
コロナ禍における「巣ごもり消費」の拡大と共に、EC需要が急速に伸びています。同時に、ネットショップへの新規出店数も飛躍的に増加しており、物流業務の委託を検討するEC事業者様は、今後ますます増えるでしょう。こうした動きにあわせて、新規事業としてEC物流に取り組む企業も登場しています。ロジザードでは、これからEC物流をスタートする方、強化しようとする方を対象に、最短で成功に導くためのセミナーを開催。EC物流を始める際に陥りやすい落とし穴や、迅速に実現するための秘訣を、EC黎明期から多くのプロジェクトに携わり成功に導いた専門家が、ポイントを絞って解説します。
EC物流会社の分類
現在稼働するEC物流会社を、その特性で整理すると、大きく4つのタイプに分類できます。

トークロア独自の視点によるEC物流4つの分類
- 専門特化型
アパレル、化粧品や栄養補助食品などの単品リピート通販、食品専門など、扱う商材に特化したEC物流です。
アパレル・ファッション・ジュエリー物流専門の、株式会社オーティーエス(OTS)などが、代表格です。
- ワンストップ型
ササゲ業務や受注の代行、コールセンターの対応など、EC物流のバックヤード業務全般を請け負うタイプです。
代表的な企業としては、株式会社スクロール360などがあります。
- フレキシブル型
専門特化型でもワンストップ型でもない、クライアントのオーダーにあわせて対応する、BtoB物流によくみられるタイプです。
クライアントの附帯業務を重視した運用で勝負する、EC物流です。
- サブスク型
仕組み(パッケージ)化で固定費ゼロなど明瞭で安価な価格体系をうたい、導入障壁をぐっと下げたことから、ここ数年で成長が著しいビジネスモデルです。
代表格には、モール系のフルフィルメントby Amazon(FBA)や楽天スーパーロジスティクス、宅配系のフロンティア、EC物流大手の清長が母体のLogiMoPro(ロジモプロ)、システムや仕組みを得意とするOPENLOGI(オープンロジ)などがあります。
これからEC物流を始めるなら、どのタイプでいくか? 少なくともサブスク型は資本が必要なビジネスモデルで、後発組に勝ち目がないため、ここを狙ってはいけません。では、後発組は、どこを狙えばいいのでしょうか?
ネットショップ初心者を狙え!
ズバリ、EC初心者に対象を絞って、フレキシブル型のEC物流を構築することをお勧めします。
経済産業省が2020年7月に発表した調査によると、国内のEC市場規模は年々順調に伸びていたのですが、このコロナ渦で各EC関連企業が発表するデータなどを見てもEC利用者の増加とEC出店社の増加が顕著になっています。
コロナ禍でEC需要が高まる社会背景にあわせて、特に、オフラインでの集客・販促が困難になった飲食店やファッションブランドなどが、営業活動を補う手段として出店を進めていることが見てとれます。これからEC物流を始めるならば、こうした新規参入者とタッグを組むことが、成功への近道です。

引用:経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf
後発組が押さえるべき6つのポイント
「新規EC参入者とタッグを組むことが成功への近道」といいましたが、今からEC物流を始めるなら、押さえるべきは次の6つのポイントです。
- ポイント1:地元に密着してEC物流経験を積む
まずは、地元で経験を積むこと。エリアでの実績ナンバーワンを目指しましょう。
- ポイント2:ネットショップ初心者向けに、安心丁寧さを訴求する
ECの熟練事業者は、物流会社との交渉に手慣れており、たいてい価格競争に持ち込まれてしまいます。まだECに不慣れな初心者同士、一緒に育っていこうという気持ちで、親切、丁寧な対応を訴求することが大切です。
- ポイント3:附帯業務に柔軟に対応する
サブスク型では対応できない、附帯業務があるEC店舗をサポートしましょう。商材によりますが、検査・加工・詰替え・組立(セット組)・洗浄などが附帯業務です。
- ポイント4:リモート営業体制を整えてWeb商談を重ねる
オンライン商談ができる環境は、これからの時代マストです。ZoomやハングアウトMeet、Skypeなど、無料で使えるツールで大丈夫です。早急に環境を整えてご提案できるようにしましょう。
- ポイント5:高単価、利益率高い店舗をリストアップし営業する
平均取引単価が1万円以上、あるいはオリジナル商品を持っている事業者をリストアップして営業しましょう。
- ポイント6:将来的には補助金を利用してロボット導入をする
EC物流は後発でも、物流ロボットの導入はまだ黎明期といえます。攻めに転じるためのツールとして、物流ロボットの導入・オートメーション化は視野に入れておきましょう。
EC物流を始める会社を待ち受ける3つの落とし穴とは?
さて、新規事業となると、社運をかけるがごとく、調査や準備に慎重になり時間をかけてしまいがちです。しかし、環境の変化が激しい今は、スピード感が何よりも必要で、回り道をしている暇はありません。経験的に、EC物流を始めようとする会社がやってしまいがちな落とし穴があるので、ご紹介しておきます。貴社では、次のような施策を検討してはいないでしょうか?

