COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2025/09/04 物流業務の効率化

第2回|分析ツール×WMS連携の具体的な活用方法とメリット

第2回|分析ツール×WMS連携の具体的な活用方法とメリット

物流業界では2024年問題や慢性的な人手不足が深刻化し、"数字で現場を捉える" ことが急務になっています。本コラムは 株式会社KURANDO(以下、KURANDO)社監修 のもと、物流DXを推進するうえで中核となる物流現場の 「生産管理・分析ツール」 を軸に、次の3ステップで現場改善の本質に迫ります。


  • ステップ1 ― 可視化・記録:作業をデジタルで記録し、現場を"見える化"する
  • ステップ2 ― 計画・予実突き合わせ・分析:作成した計画と工数データとWMS出荷実績を組み合わせ、"意味のある数字"に変換する。
  • ステップ3 ― 行動・仕組み化:可視化・分析したデータをもとに自動配置やシミュレーションで現場を動かす。

本コラム第2回では、ステップ2「突き合わせ・分析」に焦点を当て、分析ツールとWMS連携による具体的な活用方法とメリットを詳しく解説します。

なぜデータ連携・分析が生産性向上の鍵なのか

現場の状況や記録を数値化した可視化データを活かすためには、分析ツールと倉庫管理システム(WMS)を連携させ、工数データと出荷実績を結びつける必要があります。これにより、1件あたりの処理時間やエリア別、アイテム種別の負荷が明確になり、具体的な改善施策の優先順位を数値根拠で決定できます。
たとえば、出荷アイテム種の偏りが生産性に与える影響を計算したり、荷主別のコストと収益を同一画面で比較して低採算業務の見直しポイントを特定したりすることが可能です。
分析ツールとWMSの連携は、"見える化"を次の段階へと進め、現場マネジメントの実効性を飛躍的に高める鍵となります。


WMS連携で実現する5つの分析視点

WMS連携により、単なる工数集計を超えて以下の切り口で分析可能になります。

  • 荷主別単位工数・収益性の把握
  • カテゴリー別パフォーマンスの比較
  • エリア別生産性のモニタリング
  • 時間帯別負荷・効率の可視化
  • 作業者別習熟度・教育効果の評価

これらの視点を組み合わせることで、現場は多角的に課題を検証し、的確な改善施策を立案できます。


荷主別・作業者別分析で得られる具体的効果

WMS (倉庫管理システム) と分析ツールを連携すると、遅延箇所をリアルタイムに把握し応援要員を的確に配置できるだけでなく、荷主ごとの工数コストと収益を同一画面で比較できるようになります。この可視化により、低採算業務の料金再交渉や工程改善の優先度を数値根拠とともに示すことが可能です。

さらに、作業者ごとの生産性推移を可視化することで、各スタッフの得意・不得意な業務が明確になり、スキルマトリクスに基づく最適配置や応援要員の割り当てを自動化することもできるでしょう。人員配置シミュレーションと併用することで、必要人員数を日次で算出し、シフト計画を精緻化することもできます。

このように、WMS連携による荷主別・作業者別の傾向分析と配置の最適化は、現場マネジメントの高度化を実現し、持続的な生産性向上とコスト削減を支援します。


分析でマネジメントを革新する最新動向

近年、業界では分析ツールによるマネジメント変革が加速しています。たとえば、ダッシュボードで工程別の工数と収益性を一画面で把握し、その場でスタッフの再配置やシフト調整を指示する運用が一般化してきています。これにより、問題の深刻化前に応援要員を送り込むなど即時対応が可能となっています。
また、各センターで共通項目にて取得されたデータが自動で共通集計され、各拠点で共有できるため、従来は会議資料にまとめて横展開していた運用が数クリックで完了します。これにより、本来の業務改善に専念できる時間が大幅に増加しています。

さらに、作業者や荷主ごとの傾向レポートが定期配信されるサービスにより、現場責任者は日々のマネジメント判断を数字で裏付けられるようになりました。 これらの取り組みは、データと連携することで、従来の「経験と勘」から「データドリブン」な管理へと現場をシフトさせています。


次回予告:現場を動かす仕組み化

データ連携分析を通じて得られた知見を、実際の業務アクションに落とし込むフェーズが次回の主題です。
KURANDO社が提供する「ロジメーター」「ロジボード」を例に、数値をもとにした自動配置や作業完了予測など、"見える化"と"分析"を"行動"につなげる仕組みを詳しくご紹介します。現場で即適用できる具体的ステップをぜひご期待ください。

監修
株式会社KURANDO 代表取締役 岡澤一弘 様

株式会社KEYENCE、株式会社ダイアログで物流向けソリューション営業を担当し、100ヵ所以上の現場を訪問。そこで「モノは管理できても人の作業が見えにくい」課題を痛感し、2019年に株式会社KURANDOを創業しました。誰でも手軽に使える倉庫内DXツール「ロジメーター」シリーズを開発し、発売1年で100センター超に導入。現在はユーザー同士のノウハウ共有を推進し、現場発の改善で物流業界の課題解決に挑んでいます。