COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/10/12 インタビュー・見学

取材:ソーシャルグッドカンパニー様 物流倉庫人材マッチングサービス「SOUMATCH」について

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日本の人口が減少する中、人手不足や人件費の高騰にお悩みの物流倉庫様は少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、そんなお悩みの解決に役立つ、物流倉庫人材マッチングサービス「SOUMATCH」(ソウマッチ)について、株式会社ソーシャルグッドカンパニーの代表取締役 赤池様、専務取締役 畝尾様にお話を伺いました。

※こちらのコラムでは、障害者就労支援事業所のスタッフを「健常者」と記載しています。

物流倉庫人材マッチングサービス「SOUMATCH」とは

――「SOUMATCH」のサービス概要を教えてください。

物流倉庫様と障害者人材をマッチングするサービス

畝尾様:
人件費高騰や慢性的な人手不足に課題を抱える物流倉庫様と、地域で活躍の場を探している障害者人材をマッチングするサービスです。人手不足の物流倉庫様と、弊社のプログラムに参加いただいている障害者就労支援事業所(以下、事業所)の事業者様をお繋ぎし、働く意思のある軽度の障害をお持ちの方にご活躍いただいています。
事業所は、国や自治体の許認可が必要な事業です。国からも障害のある方々がより一層社会復帰に近づくことができるように、地域の企業と交流を持ちながら仕事をするようにと、事業所の外へ出て働く「施設外就労」を推進しています。

働く「場所」と「環境」の創造

畝尾様:
社会復帰を目指す方の働く「環境」を整えるために、全国の事業所へ研修(教育)を行い、私たちが人手不足の物流倉庫様との間に立つことで、働く「場所」をご紹介します。
中でも、事業所への研修により、障害をお持ちの方にとってより良い働く「環境」を作ることを大事にしています。事業所で働く健常者のスタッフさんのクオリティーが上がらない限りは、物流倉庫様に満足いただくことは難しいと思います。例えば、どんなに良いアプリを持っていてもガラケーだと動かないように、事業所の方に運用方法だけお伝えしても環境を整えることは難しいものです。そこで、OS作りとして運用方法の研修を一緒に行うことで、障害をお持ちの方が働きたいと思う環境作りを行っています。このように働く機会を創造することで、日本の人手不足を障害者人材の活用をもって解決していくことを目標としています。

赤池様:
背景にある課題として、福祉の業界は低賃金ということもあり、他の業界で働く優秀な人が参入しづらいという点があります。そこで、私たちがやらないといけないのは、福祉業界全体の底上げだと考えています。仕事の質を上げて売上を上げることで、給料も増え、地域活性化に繋がるのではないかと思います。そのためには、ただ仕事をマッチングするのではなく、まず福祉事業所の経営者の方にも運用方法を学んでいただき、現場での仕事の水準を高めていくことで、福祉業界がもっと良い社会になるのではないかと思っています。

「SOUMATCH」のメリット

――「SOUMATCH」のメリットを教えてください。

導入費用・マネジメントコスト「ゼロ」で利益UP

畝尾様:
スタート時に必要な導入費用は一切不要です。人員確保については、雇用契約や派遣契約ではなく、業務委託(業務請負)契約のため、「作業が多い日のみ」や、「季節指数に合わせて」など"必要な分だけ"労働力を確保することができます。

また、物流倉庫様の作業場には、必ず事業所のスタッフ、つまり健常者のスタッフが同行し、送り迎えだけではなく一緒に仕事を行います。物流倉庫様は健常者のスタッフにトレーニングをしていただき、そのスタッフが障害をお持ちの方に仕事の指示も行います。必ずスタッフが常駐してコミュニケーションを取り、指導やアドバイスを行うので、物流倉庫様が障害をお持ちの方へ直接的なマネジメントを行う必要はありません。「いきなり障害を持っている方が何人か来て作業を依頼することは非常に大変なことなのではないか」といった心配をする必要がないので、安心してご利用いただけます。

地域に愛される企業ブランドへ

畝尾様:
​​障害のある働きたい人はたくさんいます。SOUMATCHをご活用いただくことで、地域のニーズを満たし、障害のある人だけでなくそのご家族や自治体などを含めた地域の支援者の方々から非常にお喜びいただけます。企業の課題解決をするだけではなく、地域に愛される企業としてのブランド力向上にも繋がります。

赤池様:
障害のある方が物流倉庫で働くことによって、例えば物流倉庫で働く方々が「社会にとって良いことをしているな」といった気運が高まっていき、仕事へのやりがいを感じる場面をよく拝見します。結果的に、物流倉庫様の中長期的な企業の発展に繋がっていくのではないかと考えています。自然と「障害者雇用をした方が業績が上がる」といった流れになって、地域からも愛される企業になっていけると私たちも嬉しいです。

障害者雇用にリスクなくチャレンジ

​​畝尾様:
スタート時は物流倉庫様と事業所間の業務委託契約ですが、いつでも直接雇用に切り替えられます。直接雇用を進めたい方がいる場合は、紹介料ゼロで採用の相談を受け付けています。私たちは就労支援を行っているので、「ここでずっと働いきたい」「雇用したい」と双方のお声があった場合には、ぜひ直接雇用をしていただきたいと思っています。

ただ、中には障害特性によって変化を苦手とされる方が比較的多くいらっしゃるので、「12か月経ったらどうぞこの現場で雇用してください」ということではなく、ソフトランディングしていきながら本当に双方でご理解いただいた段階で正規雇用に切り替えていただければと思っています。通常の障害者雇用では、新しい環境に馴染めず離職に繋がるケースが多くありますが、このように実際の現場で働いてから雇用に移行することで、採用のミスマッチを最大限に削減し、企業と求職者の双方が安心して業務を開始することができます。

