COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2022/07/19 システム小売業(リアル店舗)

BtoB-ECとは?4つの導入メリットと「現状維持」を打破する方法

BtoB-ECとは?4つの導入メリットと「現状維持」を打破する方法

一般消費者向けECの伸び率が著しい昨今、折からの人手不足や働き方改革の促進にコロナ禍が拍車をかけ、企業間(BtoB)取引においても、アナログからデジタルへの転換が強く望まれるようになりました。そこで注目されているのが「BtoB-EC」です。今回は、BtoB取引のEC化を前提に開発されたクラウドサービス『Bカート』を提供する、株式会社Dai(ダイ)取締役の鵜飼智史様に、BtoB-ECの概要と導入メリットについて解説してもらいました。

企業間の受発注をデジタル化し、業務効率化や生産性向上に寄与するBtoB-EC

BtoB-ECは、「メーカーと卸」や「卸と小売店」といった企業間(BtoB)での注文や決済などの取引を、インターネット上で行うものです。これは、単に受発注業務をオンライン化することではありません。営業やマーケティング、経理処理など多岐にわたる事業活動において、従来のアナログスタイルからの脱却を促し、デジタル化による業務効率化や生産性の向上を図る仕組みです。

BtoB-ECは奥が深いのですが、だからといって難しくとらえる必要はありません。
「従来のFAX注文をインターネット経由にしてもらうこと」。入口は、このシンプルな考え方で十分です。

企業間取引の従来の商習慣では、商品カタログを元に中間流通業者と折衝し、FAXや電話で発注して取り寄せる、という人的・時間的な「手間」が発生します。流通はサプライチェーンのようなものですから、全体の流れの中にこうした手間による滞りや詰まりがあると、最終的に消費者まで影響が及んでしまいます。FAX注文をネット注文に置き換えるだけでも、流通の詰まりを解消し、流通の標準(レベル)を上げることができます。


BtoB-ECがもたらす4つのメリット

では、実際にFAX注文をネット注文に置き換える=受発注をオンライン化すると、どのようなメリットがあるのでしょうか? 具体的には、以下のような4つの大きなメリットがあります。

メリットその1:ヒューマンエラーの削減と受発注業務の効率化

人による作業にはミスがつきものです。BtoB-ECの導入によって、受発注処理に関わる手書きや手作業よる様々なトラブルを回避することができます。さらに、受発注作業の効率化にも大きく貢献します。受発注情報を基幹システムに入力するなど、従来手作業で行っていた工数を削減することができます。自動化といえば、FAXによる注文をOCRで自動的に読み取り処理する仕組みがありますが、そもそもOCRが正確に読み取ることができないような発注書も少なくありません。
BtoB-ECの導入は、読み違えや転記ミスなどのヒューマンエラーを削減すると同時に、受発注処理に関わる作業を大幅に効率化します。

メリットその2:問い合わせ業務の負荷軽減と販売機会ロスの削減

BtoB-ECの運用では、「在庫はあるか?」「いつ届くか?」といった情報を、画面上で確認できるようになります。注文者は会社の営業時間を気にすることなく在庫情報を確認、発注でき、受注側も問い合わせ対応にリソースを割く必要がなくなります。注文者が画面上で必要な情報を確認できるようになることで、問い合わせが激減し業務効率化が図れるとともに、販売機会の損失を防げます。

メリットその3:新規顧客の開拓

インターネット上にECサイトを展開し、検索やマーケティング施策を講じることで、新規のお客様を獲得することができるようになります。従来の対面営業では限界があった遠方のお客様との取引や、他業種他業態への小口卸など、今までにできなかった様々な対応が可能になります。

メリットその4:採用活動における好影響

企業のデジタル化に向けた姿勢は、採用に響きます。これは結構重要なポイントです。アドビ株式会社が、2020年4月に新卒入社したビジネスパーソン500名を対象に行った業務のデジタル化と会社への満足度に関する調査(注)によれば、就活時の企業選定において、7割以上が「業務のデジタル化を進めていることが重要」と感じているという結果が出ています。デジタル化を進めている企業であるか否かが、採用に影響を与えていることは明らかです。
注:アドビ、コロナ禍入社社員への企業満足度調査結果を発表

また、Z世代は自分の生活の中にFAX が存在しないため、FAXの使い方を知りません。紙ベースのアナログ業務を続けている企業は、昭和にタイムスリップするようだと敬遠されてしまいます。特に子育てとの両立を可能にするテレワークは、若い世代の就活では大きな選定理由になります。子育て世代が働きやすい環境を整えて採用を進めていかなければ、会社は高齢者ばかりとなり、将来的に企業活動が危うくなりかねません。


導入への最大抵抗勢力は「現状維持」。打破するためには?

新しい仕組みを導入する際に課題となるのは、「現状を変えたくない」社内の空気ではないでしょうか。FAX注文をオンラインに移行しようにも、「今できているのだからこのままでいいじゃないか」という考えが、BtoB-EC導入の大きな壁になるケースは少なくありません。自社の業務フローを変えることへの抵抗もさることながら、既存のお取引先に対して取引方法の変更を依頼する必要があるため、営業からの抵抗も強力です。こうした抵抗を生まないためにも、社内DXは、トップダウンで進めることが必要になることもあります。

新しい仕組みの導入に対してネガティブな状況を瞬時に切り崩すのは困難ですが、あらゆる業務において、必ずデジタル化に移行しなければならないタイミングがやって来ます。企業には、社内DX化に対するムードや導入意欲のリズムがあります。無料トライアルを試して導入熱が上がるものの踏み込めずに熱が冷める・・・、この繰り返しだという企業もあるでしょう。しかし、何度か繰り返すうちに、必ず導入のタイミングが訪れます。社内で導入機運の波が来た時にそのタイミングを逃さぬよう、情報収集などを先に進め、その時に備えておくことをお薦めします。


まとめ

ECは、消費者が便利に使っているサービスの一つです。一消費者でもある社員が、世の中にある便利なサービスを会社の仕事でも使いたい、と思うのは当然の流れではないでしょうか。労働人口の減少や労働時間の短縮化傾向が加速する今、企業が成長するためには社内DXが必須であり、BtoB-ECもその一つとして積極的に活用を考えていくべき仕組みといえるでしょう。

監修:鵜飼智史氏プロフィール

株式会社Dai 取締役 B2BソリューションDiv. マネージャー
BtoB-ECの第一人者として黎明期より活躍。Eコマースの展示会での特別講演や全国規模でのセミナー活動、BtoB-EC界隈に参入を計画する企業への社内勉強会やアライアンスなどに、積極的に取り組む。株式会社Daiは、「はたらくを変える」をミッションに、日々の業務のあり方に変革を起こすBtoB×SaaSの提供と、働き方の選択肢を提供するフランチャイズメディアの運営を行っている。
https://bcart.jp/

会社概要

会社名:株式会社Dai(ダイ)
所在地:
京都ヘッドオフィス:〒604-0866 京都市中京区 西方寺町160-2 船越メディカルビル
東京オフィス:〒162-0843 東京都新宿区市谷田町2-29 こくほ21ビル5F
創業/設立:創業 昭和55年4月1日/設立 平成6年9月1日
代表者:木脇和政
事業内容:BtoBソリューション事業 メディア事業
Bカート無料トライアルhttps://bcart.jp/trial/