COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。
RFIDを使った物流技術を10年以上、自社で開発されている富士物流株式会社(以下 富士物流)様。京浜支社(川崎市内)にあるRFIDショールーム「ロージー'S らぼ」を見学させていただきました。2時間程のRFIDショールーム見学では、RFIDの概要から富士物流様の自社開発システムにつきまして丁寧にご説明、質問へ対応いただきました。誠にありがとうございました。
まずはRFIDの概要と自社独自の取り組み、導入実績についてご説明いただきました。
RFID(Radio Frequency Identification)について、交通系カードや本の自動貸出機、セルフレジといった身近にある非接触通信技術を用いたサービスを例に挙げてわかりやすくご説明いただきました。アパレルや無人コンビニで採用されるようになった「パッシブタグ」と電池を内蔵する「アクティブタグ」、の違いといったRFIDの種類の説明に加え、現物を見せていただけました。
RFIDのメリットは「離れていても、見えなくても読み取れるところ」とのこと、バーコードとの大きな違いは下記2点です。
① 周囲の明るさ:RFIDは電波で読み取るため暗くても問題がない
② 汚れに強い:タグが汚れていても内部のRFIDインレイに問題がなければ読み取れる
金属や水に弱いものの、金属でも読み取れるタグは500円程度、水に強いタグは300円程度の対応したタグがそれぞれあり、こちらも実際に見せていただけました。
2007年より文書箱管理用にRFIDを使った物流技術の開発を始め、2008年から現在までに合計15件の導入実績があるそうです。現在では1枚10円程度といわれているタグも、2008年当時は安くても50円以上と高価、海外のタグは品質が安定しておらず、あるものは5.0m先でも読み取れるが、あるものは50cmですら読み取らなかったこともあり、品質を確認するためのシステムを開発されていました。このような10年以上の取り組みで得たノウハウを開発に活かして、RFIDを使った独自の物流技術が進化していく様子も写真で見せていただけました。
また、この10年間でコスト面やテスト時に問題が見つかり、導入に至らなかった案件は30件を超す、とのこと。「棚の骨組みに近いタグは金属に触れているため、読み取れないことがある」といったRFID独特のクセや注意点など、10年以上RFIDに関わる富士物流様だからこそ理解されているお話もお伺いすることができました。
通常のタグからRFIDタグへ切り替える、また、RFID対応する際に1番に思い当たる課題は「コスト」ではないでしょうか。「RFIDタグが高いからまだ導入は難しい」といった話をよく聞きます。しかし、実際は設備投資の部分が大きいと言います。
例えば、商品の生産からRFIDを導入した場合、生産してから物流センターへ出荷する際の出荷検品、物流センターへ届いた際の入荷検品、物流センターから各店舗までの出荷検品、店舗に届いてからの入荷検品が今までの半分以下の人件費で叶うとなれば、タグの価格はそれほど高いと思わないと思います。(さらに棚卸の負担軽減も考えられます。)
では、この生産・物流センター・店舗で利用するシステムはどうでしょう。今まで使っていたシステムはそのまま使えるのか、使えない場合はRFIDタグに対応したシステムへの切り替えが必要です。また、それらのシステム連携にも費用はかかることが多いでしょう。
「ロージー'S らぼ」で実際に見学のできるRFIDを使った富士物流様独自のサービスです。
バーコードが有る商品へRFIDタグを後貼りする運用の際に利用します。従来20秒程度かかっていたRFIDの貼り付け作業が、①予め印字しておいたRFIDの貼り付け②商品マスタとの紐付け、という2工程にてわずか6秒程度で作業完了できます。
また、RFID自体にデータを書き込まないため、RFIDタグの再利用を行う運用も可能です。
2007年より研究していた棚卸ロボット。2008年にはどの棚に何があるのかを判別できるロボット、2010年には従来の機能に加えて自動走行と高さに対応したものへと進化し、さらに2016年に発表されたのがこの「ロジらふ」です。過去9年の研究により小型化と軽量化が実現し、中・軽量棚の棚卸などに活用可能範囲を広げました。ロジスティクス×キリン(ジラフ)を掛け合わせた「ロジらふ」という可愛いらしい名前ですが、なんと5.4mの高さまで自動制御で伸長が可能とのこと。
こちらの棚卸ロボットの特徴は自動走行することと、RFIDを読み取った電波強度にて距離測定=棚特定が可能なことです。理論値となるロケーションデータから消し込む形で棚卸がされるため、ある商品が本来あるべきロケーションには無く、違うロケーションに置いてあった場合は赤字で知らせてくれます。
いかがでしたか?
独自で開発されている物流技術のため、どのような背景で開発されたのか、開発までに苦労したことは、と普段なかなかお伺いできないお話をお伺いすることができました。
こちらで掲載させていただいたRFIDを用いた物流技術はほんの一部です。他にも独自の包装技術も展示、ご紹介いただけます。RFIDの導入をご検討されている方はぜひ一度見学してみては?また、RFIDを用いた商品管理にお困りの方は物流技術のノウハウをもった富士物流様へ物流委託を検討されてみてはいかがでしょうか。
ちなみにですが、RFIDでロケーション管理を行うノウハウを持っていることに自分としては一番驚きました。というのも、アパレルでRFIDを導入する企業様が増えてきていますが、ロケーション管理を特定できないため棚卸にRFIDを用いる企業様は少ないのです。
富士物流株式会社 技術本部 情報システム部
TEL:03-5476-8666
https://www.fujibuturyu.co.jp/cgi-bin/inquiry/other/form.cgi
※見学を希望される場合はフォームのお問い合わせ内容欄に
RFID実験室&ショールーム見学希望の旨をご記入ください。