COLUMNロジザード ノウハウ EC・物流コラム

物流やEC(ネットショップ)、在庫管理に関連したロジザードのオリジナルコラムです。
在庫管理の基本的な方法から効率化するポイントをロジザードのノウハウ、ロジザードの視点でご紹介します。

最終更新日:2019/12/23 EC・通販事業者セミナー海外

セミナー聴講:越境ECすべらない話-この夜だけの業界「ここだけのハナシ」-

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市場が年々拡大している越境EC。経済産業省のレポートによると、中国とアメリカを中心に越境ECの世界の市場規模は2020年まで毎年、対前年20%以上で成長すると予測されており、今後もより市場が拡大していくことが考えられます。現在越境ECに取り組んでいる方や、これから越境ECを始めようとしている方も多いのではないでしょうか。

そこで、2019年10月30日(水)に行われた株式会社LIFE PEPPER様主催の、越境ECを主題としたセミナーを聴講させていただきました。会場はほぼ満席!興味の高さが伺えました。パネルディスカッション形式で実際の進出事例や海外ECの最新トレンド、「越境ECあるある」等を伺うことができ、とても勉強になるプログラムでした。
セミナーの内容を当コラムに掲載することにご快諾いただきましたので(LIFE PEPPER様、ご登壇された皆さまありがとうございます!)、今回はセミナー内容から一部を抜粋し、ご紹介させていただきます。

おさらい-越境ECとは

越境ECとは、国境を越えて行うECサイトの取引のことを指します。越境ECの市場拡大のきっかけとして、外国人観光客による「爆買い」が挙げられます。日本では、2009年頃から「爆買い」という言葉が使われ始め、2015年6月に外国人観光客による売上高がピークに達しました。その後、帰国後も日本の商品をリピート買いしたいという需要が高まり、日本のネットショッピングやサービスの利用者数が増加したことで、市場の拡大に繋がりました。また、スマートフォンの普及により、どこにいても手軽に海外の商品を購入できる環境になったことも、市場拡大の要因の一つです。
越境ECを展開するメリットとして、「商圏を拡大できる」、「現地で実店舗を経営するよりもECサイトを運営するほうがハードルが低い」といった点が挙げられます。しかし、「配送料や手数料が国内ECより高い」、「言語・決済方法・発送手段などを販売先の国に適応させなければならない」といった課題があります。

セミナー概要

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セミナー名:越境ECすべらない話-この夜だけの業界「ここだけのハナシ」-
日時:2019年10月30日(水)
場所:TIME SHARING五反田Ⅱ
主催:株式会社LIFE PEPPER
登壇者:

スターフィールド株式会社 セールスチームリーダー 橋本宏基氏
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popIn株式会社 Discovery事業部 越境ECコンサルタント 作田海優氏
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株式会社カーツメディアワークス 代表取締役 村上崇氏
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株式会社LIFE PEPPER 執行役員 厚海洋介氏
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モデレーター:株式会社LIFE PEPPER 訪日インバウンド仕掛け人 高橋佑輔氏
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越境ECあるある

成功する企業

・そもそも成功するかしないかが二極化している
売れるところは売れるが、売れないところは全く売れない印象です。(作田氏)
赤字にならず継続して運営できている企業は20~30%、その中でしっかりと売れて利益を出している企業は10%もないイメージですね。(橋本氏)

・ターゲティング・ブランディングに力を入れている企業
日本で売れた商材でも、現地でブランディングが確立していないともちろん売れません。「身長150㎝の女性」などターゲットが明確なブランドはプロモーションしやすいですね。(厚海氏)
「太っている人」といった世界中に共通する人をターゲットにしているブランドや、お悩み解決系の商品などはECで売れやすいと思います。そのターゲットに向けて現地でどういうブランディングをしていくか、ということをあらかじめ考えないといけないですね。(村上氏)

・インバウンドと越境ECの価値の違いを理解している企業
日本のインバウンドで売れている商品が、意外と越境ECでは売れないということがあります。現地だからこそ購入される・ウケる商品(お土産・民芸品など)と、海外にいながら購入することでウケる商品にはズレがあります。販売する国でこの商品のどこが刺さるか、ということを突き詰めて考えられているかどうかが重要です。(厚海氏)

・他の商品にない特徴が明確で、個性がある商品を扱っている企業
商品に特徴があれば、海外にプレスリリースを配信ことで、ニュース価値があればその国のニュースメディアが情報を取り上げてくれることがあります。特にアメリカのメディアに取り上げられると他の国のメディアにも連鎖的に掲載されることもあり、そうなると非常にコストパフォーマンスの高い施策となります。(村上氏)