- 落とし穴その1:自社でネットショップを始める
「お客様(荷主)と同じ仕事をすることで、お客様目線で気持ちや業務を理解しよう!」
↓
順番が逆です!
物流業務をしていく中で、初めて知りたい点や不明な点が分かるのであって、自社がネットショップを経験したからといって、分かることではありません。不明点がでてきたら、お客様の業務を見せてもらえば理解できるはずです。どうしてもネットショップをやってみたいならFBA(Amazon)を利用すれば、それほどのダメージはないかもしれませんが、リソースも経験もないなら、そこに時間をかけてはいけません。
- 落とし穴その2:Webブランディングと集客に注力する
「自社独自の強みを明確にして、Webを活用してお客様を集めよう!」
↓
順番が逆です!
最初は何がお客様に響くか、分かりません。まずは成功しているEC物流の真似から始めましょう。慣れないWebマーケティングは、業者とコンサルティングのカモになる可能性が大なので、お勧めしません。
- 落とし穴その3:EC用に自社WMSを改修する
「BtoB用のWMSをEC用に変えなくちゃ!」
↓
順番が逆です!
本当に必要な機能は、やってみなければ分かりません。システム設計には膨大な時間も費用もかかります。機能だけでなく、ショッピングカートや他のECモールなどとの一元管理のためのシステム連携など、やってみると大変なことが山積みです。ロジザードのように、長年積み重ねた知見を反映したリーズナブルなシステムがあるのですから、まずは便利なツールを活用すべし。自社システムの改修は、必要な機能が見えてきてからでも遅くありませんが、たぶんやらないと思います。
最も大事なのは「実行スピード」。そのためにはできるだけ無駄なことを削ぎ、やるべきことに集中することです。集中すべきは、
・EC物流するための提案と営業
・EC用の物流現場の構築と運用
の2点で、ここにリソースのすべてを注いでください。
EC物流のスタートを加速させる、4つのSTEP
そしてもうひとつ、スタートする際に大事なことは、自社ですべて完結しようとがんばらないことです。リソースは営業と現場を育てることに集中させて、後はノウハウのあるところに任せる。次の4つのSTEPで進めていきましょう!
- STEP1:2週間程度で競合を調査し、先行サービスの共通点を真似る
先行する強いEC物流企業を10~20社ピックアップして、Webサイトを研究しましょう。そこに共通する要素は、最適解。真似るポイントとしてマークします。書籍やYOUTUBEなどで、EC物流の基本を事前学習するのもよいでしょう。ただし、調査期間を必ず決めて(2週間程度がBEST)、集中して行ってください。
- STEP2:ロジザードZEROの導入を前提にシステム上の憂いをなくし、すぐに行動
EC物流はノウハウが決め手です。ゼロから自分で組み立てる時間は無駄。導入数、運用歴が抜きんでているロジザードの仕組みを利用することを前提に、システム関連の悩みを手放しましょう。ロジザードの営業マンとエンジニアを相談相手にできることは、スタート時に本当に大きな力となります。営業用の提案資料に使えるデータもたくさんお持ちです。ロジザードのシステムとノウハウを使い倒すことが絶対にお得。プロジェクトを迅速に立ち上げることができます。
- STEP3:信用は"見た目"で買える。"見た目"もロジザードから買える
サービスを提供するためのWebサイトは必須。そして、Webサイトは、ユーザビリティを含めて、"見た目"も重要です。ロジザードは、EC物流企業用のサイト制作の相談も可能です。
- STEP4:慣れないWeb集客は後回し。まずは地元密着で1社攻略
前述の通り、まず狙うは地元でECを始めたばかりの企業。そうした企業を見つけるには、
・既存のお客様にEC部門が発足していないか?
・経営者の繋がりから情報を得る
・商工会議所や信用金庫経由の紹介
といったところからリストアップしていくとよいでしょう。
ロジザードが提供する紹介料無料の「ロジザード・マッチン(https://www.logizard-zero.com/matching/)」の活用もおススメです。また、テレアポ代行を利用しても構いません。要するに、アナログ営業でもスタート可能、1社でも獲得して始めようということです。ただし、Web商談ができる環境だけは、整えましょう。

まとめ
遠回りをせず、落とし穴にも落ちないように、最速でEC物流を始めるには、やはり「物流が分かる人とチームを組む」ことが重要です。EC現場をスムーズに立ち上げたいのなら、腕のよいEC物流のコンサルタントをご紹介します。営業からEC物流全般について相談したいのなら、ロジザードセミナーにも登壇された株式会社リコウィルの大澤代表(https://www.logizard-zero.com/columns/seminar01.html)に相談されるのが、一番よいでしょう。また、些細なことでも相談できる、常にポジティブな参謀が欲しいなら、その領域は私。だいたいのことを70点以上で打ち返します(笑)。
挑戦には、失敗も悩みも当然ついてきます。最初はミスしてもよいのです。やりながらノウハウをためていくことが大切なのですから。ただ、スピード感は意識したい。だからこそパートナー選びは重要で、スピード感を加速するノウハウは買ってでも利用した方がいいと、私は経験から断言します。そういう意味でも、ノウハウと仕組みをセットでリーズナブルに利用できるロジザードと付き合って、損はありません。
トークロアもロジザードも、3PL事業者の皆様の新しい挑戦をサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。コロナ禍で大変な状況が続いていますが、一緒にがんばりましょう!
伊藤 良(いとうりょう)氏
株式会社トークロア 代表取締役社長
EC黎明期である2000年から大手企業でECに携わる。その後、ベンチャー企業4社の幹部として広範囲の実務と事業の成長に伴う様々な課題を経験する。前職の通販物流企業では営業責任者として年商10倍までの道筋を作る。アドバイザーとして独立し7年経った現在では、事業参謀として新規サービスの開発、マーケティング、業務体制構築など、種々多様な55以上のプロジェクトに携わっており、ハンズオンの支援に定評がある。
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