟知したサポートチームが、システムに関するお悩みを解決いたします。なお、企業個別の説明会や、ユーザー様を対象とした定期的なバージョンアップに関する説明会も開催しております。こちらもぜひご活用ください。


WMSの選定・導入の際のポイント

WMSにはさまざまな製品があり、何を導入すべきか迷われている方も多いはずです。そこで以下からは、WMSの選定・導入の際のポイントを解説します。

STEP1:課題や必要となる機能の洗い出し

WMSを導入する際のポイントとして、まずは自社の抱えている問題を明確にすることが重要です。特に、エクセルや手書きなどの方法で管理を行ってきた企業は、WMSの選定基準がぶれないように、問題点について周囲と認識を合わせることを意識しましょう。また、新規でECサイトなどを立ち上げる場合は、WMSの機能はどこまでのものを導入するのかを決めておくことも大切です。卸もあるようでしたら、ECだけでなくBtoB出荷にも対応したWMSが必要です。

STEP2:システムの選定

次に、課題や希望に見合ったシステムの候補をピックアップしていきます。第一に確認しておきたいのは、「自社の課題を解決できるシステムであるか?」です。そのために、システムの詳細な内容やサポート体制などを調べておきましょう。また、類似する業種での実績があるかも判断基準のひとつです。そのほか、具体的なコストについても必ず確認しましょう。

STEP3:WMS導入の効果確認

WMSの候補がある程度絞れたら、次は導入効果について検討します。ポイントとなるのは「システム導入によって課題がどう解決されるのか?」と、「業務への影響」です。
課題の解決には変化が伴います。それは必ずしもポジティブなものだけではありません。場合によっては、WMSに大幅なカスタマイズが必要になったり、追加手順によって別の課題が生まれたりする可能性も考えられます。また、開発が必要になった場合はコストパフォーマンスについても再検討しなくてはなりません。WMSを選定する際は、こうした部分をベンダーに細かく確認し、期待どおりの効果が得られるかを検証しましょう。


自社に合ったシステムを探す方法

自社の問題点や課題について分析したあとは、自社に合ったシステムを探していく必要があります。アナログな方法で在庫管理を行ってきた企業では、実際に利用するシステムを探すということも重要な問題となるでしょう。「WMS」というキーワードからインターネットで検索をかければ、さまざまなシステムが見つかります。それらを比較したうえで実際に資料請求や問い合わせを行い、自社の要望に近いものを洗い出していくというのも一つの方法です。
ロジザードが提供するクラウドWMS「ロジザードZERO」は、最短1カ月から導入することができ、さまざまな業種にも柔軟に対応可能なシステムです。WMSの導入をご検討の際は、ロジザードまでお気軽にご相談ください。

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