COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2021/05/06 インタビュー・見学

取材:コマースピック様

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ECの需要が高まる中、自社の販売戦略について改めて考えている小売事業者様も多いのではないでしょうか。物販の現場で働く方々は、通常業務の他にも情報収集をしたり、新たなマーケティングの施策を考えたりする必要があり、時間が足りないと感じることもあるでしょう。そこで今回は、2021年1月 に開設した物販ビジネス専門メディア「コマースピック」について、株式会社コマースピック(以下コマースピック)の代表取締役 舟本様、取締役 竹内様にお話を伺いました。

メディアサイト「コマースピック」を作ったきっかけ

――メディアサイトを作ったきっかけを教えてください。

実践的な内容で、「売る側」のリテラシーの底上げを

竹内様: コロナ禍の影響もあり、実店舗だけでなくECにシフトしていかないとビジネスとして成り立たない状況が増えてきた中、ECを始めようと思ってもなかなか実現できないケースが多くあります。そこには様々な理由がありますが、中でも大きく2つの理由があると思います。

1つは、ECの知識・知見がない小売事業者様にとって、実践的な情報があまり出回っていないことです。様々なEC向けメディアはありますが、業界のニュースやトレンドの発信で終わってしまっていて、現場目線ではないので活かしづらい傾向があります。もう1つは、人手不足です。少人数で業務を回していて、戦略やマーケティングの施策を打つ時間がない、情報をキャッチアップする時間がない事業者様も多くいらっしゃいます。結局、普段の業務だけで手いっぱいとなり、次のアクションが遅れてしまうのです。

私たちとしては、これからECを始める方でも現場に役立つ知識が得られる、短時間で実践的な力が身に付くようなメディアにしたいと思っています。

舟本様: 人手不足という面では、少子高齢化で働き手が少なくなっていくことが日本の課題でもあります。これからECを使う世代の人たちは増えていくため、企業としてはそのための環境整備をしっかり行っていきたいという想いがあると思います。そこで、まずは広く情報発信を行えるメディアを立ち上げました。コマースピックによって、日本全体のECについて、特に「買う側」よりも「売る側」のためになる情報を提供していければと思っています。

日本は海外と比べてEC化率が低いというデータもあるので、日本のEC化率を底上げしたい、という想いもありますね。


「物販」をコンセプトにした理由

――「物販」をコンセプトにした理由を教えてください。

市場規模の多くを占める「物販」で日本経済を活性化

竹内様: 一昔前は、ECサイトで買いたい人はECサイトを見て買う、実店舗で買いたい人は実店舗に行って買う、というシングルチャネルが一般的でした。しかし今は、ECサイトを見て実店舗で買う人や、実店舗の商品を見てECサイトで買う人が増えてきています。どのチャネルでも購入しやすい環境が徐々にできあがっているのです。物販の中で、「EC」はあくまで販売チャネルの1つなので、チャネルを総合的に考えた上で、売り方や戦略を考える必要があります。そこで、EC専門ではなく、ECに特化した「物販」という形でメディアを立ち上げようと思いました。

舟本様: 物販は手を出しやすいものだと思います。しかし、実際に手を出してみると上手くいかないことが多いため、物販における売上アップの方法やノウハウが載っている場所があると必要とする人が多いのではないかと思っています。
また、物販の川上から川下まで、非常に多くの人がかかわっています。物販業界が盛り上がることで、多くの雇用が生まれ、日本経済の活性化に繋がればと思います。

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コマースピックとは?

――コマースピックとはどのようなメディアサイトですか?

