COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流業界では2024年問題や慢性的な人手不足が深刻化し、"数字で現場を捉える" ことが急務になっています。本コラムは 株式会社KURANDO(以下、KURANDO)社監修 のもと、物流DXを推進するうえで中核となる物流現場の 「生産管理・分析ツール」 を軸に、次の3ステップで現場改善の本質に迫ります。
本コラム第1回では、このステップ1「可視化・記録」にフォーカスし、見える化を始めるための基本と実践例を解説します。
物流現場では「作業が終わらない」「なぜか残業が減らない」といった声が絶えません。突き詰めると どの工程で時間とコストが消えているか を数字で把握できていないことが多く、改善の出発点となる"見える化"が欠けています。例えば、現場を取り巻く主要課題には次の 3 つがあります。
物流センターでは想定外や急な変化に対しては効率性やコストを代償に吸収していますのでこれらの課題が重なると、さまざまな点で生産性を落としています。ですが上述の通り、見える化が欠けてしまっているとボトルネックの特定や採算管理、教育効果の測定が難しくなり、想定通りの時間や費用で現場を回すことがすぐにできなくなってしまうのです。
物流の「生産管理」とは、入荷から出荷までの一連の庫内オペレーションを"生産工程"として捉え、作業量・人員・設備を計画‐実績‐改善のサイクルで統制するマネジメント手法を指します。製造業の生産管理がライン稼働率やタクトタイムを重視するのに対し、物流現場では 人時生産性(1人1時間あたり処理件数) などで計測することが一般的です。
一方「分析」は、これら指標を裏付ける作業データを定量的に可視化し、改善アクションを定義するプロセスです。たとえば、それぞれの作業データを関連する工程別に並べボトルネック要因を特定する、曜日別に作業量と生産性を確認し特定曜日に生産性が下がる要因がないか確認するなど、様々な切り口で見方を変えることで課題を発見する行為を指します。
生産管理による可視化データをもとに、①人員再配置を行い当初計画に近い生産性を出す、分析によって判明した改善ポイントにより、②作業やレイアウトの変更③設備投資(自動搬送・仕分け)などの施策を実行する。
そういった現場運営へ確度の高いアプローチを実現させることが生産管理・分析の最大の価値です。
現場の判断が"経験と勘"に頼るままでは、改善は属人的になり再現性がありません。たとえば、
現場の生産性やコストを"数字で見える化"すれば、現場・管理・経営が同じ根拠で優先度を共有でき、ボトルネック工程や低採算荷主など改善ターゲットが明確になります。また、数値根拠によって現場スタッフや荷主への説明責任を果たしやすくなり、施策の合意形成が加速します。
この限界を突破するには、作業データを取り、数値で語れる基準を作ることが不可欠です。生産管理・分析ツールはそのための最短ルートを提供します。
生産管理・分析ツールは 「取る・見せる・気付く」 をワンパッケージで実現します。主な機能は次の 3 つです。
これらの機能が、"勘と経験"に依存していた現場を "数字と客観"で動くマネジメントへシフト させるカギとなります。
さらに、こうしたツールはクラウド型・月額制など手頃なモデルが主流で、小規模拠点でもすぐに導入しやすい点も大きな魅力です。
作業データを取るだけでは"不動の数字"ですが、ダッシュボードで共有し全員が意識した瞬間に現場は動き出します。数字が会話の共通言語となり、改善のスピードと質が一気に変わる----それが見える化の真価です。
データを掲げた会話が当たり前になると、"なんとなく残業" や "なんとなく応援" が消え、倉庫全体が数字・データドリブンで自走し始めます。
生産管理・分析ツールは "継続してこそ成果が出る" 仕組みです。以下の 3 ステップを順に定着させることで、現場は数字ドリブンの文化へと自然に移行していきます。
無理せず、このような 3 ステップを焦らずきちっと回すことにより現場で実施しているデータ取得の意味合いが理解され、全ての現場で継続性のある取り組みにすることができます。
物流現場において 見える化と分析は改善への道しるべです。見える化した数字をどう読み解き、具体的な行動につなげるかが生産性向上のカギを握ります。
さて、ここまでで現場の"見える化"基盤をご紹介しました。次のコラムではこのデータを 作業計画とWMS の出荷実績と突き合わせ、単位生産性や収益性を多面的に可視化するステップの紹介へ進みます。工数と実績を組み合わせることで、荷主別・作業者別の採算やエリア別パフォーマンスが明確になり、配置最適化や料金見直しの根拠が得られます。
株式会社KEYENCE、株式会社ダイアログで物流向けソリューション営業を担当し、100ヵ所以上の現場を訪問。そこで「モノは管理できても人の作業が見えにくい」課題を痛感し、2019年に株式会社KURANDOを創業しました。誰でも手軽に使える倉庫内DXツール「ロジメーター」シリーズを開発し、発売1年で100センター超に導入。現在はユーザー同士のノウハウ共有を推進し、現場発の改善で物流業界の課題解決に挑んでいます。