失敗する企業

・「海外進出すれば売れる」と思っている企業
中国にこれだけ人口がいれば売れるでしょう、という考えだけでは甘いですよね。(厚海氏)

・最初からコンバージョンのみにこだわってしまう企業
売上額など数字で見がちですが、ある程度ブランド構築する期間を考えて適切に進めていくという計画性が必要です。初年度から黒字化する計画は難しいと思います。(厚海氏)
「初めから巨額投資してすぐに回収しようとする→回収できないと失敗と考えてしまう」というのは良くない例ですね。(橋本氏)

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ロジザードスタッフより

越境ECで成功するためには、
・商品力
商品に特徴があること。かつ、その特徴が現地で魅力のあるものなのか見極められていること。その上で現地でのブランディングが確立できていること。
・計画性
すぐに数値的な結果を求めず、計画的な目標を持てること。

といったことが重要ということがわかりました。
既に越境EC事業を行っている方は、「あるある!」と共感する部分があったのではないでしょうか。もし今後越境ECをお考えの場合は、この2点がクリアできるかぜひチェックしてみてください。

新規参入するのにおすすめの国は?

・台湾
まず始めるならやっぱり台湾です。過度期が過ぎ落ち着いている感はありますが、支援業者もありますし、インフラも整っているので成功例が多い印象です。とはいえあまり市場は大きくないので、日本の1/10~1/5程度売れたら十分です。台湾で実績を積んだ後にその他アジア諸国に展開するのがおすすめです。(橋本氏)

・ベトナム
個人的にはベトナムです。この数ヶ月でベトナムの支援会社が増えています。(村上氏)

・タイ
ファッション・コスメ関連ならタイがおすすめです!ファッション・コスメは、「タイが流行を作る」と言われていて、タイで売れたら全アジアでも売れる傾向があります。(作田氏)

・アメリカ
アメリカですね。言語が英語なので、言語的なコストが比較的安い点とAmazonを利用すれば倉庫や物流も委託できるので参入しやすいと思います。Google、Youtubeやインスタなど日本でも使い慣れたプラットフォームでマーケティングできる点も大きな理由です。(村上氏)

ロジザードスタッフより

新規参入におすすめの国は台湾、ベトナム、タイ、アメリカと様々なご意見を聞くことができました。ポイントは現地の支援体制が充実しているかどうか、という点になりそうです。

本音でおすすめするECソリューションは?

・WeStock/株式会社bolome
中国のソーシャルメディアで高い影響力を持つ200名以上のKOLのネットショップを使った越境ECのマーケティング支援サービス。(橋本氏)

WorldShoppingBIZ/株式会社ジグザグ
今ある自社ECサイトにタグを入れるだけで125ヶ国向け越境EC対応が可能になるサービス。勢いあります。提案先でよく遭遇します。(橋本氏)

Onsta!/株式会社インフォキュービック・ジャパン
安価に英語・中国語のアシスタント業務をしてくれるサービスです。
フィリピンなど、英語圏で人件費の安い地域の人材を活用しているので、安価かつ高品質です。(村上氏)

株式会社KAZE&Co.
ネット上であまり情報が載っていないのですが、知る人ぞ知る海外WEBマーケティング会社。(橋本氏)

株式会社unbot
ペルソナづくりが上手です。現地で10名くらいターゲットを呼び、その人たちの考えをヒアリングしたり、行動をよく見てペルソナをつくったりしています。(厚海氏)

ジューサー/ログリー株式会社
Googleアナリティクス以外で、パフォーマンスを見るときに活用しています。無料でここまでできるのかと感心してしまいます。(村上氏)

・アメリカのマーケティング支援会社
アメリカのデジタル広告を運用するエージェンシーの多くが、日本より安いマージン(8-15%)で運用してくれ、さらには運用だけでなく、コピーやバナーなどクリエイティブの作成まで行ってくれます。(村上氏)

まとめ

越境ECの市場は年々拡大していますが、失敗事例も多く存在していることがわかりました。今回、成功パターンや失敗パターンなどの『あるある』をお話しいただき、これまでの越境EC業界でのできごとが具体的に想像することができました。
弊社サービスのひとつであるロジザードZEROは英語・中国語・タイ語に対応しており、中国、タイ・ベトナム・フィリピンなどの東南アジアで導入実績があります。越境ECに関するお問い合わせをいただくことも少なくありません。今回のセミナーで伺った内容を参考に、お客様からいただくご相談に少しでもお役に立てればと思います。
株式会社LIFE PEPPER様、ご登壇された皆さま、貴重な機会をいただきましてありがとうございました。