今の課題に対してしっかりキャッチアップできるコンテンツを掲載

竹内様: ネット通販を中心とした、物販ビジネスがテーマのメディアサイトです。「現場目線」で役立つ情報を発信しています。コマースピックの名前の由来は、「コマースに役立つ情報やツールをあなたの代わりにピックアップして送る」という意味から付けました。略して「コマピ」です。
掲載している記事の種類は大きくわけると3つあり、そのうちの1つは日々のニュースです。ニュースの解説のみを掲載しているメディアが多い中、私たちは「現場目線」を意識して、「実際に事業者様はどんな動きをしたら良いか」というところまで書いています。

舟本様: 例えば「4月から価格表示が消費税込みの総額表示に切り替わる」というニュースを見た小売事業者様は「自分たちはどういう動きをとらないといけないのか」「どういう対応をしないといけないのか」などを知りたいはずです。現場の人は、上層部から「こういう風に〇〇が変わるからよろしくね」と渡された仕事内容に対して、「どうすればいいんだろう...」となることが多いと思うので、コマースピックを見つけたときにそれを解決できるような環境作りができればと思っています。

竹内様: 2つ目は、セミナーレポートです。私たちが扱っているセミナーレポートは、事業者様の成功事例や失敗事例を中心に取り上げています。自社以外の事業者が「どんな想いでその施策を行っているか」「どうやって成功したか・失敗したか」を知りたい方は多いと思います。

舟本様: 新型コロナウイルスの影響により、ウェブ上で開催するセミナーが増えました。しかし、平日の営業時間に開催されることが多いため、少人数で運営をしている事業者様はセミナーに参加できません。せっかく良いセミナーが開催されても、事業者様へ届かなければもったいないという想いがあり、セミナーレポートを作成しています。

竹内様: 3つ目は、用語を解説する記事です。用語の意味を正しく伝えたい、という想いから掲載しています。O2Oやオムニチャネル、OMOなど、似たような意味の言葉は沢山あります。OMOのつもりで話していても、聞く側がO2Oと捉えていたり、OMOとO2Oが同じだと捉えていたりすると、まったく違う考え方になってしまうでしょう。人によって言葉のニュアンスが異なるとコミュニケーションが少しずつずれてしまいます。そのため、言葉の定義をしっかり統一したいと思っています。

間違えられやすい言葉は多くあり、直近では、D2Cやヘッドレスコマース、CRMとMAの違いなどが挙げられます。こういった言葉の意味について、基本知識と具体例を混ぜたコンテンツを作成しています。

舟本様: 最近の事例では、「OMOとは」という記事で、言葉の概念と一緒に、無印良品のOMOの事例を取り上げたセミナーレポートを掲載しました。これらを併せて読んでいただいた方々から、「腹落ちしやすかった」と嬉しいお声をいただきました。

一般的なメディアの場合「OMOとは」で終わってしまいがちですが、私たちは「OMOとは」という言葉の概念と、「実際にどういう風にやっているのか」という具体例をセットで伝えています。

竹内様: 他にも、事業者様がツールを選ぶときに「この業務でツールを使うとしたら他にどんなツールがあるのか」ということを知りたいと思います。そのため、現場としての判断軸をもとにサービスごとの特徴を比較した記事も掲載しています。例えば、「WMSとは」という記事を読んでいただいた方に対して、「WMSを自社で選ぶにあたって何を基準に選べば良いのか」という部分まで伝えています。ECの業務は少人数で行っていることが多いと思うので、短時間で情報理解からサービスの特徴までを把握でき、導入に活かせるような記事を作成しています。

舟本様: コマースピックでは、これらの記事を通して、今の課題に対してしっかりキャッチアップできるようなコンテンツの掲載を心掛けています。


物販に取り組んでいる方、ECに関わる全ての方におすすめ

――どのような方にサイトを見てもらいたいですか?