物流倉庫での実際の働き方

5名1チームが基本のチーム編成

――何名くらいの人数で物流倉庫に出社するのでしょうか。

畝尾様:
基本的には、5名1チームのイメージで考えていただければと思います。そのうち、健常者のスタッフが1名入ります。また、1人のスタッフに対して7名まで連れていくことができます。

シフトの組み方も指導

――当日欠員が出た場合は、どのように対応されていますか。

赤池様:
事業所は、小さな事業所で20名ほど、大きい事業所で40名近くの方を雇用しています。そのため、物流倉庫様へ5名出社するということであれば、必ず5名出社できるようなシフトの組み方まで指導をさせていただいております。5名であれば7~8名の方に技術習得をして実際に現場に入っていただくことで、仮に当日突然欠員が出たとしても充足できますので、ご安心いただければと思います。

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物流倉庫様へ出社前の朝礼風景

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検品・梱包・発送作業風景

導入事例

4拠点で月間計1,364,000円の削減

――実際にどのような現場でご活用されているのでしょうか。

畝尾様:
現在、弊社のメインクライアントの物流倉庫様では、4拠点でご活用いただいております。栃木・千葉・兵庫・山梨のセンターにて、障害をお持ちの方が31名、月間3,410時間働いています。派遣社員を雇用された場合のコストと比較すると、月間1,364,000円削減でき、大変お喜びいただいています。もちろん1拠点でもコスト削減できますが、4拠点でご活用いただくことで更に削減することができました。

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サービス開始の背景

全人口の約10%の人が何かしらの疾患を抱えている

――全国に障害者をお持ちの方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。

畝尾様:
2020年現在、全人口の約10%の方が障害を抱えています。中でも特に増えているのが精神障害の方で、事業所にいる7~8割の方が精神障害を抱えていらっしゃる方です。また、事業所の数も年々増えており、潜在的にはまだ相当な人数の方がいらっしゃると考えています。事業所にいる方は、他の方より少し落ち込みやすいだけで、専門のスタッフがいればしっかり仕事をすることができます。そういった方々をより社会の力にしてくためにソーシャルグッドカンパニーを立ち上げました。
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全国にある「障害者就労支援事業所」と「物流倉庫」、課題と課題の掛け合わせ

――なぜ物流倉庫をターゲットにサービスを開始したのでしょうか。

赤池様:
山梨県の甲府市・笛吹市にある直営店の株式会社U&U(現:KEIPE株式会社)にて障害者就労支援A型事業所KEIPEを経営しており、障害者人材を物流倉庫様にご紹介したことがきっかけです。ピッキングや在庫のカウントの作業を行ったところ、想像以上に喜んでいただけました。そして、軽度の障害を持っていて、今後社会に復帰していこうと考えている方々にとって、どんなお仕事をいただけるとお客様も障害者の方も喜んでもらえるかを考えました。その結果、人件費が高騰する中、物流倉庫でのピッキングや梱包などの作業を、派遣社員ではなく障害者人材を活用していただくサービスにたどり着きました。

また、物流倉庫様と関わっていく中で、物流倉庫は地域にとって絶対に必要なインフラにも関わらず、人手が足りないという状況を知りました。私たちの福祉の事業では、仕事が不足している障害をお持ちの方が全国にいます。人手不足と仕事の不足、そして物流倉庫も福祉の事業所も全国にあるので非常に相性が良いと思いました。そこでマッチングサービスを行ったところ、他のエリアでも同じようにご好評いただけたことから、「まだまだ課題と課題を掛け合わせると、もっと世の中の役に立つことができるのではないか」と考えたことが、一番の理由です。

今後の展望

――今後の展望について、お聞かせください。

赤池様:
一番は、我々のミッションである『働く意思ある人を社会の「チカラ」に』を達成していくことです。そのために、たとえ社会から一度ドロップアウトされた方もまた社会復帰し、貢献いただける場づくりを行っていきます。具体的な数字としては、まずは直近5年で1,000事業所、5,000名の方に、教育の機会を創出できればと考えています。

そして、サービスのコンセプトに共感してくださった社会性を大事にしていきたい物流倉庫様に導入いただけると、嬉しく思います。「とにかく人手がほしい」「安く遣いたい」という企業様ですと、なかなかWin-Winにならずマッチングではなくなってしまうケースが多いです。また、社会復帰を目指そうとする障害のある方の心が折れてしまうこともあり得ます。物流倉庫のトップやセンター長の方が推進し、長期的に良い会社を作っていこうという会社に導入していただけると、私たちとしても本望です。

物流倉庫では人手不足が進む中、当日アルバイトに入った方でも作業ができるようにと業務の平準化が進んでいると思います。そうなれば、障害をお持ちの方であっても生産性を下げることなく作業ができるはずです。障害者というレッテルを貼られてしまうがゆえ不利になるのではなく、「より社会の力になれるんだ」ということを、WMS(倉庫管理システム)などのITと掛け合わせることで、生産性をカバーしてどんな人でも同じクオリティーで仕事ができるようになればと思っています。

畝尾様:
事業所は北海道から沖縄まで全国にございますので、全国の物流倉庫様でご活用いただけます。人手不足にお困りの物流倉庫様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください!

SOUMATCHに関するお問い合わせ先
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株式会社ソーシャルグッドカンパニー
赤池様・畝尾様
TEL:050-5873-2542 Mail:info@social-good.co.jp
※「ロジザードのコラムを見た」とお伝えください!

「SOUMATCH」サービスサイト
https://lp.soumatch.com/

株式会社ソーシャルグッドカンパニー様サイト
http://social-good.co.jp/