COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2021/07/02 システム在庫管理運輸業・倉庫業(3PL事業者)

BtoB物流を加速するWMS

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大量かつ多様な荷物を扱うBtoB物流では、いかに業務効率を高め、かつ作業を正確に行えるかがビジネス成功のカギとなります。この際、WMS(倉庫管理システム)は大きな武器となりえるでしょう。こちらでは、BtoB物流で起こる問題と、それを解決するWMSの機能について、例を挙げながら解説します。

BtoB物流とは?種類と特徴

BtoB物流とは、「Business to Businessに向けた物流」の略です。物流センターとしての役割を持ち、たとえば以下のような発送先が想定されます。

  • 卸出荷
  • 店舗出荷
  • 量販店出荷
  • 百貨店出荷

上記は一括してBtoB物流に分類されますが、事業者の販売チャネル、形態に合わせて在庫、入出荷を調整しなくてはなりません。また、必要となる加工やラベル貼りなども異なるため、注意が必要です。

BtoC物流との違いは?

消費者へ直接商品を届ける業態をBtoC(Business to Consumer)物流と呼びます。EC物流といった呼び方も一般的です。
BtoC(EC)の販売事業者は比較的小規模であることが多く、配送先は不特定多数の個人が中心になります。そのため、梱包点数が少なく、個々の要望に合わせて配送時間帯の指定やギフト対応を行わなくてはなりません。かつ、物流品質が消費者に直接評価され、その影響は荷主の評判につながってしまいます。スピーディーで丁寧、正確な物流が求められるのです。
一方、BtoB物流は商品を荷主から取引先および店舗に届けた時点で完結となります。BtoCのような個別対応はほとんど発生しません。また、ロットが大きく、荷物をダンボールに詰めた状態で、まとめて配送できます。


BtoB物流とWMS(倉庫管理システム)

BtoB物流における入出庫の正確性、棚卸し管理の効率を向上するのに役立つのがWMSです。実在庫の管理は、幅広い取引先や複数の拠点を持つBtoB物流事業者にとって必要不可欠。一方で、それぞれの現場にマッチし、かつ業務効率化を図るためには、適した機能が備わっていなくてはなりません。

以下からは、BtoB物流で求められるWMSの機能例を、シチュエーション別にご紹介します。

卸物流・物流センター×WMS

卸物流や物流センターでは、複数の配送先に対して大量の荷物を送る必要があります。そのため、いかに作業効率を高め、かつ個別の事象に対し正確な記録・管理ができるかがポイントになります。

配送先をまとめる卸機能

伝票ごとに梱包を行うのは物流の基本です。しかし、同じ配送先であるにもかかわらず、複数の荷物が出荷されてしまっては送料が高くついてしまいます。また、梱包作業が増えるため、その分の作業量も増えるでしょう。
WMSのなかには、複数の伝票をまとめて処理し、取引先ごとに発生する複数の出荷をまとめる機能が備わったものがあります。同一商品がいくつもあるような場合は、目視での確認・判断が少なくなり、時間や手間が省けます。ヒューマンエラーの削減にもつながるでしょう。

分納の記録・管理ができる機能

取引先から100個の発注があったものの、在庫が90個しかないといったケースでは、分納対応が行われます。しかし、10個分の発送が残っているという記録と、そのデータ管理を正確にできなければ、トラブルの原因になります。たとえば、残り10個が未出荷であるにもかかわらず、100個分の請求書を発行してしまったり、入荷後に発送を失念してしまったり、といった事態です。
こうしたリスクを回避するのに役立つのがWMSです。分納時には伝票を「確定」するだけではなく「一時保存」。入荷後には同じ伝票が呼び出される、といった機能が備わっていれば、前述のようなミスを減らせます。

現物出荷機能

「この商品、サンプルとして持っていきます」と言って、法人営業担当が在庫を持ち出すといったシチュエーションは珍しくありません。この場合、在庫数を合わせるためにはその場で在庫調整を行うか、メモを取って後で反映させるなどの対応が求められます。
言葉にすれば単純です。しかし、たとえば使用中のシステムの都合上、出荷予定データを作成し、システムを介して履歴を残さなくてはならない、といったケースもあるでしょう。商品をひとつ持ち出すだけなのに、ここまでの時間と労力を取られるのは非効率です。

また、イレギュラー対応であれば人為的ミスも起こりやすくなるでしょう。もしも反映漏れがあれば、在庫差異が生まれ棚卸し時に更なる手間が増えてしまいます。
WMSのなかには、こうした履歴を手軽に残せる機能を備えたものがあります。また、「誰が」「いつ」「何を」「どこから」「何個」といった細かいログを残せるのは大きなメリット。その後のトラブル防止にもつながります。

在庫の保管ロケーションと取引先を紐づける機能

たとえば取引先がECと店舗A、店舗Bといった具合に複数の販売チャネルを持っていた場合。一箇所に在庫をまとめて管理をすると、いくつかの不都合が予想されます。たとえば、店舗Aから大量の発注があり、すべての商品を出荷しました。しかしその後、店舗Bから同じ商品の発注があると、欠品のため出荷ができなくなってしまいます。
こうした事態を回避するためには、それぞれの販売チャネルごとに、倉庫内の在庫を物理的に分ける現場もあります。この際、在庫の保管場所に「この棚はEC用、あの棚は店舗A用」といった意味づけができる機能を持つWMSがあれば、より管理性が高まります。

また、WMSの上位システムにあたる「基幹システム」に合わせて在庫管理をする場合があります。その場合にもこちらの機能があると役立つでしょう。

百貨店×WMS

百貨店向けの商品を出荷する際には、指定値札・指定伝票の発行が必要になります。この作業を効率化するためには、ラベル発行機との連携および、入荷予定をもとにラベルの自動発行が可能となるWMSの機能が役立ちます。
なお、多くの場合、WMSによる自動化には開発が必要になるため、カスタマイズの可能なシステムを選択するのがポイントです。すでに同様の開発を行ったことがある、ノウハウを持つシステム会社を探すのも良いでしょう。

ちなみに、CSV連携の場合はラベル発行ソフトが取り込めるよう、データの配列を並び替える必要があります。そのため、CSVのインポート・エクスポート時に自動で並び替えをしてくれる機能が備わっていると、開発費用が抑えられます。WMS選定時に「CSVのマッピング機能はありますか」と聞いてみてください。

量販店×WMS

取引先が量販店の場合、店舗側が使用するEDI(電子データ発注システム)を利用するケースが多いです。これをWMSと連携できれば、更なる業務効率化が望めます。
ただし、BtoB物流事業者は相手ごとに異なる個別EDIを導入している傾向にあります。そのため、WMSとの連携は基本的に個別開発になるケースがほとんどと言えるでしょう。WMSを選ぶ際には柔軟に開発対応が可能なシステムである必要があるため、注意が必要です。


BtoBの物流管理には実績のあるクラウドWMSがおすすめ

BtoC(EC)物流に比べ、BtoB物流には長い歴史の積み重ねがあります。その分、業界ごとに異なる対応が必要となり、気をつけるべきポイントも少なくありません。そのため、WMSを選ぶ際には、柔軟なカスタマイズ性があるかを基準に検討してみてください。
また、カスタマイズ性や機能性を考慮すると、クラウド型のWMSがおすすめです。クラウドWMSは、ネット環境があればリアルタイムに在庫の確認ができるといった利便性もあります。

ベンダー側がBtoB物流の周辺システムについて熟知していることも、重要な判断材料のひとつ。単に開発を行うだけではなく、それぞれの業種が求める業務効率化を加味した提案やアドバイスをしてくれるかをチェックしてみましょう。

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