売り方に悩む方がメインの読者に

舟本様: 今は、広く言うと「ECに関わる全ての方」です。「コマースピック」という名前には、「eコマースだけでなく、ゆくゆくはコマース全体をキャッチアップしていきたい」という想いがあります。ECは、OMOなどでリアルとの連動が加速しています。我々の知見としては、まだリアルでの販売は弱い部分があるので、事業の拡大に伴ってゆくゆくは「物販に関わる全ての方」に読んでいただきたいです。

竹内様: なかなか記事を読んだだけでは実践の場に取り込むことが難しく、「勉強になった」「こういう考え方もあるんだ」と、そこで終わってしまうケースが多くあります。そうならないように、知識を実践の場に活かしやすい形に調理した上で届けていきたい、それをしっかり使ってほしいという想いがあります。

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コマースピックの特徴

――コマースピックの特徴を教えてください。

「プラットフォーム」ではなく、「仲介」のイメージ

竹内様: 特徴の1つは、記事を内製化していることです。私も前職の経験からEC・物販の知見があり、実際にライティングをしています。ニュース1つをとっても、その知識が現場でどう役立つのかを具体的に伝えたいと思っています。そのため、ノウハウを体系化して、最新の技術や情報を分かりやすく解説することを心掛けています。

コマースピックは、立ち位置としてはプラットフォームとしてではなく、仲介であることも特徴です。ツールや支援企業様の紹介記事では、「こういう事業者様にはこういうツールが適している」「こういう事業者様にはこっちのツールの方が良い」と説明することを心掛けています。


コマースピックを読むメリット

――コマースピックを読むメリットを教えてください。

忙しい現場の方がサッとわかる簡潔な記事で、自社にピッタリのサービスが見つかる

小売事業者様のメリット

竹内様: 小売事業者様がコマースピックのコンテンツを読むメリットは、どのように取り組めば売上や利益が増えるのか、現場で役立つ情報を素早く知ることができる点です。経営層の方は情報収集もメインの仕事ですが、現場の方はなかなか情報収集する時間を確保することが難しいと思います。しかし、本来は現場の方が情報収集しないと、実際の運用に活かせる案を出しづらいと思います。SEO対策で何万文字といった長い文章の記事がよくありますが、時間のない現場の方にとっては読みづらいのではないでしょうか。私たちは、少ない文字数で、すぐ読んでサッと頭に入ることを意識していて、簡潔な記事を書くことが目標でもあります。そういった意味でも「現場目線」を大事にしています。

自社のサービスに合った事業者様がセグメントされて営業活動がスムーズに

ベンダー様のメリット

竹内様: コマースピックがベンダー様のサービスを取り上げた際のメリットは、自社のサービスに合った事業者様がセグメントされるため営業活動がスムーズに進む点、ブランディングができる点です。例えば、新規顧客をターゲットにしている事業者様にオススメのツールと、既存顧客をターゲットにしている事業者様にオススメのツールがあるとします。各ベンダー様が提供しているツールがどんな事業者様に向けたツールなのか、そこをしっかりすり合わせた上で比較記事を作成しています。そうすることで、小売事業者様は、新規のお客様を取り込みたいのか、既存のお客様を大切にしていきたいのか、今のフェーズに合わせてどのツールを選ぶと良いかを知ることができます。「こういう理由なのでこちらのサービスが良いです」というところまで私たちがお手伝いできたらと思っています。

しかし、それにはベンダー様にも協力してもらう必要があります。「うちは何でもできます!」というベンダー様は多いですが、全ての点において他社より上回っているサービスを提供することはなかなか難しいことだと思います。ベンダー様には、自社のサービスはどんな事業者様に適しているのか、反対に、どんな場合は他者のサービスを選んでもらった方が良いかを教えていただきたい。ここをご協力いただければと思います。


物流会社様の参考になる記事

――物流会社で働く方には、どのような記事が参考になりますでしょうか。

小売事業者様の動向を知ることで、提案のヒントに

竹内様: 物流会社様には、もちろん物流に関する記事も書いていきますが、事業者様がどんな動きをしているかを踏まえた上で物流を最適化するための参考にしてもらえると嬉しいです。

舟本様: これからリピート通販に取り組む事業者様はますます増えていきます。そうなると、顧客管理の観点から柔軟に同梱物を入れられる物流倉庫が重宝されるようになってくると思います。

竹内様: 最近の事例で、BtoCを行う小売事業者様が、BtoBに特化した物流会社様に業務を委託してしまい、リピート施策ができなかった、ということがありました。具体的には、「3回目に買った人に対してチラシを入れる」という運用が挙げられます。一度ツールやサービスを導入するとなかなか変えられないので、予定していた施策ができなかった、という声を聞くこともあります。
他にも、ECで一度に複数の商品を購入した際に、メール便2個口に分かれて届いたことがありました。その方が配送料は安いため、エンドユーザー側からすると「2個口に分かれて、しかも別日に届く可能性もあるから不便だけど、送料無料ならありだな」と思えたりします。

舟本様: 物流側とフロント側がコミュニケーションを取れれば、そういったことも実現できそうですね。通販事業者様は安く送りたい。物流会社様としてはメール便2個口に分ければ安くなることがわかっていても、この話がちゃんとできず、全部一緒に送ったときに一番安くなる料金しか提案できていないことがあります。また、2個口になることを伝えたとしても、通販事業者様が「それは困る」と返答して終わってしまう。例えば、カートの商品ページに注意書きで「2個口に分かれる場合があります」と記載することで対応できますが、「商品ページに書けば良い」という発想がなく、物流会社様もそういう提案ができていないケースがあります。そこの部分のコミュニケーションが取れて、通販事業者様が柔軟に動ければ、実現できると思います。こういった提案がもっとできると、通販事業者様にとっても物流会社様にとっても、エンドユーザーにとっても良いですよね。


最後に

――最後に読者の方へメッセージをお願いします。

日常の楽しい買い物の中に気づきがある

竹内様: ECを使った際に「配送や後払いはどこの会社さんかな」などを見てほしいですね。普段楽しんでいることは、仕事に活かせることが多いです。それが仕事と切り分けられてしまっているので、業務に活かせるスピードが遅くなってしまうことがあります。仕事のためにECで購入するわけではなくても、普段買い物をしている中で「あれ?」という気づきが出てくるので、そういった部分が大事だと思います。

舟本様: そもそも買い物って楽しいものですし、その体験を上流までさかのぼって考えていったときに、「誰がどういう風に頑張っているんだろう」というところを想像し、形にするのが我々の仕事の1つなのかなと思います。
コマースピックでは、名前の通り、これからもお役立ち情報やノウハウを忙しい事業者様の代わりにピックアップしてお伝えできればと思います!

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まとめ

今回は、EC・ネット通販を中心とした物販ビジネス専門メディア「コマースピック」についてお話を伺いました。コマースピックの記事を読むことで、他社の事例を参考にしつつ、自社の課題を解決できる方法が見つかるかもしれません。物販ビジネス、特にEC事業でお悩みの事業者様はコマースピックの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。 舟本様、竹内様、貴重なお時間をありがとうございました。

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社名:株式会社コマースピック
URL:https://www.commercepick.com/
事業内容:
①実務に役立つ情報やノウハウを発信するメディア
②小売事業者とベンダーを繋ぐ仲介型のビジネスマッチング

舟本 昭博(ふなもとあきひろ)
株式会社コマースピック 代表取締役

大学卒業後、株式会社オークファンへ入社。BtoB仕入れサイト「NETSEA」のディレクター兼マーケターを担当。その後、楽天株式会社へ転職。ECコンサルタントとして300社のコンサルを経て、コマースピックを立ち上げる。

竹内 長(たけうちちょう)
株式会社コマースピック 取締役

大学卒業後、保険代理店にてマーケティングを担当。Web媒体と紙媒体にて見込み客の獲得を行う。その後、SEO会社にてコンテンツ制作、編集プロダクションにて書籍や雑誌の編集に携わる。2014年にEC業界の専門メディア「ECのミカタ」に従事し、Web・紙媒体をグロース。そのかたわら、100社以上のPR・マーケティング支援を行う。その後、楽天に転職し起業。